今週は『モダンマスターズ 2017年版』のプレビュー特集なので、プレビュー・カードをお見せしよう。今日が初日で、舞台裏への興味をそそるものにするため、とてもクールなプレビュー・カードを用意している。準備はいいかね?

史上初の『モダンマスターズ 2017年版』プレビュー・カードだ!

 《湿地の干潟》には仲間が存在するので、おそらくあと数枚のプレビュー・カードをお見せできることだろう。

 その通り、『ゼンディカー』のフェッチランドが『モダンマスターズ 2017年版』で帰ってきたのだ。

 私はデザイン・チームに所属していなかったので、『モダンマスターズ 2017年版』について語ることはあまりない(リード・デザイナーのアダム・プロサック/Adam Prosakが記事を書いている(リンク先は英語))。そこで、今日の記事を使って、これまでの歴史でデザインされてきた、さまざまな2色土地の話をしていこうと思う。古い方から順に紹介し、それぞれのデザインについて一言ずつ話していこう。今日は2色土地、つまり、タップして2色のどちらかのマナを出す土地のことだけを取り上げている。土地だけであって、アーティファクトは対象としていない。

初代デュアルランド(『アルファ版』『ベータ版』)

 史上初の2色土地は、単に「デュアルランド」と言ったらこれを指すことでも証明されているとおり、もっとも有名である。リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが作ったもので、単純に基本土地を組み合わせたものである。初代デュアルランドは、『アルファ版』で初登場している(厳密に言えば登場していたのは9種類だけで、《Volcanic Island》はレアのシートから欠落していた。これは『ベータ版』で修正されている)。これらの土地はそれぞれのタイプを持ち、タップして対応する色のマナを出せる以外は何もしない。リチャードはこれらが強いことに気づいていたが、そもそもプレイヤーがマジックに他のゲームよりも多くお金をかけるとは思っておらず、問題になるほどの枚数を揃えられるとは思っていなかったのだ。そのために、レアにしていたのである。

友好色ダメージランド(『アイスエイジ』)

 次に2色土地が登場するのは2年後、1995年の夏の『アイスエイジ』だった。『アイスエイジ』では1種類ではなく2種類の2色土地のサイクルが登場したが、そのサイクルはどちらも友好色のものだった。これは、友好色のほうが協力して働くものだということを強調したかったからである(これが変化したのは何年もあとのことになる)。ダメージランドは、タップすれば不利益なしで無色マナを出すことができ、タップして2色のどちらかのマナを出すこともできる。この場合、1点のダメージを受けることになる。ライフの支払いでなくダメージだったのはなぜかというと、当時ダメージ軽減には大きな意味があったからである。

 新しい2色土地のサイクルが登場したのは、初代デュアルランドがいくらか強すぎると判断されたからであった。開発部は、基本土地の「完全上位互換」である土地は作らないという理念を採用した。例えば、基本土地の代わりに初代デュアルランドを使わない理由はほとんどない(基本でない土地への対策カードが唯一の例外だが、当時はほとんどなかった)。つまり、土地1つから2色以上のマナを出せる場合、なんらかの不利益がなければならないということである。ダメージランドでは、色マナを出すたびにダメージを受けるという方法が使われた。この不利益を低減するため、無色マナという選択肢が加えられた。これにより、その色が必要なときにだけダメージを受けることになったのだ。

 ダメージランドは成功したと評価され、長年に渡って基本セットの2色土地となった(『第8版』を除き、『第5版』から『第10版』まで採用されていた)。

友好色お休みランド(『アイスエイジ』)

 それはと対照的に、お休みランドは人気が出なかった。お休みランドにはまた別の不利益が採用されていた。2色のどちらかのマナを出すためにタップしたら、その土地は次のアンタップ・ステップにアンタップしない。つまり、2ターンに1度しかマナを出すことができないのだ。お休みランドの大きな問題は、不利益なしでタップして無色マナを出すという選択肢がなかったことである。そのため、その色のマナが必要ないときにも不利益を被る必要があったのだ。友好色お休みランドは一度も再録されていない。

友好色タップインフェッチランド(『ミラージュ』)

 『ミラージュ』では、新しい方法の2色土地が試みられた。タップして2色のどちらかのマナを出すことができる土地、ではなく、ライブラリーから2種類どちらかの基本土地を探し、それを戦場に出すことができるという友好色関連の土地のサイクルを作ったのだ。タップして2色のどちらか1色のマナを出せるが、使ったときにどちらの色か固定される、という発想だった。不利益がなければ「基本土地より強い」ことになってしまうので、タップ状態で戦場に出ることになった。この不利益はあまりにも大きいということが証明されて、このサイクルは二度と再録されなかった(オンラインの『Vintage Masters』は例外だ)。ただし、このサイクルは今日のプレビュー・カード(と、それに対応する友好色サイクル)の元になっている。

敵対色タップインダメージランド(『テンペスト』)

 友好色2色土地のサイクル3つの後で、『テンペスト』では敵対色のサイクルを作ることにした。 このサイクルは『アイスエイジ』の友好色ダメージランドを元に、タップ状態で戦場に出るという不利益を加えている。この追加の不利益は、敵対色は友好色ほど上手く協力することはできないということをメカニズム的に表そうとしたものである。敵対色の2色土地としては唯一の選択肢だったのでいくらかは使用されていたが、タップ状態で戦場に出るという不利益は厳しすぎたとわかり、オンライン専用のセット以外では敵対色タップインダメージランドは再録されなかった。

修正版友好色お休みランド(『テンペスト』)

 『テンペスト』でもう1つ初めてやったことが、過去の2色土地のデザインを訂正することである。先に、お休みランドは無色マナを出すという選択肢がなかったので使い物にならなかったと言った。こそで、『テンペスト』版ではその選択肢を加えた。この変更ははっきり有効で、このサイクルは大会でもいくらかプレイされた。後に、新しいカード名で『神河物語』に再録されている(また、オンラインの『Tempest Remastered』にも再録されている)。

友好色タップイン土地(『インベイジョン』)

 次の新型2色土地が登場するのはその3年後で、史上最も異論の多い2色土地のサイクルの1つとなった。我々はデベロップにプロツアーからのエキスパートを採用することにして、ランディ・ビューラー/Randy Buehlerを開発部に雇った直後だった。ランディは、それまでの2色土地はどれも充分に強いとは言えないものだったとして、タップイン土地を作るように主張した。開発部内の多くはタップ状態で戦場に出るというのは充分な不利益だとは考えなかったので、議論は非常に長引いたが、ランディは何とかタップイン土地の印刷にこぎつけたのだ。そして、タップインというのはかなりの不利益であったこと、ランディが正しかったことだけでなくそれ以上の追加の余地があったことが時間とともに明らかになっていった。友好色タップイン土地は『第8版』で再録されている。

敵対色ダメージランド(『アポカリプス』)

 『アポカリプス』は敵対色のエキスパンションだったので、新しい敵対色2色土地を導入するのにちょうどいいと思われた。『テンペスト』のタップインダメージランドという失敗を踏まえて、『アイスエイジ』の友好色ダメージランドを、タップ状態で戦場に出るという不利益なしでそのまま敵対色版にすることにした。友好色ダメージランド同様、敵対色ダメージランドも何度も再録されている(『第9版』『第10版』『基本セット2015』『マジック・オリジン』)。

友好色フィルターランド(『オデッセイ』)

 『オデッセイ』では、新しい型の2色土地が試された。このサイクルでは、2色のマナを1点ずつ生むが、起動するために不特定マナ1点が必要だった。マナをフィルターして2色にするというわけだ。このサイクルの不利益は多少わかりにくいものになっている。他にマナ源がないかぎりマナを出すことができないので、第1ターンにプレイしても意味がないのだ。デザイン上の観点から言うと、私は、どの色のマナを出せるかという認識上の負荷が大きくなるフィルターはあまり好きではない。数枚は『統率者(2016年版)』で再録されているが、サイクル全体で再録されたことはない。

汚れた土地(『トーメント』)

 ちょっとしたトリビアクイズをしよう。「唯一、4枚だけしかない2色土地サイクルは何か」。答えは、『トーメント』の汚れた土地サイクルだ。『トーメント』は「黒のセット」で、色のバランスが、黒が多く、黒の敵対色である緑や白が少ないものになっていた。沼をコントロールしていれば、タップすることで黒ともう1つの色のどちらかのマナを出すことができるのだ。沼をコントロールしていなくても、タップして無色マナを出すことはできる。これは1色に関連しているので、このサイクルには4枚しかなく、半分は友好色、半分は敵対色である。これは、史上最も奇妙な2色土地である。何枚かは様々なサプリメント商品で再録されているが、サイクル全体として再録されたことはない。

《裂け岩の扉》(『ジャッジメント』)

 サイクルでもなければ2色土地かどうかも定かではないこのカードをここに加えるべきかどうかはわからない。『トーメント』が「黒のセット」だったのと同じく、『ジャッジメント』は「緑白のセット」だったので、墓地にある間自分の土地をすべて緑白の2色土地にするというカードが存在していた。ここに入れるのは、完全性のためである。これが再録されたことはない。

友好色フェッチランド(『オンスロート』)

 2色土地に関して『ミラージュ』で試したことは気に入っていたが、それをどう向上させるかを決めるにはかなりの時間がかかった。答えは、タップ状態で戦場に出るという制限を、能力を起動するときにライフを支払う、に入れ替えるというものだった。このサイクルではダメージではなくライフの支払いになっているが、これはテンプレートを簡略にすることと、ダメージ軽減がなくなって長いという2つの理由からである。また、これは、再録することを考慮してカード名を決めるようになった最初の2色土地サイクルだと思われる。このサイクルは大人気となり、『タルキール覇王譚』や『戦乱のゼンディカー』の『Zendikar Expeditions』で再録されている。

修正版友好色お休みランド(『神河物語』)

 このサイクルは『テンペスト』の修正版友好色お休みランドの新カード名での再録である。カード名は神河の世界に合わせて選ばれているが、クリエイティブ的に調整すれば他の世界でも再録できるようになっている。

ショックランド(『ラヴニカ』『ギルドパクト』『ディセンション』)

 これは私がデザインした2色土地サイクルの中のお気に入りだ。ダメージランドもタップインランドも少しばかり弱かったので、そのどちらかを選べるような10枚のサイクルを作ろうと考えたのだ。テンプレートとゲームプレイを単純化するため、ダメージランドを選んだ場合、色マナを出すためにタップするたびにライフを失うのではなく、1回だけ2点のライフを支払うようにした。また、初代デュアルランド以降の2色土地には基本土地タイプがなかったことに気がついたので、それも追加することにした。その結果、非常に優秀で人気のある2色土地のサイクルとなった。『ラヴニカへの回帰』ブロックと、『Zendikar Expeditions』で再録されている。どの世界でも再録できるようにカード名を決めたが、初めて再録したのもラヴニカ世界だったのは面白い話である。

お帰りランド(『ラヴニカ:ギルドの都』『ギルドパクト』『ディセンション』)

 この10枚サイクルは、リミテッドでコモンの2色土地サイクルが必要だったために作られた。デザインのもとになったのは『ビジョンズ』の単色土地5枚のサイクルである。白は《乾燥高原》で、英語ではそのカード名がこのサイクルの通称になっている。このサイクルの土地のカード名にギルドの名前をつけているのは、このサイクルを他の場所で使うつもりはないという意思表示であった。振り返ってみると、これは『オデッセイ』のフィルターランドと同じような認識上の負荷の問題があり、素晴らしいコモンのサイクルではなかった。これらの土地は様々なサプリメント商品で再録されており、特に1枚制限のために大量の色基盤が必要な『統率者』でよく再録されている。

友好色貯蔵ランド(『時のらせん』)

 この2色土地サイクルでは、新しい空間を掘り下げている。それぞれの土地には起動型能力が3つずつあり、1つ目はタップして無色マナを出す。2つ目は不特定マナを払って貯蔵カウンターを得る。3つ目が、不特定マナ1点を払って貯蔵カウンターを好きな数取り除き、2色のマナを合計でその取り除いた数だけ出すというものだ。『時のらせん』は時間をテーマにしていたので、貯蔵ランドは時とともにカウンターを蓄えていくという過去の単色土地サイクル(『フォールン・エンパイア』『メルカディアン・マスクス』の影響が大きい)の進化型だったのである。これらの土地はいくらか面倒なものだったので、サプリメント商品以外での再録はされていない。

友好色ミライランド(『未来予知』)

 これは、その高いテーマが気に入っている、私がデザインした中で2番目に自慢できる2色土地サイクルである。こ5枚の友好色のミライシフト土地(ありうる将来からのカード)のサイクルで、それぞれが別のサイクルから選ばれたものである。《雨雲の迷路》は他方の基本土地をコントロールしていれば色マナを出せる2色土地(例えば、島があれば白マナが出せる)。《涙の川》はそのターンに土地をプレイしたかどうかによってどちらの色のマナが出るかが決まる。《偶像の石塚》は2色のうちどちらかのマナ1点を、その2色の合計2点に変換する。《燃え柳の木立ち》は対戦相手にライフを得させるという不利益がある。《地平線の梢》はマナを出すのにライフを1点支払う必要があるが、新しいカードと交換できる。このサイクルの中で、《偶像の石塚》だけはその本来のサイクルが実際に登場している(『シャドウムーア』と『イーブンタイド』で)。他のカードについても、サイクルを作ることについて議論されることがある。

部族ランド(『ローウィン』『モーニングタイド』)

 これは奇妙なサイクルである。『ローウィン』に5枚、『モーニングタイド』に3枚存在している(《原初の彼方》はタップすると5色のどのマナでも出せるので、2色土地ではない。また、《ひなびた小村》はタップしても複数の色のマナは出せない。だが、これらも明らかにこのサイクルの一部なので列記している)。これらの2色土地は、戦場に出す時点で特定のタイプのクリーチャーを公開しない限りタップ状態で戦場に出る。『ローウィン』ブロックには部族テーマはあり、これらの土地は8種類の部族に対応している。これらの土地と、『トーメント』や『ジャッジメント』の土地のせいで、2色土地の枚数は友好色と敵対色で均等になっていない。これらのカードはサプリメント商品以外では再録されていない。

友好色混成土地(『シャドウムーア』)

 『未来予知』の《偶像の石塚》は、本当に近い未来からの再録だったのだ。『シャドウムーア』には友好色のサイクルが存在した。これは後に『Zendikar Expeditions』で再録されている。

敵対色混成土地(『イーブンタイド』)

 『イーブンタイド』には敵対色のサイクルがある。これも『Zendikar Expeditions』で再録されている。

友好色M10ランド(『基本セット2010』)

 『基本セット2010』は(『アルファ版』『ベータ版』を除いて)初めて新規カードを採用した基本セットであり、その新規カードの中に新しい友好色2色土地サイクルが含まれていた。その土地の色に対応する基本土地のどちらかをコントロールしていない限りタップ状態で戦場に出るこの土地サイクルは、『基本セット2010』から『基本セット2013』までの全ての基本セットに存在している。

敵対色フェッチランド(『ゼンディカー』)

 そして今日のプレビュー・カードである。友好色フェッチランドは『オンスロート』に存在していて、ついに敵対色フェッチランドの番になったのだ。これらの土地は、友好色フェッチランドと同様大人気となり、『Zendikar Expeditions』と『モダンマスターズ 2017年版』で再録されている。

友好色隠れ家(『ゼンディカー』)

 アンコモンの2色土地のサイクルが必要だった。タップ状態で戦場に出る土地は多少弱いのがわかっていたので、それにつける何らかのおまけを探しており、ライフを得るのは単純で有用だった。このサイクルはサプリメント商品で何度か再録されており、『タルキール覇王譚』では新しい名前で再録されている。

友好色ミシュラランド(『ワールドウェイク』)

 このサイクルは『ウルザズ・レガシー』の、タップすると色マナが出て、その色のマナを含む起動コストを支払うとターン終了時までクリーチャーになるという単色土地の人気サイクル(中でも《樹上の村》が一番有名だろう)を元にしたものである。『ワールドウェイク』のデザインでは、そのサイクルの友好色2色土地版を作った。

友好色ファストランド(『ミラディンの傷跡』)

 通常、タップ状態で戦場に出る2色土地の問題点は、アグロ系デッキで弱いということである。このサイクルでは、この土地が最初の3枚までであればアンタップ状態で戦場に出ることができるようにすることでこの問題を解決しようとした。タップ状態で戦場に出る2色土地は何らかのおまけがつくものだが、この制限を条件によって受けないというおまけでもいいだろう。このサイクルはまだ再録されていない。

敵対色M10ランド(『イニストラード』)

 これは『基本セット2010』のM10ランドの敵対色版である。通常、2色土地はデベロップ・チームが選び、デザイン・チームはデベロップ・チームの指示どおりに入れるものである。私は、友好色の部族に焦点を当てている『イニストラード』で、レアの2色土地サイクルを敵対色にするのは似合わないので躊躇したが、より大きな環境のためにカードを入れることはあることで、このセットだけの話ではない。このサイクルはまだ再録されていない。

ギルド門(『ラヴニカへの回帰』『ギルド門侵犯』)

 コモンの2色土地サイクルが必要だったので、我々はタップ状態で戦場に出る土地に与えることができる小さなおまけを探した。かなりの調査の結果、我々は少しばかり孤立的なものを試すことにした。土地に「門」というサブタイプを与え(ギルド門という発想は世界構築から来たものである)、メカニズム的に門を参照するカードをいくらかデザインしたのだ。ギルド門はすべて同ブロックの最終セットである『ドラゴンの迷路』で再録されている。

占術ランド(『テーロス』『神々の軍勢』『ニクスへの旅』)

 エリック・ラウアー/Erik Lauerはかねてから占術を持った2色土地のサイクルを作りたかった。そして、デベロップが『テーロス』に占術を入れたとき(当時はまだ占術は常磐木ではなかった)、エリックはチャンスが来たと気づいたのだ。このサイクルの土地は基本的にはタップ状態で戦場に出る土地で、おまけは占術1である。『テーロス』ブロック全体を通して、『テーロス』で5枚、『神々の軍勢』で3枚、『ニクスへの旅』で2枚と、合計10枚のサイクルが入るというのは奇妙なものであった。このサイクルはクリエイティブ的に占術のフレイバーに合わせて神殿となった。このサイクルはまだ再録されていないが、占術が常磐木になった今、再録の可能性は高いと思われる。

友好色・敵対色隠れ家(『タルキール覇王譚』)

 この10枚のサイクルは、『ゼンディカー』にあった5枚の友好色の隠れ家にどの次元でも使える名前をつけたものと、初めて印刷された敵対色の隠れ家5枚からなる。このサイクルはサプリメント商品で何度も再録されることになる。また、このサイクルは『運命再編』でも再録されている。

友好色バトルランド(『戦乱のゼンディカー』)

 この友好色2色土地のサイクルは、ある意味でファストランドの逆にあたる。このサイクルは、基本土地を2枚以上コントロールしていないかぎりタップ状態で戦場に出るのだ。基本土地を参照する部分は、このサイクルをデッキに大量に入れることを防ぐためのものである。このサイクルは、(初代デュアルランド、ショックランドに続く)3つ目となる、基本土地タイプを2つ持つ2色土地である。これは、『タルキール覇王譚』ブロックで再録されたフェッチランドとのシナジーを作る目的で与えられている。

敵対色ミシュラランド(『戦乱のゼンディカー』『ゲートウォッチの誓い』)

 ゼンディカーに戻るにあたり、我々は『ワールドウェイク』に存在した友好色ミシュラランドに対応する敵対色のミシュラランドを作った。この5枚のサイクルは、『戦乱のゼンディカー』に2枚、『ゲートウォッチの誓い』に3枚という形でブロック全体を通して登場した。

友好色タップインランド(『ゲートウォッチの誓い』)

 入門用商品には、可能な限り最も単純な形の2色土地が使えるようにする必要があると判断したので、我々は再びおまけのないタップ状態で戦場に出る土地を作り、どんな設定でも使えるシンプルな名前を与えた。友好色版は『ゲートウォッチの誓い』に登場している。

敵対色タップインランド(『イニストラードを覆う影』)

 そして、敵対色版は『イニストラードを覆う影』に収録された。

シャドウランド(『イニストラードを覆う影』)

 これはファストランドのもう1つの形である。この版では、関連する基本土地2種のうちいずれかを手札から公開しなければタップ状態で戦場に出るようになっている。

敵対色ファストランド(『カラデシュ』)

 『カラデシュ』では、『ミラディンの傷跡』の友好色ファストランドの敵対色版が登場した。プレイヤーから、敵対色版は出ないのかという問い合わせが多かったサイクルである。

2色は終わり

 さて親愛なる読者諸君、これでこれまでに印刷された全ての2色土地の紹介が終わった。そう、これまでに、だ。この、歴史を振り返り、『モダンマスターズ 2017年版』に再録される敵対色フェッチランドを楽しみにしてもらいたい。いつもの通り、今回の記事に関する諸君からの反響を楽しみにしている。歴史記事が好きかどうか、もっと増やしてほしいか、減らしてほしいか。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、遠い昔の(あるいはそう遠くない昔の)カード個別の話をする日にお会いしよう。

 その日まで、私と同じようにあなたにも愛すべきマジック史がありますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)