選択せよ その2
先週、第3回グレート・デザイナー・サーチの第2の課題である選択問題について説明を始めた。試験を自分でも受けてみたければ、先週の記事を確認してくれたまえ。
設問が非常に多いので、先週は半分までしか進められなかった。今週は残りの後半となる。
39.ゲームプレイにおいて大きな振れ幅を一番嫌うプレイヤーの種類はどれか。ここで「振れ幅の大きい」とは、個別のカードの結果に、そのプレイヤーの制御できない大きな差が出ることを指すとする。
- ジョニー/ジェニー
- ティミー/タミー
- スパイク
- 新規プレイヤー
- 多人数戦が好きなプレイヤー
ティミー(タミー)は大きな振れ幅を楽しむ傾向にある。ジョニー(ジェニー)は突飛なことをしたがるので、大きな振れ幅も受け入れる。新規プレイヤーは、たまに勝てることを好む。そして多人数戦プレイというものは、その性質上、大きな振れ幅を受け入れる傾向にある。スパイクは振れ幅を嫌う。これは、彼らが技術を賞賛されたいからであり、振れ幅が高ければその割合が下がることに繋がるからである。
40.以下のカードのうち、リミテッドで通常一番強いのはどれか。
- 《僧帽地帯をうろつくもの》
- 《強迫》
- 《溶岩の斧》
- 《平和な心》
- 《風のドレイク》
汎用的な対策カード、特に比較的軽いものは、リミテッドでは非常に強力である。従って、この中で一番リミテッドで強いのは《平和な心》となる。
41.以下のうち、一般的に競技スタンダード向けでないのはどれか。
- カードを引くこと
- 打ち消し呪文
- クリーチャーでもプレイヤーでも狙える直接ダメージ
- クリーチャー全体除去
- 一時的マナ加速
何度も、「儀式」によってひどい目にあってきたので、我々はそれをスタンダードで推進するのは避けている。他の4つの効果(カードを引くこと、打ち消し呪文、柔軟な直接ダメージ、クリーチャー全体除去)はスタンダードで推進する効果なので、Eが正解である。
42.以下の白の象徴的カードのうち、スタンダードで使えるセットで再録するのにもっともふさわしいのはどれか。
我々はスタンダードでの全体土地破壊を好まないので、《ハルマゲドン》ではない。色対策カードのカードパワーを押し下げているので、《因果応報》でもない。《土地税》と《剣を鍬に》はパワーレベル的にもカラー・パイ的にも問題がある。従って、残りの《悪斬の天使》が正解である。
43.以下の黒の象徴的カードのうち、スタンダードで使えるセットで再録するのにもっともふさわしいのはどれか。
《Demonic Consultation》[ICE]》と《Demonic Tutor》[3ED]》は、スタンダードで我々が望んでいるよりも強い教示者である。《Infernal Darkness》[ICE]》は、現在のセットでは扱っていない累加アップキープを持っていて、しかもスタンダードでは強すぎる(対戦していてこれっぽっちも楽しくないカードなのは言うまでもない)。《陥没孔》は、最近の土地破壊としてはあまりにも強すぎる。従って、残った《地獄界の夢》が正解となる。
44.昨年、プレインズウォーカー・カード《サヒーリ・ライ》との意図せぬ相互作用により、《守護フェリダー》がスタンダードで禁止された。もしこの相互作用をデザインの後期に見つけていたとしたら、以下のうち最適な解決策はどれか。
- 「《守護フェリダー》はタップ状態で戦場に出る。」を加える。
- 《守護フェリダー》のコストに無色1マナを加える。
- 《守護フェリダー》の能力でパーマネントを戦場に戻すのを次の終了ステップの開始時にする。
- 両方のカードをそのままにして、《守護フェリダー》と《サヒーリ・ライ》のどちらでも破壊できる柔軟なインスタントを加える。
- 3色デッキで唱えるのを難しくするため、《サヒーリ・ライ》のマナ・コストを{U}{U}{R}にする。
この問題を解決するための鍵は、コンボが無限になることを止めることである。それに当てはまるのは、Cである。Dが環境に対策をもたらすのは確かだが、そのコンボそのものの中で問題を解決するのに比べたら効率的な解決策とは言えない。
45.以下の全てのデザインがそれぞれ妥当なパワー・レベルと勝率になるようコストを定めたとして、競技プレイで存在した時に一番楽しくないのはどれか。
- 各プレイヤーがそれぞれのアップキープ中に2点のライフを失うようにするアーティファクト。
- タップして3マナをマナ・プールに加えることができるアーティファクト。
- カード名を指定して、そのカードを唱えられないようにするエンチャント。
- すべてのクリーチャーが攻撃できないようにするエンチャント。
- 土地でないパーマネントを全て破壊するソーサリー。
正解は、戦場に出た後では5色のうち2色だけしか破壊できない要素によってゲームプレイ上の鍵となる要素(そして多くのデッキの勝利条件)を止めてしまう、Dである。列記されている他のカードは、それがプレイされた後でも対戦相手に次善の策が残されている。
46.以下のデザインのうち、スタンダードで使えるセットで再録するのにもっともふさわしいのはどれか。
この設問は、各カードの基本的なパワーレベルと、それがスタンダードにもたらす影響を理解しているかどうかを問うものである。また、カラー・パイの知識もいくらか必要となる。《暗黒の儀式》と《剣を鍬に》は現在それぞれの色で作るようなカードではない。残りのカードの中で、《ラノワールのエルフ》は最も問題が小さく、再録の可能性が一番高い。
47.デザインの観点から、このカードの最大の問題は何か。
〈巨大稲妻〉
{3}{R}
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。[カード名]はそれに8点のダメージを与える。
- 8より7のほうが美しい数字だ。
- 黒と赤の境界を曖昧にしている。
- このダメージを対戦相手に向ける方法が見つかるかもしれない。
- これほどのダメージを与えるカードはソーサリーであるべきだ。
- 4マナで与えるダメージにしては大きすぎる。
デザインがかなりの時間を費やしているものの1つが、各色に別個の特徴があるようにすることである。そのための方法の1つが、同じことをする場合にもそれぞれの色のやり方が違うようにする明確なルールを作ることである。そのため我々は、赤の呪文が黒の除去呪文と同じように感じられないように、赤がクリーチャーに与えるダメージの量を制限している。そのため、Bが正解である。A、D、Eは間違っている。Cは、メタゲームによってはプレイ・デザインが我々に差し戻してくるかもしれないが、我々がよく気にするような内容ではない。
48.以下の文章欄のうち、コモンのクリーチャーにしては複雑すぎるという問題になる可能性が最も高いのはどれか。
- {2}{W}:クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+1/+1の修整を受ける。
- {1}{R}:ターン終了時まで、[カード名]は+2/+0の修整を受け、先制攻撃を得る。
- [カード名]が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受け、トランプルを得る。
- [カード名]が攻撃するたび、ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
- 他のクリーチャーがあなたのコントロール下で戦場に出るたび、ターン終了時まで、[カード名]は+1/+1の修整を受ける。
他のクリーチャーを対象として何度も起動できるカード、中でも特に能力を与えるものは、注意信号である。《炎のブレス》はそうではない。《巨大化》のような単純な効果を持つ、戦場に出たときの能力もそうではない。全体効果を持つ攻撃時の誘発もそうではない。誘発条件に基づいてそれ自身を強化するカードもそうではない。すなわち、Aが正解である。
49.多人数戦をプレイしている。プレイ環境で両方がよく存在するときに一番混乱を招くのは、以下のどのメカニズムの組み合わせか。
- 貪食と濫用
- 製造と圧倒
- 奇跡とサイクリング
- 接合と活用
- 無尽と大隊
まず、それぞれのメカニズムが何をするのかを列記していこう。
- 貪食N(これが戦場に出るに際し、あなたは望む数のクリーチャーを生け贄に捧げてもよい。このパーマネントは+1/+1カウンターがこれにより生け贄に捧げられたクリーチャー1体につきN個置かれた状態で戦場に出る。)
- 濫用(このクリーチャーが戦場に出たとき、あなたはクリーチャーを1体生け贄に捧げてもよい。)
- 製造N(このパーマネントが戦場に出たとき、これの上に+1/+1カウンターをN個置いてもよい。そうしないなら、1/1の無色の霊気装置・アーティファクト・クリーチャー・トークンをN体生成する。)
- 圧倒(〜あなたがコントロールしているクリーチャーのパワーの合計が8以上であるなら〜。)
- 奇跡[コスト](あなたがこのカードを引いたとき、これがこのターンに最初に引いたカードだった場合、あなたはこれの奇跡コストを支払うことでこれを唱えてもよい。)
- サイクリング[コスト]([コスト], このカードを捨てる:カードを1枚引く。)
- 接合N(これは+1/+1カウンターがN個乗った状態で戦場に出る。これが墓地に置かれたとき、アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。あなたはこれの上にある+1/+1カウンターをそれの上に置いてもよい。)
- 無尽(このクリーチャーが攻撃するたび、このクリーチャーのコピーであるトークンを、防御プレイヤー以外の対戦相手1人につき1体、タップ状態でそのプレイヤーまたはそのプレイヤーがコントロールしているプレインズウォーカーを攻撃している状態で生成してもよい。これによりあなたが1体以上のトークンを生成したなら、戦闘終了時に、それらのトークンを追放する。)
- 大隊(このカードと、少なくとも2体の他のクリーチャーが攻撃するたび、〜。)
li>活用[コスト]([コスト], あなたの墓地からこのカードを追放する:クリーチャー1体を対象とする。このカードのパワーに等しい数の+1/+1カウンターをそれの上に置く。活用はソーサリーとしてのみ行う。)
貪食と濫用 ― このルールの難しいところは、1体のクリーチャーを両方の能力で生け贄に捧げることはできないということである。しかし、これはマジックの一般的なルールであり、そう難しいことではない。
製造と圧倒 ― どちらを選択したとしても圧倒で得られるパワーはおなじになるので、この組み合わせではそう混乱は生じない。
奇跡とサイクリング ― 奇跡は引いたときに誘発する。サイクリングは手札にある時に働く。1枚のカードに両方があったとしたら、それを奇跡コストで唱えながらサイクリングをすることはできないが、これはどんな呪文でも同じことなのでそう難しいとは言えない。
接合と活用 ― 接合はそのクリーチャーが死亡した時に働き、活用はそのカードが墓地にある時に働く。そう難しくはない。
無尽と大隊 ― 無尽によるトークン・クリーチャーは攻撃するのではなく攻撃している状態で生成されるので、大隊では数に入れない。これは全く直感に反していて、おそらくいちばん混乱を招くことになるだろう。従って、Eが正解である。
50.《波停機》と同じ文章(「プレイヤーはカードをサイクリングできない。」)を持つエンチャントを印刷するとしたら、何色であるべきか。
- 白
- 青
- 黒
- 赤
- 緑
事前に対策する色は、特にそのカードがエンチャントであれば、白である。
〈ガラクタ山の技師〉
− (CMC:3)
クリーチャー ― 人間・工匠
3/2
{2}, アーティファクト1つを生け贄に捧げる:あなたのライブラリーの上からX枚を見る。Xは生け贄に捧げたアーティファクトの点数で見たマナ・コストに等しい。その中の1枚をあなたの手札に、残りを無作為の順番であなたのライブラリーの一番下に置く。
51.このカードに一番ふさわしい色は何か。
- 白黒
- 青赤
- 黒赤
- 赤白
- 緑青
このカードはアーティファクトをコストとして生け贄に捧げる。それをすることが最も多い色を2色挙げるなら黒と赤で、赤のほうがより多い。次に、このカードは《衝動》効果(ライブラリーの一番上からカードをX枚見て、1枚を手札に入れ、残りをライブラリーの一番下に置く。)を行なっている。《衝動》は青の効果である。さらにフレイバーを考慮すると、これはイゼットらしさがある。こうして正解の青赤にたどり着くことができるのだ。
52.このカードに一番ふさわしいレアリティは何か。
- コモン
- アンコモン
- レア
- 神話レア
このカードはコモンにはあまりにも難しすぎる。何度も使えるカードを引く効果(しかも非常に効率がいい)を持ったクリーチャーなので、我々はこれをアンコモンにすることも少ない。神話レアと言うには派手さが足りないので、正解はレアということになる。
53.以下のうち、セット・デザインが最もするであろう変更はどれか。
- 見る枚数を点数で見たマナ・コストを参照するのではなく定数にする。
- このクリーチャーに速攻を与える。
- パワーとタフネスの値を同じにする。
- 「{2}, {T}:あなたの手札からアーティファクト・カード1枚を戦場に出す。」という能力を持たせる。
- 公開されたカードを墓地に置くようにする。
プレイ・デザインがパワーレベルを上げるべきだと感じたらこのクリーチャーは速攻を得るかもしれないが、セット・デザインがそうする特別な理由は存在しない。このカードではサイズの変化を記録する必要はないので、サイズを正方にする理由も存在しない。アーティファクトを直接戦場に出せるようにすることはマナ・コストを無視することになり、まず間違いなく問題を起こすことになる。カードを墓地に置くようにすることで、このカードはライブラリーをリソースとする(起動するごとにライブラリーを消費する)カードとなる危険性が高く、これはデザインの観点ではない。数字を定数に変えることは、ルール文章を減らすとともにカードの手順を簡単にする。従ってAが正解である。
〈歩む死せる者〉
− (CMC:7)
クリーチャー ― 多相の戦士・ウィザード
1/1
[カード名]が戦場に出たとき、いずれかの墓地からクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたのコントロール下で戦場に戻す。その後、あなたのコントロールしているクリーチャーはすべてそのクリーチャーのコピーになる。
54.このカードに一番ふさわしい色は何か。
- 青黒
- 青赤
- 黒緑
- 赤緑
- 緑青
このカードはクリーチャーをリアニメイトする。この能力は黒が1種色、白が2種色(ただし通例小型のクリーチャーに限られる)である。コピー効果は青が1種色だが、まれに白にも存在する。従って、青黒が正解となる。
55.このカードに一番ふさわしいレアリティは何か。
- コモン
- アンコモン
- レア
- 神話レア
リアニメイトをコモンで使うことはない。アンコモンですることはあるが、このような強力な効果と組み合わせることはない。レアか神話レアかを定めるのはその効果がどれだけ派手かであり、この効果は非常に派手でゲームへの影響も甚大である。従って、正解は神話レアとなる。
56.このカードにデザインがしないであろう変更は以下のどれか。
- 瞬速を与える。
- 自分の墓地からしかクリーチャーを出せなくする。
- 対戦相手の墓地からしかクリーチャーを出せなくする。
- 戦場に戻したクリーチャーをターンの終了時に生け贄に捧げるようにする。
- 0/0クリーチャーにする。
青は瞬速の1種色なので、Aはありうる。クリーチャーを持ってくることができる墓地を制限するのは、セット・デザインやプレイ・デザインが調整しうる部分であり、BやCもありうる。黒でリアニメイトしたクリーチャーを生け贄に捧げるのはまれにあることなので、Dもありえないわけではない。クリーチャーを0/0にしたら、戦場に出た直後にタフネスが0であるので状況起因処理によって死亡することになる。それでも戦場に出たときの能力は発生するが、ソーサリーにすべきような混乱させるカードを作ることになる。一般論として、不必要な混乱を招くような形でカードを作ることはしないので、Eが正解である。
57.過去に訪れたことのある次元を裁縫するセットをデザインしていて、人間、狼、スピリットを使うことを計画している。もっともふさわしいのはどの世界か。
- アモンケット
- イニストラード
- イクサラン
- カラデシュ
- ゼンディカー
『イニストラード』は人間、スピリット、狼/狼男を5つの部族のうち3つで使った部族テーマを持つセットであった。従って、イニストラードへの帰還であるBが正解となる。
58.以下のうち、スタンダードで使えるセットのカードがメカニズム的に参照できない属性はどれか。
- サブタイプ
- 特殊タイプ
- エキスパンション・シンボル
- マナ・コスト
- パワー/タフネス
部族効果を扱うので、カードはサブタイプを参照することはできる。基本や伝説のカードを扱うカードを作るので、カードで特殊タイプを参照することはできる。カードの点数で見たマナ・コストを参照するカードが存在するので、それも可能だ。獰猛や圧倒のようなメカニズムを作るので、パワーやタフネスを参照することもできる。英語で同一のカード名を持つカードは同一のものとして扱うというルールが存在し、我々はカードを再録するので、同名のカードが複数のエキスパンション・シンボルを持つことがある。そのため、黒枠マジックではエキスパンション・シンボルをメカニズム的に参照することはできなくなっている。(マジックの初期のセットでは参照していたものがあった。)一方、銀枠セットではエキスパンション・シンボルを参照することができ、それを参照する銀枠カードは作られている。
59.以下のうち、開発部が次のセットの赤単色のクリーチャーに持たせる可能性が一番低い能力はどれか。
- [マナ]:ターン終了時まで、[カード名]は+1/+0の修整を受ける。
- [カード名]は可能なら攻撃しなければならない。
- [カード名]が戦場に出たとき、あなたの墓地からソーサリー・カード1枚を対象とする。あなたはそれをあなたの手札に戻してもよい。
- {T}:カードを1枚引き、その後カード1枚を捨てる。
- あなたがコントロールしているクリーチャーは速攻を持つ。
赤には火吹き効果と、攻撃強制されるカードと、ソーサリーを《新たな芽吹き》するカードと、他のクリーチャーに速攻を与えるカードが存在する。赤のルーター効果では、カードを引くよりも先にカードを捨てる。従って、正解はDである。カードを引いてから捨てるのは、青のルーター効果である。
60.現在のデザインの基準によると、以下の「戦場に出たとき」の効果のうちでコモンのクリーチャーが一番持たないものはどれか。
- 「対戦相手がコントロールしているエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。」
- 「あなたの墓地からクリーチャー・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。」
- 「クリーチャー1体を対象とする。このターン、それではブロックできない。」
- 「クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受ける。」
- 「クリーチャー1体を対象とする。あなたはそれをオーナーの手札に戻してもよい。」
ループを減らすため、《グレイブディガー》効果はアンコモンに格上げされているので、正解はBである。他の4つの効果は、我々がコモンで使っているものである。
61.以下のセットのうち、陣営を軸にしてデザインされていないものはどれか。
- 『アモンケット』
- 『イクサラン』
- 『タルキール覇王譚』
- 『ラヴニカ』
- 『アラーラの断片』
『イクサラン』は4つの部族の陣営を基柱にしている。『タルキール覇王譚』は5つの楔3色の陣営を基柱にしている。『ラヴニカ』ブロックは、10個の2色の陣営を基柱にしている(『ラヴニカ』はそのうち4つが基柱になっている)。『アラーラの断片』は5つの弧3色の陣営を基柱にしている。それらと対照的に、『アモンケット』は、陣営を基柱にしていない。
62.以下のメカニズムのうち、ラヴニカのシミック連合に一番ふさわしいものはどれか。
- 疾駆
- 双呪
- 増殖
- 反復
- 不死
シミック・ギルドは、しばしば+1/+1カウンターを使って、クリーチャーを強化することに重点を置いている。この5つの選択肢の中で、増殖がその種のゲームプレイと最も強いシナジーを持つ。双呪や反復は、呪文寄りすぎる。疾駆は攻撃寄り過ぎ、不死はシミックというよりもずっとゴルガリである。
2種色―ある程度日常的にその能力が存在するが、1種色ほどではなく、1種色ほど低いレアリティに常にあるわけではない色のことである。我々がよく使うような効果であれば、ほとんどのセットで2種色にその能力が存在する。
63.トランプルの2種色はどれか。
- 白
- 青
- 黒
- 赤
- 緑
緑はトランプルの1種色である。白、青、黒はトランプルの3種色である。赤はトランプルの2種色である。
64.速攻の2種色はどれか。
- 白
- 青
- 黒
- 赤
- 緑
赤は速攻の1種色である。緑は速攻の3種色である。黒は2種色である。
65.警戒の2種色はどれか。
- 白
- 青
- 黒
- 赤
- 緑
白は警戒の1種色である。緑は2種色である。
66.緑が破壊できるクリーチャーはどういったものか。
- アーティファクト・クリーチャーと飛行クリーチャー
- 攻撃クリーチャーとブロック・クリーチャー
- 青のクリーチャーと黒のクリーチャー
- タップ状態のクリーチャーとエンチャントされているクリーチャー
- 白のクリーチャーと赤のクリーチャー
緑はあらゆるアーティファクトを破壊でき、その中にはアーティファクト・クリーチャーも含まれる。緑は飛行クリーチャーを破壊できる。従って、Aが正解である。
67.以下のメカニズムのうち、能力語でないものはどれか。
- 覚醒
- 昂揚
- 暴勇
- 上陸
- 陰鬱
能力語とは、共通の機能を持つカードをテーマ的にまとめるが、ルール上の意味は持たない単語である。(日本語版では)教科書体のやや大きな文字で書かれており、その後のダッシュでルール文章と区切られていることで容易に区別できる。昂揚、暴勇、上陸、陰鬱はどれも能力語である。列記されている中で、覚醒だけはキーワード・メカニズムであり、正解はAになる。
68.コモンにあまり7マナのインスタントやソーサリーがないのはなぜか。
- 計算が難しすぎるから。
- デザインするのが難しいから。
- 初心者にとって複雑すぎるから。
- コモンには影響が強すぎるから。
- コモンではクリーチャーのほうがインスタントやソーサリーより重くある必要があるから。
計算は難しいとは限らないし、デザインは難しくないし、初心者にとって複雑すぎるとも限らないし、クリーチャーより重いインスタントやソーサリーも存在する。問題は、そのコストに見合う効果でコモンでも影響が強すぎないものを作ることはほとんど不可能だということである。
69.以下の世界のうち、エキスパンション・セットが一番多いのはどれか。
- ドミナリア
- イニストラード
- ミラディン
- ラヴニカ
- ゼンディカー
イニストラードを舞台にしたエキスパンション・セットは5つ。ミラディンは6つ。ラヴニカは6つ。ゼンディカーは5つ。ドミナリアは(訳注:基本セットも入れると)40あり、他のすべてを合計したよりも多い。よって、正解はAである。
70.主軸的メカニズムとは、プレイヤーが特定の要素を基柱にすることを推奨するメカニズムのことである。以下のメカニズムのうち、もっとも主軸的でないのはどれか。
- 昂揚
- エネルギー
- 変異
- 結集
- 変身
これの一番簡単な考えかたの1つが、その同じメカニズムをもっと使いたくなるようなメカニズムがどれかというものである。例えば、デッキで昂揚が働くように準備したら、昂揚カードをもっと多くプレイしたくなる。これと同じことが、エネルギー、変異、結集についても言える。ただし、変身でそうなるのは、変身カードを使うことで有利を得るような一部のカードを使っている場合だけである。変身メカニズムそのものは、変身カードを増やしたくなるものではない。狼男カードは増やしたくなるが、それは、変身メカニズムによるものというよりも狼男の部族メカニズムによるものである。
71.以下のフォーマットのうち、『ミラディン』の《魔力の導管》がプレイできないものはどれか。
- 統率者戦
- レガシー
- モダン
- パウパー
- ヴィンテージ
《魔力の導管》はアンコモンのカードであり、従ってコモンのカードだけを使うフォーマットであるパウパーではプレイできない。他の4つのフォーマットではプレイできる。
72.以下のうち、マナ・コストが他のカードよりも高くなっている理由としていちばん重要なものはどれか。
- 高いマナ・コストは、新規プレイヤーにこのカードが強力だという目印になるから。
- そのカードをプレイするのがゲームの後半になるようにするため。
- デッキに入れる土地の枚数を増やすことを勧めるため。
- デッキに他の色を「タッチする」ことを勧めるため。
- カードに差をつけるため。
マナ・システムの大きな理由は、ゲームの進捗に従って強い効果を使えるように、カードがプレイできる時期を分けることである。従って、Bが正解である。
73.以下のうち、カラー・パイの存在理由として一番重要なものはどれか。
- マジックにシンボルを増やすため。
- コストの種類を増やせるから。
- デッキやゲームプレイの多様性を推奨するため。
- アートで使える色の種類を増やすため。
- デザインできるカードの種類を増やすから。
カラー・パイの最も重要な働きは、どのカードを入れるかをプレイヤーが選ばなければならないようにすることである。それによって、デッキもゲームプレイも多様なものになるのだ。デザインするカードを差別化することもできるようになるが、それはプレイの多様性ほどはゲーム全体にとって重要なものではない。
74.以下の効果のうち、スタンダードで使える黒枠カードでデザインが使えるものはどれか。
- 同じ対戦相手との今後のゲームに影響するもの。
- 2つ以上の領域に同時にカードを存在させるもの。
- 他のプレイヤーに非公開で選択させるもの。
- 自分がオーナーでないカードを自分の手札に入れるもの。
- 6面体サイコロを振るもの。
黒枠ゲームにおいて、将来のゲームに影響を与えたり、カードを2つの領域に同時に存在させたり、自分がオーナーでないカードを自分の手札に入れたり、6面体サイコロを振ったりすることはできないが、非公開で選択する(《ゴブリンのゲーム》のように)ことはできる。それ以外も全部銀枠カードでは可能であり、実際にやったこともある。
75.点数で見たマナ・コストが10のカードをデザインしている。以下のカード・タイプのうち、一番ありえないものはどれか。
- アーティファクト
- クリーチャー
- エンチャント
- インスタント
- ソーサリー
インスタントとソーサリーの違いは、その呪文を他のことに対応したいようにするかどうかである。10マナまで溜まっていれば、使いうる効果の大きさは対応して使う必要があるようなものではない。従って、正解はDである。
筆記用具を置いて
ふう! これで第3回グレート・デザイナー・サーチの選択問題はおしまいである。これらの解答について、また質問について、そして第3回グレート・デザイナー・サーチそのものについての反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(Twitter、Tumblr、Google+、Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。
第3回グレート・デザイナー・サーチに興味がある諸君は、3月9日からの「ショー」の開始を楽しみにしてくれたまえ。
それではまた次回、『マスターズ25th』のプレビュー特集が始まる日にお会いしよう。その翌週には、第3回グレート・デザイナー・サーチの第3課題、デザイン問題の話をする。
その日まで、すべての答え――あるいは少なくとも次の課題に進むだけの答え――があなたとともにありますように。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)