自分でマジックのカードやセットを作ってみたいプレイヤー諸君向けのシリーズ、「基本根本」の今年の記事にようこそ。このシリーズでは、実用的な技術的アドバイスを提供しているが、自分のセットを作ることには興味がない諸君のためには、我々がマジックのセットを作る方法の舞台裏をお見せしている。

 これまでの「基本根本」は以下の通り。

基本根本 #1:カード・コード(リンク先は英語)

 この1本目の記事はもっとも技術寄りのもので、我々が話すときに同じカードのことを確実に示せるようにするシステムの使い方を説明している。

基本根本 #2:デザインの骨格(リンク先は英語)

 この2本目の記事で、セットをデザインする上でもっとも重要な道具の「デザインの骨格」を紹介している。(この中でカード・コードを使用しており、そのためにそちらの記事が先になったのだ。)

基本根本 #3:デザインの骨格を埋めよう

 この3本目の記事はそれぞれのデザインの骨格を埋める方法について話している。まずはコモンからだ。

基本根本 #4:より高いレアリティ

 この4本目の記事では他のレアリティを埋めていくことについて話している。

基本根本 #5:初期プレイテスト

 この5本目の記事では、フィードバックを集めてセットを進化させていくためのプレイテストの最良の使い方について論じている。

基本根本 #6:繰り返し

 この6本目の記事では、繰り返しの概念とセットを徐々に進化させていく方法について語っている。

基本根本 #7:デザインの3つのステージ

 この7本目の記事ではデザインにおける異なった3つの段階について、セットの進化に伴ってどのように優先度が変動していくかを通して説明している。

基本根本 #8:問題解決

 この8本目の記事では、デザインの初期から中盤にかけてよくある問題に関する疑問に答えている。

基本根本 #9:評価

 この9本目の記事では、自分のセット全体を見て、どのような微調整が必要か判断する方法について語っている。

基本根本 #10:クリエイティブ要素

 この10本目の記事では、メカニズム的要素とクリエイティブ的要素をどう組み合わせて一体感のあるセットに編み上げるかについて論じている。その中で、トップダウン(フレイバーから始める)とボトムアップ(メカニズムから始める)という両方のデザインについて論じた。その後、カード名やクリーチャー・タイプ、フレイバーテキストの扱い方について詳細に述べた。

 そして今回の11本目の記事は、昨年の記事の続きとなる。昨年は、いかにしてテキスト中のクリエイティブ要素を組み込むかという話をした。今年は、クリエイティブのもう1つの大きな要素、つまりアートに飛び込んでいくことになる。

知覚の力

 細かな話をする前に、まずもっと大きな質問をしよう。今作っているセットには、アートは必要なのだろうか。なければ成立しないわけではない。セットのプレイテストにはアートがなくても問題ない。しかし、私は必要である、少なくともデザインチーム外の人々とプレイテストを行なうようになる際には必要であると主張しよう。なぜか。

 それが重要だから、本当に、本当に重要だからである。

 ゲームデザインの大部分は、プレイヤーの情緒的反応を呼び起こすことである。アートはその情緒的反応を呼び起こす上で大いに有用なのだ。今、各カードそれぞれに、フレイバーを持たせようとしている。カード名やルール文、あるいは場所があれば(そして書くことにすれば)フレイバーテキストはもう存在するが、それらは絵という影響力は持っていない。私がそう言えるのは、長年に渡り、我々が絵なしでのプレイテストをしてきた経験からである。

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 私は、ステッカー上では完成しているセットで何度もプレイしてきたのだ。それが、開発部がマジックをプレイする実態だったのだ。そして、その後で、我々は実際の商品となったブースターを手にするのである。実際のカードを使っての最初のゲームは、全く違う体験だった。テキストはまったく同じなのである。違っているのはアートが追加されていることだけなのに、もっと優れた別のセットであるように感じられたのだ。開発部はそのことを非常に重要であると認識し、アートを可能な限り早い段階でカードに入れられるよう、プレイテスト用カードを作る方法を変更した。アート無しでの外部プレイテストについては廃止した(存在しているアートを使うようにした)のである。

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 リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが最初にプレイテスターとマジックをテストしたとき、彼はテキストを複写した、厚紙の小さな紙片(7.6cm×3.8cmぐらい)を作っていた。この最初のプレイテスト・カードにさえ絵がついていたのは、今私が説明している概念、つまり絵はフレイバーを示す助けとなり、ゲームを豊かな体験にしてくれるということをリチャードが理解していたからなのだ。

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 これだけ長く話してきたのは、今作っている自作のマジックのセットをできるだけ本物らしく感じさせるようにすることが目的なら、アートは重要だということを強調するためだ。時間、リソース、技術が足りなくてカードに絵を入れられなくも問題はない。絵のない自作のセットを作ることはできる(絵がなくてもプレイできるセットは作れる)が、絵があることで他人に把握しやすくできるということを理解してほしいのだ。

素敵な世界

 ウィザーズでは、アートは世界の創造とともに始まる。このエキスパンション・セットは一体どこなのか。我々はどの次元にいるのか。すでに訪れたことのある次元を再訪するのであれば、我々は振り返って、あらゆる参考資料に目を通し、過去の訪問では描かれなかった新しい要素について議論する必要がある。新しい次元なのであれば、それを徹底的に作り上げなければならない。

 過去の「基本根本」で語ったとおり、デザインが新しいセットを手がける方法にはフレイバーから始める「トップダウン」とメカニズムから始める「ボトムアップ」の2通りがある。トップダウン・デザインでは、通常、ゴシックホラー世界(『イニストラード』)、ギリシャ神話風世界(『テーロス』)、スチームパンクの発明家の世界(『カラデシュ』)など、芳醇さを内包する何かに基づいて作っていく。この場合には、世界構築の最初の掘り下げでは、マジックがその発想元となったものにどう近づくかを探すことになることが多い。デザインはクリエイティブ・チームと協力し、メカニズム的に掘り下げる余地を残すようにするが、世界構築の中ではクリエイティブ・チームの導きに従うことが多い。

 ボトムアップ・デザインでは、セットはメカニズム的特徴を軸に作り上げられるため、デザインはクリエイティブ・チームと協力して、ビジュアル的にどう表現されるかを決めていくことになる。例えば、『ラヴニカ』を均等な存在として2色の組み合わせ10組を扱うブロックにすることにした。このメカニズム的条件から、クリエイティブ・チームはギルドという発想を生み出し、そこから都市世界という発想に繋がったのだ。ボトムアップ・デザインでは、通例、クリエイティブ・チームはメカニズムをどのようにクリエイティブ的に表現するかを理解しようとし、そしてデザイン・チームはそのフレイバーを強調するような他のメカニズムを作ることになることになる。例えば、『ゼンディカー』は土地に重要性を持たせたので、そこから冒険世界という発想が生まれ、それを受けてデザインが同盟者や罠、探索などを作り出したのだ。

 自分のセットを作るにあたって、どのような世界を舞台にするかという大まかな発想を持つことは重要である。もちろん、ウィザーズのようなリソース(我々は世界構築に時間と多くの人手を費やしている)はないので、具体化できるほどのものは期待すべきではないが、それでも少しの時間をかけておくことをおすすめしたい。この工程が好きなら、必要に応じて可能な限りの時間をかけてもいいだろう。既存の次元を舞台にしてセットを作り上げても問題ない。ただし、そうする場合には、その世界を舞台にしたセットでプレイしたことがあるユーザーには何らかの予想がされるということを意識すべきである。

 デザインにおける世界構築のヒントを挙げよう。

ふざけた名前をつけないこと

 かつて、開発部はデザイン中にふざけた名前を使うことが多かったが、時を経て、これからデザインしていくものの雰囲気をよりよくつかめるセットにするため、可能な限り早期からフレイバーを示す名前を使うことの重要性を理解した。全体の雰囲気を作り上げるための良い方法は、可能な限り早い段階から現実的なカード名を使うようにすることである。

カード名やフレイバーテキストで使う場所や人物の固有名詞を作っておくこと

 セットに世界全体の雰囲気を持たせるための最も簡単な方法の1つは、その次元に特有の単語を使うようにすることである。私は、『アルファ版』に単なる「マナ・エルフ」や「戦士・天使」ではなく《ラノワールのエルフ》や《Serra Angel Avatar》がいたことは重要だったと考えている。ただし、それらの単語は発音しやすいものにすること。私は、その単語を見たことがない3人に見せて、大声で読んでもらうという単純なテストをしている。全員が同じように発音したのでなければ、単語を変えるのだ。

架空の地名の量は抑えること

 架空の地名は少ないほうがいいものである。何度も出てくる地名が少しだけあるほうが、それぞれほとんど出てこない地名が大量にあるよりもずっといいのだ。マジックではフレイバーテキストや追加のストーリーを使って広範なサポートをしているので、諸君に比べて多くの固有名詞をカードであまり使わないようにすることができている。それを踏まえて、私は我々よりもいくらか固有名詞を減らすようにアドバイスしたい。

他のカードを参照するカードは世界の一体感を助ける

 セットの一体感を強める良い方法として、カードがフレイバーで他のカードを参照するようにするというものがある。メカニズム的にいくらか参照することも可能だが、それは少しだけにすることをおすすめしておこう。

芳醇なネタを扱う場合、何を元にしているのかが名前や絵でわかるようにすること

 これの典型例が、『テーロス』で、トップダウンでデザインしたトロイの木馬である《アクロスの木馬》をクリエイティブ・チームが「アクロスのライオン」にしようとしたときの話である。それまで好評を受けていたカードが、プレイヤーが理解できなくなって突然不評を集めるようになってしまったのだ。ユーザーが元ネタを理解できなければ、芳醇さは狙い通りに働かないことになる。

 世界を作るのは難しいことだ。それには、デザインのメカニズム部分と同じだけの反復工程が必要となる。だからこそ私は、何が成立して何が成立しないのかを掴める時間を確保するため、早い段階で始めるように提案しているのだ。私が今回話しているあらゆる内容の中で、一体感のある世界というのは、これから話すカード個別の芳醇さに比べれば重要性は低い。しかし、世界に一体感を持たせることができればできるほど、そのセットは実際のマジックのセットに近い雰囲気を出せることになるだろう。

カードの作成

 ここからは、それぞれカード単体のフレイバー付けの話になる。そのためには、まず「カードの概念付け」というものについて説明しなければならない。カードの概念付けとは、各カードがフレイバー的に何を表しているのかを把握することである。例えば、任意の対象に4点のダメージを与える赤のカードがあったとする。これは何なのか。これは明らかに、何らかの直接ダメージ呪文である。火かもしれないし稲妻かもしれないし、音波や溶岩、岩、地面かもしれない。制約としては、ただそれがその世界において、そしてそのカードの色において、辻褄が合っていればいいのだ。セットによっては、その次元のフレイバーによって色の定義を広げることができることもある。例えば、『コールドスナップ』には、氷の呪文だというフレイバーを持つ直接ダメージ呪文が数枚存在した。一般則として、私は非常に強い理由がない限りは色の一般的な雰囲気を離れたことをさせることは避けることにしているし、もし理由があったとしても控えめにすることにしている。

 最初に直接ダメージ呪文を取り上げたのは、それが非常に直截的だからである。全ての呪文のフレイバー付けが簡単なわけではない。例えば、我々はよく、モードを持つ緑の呪文で、関係ない2種類(例えばアーティファクトか飛行クリーチャー)のどちらか1つを破壊するものを作っている。そしてカードの概念付け担当はそのカードの説明を見つけるために尽力しなければならないのだ。この話は、カードの概念付けが非常に難しいことがあり、カードの中には最高の概念付けのために反復作業が必要なものがありうるという予想を立てておくべきだということを強調するために取り上げたものである。

 つまり、各カードごとに、その呪文がフレイバー的に一体何を表しているのかを決めなければならないということなのだ。それがクリーチャーなら、そのクリーチャー・タイプを決めなければならない。(特定のクリーチャーでなければならないメカニズム的理由がない限り、クリーチャー・タイプを選ぶのはクリエイティブ・チームである。)カードの概念付けは、カード名、フレイバーテキスト(必要なら)、そしてそのカードに持たせたい絵のディレクションを決めることになる。これから、その中で直面することになるであろういくつかの問題について見ていこう。

理解力

 カードの概念付けの主たる目標は、そのカードがすることをプレイヤーによく理解させる助けになることである。カードの概念付けの鍵は、そのカードでメカニズム的に起こることを示す、明瞭でフレイバーに富んだ表現を見つけることである。カードの概念付けが明瞭であればあるほど、そのカードを把握して理解することがプレイヤーにとって簡単になる。フレイバーを複雑なものにしたいという本能に抗うのだ。私は、マジックをプレイしたことがある人にカード名を見せ、カード名だけからそのカードが何をするものだと思うかを聞くというテストをしている。ほぼ正解が返ってきたら、その名付けは成功しているのだ。わからないと言われたら、概念付けに問題があることを示している事が多い。(ただし、問題があるのは概念付けではなくカード名だということもしばしばあることである。)

整合性

 カードそれぞれ単体でも辻褄が合っていなければならないが、他のカードと一緒に見たときにも辻褄が合っていなければならない。例えば、キーワード・メカニズムに何らかのフレイバー付けをしたなら、同じメカニズムを持つ他のカードでも同じフレイバー付けをしなければならないのだ。色による差別化をすることもできるが、あるメカニズム的要素があまりにも多くの概念を表すようなことがないように注意しなければならない。

カードの区別

 ところで、その逆の問題にも注意すべきものがある。お互いに混同してしまうようなカードが多すぎるのは問題である。例えば、直接ダメージ呪文が何枚かあったとする。それらを概念付けして、小さな効果、中ぐらいの効果、大きな効果がはっきりとわかるようにしたとしよう。プレイヤーにこの3つのカード名を単体で見せたとき、プレイヤーに小さいものから大きいものへと並べることができるようであってほしいものである。似たカードをプレイヤーが区別できるように充分異なった概念付けをすることと、同じ世界だと感じられるように充分関連付けられるようにすることの間には平衡点が存在する。クリエイティブの作業はメカニズム面の作業と同じぐらい難しいものなので、今日ここで語っていることにはある程度の時間がかかるのだということに注意すること。

サイクル

 サイクルは、2つのうち1つのことをすることが多い。似たものの間の相違点を示すことができることもあれば、異なっているものの間の類似点を示すことができることもある。しかし、いずれの場合も、サイクル内の全てのカードはお互いにフレイバー的なつながりを持つのだ。通常、クリエイティブ要素を用いてサイクルであることを示すことになる。

クリーチャー

 クリエイティブ・チームは通常、小型、中型、大型というのを一方の軸に、飛行と地上というのをもう一方の軸にしたクリーチャー表を作っている。そして、その世界に何が存在するかを表す表を埋めていくのだ。同じような表を作ることをおすすめしよう。また、同じクリーチャー・タイプが複数回出てくると世界のまとまりを感じられるものなので、一度しか出てこないクリーチャー・タイプを増やしすぎないように注意するべきである。

 
小型、地上人間、コー、猟犬人間、マーフォーク人間、吸血鬼、レイス、シェイド人間、ゴブリン、トカゲ人間、エルフ、バジリスク
中型、地上人間、スピリット、猫(フェリダー)人間、マーフォーク、海蛇人間、吸血鬼、ゾンビ、ホラー、サラカー人間、オーガ、ミノタウルス、巨人、猪、エレメンタル人間、エルフ、ビースト、巨大昆虫、蛇
大型、地上エレメンタル、巨人、猫(フェリダー)エレメンタル、リバイアサン、クラーケンデーモン、ホラー、巨大蠍、巨大昆虫、エレメンタル巨人、ビースト、ヘリオン、エレメンタルハイドラ、ワーム、ビースト、巨大蜘蛛、エレメンタル
小型、飛行鳥、スピリットコウモリ、ドレイクコウモリ、インプなしなし
中型、飛行グリフィン、天使、スピリットドレイク、イリュージョン、クラゲ(ゴーマゾア)吸血鬼、巨大昆虫なしなし
大型、飛行天使、執政官スフィンクスデーモン、吸血鬼ドラゴン、マンティコアなし

新奇性

 作る世界を新しいものに感じさせるための方法の1つが、通常見かけることのないようなものを1つか2つ入れることである。新しく登場するクリーチャー・タイプ(マジックが使ったことのない現実世界の神話に基づくものであっても、自分でゼロから作ったものであっても)でもいい。既存のクリーチャー・タイプを、通常は存在しない色に広げたものであってもいい。(フレイバーがその変化をうまく正当化するものであるようにすること。)そのデザインの鍵となるメカニズム要素を表現している、新しい世界の要素であってもいい。新奇なものは、少量のほうがうまく働くということは忘れないように。

トークン

 我々のマジックのセットの作り方に合わせようとするなら、我々が作るクリーチャー・トークンの種類を抑えようとしていることにも注意してもらいたい。高レアリティでの少しの例外を除いて、我々は同じザイズや色ではトークンは1種類のクリーチャー・タイプしか作らないようにしている。例えば、「この世界では、1/1の緑のクリーチャー・トークンは苗木である。」というように。

千語の価値あり

 最後に、いよいよ絵の話をしよう。世界構築とカードの概念付けがうまくできていれば、どんな絵を必要としているかは明らかなはずである。マジックのカードでのアート枠は小さいということは常に意識してほしい。さまざまなものを描き出してみせるだけの広大な場所は存在しないのだ。そのカードのフレイバーで重要なのが何かを判断し、そしてそれに焦点を当てるのだ。いつもの通り、誰かにその絵を単独で見せ、それが何を表していると思うか聞くのは良いテストである。その絵がカードの概念を文章なしで伝えることができていなければ、文章が存在するときにも伝える役には立たないだろう。(プレイヤーは、可能ならば絵だけを見て文章を飛ばすことで知られている。)

 カード・タイプごとにどんな絵を選ぶべきかというアドバイスをしよう。

アーティファクト

 その物品を見せること。アーティファクトが使われていることは重要ではない。その物品であるということを認識できることのほうが、その物品が生み出す効果が何なのかを明らかにすることよりも重要なのだ。

クリーチャー

 そのカードが表しているクリーチャーを見せること。そのクリーチャーは何かをできるのかもしれないが、それを描くために引きの画にしすぎないこと。注目すべきはそのクリーチャーなのだということを明確にすべきである。

エンチャント

 さまざまなことを表すことができるので、概念付けが一番難しいカード・タイプである。一般に、エンチャントの最高の絵は、そのエンチャントが生み出す効果の雰囲気を表したものであろう。エンチャントの絵は、一番難解である可能性がある。

インスタントとソーサリー

 その呪文で起こっていることを見るほうが、その呪文を唱えている人物を見るよりも重要である。呪文の影響を受けている受け手を描くほうが、その呪文の唱え手を描くよりも良いというのはよくあることである。

土地

 土地はその場所を示すことに焦点を当てるべきであり、他の要素を描くことを意識しなくても良い。一般に、その場所の静止画で充分有用なのだ。

プレインズウォーカー

 カードでは、そのプレインズウォーカーが1人で立っている姿をそのまま描くべきである。気取った様子に見えることもありうるが、その人物に焦点を当てるべきである。プレインズウォーカーがどんな姿勢をとっているかのほうが、どんな魔法の呪文を唱えているかよりも重要なのだ。

 ここで、絵を常に単純な方に寄せるよう提案しておこう。プレイヤーがそれが何なのかを見分けることができるようにするほうが、絵がそのカードの効果を100%伝えるようにすることよりも重要なのだということを忘れないでもらいたい。プレイヤーは、最初から明白でない要素を埋めることが大好きなのだ。

 最後に伝えておきたいのは、絵が、特に同じカード・タイプで、お互いに似すぎないように注意することである。プレイテスターがカードを混同するようであれば、大抵の場合、それらのカードの少なくともどちらか一方で何かを変更する必要があるというサインなのだ。

最後の考え

 視覚的要素を加えることはかなりの仕事であり、多くのデザイナーが絵を入れるのをためらう理由もわかっている。しかし、私は、この方面でのちょっとした作業でさえ巨大な見返りをもたらすことになるということを強調しておきたい。リチャードのプレイテスト・カードは、ほんの小さな視覚的フレイバーでさえどれだけ役に立つかを示す好例なのだ。カードに単純なメモ書き程度の絵しか描けなくても、ユーザーのそのセットへの反響には大きな影響があることだろう。試してみることをどれだけ勧めても勧めたりないほどである。

「セットが出来上がったときが大好きだ」

 本日はここまで。いつもの通り、この記事が諸君が自分のセットを作る助けになれば幸いである。今日の記事やそこで触れた内容、今後の「基本根本」で読みたい内容に至るまで、諸君の意見を聞かせてほしい。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、私が他の人の即席を試す日にお会いしよう。

 その日まで、あなたの絵が微笑みを招きますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)