『戦乱のゼンディカー』プレビュー第2週へようこそ。今回は、このセットのデザインの話を続けて、新しい楽しいプレビュー・カードをお披露目しよう。先週の記事(その1)を読んでいない諸君は、今日の記事の前提になるのでぜひ読んできてもらいたい。それでは、さっそくデザインの話に戻るとしよう。

無色にこだわることはない

 前回、私率いるチームは、全てのエルドラージを無色にするという決定をしたという話をした。その中には「真の無色」と呼ばれる、必要なコストが不特定マナだけで無色のものもあれば、有色のマナ・コストを持っているけれども欠色能力を持つことによって色を参照する場合には無色になるというものもあった。

 ここで、ソーシャルメデイアでよく受けた質問に答えておこう。欠色はカラー・パイを破るものではないのか、という質問だ。答えは、むしろ完全にその逆である、ということになる。欠色呪文が存在することで、我々は特定の色の範囲に含まれたままの無色呪文を作ることができるようになる。たとえば、赤の欠色呪文は、唱えるのに赤マナが必要なので、赤の持つ効果を持つことができる。実際に危険なのは、真の無色呪文なのだ。しかし、アーティファクトで学んだとおり、無色呪文でもカラー・パイを台無しにしない方法はある。そのための有力な方法の1つが、作る数を減らすことだ。そして、このことから欠色が作られることになった。

 エルドラージ全てを無色にしたことで、メカニズム的にそれに(有利と不利の両面で、有利のほうが多い)影響を及ぼすことが可能になり、「無色テーマ」がデザインの重要なテーマになったのだ。我々は最終的に、無色のパーマネントと関連する色の組み合わせ(黒と赤)や、無色の呪文に関連する色の組み合わせ(青と赤)を決めた。無色のカードを唱えることに関連するカードはその重なりである。

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アート:Michael Komarck

末裔の落とし子

 無色であること以外にもう1つ戻したい部分があった。エルドラージ・落とし子だ。よくわからない諸君のために説明すると、エルドラージ・落とし子は0/1の無色のクリーチャー・トークンで、それ自身を生け贄に捧げることで無色マナ1点をマナ・プールに加えることができる能力を持つ。落とし子は(特に比較的大きな)エルドラージを唱える役に立ったし、独特のゲームプレイを生んだし、フレイバー的にも非常に芳醇だった。また、エルドラージの持つ他の要素と違い、落とし子は新世界秩序の枠内にあったのだ。『戦乱のゼンディカー』のデザインにおける初回のプレイテストに落とし子は含まれており、そしてデザインの間ずっと残り続けたのだった。

 デベロップは、落とし子の目指していたことは気に入ったが、落とし子の存在でゲームがやや防御寄りになりすぎていると感じた。デザイン・チームは落とし子で攻撃することを推奨するようなカードを入れていたが、元々のパワーが0なので、独力で何かさせるというのは難しかったのだ。デベロップ・チームは微調整を試み、落とし子を0/1から1/1に変更することにした。プレイテストの結果、この変更はうまく行くとわかったので、この変更が確定した。クリエイティブ・チームは、これの名前を落とし子から末裔にした。こちらで6年の時が流れている間に、エルドラージはさらに強力になり、小さなトークンのパワーも増したのだ。デザイン的には、我々はエルドラージを作る色を緑と青に集中させることにした。緑はクリーチャー・トークンを作ると同時にマナ生成の第1色である。青が選ばれたのは、歴史的に無色マナを生み出していたこと、そして緑青に『エルドラージ覚醒』と同じようなマナ加速の戦略を与えることが理由だった。

飢えた、飢えたエルドラージ

 エルドラージへの次の大きなハードルは、貪欲さを描くことだった。エルドラージを定義づける特徴の1つが、それらが「世界を食う」ということである。初めてエルドラージを登場させた『ゼンディカー』ブロックで、私はエルドラージのことを内部的に「ギャラクタスとクトゥルフの邂逅」と説明していた。ギャラクタスはマーベル・コミックスに登場する巨大なキャラクターで、文字通り世界を食べるのだ。それ以上に、ゼンディカーで登場したエルドラージの巨人のうち1体はウラモグ(《無限に廻るもの、ウラモグ》)だった。3体の巨人の中で、ウラモグは全てを食べるエルドラージの巨人として知られている。

 私は、ウラモグとその系譜のものに、この飽くなき飢えを再現するメカニズムを与えたかったのだ。といって、滅殺を戻す気はなかった。そうなると問題なのは、この「世界を喰らう」雰囲気を再現しながらゲームを完封状態にしてしまわない何かを作るにはどうしたらいいか、である。我々は、滅殺以外にパーマネントを「食べる」方法がないか掘り下げてみたが、パーマネントを破壊するものはどれも非常に「勝ちっ放し/win more」(開発部語で、有利になっている側がさらに有利になるカードやメカニズムのこと)だという同じ問題に突き当たるのだった。

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アート:Michael Komarck

 その一方で、私がエルドラージに関してもう1つ目指していたことがあった。それは、異世界の計り知れない存在だと感じられるようにするということだった。そのために、私は普段は使われないメカニズム空間を弄る必要があった。先行デザインの間に、我々はいくつもの奇妙なメカニズムを試した。たとえば、「面晶体化/hedronize」というキーワード行動である。プレイヤーが面晶体化するたび、そのプレイヤーは8面体サイコロを振る(ゼンディカーの面晶体を見てみてほしい)。その結果、8つの効果のうちどれかが起こるのだ。このメカニズムは、エルドラージで何が起こるのかをわからなくして、対策することが難しくなるように作られたものだ。最終的に、これでは使う側も何が起こるのかわからないので、デッキを操ることが難しくなった。

 先行デザインから通常のデザインの初期にかけて、我々は「飢え」のデザイン空間を捜すためにかなりギリギリの部分を探っていた。ある日、我々は、追放されているカードを扱うカードを試すことにした。対戦相手の追放されたカードだけを見ることにして、自分のカードを追放してシステムを悪用することを防いでいる。

 また、追放領域に関しては1つ懸念があった。昔々、墓地は、死亡したり(パーマネントが)破壊されたり(呪文が)打ち消されたりしたときにそのカードが置かれる領域だった。墓地にあるカードを使う呪文がどんどん増えて、墓地は役目を終えたカードが最後に置かれる場所ではなく第2の手札へと変わっていった。墓地をおもちゃにすることを楽しんではいるが、追放領域をもう1つの墓地にすることは避けなければならないと常々感じていた。これが、私が追放領域にあるカードを戻すことに大反対する理由である。

 デザインの間、それらのカードは、何枚かのカードを追放し(その方法や元の領域は様々だった)、それから追放されているものを使う何かの能力を発揮するというものだった。単に枚数を数えるものもあれば、追放されているカードによって処理が異なるものもあった。このデザイン空間を突き詰めていくにつれ、追放領域に関する私の危惧が何なのかがわかってきた。意味、目的を問わず、そこに送られたものはゲームから取り除かれるということを意味する領域があることは重要なのだ。実際、追放領域はかつて「ゲーム外」領域と呼ばれていた。基本的にそういう機能の場所なのだ。

 この問題を検証していくにつれて、私が起こさないようにしていたことが、いったん追放したもの(あるいは追放されたもの)から利益を得るということだとわかってきた。追放する(あるいは誰かがオーナーのために追放する)という選択をしたなら、それは駄目だろう。しかし、オーナーが自分でない追放されたものだけを使えるとすれば、悪用の可能性を減らすことができる。

 このメカニズムがデベロップに渡された時点では、いろいろな問題があった。その中で最大のものは、その成長の速度だった。すぐに制御不能になってしまわないような拡大効果を作るのは難しかった。そんなとき、このセットのリード・デベロッパーであった(同時に、デベロップ・チームにおいて私に相当する立場、主席デベロッパーでもある)エリック・ラウアー/Erik Lauerが私のところに来て、そして、対戦相手の追放されているカードの枚数を数えるのではなく、それを消費してしまうというのはどうか、と尋ねてきた。追放領域以上に取り除く先の領域? 追放領域から追放するなんてできるのか?

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忘却蒔き》 アート:Jaime Jones

 つまり、エルドラージのプレイヤーはあらゆる手段でカードを追放し、追放してあるカードを「食」って効果を得る。追放されているカードをコストとして用いることで、管理もできるようになるし、ずっと大きな効果をデザインすることもできるようになる。問題は、コストに使えるほどの枚数のカードを追放する方法がないことだった。デザインは、パーマネントや呪文に対処する効果の多くを追放するように変更していた。エリックが好んだ能力は、デザイン段階では1体のクリーチャーだけが持っていたものだった。そのクリーチャーは、対戦相手に戦闘ダメージを与えるたびに、対戦相手のライブラリーの上からカードを追放するのだ。この能力をキーワード化して他のエルドラージにも持たせたらどうだろう。これは最終的に「嚥下」と呼ばれるようになる。

 その後、エリックはもう1つの提案とともに戻ってきた。実際上、もう1つの領域を管理するのは苦痛だった。追放されていたカードを「食べ」たら、超追放するのではなく、そのプレイヤーの墓地に戻したいというのだ。私の直感は、強い拒絶を示した。それまで、いったん追放したカードを戻さないようにするために全力を尽くしてきたからだ。しかし、よくよく考えてみると、そのことは私が警戒していた問題とは関係していない。そうしても、自分の追放されたカードを戻すことはできないのだ。今「昇華者」と呼ばれているものの初期版では、効果を得るためのコストの一部として、追放したカードを相手に戻すことになっていた。ゲームに戻すかどうかを決めるのが対戦相手なので、これは容易には悪用できなかった。しかも、戻す先は容易には扱えない墓地である。私はエリックの提案についてしばらく考え、そしてそれが最も明快にしてもっとも簡単な方法だと理解した。また、これは強い奇妙さを感じさせた。その強い奇妙さは、エルドラージにぴったりだったのだ。

 これで、無色、カラー・パイを台無しにすることがないようになっている、「無色テーマ」、末裔・クリーチャー・トークン、嚥下、昇華者――追放領域にあるカードを活用するクリーチャー、がエルドラージのものになった。表す必要のあった様々な側面を表すことに成功したのだ。もちろん、これではまだ半分だ。我々はこの逆側もデザインしなければならなかった(分かりやすいようにエルドラージのデザインについて先に、ゼンディカー側のデザインについて後に書くようにしているが、実際には同時期にデザインされデベロップされているということは明記しておこう)。

反乱軍に声援を

 ゼンディカー側をデザインするために、いくつかのことがわかっていた。

  • 上陸を再録する
  • 同盟者は、旧『ゼンディカー』ブロックの同盟者とシナジーのあるメカニズムとともに戻ってくる
  • 「土地テーマ」は何らかの形で採用する
  • ゼンディカー側とエルドラージの間に何らかの対照性を与えなければならない

 この4つの前提はゼンディカー側のデザインとデベロップを通して保たれた。1つずつ見ていくことにしよう。

上陸を再録する

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アート:Daniel Ljunggren

 なぜかメカニズム扱いされているフルアート土地を除いて、旧『ゼンディカー』ブロックで一番人気のあったメカニズムが上陸である。『ゼンディカー』の土地テーマを果たし、そしてクリーチャーにおいてかなりのデザイン空間を持っていた。これの再録は簡単なことだが、どうやって再録するかは少し考える余地があった。

 上陸は好まれていたが、前回全く問題がなかったわけではない。まず、リミテッド(と初期の構築環境)をあまりにもアグロ寄りにしてしまった。自分のクリーチャーが自分のターンにばかり強化されることになるので、攻撃が非常に推奨されるのだ。その結果、『ゼンディカー』のリミテッドが速すぎると感じるプレイヤーも出ていた。我々は上陸を再録したいと思ったが、少しばかり違う形でやりたいと考えていた。興味深いことに、デザインは少しばかり反対方向に寄せすぎ、デベロップが上陸カードを多少アグロ寄りになるように調整するということが起こっていた(が、それでも旧『ゼンディカー』のものよりはアグロ寄りではない)。

 次に、上陸を戻すにあたって、単に同じデザインを繰り返しはしなかった。『戦乱のゼンディカー』のデザイン・チームは全力を尽くして、上陸を、似たような雰囲気で、かついくつかの違う形で実装することにした。私のお気に入りは、アンコモンのエンチャントからなる撤退サイクルで、上陸の2種類の効果から1つを選べる、言ってみれば上陸の魔除けだ。

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同盟者は、旧『ゼンディカー』ブロックの同盟者とシナジーのあるメカニズムとともに戻ってくる

 旧『ゼンディカー』ブロックが冒険をテーマにすると決まったとき、我々は冒険者のパーティを表すクリーチャーを作ることに興奮した。それが同盟者だ。同盟者に主軸的な繋がりを持たせるため、名前はつけなかったが、自分のコントロールする同盟者が戦場に出るたびにメリットを得るメカニズムを使った。これは3種類あった(詳しい話は、旧『ゼンディカー』ブロック時に書いた同盟者のデザインに関する私の記事(リンク先は英語)を読んでくれたまえ)。

 1つめが、「戦士」。自軍の同盟者が戦場に出るたび、+1/+1カウンターを1個得る同盟者だ。2つめが、「魔法使い」。自軍の同盟者が戦場に出るたび、何らかの効果を生み出すものだ。その効果は拡大効果で、自軍の同盟者の数に応じて強くなるものだった。3つめが「僧侶」。自軍の同盟者が戦場に出るたび、自軍の同盟者すべてに影響のある効果を生み出すものだ。

 最初の目標は、前回の同盟者効果と相性のいい、新しい同盟者メカニズムを作れるかどうか考えることだった。上記の通り、新旧の同盟者を混ぜたデッキが作れるようにしたかったのである。デザインは、似て非なるものを試すことから始めた。同盟者が戦場に出るのを見るのではなく、同盟者が攻撃することを見てみたのだ。その、名前を得ることのなかったメカニズムは次のようなものだった。同盟者だけがそのキーワードを持つ。そして、そのキーワードを持っている同盟者が攻撃すると、攻撃している同盟者全てが何らかの能力を得るのだ。このキーワードを持っているものも同盟者なので単体で攻撃したとしても得るものはあるが、大量の同盟者が入っているデッキではより強力になるというわけだ。

 デザイン中には素晴らしい働きを見せたメカニズムもあったが、デベロッパーが厳しく調べ始めると駄目だった。デザインは攻撃誘発が反乱軍の反撃というテーマをうまく表していると気に入っていたが、ゲームプレイは少しばかり一本調子になっていた。同盟者デッキすべてが、攻撃し続けるという同じスタイルになっていたのだ。我々は、攻撃し続けるという選択肢も認めるが、それ以外の選択肢も作りたかった。

 最終的にデベロップは同盟者の元々のメカニズムのうち1つに立ち戻ることになった。いわゆる「僧侶」である。自軍の同盟者が戦場に出るたび、自軍の同盟者に何らかの能力を与えるというものだ。エリックはこれを調整し、大量の同盟者を入れていないデッキが不利になりすぎないようにした。自軍の同盟者に能力を与えるのではなく、自軍のクリーチャー全てに能力を与えるようにしたのだ。こうすることで、たとえばリミテッドなど、デッキに大量に同盟者を入れることが難しい環境でも、同盟者が少ないデッキを使うことができるようになった。このメカニズムは最終的に「結集」となる。

「土地テーマ」は何らかの形で採用する

 クリーチャーがゼンディカー最大の防御者であることはもちろんだが、それ以外にも存在する。ゼンディカーそのものが、この戦乱に関わっているのだ。我々は、土地自身が逆襲することを表す助けとなるメカニズムを作りたいと考えた。そして、「覚醒」にたどり着いた(デザイン中は「意志/animus」と呼ばれていた)。この能力を持つのは呪文で、追加のマナを支払うことで土地を永続的にクリーチャー化できるというものだ。この能力が呪文につけられるようになった理由は、他のメカニズムがパーマネントの持つものばかりで、何か呪文でも使えるものが必要だったからである。

 このメカニズムの元の版では、土地を2/2にすることになっていた。これが不十分だとわかると、デザインは3/3に改めた。デベロップ中に、この数字を可変にしようということになった。複雑さは増すが、メカニズムのバランスを取るために必要な調整点となり、また作るカードに広いデザイン空間を与えることになる。

 このセットには他にも様々な土地関連のデザインが存在する。スタンダードでフェッチランドと噛み合う基本土地・タイプを持つレアの2色土地のサイクルも新しく作った。タップ状態で戦場に出るが、戦場に出たときの効果を持つ「土地呪文」のサイクルも新しく作った。のみならず、『ワールドウェイク』に存在した友好色の土地サイクルに続く、自分をクリーチャー化する敵対色土地のサイクルも作り始めた。

 今回のプレビュー・カードは、覚醒を持っているわけではないが、ほぼ持っていると言ってもいいカードだ。それではお見せしよう。伝説のクリーチャーにして同盟者――

 《乱動を刻む者、ノヤン・ダール》だ。

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 このカードに関する思い出として、最初は伝説のクリーチャーでない普通のクリーチャーだったが、伝説のクリーチャーにするべきキャラクターの一覧を見たときに「あれ、もうこいついるぞ」と思った、ということを挙げておこう。

ゼンディカー側とエルドラージの間に何らかの対照性を与えなければならない

 デザインは様々な発想を試したが、この問題への解決策を見つけたのはデベロップだった。エルドラージが無色を扱うなら、ゼンディカー側は色を扱うのだ。収斂メカニズムは『インベイジョン』ブロックの版図メカニズムの1つから生まれた。収斂を持つ呪文は、その呪文を唱えるのに用いられた色マナの種類に応じた拡大効果を持つのだ。唱えるのに1色は必要なので、この呪文は必ず何らかの効果を持つ。このメカニズムのおかげで、何か違うことをしたいプレイヤーは全く新しいドラフト戦略を取ることができる。

 上陸、結集、覚醒、収斂。ゼンディカー側にも色々と取り組むべきことができた。

最後の1つ

 まとめに入る前に、1つよくある質問に答えておこう。今週と先週の記事を通して、デベロップ中に色々と変わったという話をしてきた。落とし子が末裔になり、嚥下や昇華者ができ、覚醒が変数になり、収斂ができた。なぜデベロップ中にこれほどの変更があったのか?

 答えは、3セット・ブロックのモデルから2セット・ブロックのモデルに変わったのが『戦乱のゼンディカー』のデザイン中だったから、である。デザインの期間の大半は、スタンダードの構成は元のままだった。従って、スタンダードの複雑さが増えすぎないようにする方法を探していて、当時はその唯一の解決策は各セットの複雑さを引き下げることだけだと思っていた。その結果、私は片手を縛られたままで非常に複雑な問題に挑んでいるようなもので、このセットを満足できる、完全と言えるような形でデベロップに引き渡せたわけではなかったのだ。

 エリック率いるデベロップ・チームは、デザインを仕上げてエキサイティングなセットにする上で目をみはるような働きをしてくれた。そのセットが、まもなく諸君の手元に届くことになる。スタンダードでの使用可能期間が2年から18ヶ月になったことで、セットごとの複雑さを多少引き上げることが可能になったのだ。

戦乱が始まる

 2週あわせて35キロバイトほどの『戦乱のゼンディカー』の作り方の話はこれで終わりだ。このセットにはありとあらゆるクールなものが詰まっているので、諸君の感想を聞くのが非常に楽しみである。このセットについて、またこの記事について、メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『戦乱のゼンディカー』のカード個別のデザインの話をする日にお会いしよう。

 その日まで、あなたがゼンディカーを救うか――滅ぼすか、しますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)