MTGアリーナ:ゲーム更新情報2025(春)
私たちは、MTGアリーナの情報や私たちのチームの仕事をもっと皆さんにお伝えするため、1年に一度だった「ゲーム更新情報」の数を増やすことにしました。「MTGアリーナ:ゲーム更新情報2025(春)」へようこそ。
今回は最近のセット・リリースについてのお話をお届けし、MTGアリーナ内の経済における理念に触れ、それを受けて私たちがどのように2025年に取り組んでいくかをお伝えします。早速詳しく見ていきましょう。
最近のセット・リリースについて
『霊気走破』
今年最初のセットでは、多元宇宙を駆け抜けるデス・レースをテーマにした新旧さまざまなメカニズムが登場しました。プレイヤーの皆さんは騎乗に機体、操縦士を駆使してエンジンを始動し、あらゆる選択肢を消尽して栄光と「霊気灯」を懸けたレースに挑みました。
『アルケミー:霊気走破』では、海賊船のクルーや強力なアーティファクト、ウーズ、操縦士、大鹿など、素晴らしい新規カードが追加されました。『アルケミー:霊気走破』で私たちが掲げた目標は、さまざまなタイプのプレイヤーの皆さんに楽しくエキサイティングなカードをご用意することでした。デジタルのマジックのみプレイする比較的新しいプレイヤーから、強力な剣や伝説の猿にノスタルジーを感じる歴戦のプレイヤーまで、幅広い層をターゲットにしていたのです。
実績
『霊気走破』のリリースにともない、私たちは「実績」機能を実装しました。この実績機能は、さまざまなタイプのプレイヤーの皆さんに探検を促し、満足できるポイントを幅広く用意し、自己表現を推進するよう設計されたものです。実装から2か月が経ちましたが、プレイヤーの皆さんの反応に私たちは心躍らせています。実績にまつわるエピソードがソーシャルメディア上を通るたびに嬉しくなっています。

実績機能が世に出た今、私たちはプレイヤーの皆さんがこの機能とどのように関わっているかを観察しています。そこから得られたデータをもとに、実績機能をさらに拡張していくつもりです。よくあることですが、実装の時点で私たちのやりたいことをすべてお届けできているわけではないため、私たちはすでに改善に取り組んでいます。それでも皆さんから得られるデータは、私たちの仕事をさらに洗練させ、取り組むべき優先順位を見極める助けになるのです。どうかあなたの考えをソーシャルメディアでご共有ください。
卑劣なる相棒
昨年11月の「ゲーム更新情報」をお伝えする動画にて、2024年に実装された機能で特にお気に入りのものを尋ねられた私は、「ドウェイン」と答えました。楽しくて仕方ありませんでしたから。
2025年は今のところ実績機能が首位を走っていますが、先週登場したアレはかなり迫りましたね。今年もなんとか卑劣なるドウェインを説得して戻ってきてもらったので、見逃したという方は、ぜひMTGアリーナ内ストアを覗いてみてください。4月9日の26時までの期間限定なので、お急ぎを。
『タルキール:龍嵐録』
最新セット『タルキール:龍嵐録』は、MTGアリーナに本日実装です!龍が空を覆うタルキールへの再訪に、私たちは大興奮しています。精霊龍と力を合わせる氏族、訪れる前兆、そして次元を破壊するほどの嵐……
数週間後には『アルケミー:タルキール』のリリースも迎え、龍の嵐はさらに拡大しますので、そちらもお楽しみに。このアルケミー・セットでは、特別なものもご用意しています。『タルキール:龍嵐録』の統率者カードが10枚収録され、皆さんのブロールのデッキにさらなる力をもたらすのです。
さて、定期的に(1週間以内に)MTGアリーナをプレイしている方は、データのダウンロードなしに『タルキール:龍嵐録』をプレイできることにお気づきになるかもしれません。これは、私たちがセットのリリース・プロセスを刷新したためです。新たなプロセスは「プレパッチ」と、その後の「リリース」の二段階で行われます。プレパッチはリリース日の1週間前に行われ、そこで核となる部分がダウンロードされます。これによりプレイヤーの皆さんはリリースの1週間前にデータをダウンロードでき、最新セットのカードの閲覧やデッキのインポート、そしてリリース日にダウンロードを待つことなくログインできるのです。
また私たちとしても致命的なバグがあった場合に1週間早く対処でき、プレイヤーの皆さんに最新セットのドラフトやパック開封をお楽しみいただく前に機能面のさらなる改善に取り組めます。リリースの質が高まるのは、プレイヤーの皆さんにとっても私たちのエンジニア・チームにとっても大いに望むところであり、今回の施策はそのための最高の骨組みとなるでしょう。私たちは引き続き、マジックの楽しさを誰にでもどこへでもお届けできるよう、取り組みをさらに発展させていきます。
近日中の実装予定
再録カードに関する改善
MTGアリーナのローンチ当時は、私たちがこのゲームを制作していた当時の知見をもとにカードの収集要素や被り防止機能の基本的なシステムが構築されていました。マジックは常に変化を続けているため、私たちもプレイヤーの皆さんのニーズに応えるべくMTGアリーナの収集要素やシステムを発展させてきました。
被り防止機能の更新に同一カードの異なるバージョンの表示方法、カード・スタイルのお気に入り機能、スペシャルゲスト・カードのレアリティ調整など、さまざまな施策に取り組んできました。5月末までに、私たちは再録カードに関する次なる施策を実装予定です。詳細は後日改めてお伝えしますが、ここで大きな変更を2つお知らせしておきます。
- ストア販売の構築済みデッキの割引についてはカード名にもとづき行われるようになり、デッキに収録のバージョンとプレイヤーの皆さんが所持しているバージョンが一致する必要がなくなります。
- 所持しているバージョンの中から好きなものをカード・スタイルとして使用できるようになります。例えば『イクサラン』の
《選択》 を4枚と『ファウンデーションズ』の《選択》を1枚所持している場合、『ファウンデーションズ』のバージョンをもう3枚作成しなくてもそちらをカード・スタイルとして使用できます。
『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』
私たちはこの歴史に残るセットをMTGアリーナに迎える日を心待ちにしています。このセットについては、近い内にまたお話ししましょう。このセットのデジタル・リリースを最高のものにするため、チームは全力を尽くしてきました。とっておきの情報をお伝えするのが待ち切れません。
ソーシャル機能
私たちが次に目を向けているのが、MTGアリーナ内のソーシャル機能を改善し、デジタルとテーブルトップのプレイ体験にあるギャップに橋渡しをすることです。目標としているのは、プレイヤーの皆さんがそれぞれのプレイ・スタイルに合ったグループやコミュニティを築けるようになることです。皆さんがMTGアリーナへ飛び込む際に、それぞれが優先することを楽しめるよう選択肢を広げたいと考えています。加えて、MTGアリーナ・プレイヤーの皆さんのデジタルでのプレイとお近くの店舗でのプレイをつなぎ、しっかり統合されたエコシステムをご提供できるよう取り組んでいきます。
この場で具体的な例をお伝えしたいところですが、このプロジェクトはまだ初期の試作段階であるため、現時点での青写真と最終的な着地点が異なることで皆さんの期待を裏切る形になる可能性には慎重な姿勢でいたいと思います。現時点では私たちの計画やロードマップの中にも未確定な部分が多いため、2025年の後半に改めて、しっかりまとめてお伝えするつもりです。
MTGアリーナ内の経済における理念
MTGアリーナ内の経済についての話はいつも注目を集め、前回お話ししてから時間も経ちましたので、ここで私たちが考えるMTGアリーナ内の経済における理念と、うまくいっている点、それから今後についてお話しします。私たちが下す決定の背景や、今後の展望についてお伝えできればと思います。
理念
私たちが言う「MTGアリーナ内の経済」とは、プレイヤーの皆さんがゲームをプレイしコレクションを築く活動全般を指します。このゲームにおける私たちの核となるビジョンは一貫して「誰もがどこでも、マジックを手軽に楽しめること」であり、それが私たちのあらゆる取り組みを導いています。MTGアリーナ・プレイヤーの皆さんはみなマジック・プレイヤーであると私たちは捉えていますが、1人1人異なる動機やニーズを持っていることを理解しています。
私たちは、可能な限り多くのニーズを拾い上げようとしています。それには、さまざまな制約の中で相反する動機を扱うことが求められるのです。私たちは特定のタイプのプレイヤーが持つであろうニーズに注目し、その解決策のメリットとデメリットを精査した上で、プレイヤーの皆さんのニーズと長期的に見たMTGアリーナの健全さを両方満たせる施策を選んで取り組んでいます。
可能性を評価する上で、私たちには柱となる考え方がいくつかあります。
- すべてのプレイヤーがプレイを通してゲームの核となる部分を余すところなく楽しめるが、課金によってそれを早めることができる。
- 無課金のプレイヤーもセット間に継続してプレイすることでデッキの更新や新たなデッキの作成ができる。各セットの収録カードのコンプリートやあらゆるデッキを組める状態を望むのは、完全な無課金では基本的に難しい。
- 私たちは、プレイヤーそれぞれが好きな遊び方で心ゆくまでプレイできる健全なプレイ・パターンを促進したい。
- 私たちはコレクションを築くことを大切にしており、それを崩すことは望ましく思っていない。そのためカードを変換したり砕いたりする機能は提供しない。
- 私たちはプレイヤーたちがMTGアリーナを末長く楽しめるようなサポート体制を構築したい。
以上の柱はどれも私たちの決定の後押しをしますが、その中には健全な葛藤があるということはお伝えしておくべきでしょう。例えばどのタイミングで課金したいかや健全なプレイ・パターンとは何かは、プレイヤーの皆さんそれぞれに考えがあり、それはMTGアリーナ・チームが着地するところと違うかもしれません。
私たちはプレイヤーの皆さんのニーズを満たせる製品や機能、イベントをご提供しようと常に努めていますが、ときには的を外すこともあります。そしてそれは、私たちがゲームにとって良い形を見つけるまでの反復工程の始まりであり、あるいは一旦やめて他に新しいことを見つける第一歩でもあるのです。私たちは今後も引き続き、以上のプロセスでMTGアリーナの進化と成長を実現していきます。たとえ私たちの想定する速度で物事が進まなくても、歩みを続けます。
うまくいっていること
この数年にわたり、私たちは構築フォーマットを優先するプレイヤーがカードを入手する方法の改善に力を入れ、特にドラフトに興味を持たないプレイヤーがデッキを構築するのに必要なカードを集めるための新しい手段を導入できるよう取り組んできました。それに関する施策はそれぞれ、異なるタイプのプレイヤーをターゲットにしています。
- 神話パックは、セットの収録カードをコンプリートしたい方が足りない神話レアを集めるのに役立ちます。
- より競技志向の高いプレイヤーは、ワイルドカード・セットを購入することでランダムなパック開封を省略できます。
- ゴールデン・パックの導入により、ドラフトをプレイする時間や技術、欲求がなくともMTGアリーナ内ストアでパックを購入することでコレクションを築くことができます。
- 私たちは構築済みデッキについても、デッキ・タイプの幅広さや紹介方法、プレイヤーのコレクション状況の扱い方など、改善を続けています。
- スペシャルゲスト・カードとして登場する再録カードについても、別のバージョンと同じレアリティのカードとして作成できるように変更しました。
私たちは現状が非常に良い状態だと考えていますが、カードの収集方法については今後も進化させ続けるつもりです。プレイヤーの皆さんの動向を観察し、うまくいっていることとそうでないことを評価しながら、次の取り組みを協議していきます。
せっかくのコレクションも、カードを使う場がなければ活きません。私たちは今後もアルケミーからタイムレスまですべてのフォーマットで新鮮な体験をご提供し、さまざまなタイプのプレイヤーの皆さんをサポートしていきます。MTGアリーナ内の経済が動き出して以来、皆さんにお楽しみいただけるフォーマットの数は倍になりました。現在注力しているのは、私たちがサポートするフォーマットを多様性にあふれ幅広いプレイ・スタイルに対応したものにすることです。
以下に掲載するのは、構築フォーマットのプレイ比率のデータです。期間は2024年の初頭、タイムレスの導入から数週間が経った頃以降です。

上記のプレイ比率は健全であり、おおむね私たちが期待したラインの通りです。スタンダードは他を牽引するフォーマットであり続けており、特に『ブルームバロウ』以降かなり活発になっています。スタンダードが好調なときはアルケミーがもたらす変化がそこまで求められないため、『ブルームバロウ』のリリース後にアルケミーのプレイ比率が下がっているのが見受けられます。ブロールはヒストリックを抜いて人気第2位のフォーマットになっています。要因としてはタイムレスの導入とブロールが最高に楽しいフォーマットであることが挙げられます。
今後の展望
MTGアリーナが7年目を迎える今、私たちはこのゲームの経済基盤におおむね満足しています。この数年に行われたさまざまな調整により、大きな課題がいくつも解消されました。とりわけカードのコレクションについて、ドラフトとパック開封の間にある差を埋められたのは大きいと思います。しかしながら、まだ反復工程を必要とするエリアはあります。

まず、ゲーム内イベントの改善。アリーナ・ダイレクトは大人気を博しましたが、比較的新しいイベントであるため解決すべき問題が明らかになっていない部分があります。賞品の配送に関する問題は解決に向けて大きく前進していると私たちは信じていますが、アメリカの税申告シーズンに新たな難題が持ち上がり、私たちはその解決に取り組んでいるところです。あわせて、アメリカとその他世界中のプレイヤーの違いを考慮した構造的な調整に取り組む予定です。変更内容は近日中に確定する見込みですので、決まり次第お伝えします。
アリーナ・ダイレクトの他にも、私たちは構築イベントにさらなる進化が必要だと考えています。数年前に変更を加えたときは、構築プレイヤーの皆さんがプレイを通してゴールドをジェムに変換できる機会を設けることを目標にしていました。次なる一歩はランク戦と構築イベントをよりしっかり区別し、それぞれのモードが明確な目的を持った独自のものになるように変更を加える予定です。なお現時点で変更を行う時期は未定です。

私たちはまた、皆さんがお気に入りのフォーマットを楽しめて新しいフォーマットの探検もできるような方法を模索し続けます。「チャンピオン・デッキ」の販売は、コレクションの強化とゲームをすぐに始められる点で新しい道を開きました。私たちは引き続き、プロセスをわかりやすく整理し、皆さんのコレクション(特にバージョン違いのカード)を大切にし、新しいことに挑戦していきます。チャンピオン・デッキは、特にブロール・プレイヤーから人気を集めています。デッキ販売やその他のルートを通してさらに多くのクールなカードをこのフォーマットに届け、成功を積み重ねていきたいと思います。
この件とはまったく関係ないのですが、前回の「アンソロジー」リリースからしばらく経ちましたので、次はどうするかについての議論を始めています。これまでの形を継続するか、それとも新しい形を試すか、議論を重ねていきます。(まだ「アンソロジー」セットが出ていないフォーマットでは、新しい形が求められるかと思われます。)現時点では「リマスター」セットの計画はないため、ローテーションなしのフォーマットにカードを加えるなら「アンソロジー」が良いかと考えています。
また、私たちはチームにアルケミーやデジタル限定フォーマットのサポートを主に担うゲーム・デザイナーを1人加えました。アルケミーのデザインやバランス調整の担当を複数のメンバーに分散するのではなく、そのデザイナーに集約します。アルケミーの第一目標は、多様で進化を続けるデジタルならではのフォーマットであることです。多様性とデジタルならではの要素については非常にうまくいっていますが、変化を加える頻度をもっと多くする余地はあると私たちは考えています。専任のデザイナーを置くことで、その助けになると見込んでいます。
最後に、スタンダードにも少し変化が起きました。ローテーション間隔が3年になり、『ファウンデーションズ』が加わったことで、通常のセット・リリースとあわせてスタンダードには幅広く安定したデッキ構築基盤が築かれており、さらに「ユニバースビヨンド」セットがこれまで以上に多くのカードをこのフォーマットにもたらします。それらの要素が絡み合うことで良い形でバランスが取れると私たちは考えており、大きな変更を加える計画はありません。
私たちが築いたMTGアリーナ内の経済を鑑みるに、ほとんどのプレイヤーがこれまで通りにプレイしコレクションを築いていけると私たちは見込んでいます。マスタリー・パスのシーズン期間が少し短くなっても、得られる報酬の価値は変わりません。ドラフト・プレイヤーの皆さんにはこれまでと同じだけドラフトをお楽しみいただけますが、使用するセットのローテーション間隔は短くなるでしょう。毎シーズン複数のデッキを構築したり調整したりしている方は、新セットがリリースされるたびに既存のデッキの強化やまったく新しいデッキの構築に使えるものがたくさん手に入ることでしょう。ただし環境に通用するデッキの数は大きく変わらないと思われます。セットの収録カードをコンプリートしたい方やメタゲーム上で活躍するカードを揃えておきたい方は、これまでと同じ難易度になる見込みです。あなたがどのプレイヤー・グループに属するとしても、私たちはプレイヤーのデータを精査し、これからより大きく楽しくなるスタンダードを見ていく中で目につくであろうあらゆる問題に取り組んでいきます。
まとめ
ふう! ざっくりとまとめて話そうと努めましたが、かなりの分量になってしまいましたね。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。よくわからなかったという方にお伝えすると、2025年はマジックにとってもMTGアリーナにとっても素晴らしい1年になるでしょう。さらなる情報を皆さんにお届けするのが待ち切れません。きっとあらゆる可能性を実現できますよ。それでは、今回はここで失礼します。『タルキール:龍嵐録』のドラフトに戻らなくては。
またどこかのマッチでお会いしましょう。
マジック・デジタル担当エグゼクティブ・プロデューサー、クリス・キリツ