エリック・レヴァイン/Eric Levine編

『領界路の彼方』MTGアリーナで近日中にリリースされるが、皆さんは新しいセットを初めて遊ぶうえで、どこまで期待していいのかを知りたいのではないだろうか?本記事では個別のカードの詳細にまでは踏み込まないものの、カードの使用可否に関する手引きとセットに登場する新規・再録メカニズムという内容を扱っているので、気に入っていただければ幸いである。

個別のカードについての注釈を知りたい人はGatherer.Wizards.comに飛び、そのカードを弊社カード・データベースで探してみるといいだろう。


一般注釈

カードの使用可否

『領界路の彼方』のカードは、スタンダード、アルケミー、ヒストリック、パイオニア、タイムレス、ブロールなどのMTGアリーナのお気に入りのフォーマットですべて使用が認められている。

『領界路の彼方』のパックを開封すると、領界路ボーナス・シートのカードも入っている。これらのカードは、ヒストリック、タイムレス、ブロールだけでなく、同名のカードの使用が既に認められている他のどのフォーマットでも使用可能である。

Magic.Wizards.com/Formatsから、すべてのフォーマットと使用可能なカード・セットと禁止カードの一覧を確認できる。

統率者戦変種ルールについての詳細はMagic.Wizards.com/Commanderを参照のこと。

Locator.Wizards.comを用いて、近くのイベントや店舗を検索できる。


新キーワード能力:糸投げ

糸投げは新しいキーワード能力であり、プレイヤーはコントロールしているタップ状態のクリーチャーを手札に戻すことで、糸投げを持つカードをより低コストで唱えることができる。「糸投げ[コスト]」とは、「あなたはこのカードのマナ・コストを支払うのではなく、[コスト]を支払い、あなたがコントロールしているタップ状態のクリーチャーをオーナーの手札に戻すことで唱えることができる。」という意味である。

97862_OM1: Detect Intrusion

《介入感知》
{1}{U}
インスタント
糸投げ{U}(あなたがコントロールしていてタップ状態であるクリーチャー1体をオーナーの手札に戻すなら、この呪文を{U}で唱えてもよい。)
インスタント・呪文やソーサリー・呪文や誘発型能力である1つを対象とする。それを打ち消す。

97960_OM1: Borys, the Spider Rider

《蜘蛛乗り、ボリス》
{1}{R}{G}
伝説のクリーチャー ― 蜘蛛・人間・英雄
4/3
糸投げ{R}{G}(あなたがコントロールしていてタップ状態であるクリーチャー1体をオーナーの手札に戻すなら、この呪文を{R}{G}で唱えてもよい。)
トランプル
これが糸投げで唱えられていたなら、これは+1/+1カウンターX個が置かれた状態で戦場に出る。Xは、その手札に戻したクリーチャーのマナ総量に等しい。

  • 「糸投げ」は代替コストを表している。別の効果によって、カードを別の代替コスト(「マナ・コストを支払うことなく」唱えるものを含む)でプレイすることができる場合、糸投げコストを支払うことを選べない。他の発生源からの追加コストが適用されるなら、それらを支払わなければならない。
  • 糸投げを用いて呪文を唱えるときは、通常のタイミングのルールをすべて守らなければならない。クリーチャー・呪文の場合、それは通常、あなたのメイン・フェイズ中で、スタックが空であるときのみを意味する。
  • あなたが手札に戻すクリーチャーは、あなたがコストを支払う時点でタップ状態でなければならないが、必ずしもあなたがその呪文を唱え始める前にタップ状態である必要はない。たとえば、あなたがその呪文の糸投げコストの一部を支払うために、マナ能力を持ったクリーチャーをタップしたなら、コストを支払うためにそのクリーチャーをあなたの手札に戻すこともできる。
  • あるパーマネントが、あなたの戻したパーマネントが戦場を離れるときに誘発する能力を持っているなら、その能力はあなたが呪文を唱え終えた後にスタック上に置かれ、その呪文より前に解決される。

新キーワード能力:大混乱

大混乱は新しいキーワード能力であり、プレイヤーは自分の墓地にあるカードを、このターンにそのカードを捨てていた場合、プレイすることができる。「大混乱[コスト]」とは、「あなたは『このターンにあなたがこのカードを捨てていたなら、墓地にあるこのカードを、そのマナ・コストを支払うのではなく、[コスト]を支払うことで唱える。』を選んでもよい。」という意味である。

97886_OM1: Wekhdu, Midnight Hunter

《深夜の狩人、ウェクドゥ》
{2}{B}
伝説のクリーチャー ― 昆虫・悪人
2/2
瞬速
飛行
大混乱{B}(このターンにあなたがこのカードを捨てていたなら、墓地にあるこれを{B}で唱えてもよい。タイミングのルールも適用される。)

  • 大混乱は、そのターンにあなたが大混乱を持つカードを捨てていたなら、あなたの墓地にある呪文を唱えるために支払うことができる代替コストを表している。あなたはその呪文が持つ追加コストを支払わなければならない。
  • 大混乱を用いて呪文を唱えるときは、通常のタイミングのルールをすべて守らなければならない。たとえば、対戦相手のターン中に大混乱を持つクリーチャー・カードを捨てたとしても、通常であれば対戦相手のターン中に唱えられないため、そのカードを唱えることはできない。

新キーワード能力:始原

本セット収録の新規カード《リターン・ターミナス》は、始原能力を持つ。それはまた、「《リターン・ターミナス》を装着する」ことを可能とする能力を有している。この新キーワード能力は、《リターン・ターミナス》が装着されているかぎり、後続の能力を付与するというものである。

97883_OM1: The Terminus of Return

《リターン・ターミナス》
{1}{B}
伝説のアーティファクト ― ターミナス・ストーン
破壊不能
{T}:{B}を加える。
{6}{B}, {T}, あなたがコントロールしているクリーチャー1体を追放する:リターン・ターミナスを装着する。(一度装着すると始原能力が有効になる。)
始原 ― あなたのアップキープの開始時に、あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。

  • 「装着した状態」とは、何らかの能力によりあなたがそのパーマネントを装着するよう指示された後の、そのパーマネントが持つ呼称のことである。それは始原能力(そして理論上、他の効果も)を示す呼称であるが、それ以外には特別なルール上の意味を持たない。
  • 装着した状態になるまでは、《リターン・ターミナス》は、「始原」という言葉の後に続く能力を持たない。また、これは戦場以外の領域でその能力を持たない。
  • 装着した状態とはコピー可能なものではない。何らかが《リターン・ターミナス》のコピーになったなら、それは個別に装着した状態にならねばならない。同様に、《リターン・ターミナス》を既に装着した上で何らかのコピーになった場合、《リターン・ターミナス》は装着したままだが、そのコピーの効果が切れるまで、とくに関係しない可能性が非常に高い。

再録メカニズム:謀議

謀議とは、再録キーワード処理である。クリーチャーが謀議したとき、それのコントローラーはカードを1枚引き、その後カードを1枚捨てる。その捨てられたカードが土地でないカードであったなら、そのプレイヤーはそのクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。

97954_OM1: Mob Lookout

《構成員の見張り》
{1}{U/B}
クリーチャー ― 人間・ならず者・悪人
0/3
このクリーチャーが戦場に出たとき、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それは謀議する。(カード1枚を引き、その後、カード1枚を捨てる。あなたが土地でないカードを捨てたなら、そのクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。)

  • クリーチャーに謀議させる能力が解決し始めた後は、それが終わるまでどのプレイヤーも他の行動はできない。特に、対戦相手はあなたが土地でないカード1枚を捨てた後、カウンターが置かれる前に、謀議しているクリーチャーを取り除くことはできない。
  • そのプレイヤーの手札が空であり、効果によってカードが引けないという理由などでカードが捨てられなかった場合、謀議しているクリーチャーの上に+1/+1カウンターは置かれない。
  • 解決中の呪文や能力が特定のクリーチャーを対象とすることなく謀議するよう指示したがそのクリーチャーが戦場を離れていた場合も、そのクリーチャーは謀議を行う。これにより土地でないカード1枚を捨てた場合、あなたは+1/+1カウンターをどこにも置かない。「[そのクリーチャー]が謀議したとき」に誘発する能力は誘発する。

再録ルール用語:改善されている

「改善されている」もまた、本セットに再録されたメカニズムである。本セット収録のカードの中には、クリーチャーを強化することに対して報酬を与えるものがあり、そこでは「改善されている」クリーチャーについて言及されている。あなたがコントロールしているクリーチャーに1個以上のカウンターが置かれていたり、装備品がついていたり、あなたがコントロールしているオーラがついていたりする場合、それは改善されているという。

97819_OM1: Costume Closet

《コスチューム用クローゼット》
{1}{W}
アーティファクト
このアーティファクトは+1/+1カウンター2個が置かれた状態で戦場に出る。
{T}:あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。このアーティファクトの上から+1/+1カウンター1個をそれの上に動かす。起動はソーサリーとしてのみ行う。
あなたがコントロールしていて改善されているクリーチャー1体が戦場を離れるたび、このアーティファクトの上に+1/+1カウンター1個を置く。(装備品やあなたがコントロールしているオーラがついているかカウンターが置かれているクリーチャーは改善されている。)

  • あなたがコントロールしているクリーチャーに、対戦相手がコントロールしているオーラがついていても、それは改善されていない。
  • カウンターが置かれているクリーチャーは、そのカウンターの種類や、どのプレイヤーがそのカウンターを置いたのかにかかわらず、改善されている。
  • 装備品を装備しているクリーチャーは、ついている装備品を誰がコントロールしているにかかわらず、改善されている。

再録メカニズム:両面カード

両面カードは、その機能についてメカニズム上の変更が加えられ、再録を果たした。本セットの両面カードはモードを持つ両面カードである。つまり、あなたの手札からいずれかの面を唱えることができ、また変身する能力も有しているということである。以前だとモードを持つ両面カードは変身できなかったのだが、新たなルール変更により、モードを持つ両面カードの他方の面がパーマネントであるかぎり、変身が認められるようになった。この変更は、以前に収録されていたモードを持つ両面カードにも影響を及ぼす。

97824a_OM1: Surris, Spidersilk Innovator

《蜘蛛糸の発明家、サーリス》
{1}{W}
伝説のクリーチャー ― 人間・科学者・英雄
0/1
これが戦場に出たとき、到達を持つ緑の2/1の蜘蛛・クリーチャー・トークン1体を生成する。
{1}{G}{W}{U}:これを変身させる。起動はソーサリーとしてのみ行う。
//
《蜘蛛糸技術の先駆け、サーリス》
{1}{G}{W}{U}
伝説のクリーチャー ― 蜘蛛・人間・英雄
4/4
警戒、到達
あなたが唱える1色以上の色を持つ伝説の呪文はそれぞれ糸投げ{G}{W}{U}を持つ。(あなたがコントロールしていてタップ状態であるクリーチャー1体をオーナーの手札に戻すなら、その呪文を糸投げコストで唱えてもよい。)


モードを持つ両面カードの取り扱い

  • モードを持つ両面カードをプレイすることが適正であるかどうかを判定するには、あなたがプレイしようとしている面の特性のみを考慮し、他の面の特性は無視する。たとえば、何らかの効果によりあなたがマナ総量が2以下の呪文を唱えることができない場合、あなたは《蜘蛛糸の発明家、サーリス》を唱えることができないが、依然として《蜘蛛糸技術の先駆け、サーリス》を唱えることができる。
  • 何らかの効果があなたに、カード群の中から土地1つをプレイするか呪文1つを唱えるということを行わせるなら、その効果の基準を満たす面を持つ、モードを持つ両面カード1枚を、プレイするか唱えるかしてよい。たとえば、何らかの効果によりあなたの墓地にある蜘蛛・呪文を唱えられるようになった場合、あなたは《蜘蛛糸技術の先駆け、サーリス》を唱えることができるが、《蜘蛛糸の発明家、サーリス》は唱えることができない。
  • 何らかの効果が、特定の特性を持つカードを、プレイしたり唱えたりするのではなく戦場に出すことを許諾するなら、モードを持つ両面カードの第1面の特性のみを考慮してそのカードが該当するかどうかを判断する。該当するなら、それはそれの第1面を表にして戦場に出る。
  • モードを持つ両面カードのマナ総量は、考慮している面の特性に基づいて決定する。スタックや戦場では、表になっている面を考慮する。他のすべての領域では、第1面のみを考慮する。これは他の両面カードのマナ総量の決め方と異なる点である。
  • モードを持つ両面カードは、変身させることや変身させた状態で戦場に出すことができる。これは以前のルールからの変更点である。何らかの効果によりあなたが、戦場にある、モードを持つ両面カードを変身させるよう指示されたなら、その効果は、他方の面がパーマネント・タイプを持つ(つまり他方の面がインスタントやソーサリーでない)場合にかぎり変身させる。持たないなら、ただ変身が行われないだけである。同様に、何らかの効果により、モードを持つ両面カードを変身させた状態で戦場に出そうと試みられた場合、その第2面がパーマネント・タイプを持つなら、変身させた状態で戦場に出る。持たないなら、それはただ現在いる領域に留まるだけである。

両面カードに関する一般的な情報

  • 両面カードの各面は、それ自体の一連の特性、つまり名前、タイプ、サブタイプ、能力などを持つ。両面カードがスタックか戦場にある間は、その時点で表向きになっている面の特性のみを考慮する。他の面の特性は無視する。
  • 両面カードがスタックや戦場にない間は、第1面の特性のみを考慮する。たとえば、前述のカードが戦場において《蜘蛛糸技術の先駆け、サーリス》であったとしても、墓地にある時には《蜘蛛糸の発明家、サーリス》の特性のみを持つ。
  • 効果にプレイヤーがカード名1つを選ぶという記述があるなら、いずれの面の名前も選んでよい。その効果か関連している能力が、その選ばれた名前の呪文が唱えられたことや、その選ばれた名前の土地がプレイされたことを参照するなら、それはその選ばれた名前のみを考慮する。他の面の名前は考慮しない。
  • ブロールフォーマットでは、両面カードの固有色は両方の面のマナ・コストとルール・テキストにあるマナ・シンボルによって決定する。いずれかの面に色指標や基本土地タイプがあれば、それらも考慮する。
  • 各両面カードには、各面の左上か右上にアイコンがある。このセットのモードを持つ両面カードでは、これらのアイコンは第1面が1個の黒の三角形、第2面が2個の白の三角形である。

『領界路の彼方』は、MTGアリーナにて2025年9月23日にリリース予定。遊び始めにぴったりなプレオーダー・セットがあるゲーム内の「ストア」のタブをかかさずチェックしよう!