プレインズウォーカーのための「ギルド門侵犯」案内 
その2

更新日 Feature on 2012年 12月 21日

By The Magic Creative Team

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 シミック連合はラヴニカの自然と荒野の世話係であり、ラヴニカの都市が成長を続けようとも自然界の保護に努めることを使命としている。このギルドは人口過剰な都市圏の環境と両立しない、あるいは相互排他的な関係となる要素を保護しようとしている。もちろんこれは簡単なことではない。というのもラヴニカでは文明の力が行き渡っており、それに対抗しようというものをことごとく呑み込みかねないからである。だがシミックは独立性と全体性を奇妙な配合で取り混ぜており、大きな都市体系からの独立を果たしている――そしてこの独立性の上に彼らの保全事業が成り立っている。

アート:Maciej Kuciara

シミックギルドの構造

ゾノット

 ゾノットはラヴニカの海へと至る巨大な陥没孔であり、それぞれが異なったシミックの者達の住居として機能している――巨大な、逆さまの高層建築とでも表現できる。各ゾノットに異なる文化、生態系、種族分布及び言論者が存在している。

  • 第一ゾノット 最初に開いた第一ゾノットは第十地区から遠く離れた辺鄙な地域に出現した。ここには議長ゼガーナが住まうが、彼女はその時間のほとんどをシミックギルド本拠地のある第七ゾノットで過ごしている。第一ゾノットは最小のゾノットであり、他よりもどこか陰鬱な雰囲気が漂っている。
  • 第四ゾノット この最大のゾノットはその言論者、海トロールのトリフォンを擁する。ここの文化は他のどこよりも粗暴で直接的であり、住人達もまた平均よりも大型である。
  • 第五ゾノット シミックギルドは閉鎖的な傾向にあるが、このゾノットは旅行者の目的地となっている――ギルド無所属民達が海洋を見るために、そしてシミックの生活を観察するために訪れることのできる場所である。外部からの訪問者を締め出すよりも、シミックはより多くを引き寄せるために「螺旋の階梯」を作り上げた。
  • 第七ゾノット 第十地区内に存在する唯一のゾノット、第七ゾノットはギルド本拠地ザーメクの所在地である。容易に想像できるように、最も活気に満ち最も人口密度の高いゾノットである。

系統組

 シミックのギルド員は種族や役割や階級よりも、系統組によって組織されている。各系統組はプロジェクトチーム内にて自然界での役割を担う。異なる務めを与えられた多様な個体が、なおも共通の目的で繋がっている。系統組は単一のゾノットに独立して存在することが多いが、そうである必要はなく、大型の系統組は二つ以上のシミック共同体にまたがっている。系統組の幾つかを以下に記す。

  • 育殻組 この系統組は保護、防御、耐久性、そして類似に注目している。彼らのプロジェクトは外骨格の強化からゾノット外壁の安定化にまで渡っている。
  • 流翼組 移動の研究がこの系統組の関心である――文字通りの生物(特に飛行生物の)移動はもちろん、例として組織間の物資の移動も同様である。
  • 覆隠組 この秘密主義の系統組は他ギルドの目からシミックを隠す戦略を担当している。これは知識や計画を隠匿するための魔法の開発、そして文字通りのカモフラージュを含んでいる。
  • 渦潮組 この系統組は周期のパターンと高次魔法を専門としている。プロジェクトは魔法を転換もしくは無効にする方法の発見、そして自然力の促進を含んでいる。

アート:Chase Stone

固着の原則

 固着器官は海藻や海綿が、海底にて岩もしくは海流に流されない重量の物体に留まるための生物学的構造である。シミックにおいては、この構造は自然から決して遥か遠くへと離れて「漂流」しないようにとギルド員へと忠告する哲学的教義を触発した――ギルドのかつての行きすぎと野望を繰り返さないようにという訓戒が込められている。シミックギルドの一般構成員はこの理由から彼らのゾノット近辺に留まる傾向にあり、シミックの都市生活への介入は通常、他のギルドのそれよりも短い。ゾノットそのものはぱっとしない空間にある海藻やケルプの巨大な柱のようなものであり、その遥か下に広がる大海は彼らが「繋がれている」物体である。

湧出

 とはいえ固着の原則は、シミックが孤立した、もしくは他所者嫌いのギルドであると示すものではない。真逆の発想がシミックの文化では優勢で、これは「湧出」と呼ばれている。自然科学において湧出は、滋養豊かな海水が水面へと移動し、貧栄養の海水と入れ換わるという海洋学的現象である。シミックにとっては、これは鍛錬と遂行の架け橋となる精神的発想である。深淵の生物の水面への帰還、これまでにない巨大有機体の誕生、自然科学の追求と理解、新たなゾノットの緩やかな追加……全てが湧出である。新たな活気づくものが、古く使い尽くされたものと入れ換わる。そしてその交換は周期的に行われる。

議長ゼガーナ

 ゼガーナと呼ばれる寡黙で威厳ある女性マーフォークが現在のシミック連合のギルドマスターとなっている。彼女は最初に現れた第一ゾノットを代表する議長であり、シミック連合の新たな始まりを告げる「水深の布告」を発令したのも彼女である。ゼガーナは9人いるゾノット議長で構成される秘密組織、「言論室」の判断に従って発言しているということを明かした。言論室は彼女の地位を無効にすることもでき、そうなると別の議長が彼女に替わってギルドマスターの座に就くことになる。シミック連合の部外者の多くはゼガーナが控えめに振る舞っているだけで、言論室なるものが実際に機能していたとしても、ゼガーナがそれを操っているのではないかと考えている。

アート:Willian Murrai

ザーメク

 シミックの本拠地はかしこまった場所でも華やかな場所でもない。第七ゾノット、瓦礫が撤去された地表の下には巨大な議場が広がっており、ここは議長たちが集会するほかにも、非シミックの訪問者がゼガーナやその他の連合の使者と面会できる場所となっている。ザーメクの天井にはいくつもの穴があいており、そこから空がのぞいている。穴は粘体に覆われているため、そこから刺し込んだ空の光は乳白色となり、議場内は水中のような輝きに満たされている。巨大な議場の壁は分厚い海藻によって補強され、壁や床の角や端は藻でびっしりと埋められている。主議場の床には何もなく、緩やかならせん状の大テーブルだけが置かれており、その中心には少し高さのある演壇が据えられている。

螺旋の階梯

 第五ゾノットでは、海棲植物からなる巨大な柱が魔法によって着実に成長させられ、緩やかな螺旋状になってゾノットの壁を形成している。階梯は螺旋状に刻まれており(そして表面の粘体は取り除かれており)、地表面の住人達が海面まで歩いて辿り着くことのできる長い通路となっている。ここではシミックがラヴニカの民へと手を差し伸べている――ラヴニカの住人達が見て触れて入りこめる、また彼らが何千年もの昔に忘れてしまった冷たい海で泳ぐことさえできる場所となっている。

湖水地区、ジェゼル

 近年、シミックの中でも敏感な者達は、ゾノットに篭りすぎることの危険性を集合的に悟ってきた。適合性を増し視界を広げようという試みの中で、シミックはギルドを公然化しようと意識的に努力してきた。この試みの最も劇的な例がジェゼル、水中の地区である。この浅い天然の盆地の大部分において、水深は僅か数フィートに過ぎないが、最深部では40フィート程にも達する。陸生生物はこの地区を、大型の空気式敷植物で浮かぶ石造りの歩道やシミックの飛行「渡し船」生物を用いて通過することができる。

アート:Wesley Burt

混成体

 シミックのあらゆる雑種生命はそのような生物全てを指す用語である混成体と呼ばれている。新シミック連合はモミール・ヴィグとその生物技術者達の過ちを繰り返さないよう慎重だが、ギルドは複数の有機体の特色を一つに結合させて扱おうと試み、また今も魔法を用いて現存する生物から新たな形態を生み出そうとしている。その中の幾つかは再生産の不可能な唯一のクリーチャーである。少数は増産され、ギルドの構造の一部となっている。

他ギルドに対するシミックの態度

アゾリウス:「評議会は好意的で先見の明を持っています。ですが慎重さと管理の無理強いがギルドを麻痺させています。これは不幸なことです。何故なら我々にとっては必要なくとも、地上世界はその統率力を必要としているのですから」

オルゾフ:「我々とその使命にとって、これほど大きな脅威となるギルドは他にありません。オルゾフは知性を服従と富による強さに取り違えています。彼らは自然とラヴニカの人々にとって最大の敵です」

ディミーア:「知識と洞察の何と残念な無駄遣いでしょうか。彼らは力と特権を買うために情報を通貨に変えることしかしていません。いずれ生命が、彼らの死んだような浅い目論みを征服するでしょう」

イゼット:「彼らの試みは称賛し学ぶべきものですが、自然のシステムの軽視は彼らの思考が近視眼的であることを示しています。いずれ生命が、イゼットが創造できるものよりも賢明な解決策を発案するでしょう」

ラクドス:「我々は彼らを理解しないよう努めてきましたが、何故彼らが存在を許されているのかを理解しなければ――彼らが満たしているのは市民のどんな必要性なのか。それまでは、彼らは凶暴な獣として扱います。距離を取りなさい」

ゴルガリ:「もし彼らが味方を欲するのであれば、我々が最も近しい者となるでしょう。ですが彼らは自然のサイクルの危険な面にあまりに集中しすぎています、それが彼ら自身に牙をむこうとも。彼らには力を持たぬ者に対しての忍耐を持ち合わせていません」

グルール:「彼らの基本的欲求が彼らを遠ざけてくれています。我々は辛抱強く慎重に適応し、彼らと同じ運命を被りはしません。ですが彼らが助力を求めてきた時は、拒みはしないでしょう」

ボロス:「情熱と組織の危険な掛け合わせです。彼ら自身の協定で行動していようと外部勢力の影響下で行動していようと、ボロス軍はその恐怖と欲求を効果的な攻撃に転換しています」

セレズニア:「議事会は全体論を理解していますが、神秘主義の覆いが進歩を妨げています。我々は彼らの集産主義を尊重しますが、その独断主義は違います。我々は特殊化を抑制するよりも、それを保つべく努めます」

 ラヴニカの路地や見捨てられた街区、草に覆われた遺跡などを根城にする野蛮な部族がゆるやかな連合をなし、グルール一族を形成している。グルールの戦士やシャーマンの多くは、ラヴニカの第十地区の郊外に広がる瓦礫帯――戦争で荒廃した土地や集落の名残――を占拠するようになった。グルール内では戦闘が日常的に行われており、ほとんど儀式化してしまっている。強い者が生き残り、支配すべきだというのがグルールの信条である。グルールはラヴニカのギルドの中で最も市民権から程遠く反文明的視点を維持しており、そのため都市に覆われた世界では誰よりも居心地が悪そうにしている。

一族の頭目、腹音鳴らし

 グルールに属する部族の指導者のなかで、すべての部族を傘下に収めるもしくは統一を果たした者はいないが、誰もが敬意を払うグルールの族長が居る。それが腹音鳴らしである。並はずれて堂々とした体躯のサイクロプスであり、炎樹族の荒ぶる指導者でもある腹音鳴らしは、「敵が原型を留めなくなるまですり潰し、それで自分の長靴を磨く」とまで言われている。腹音鳴らしはグルール最強部族の指導者の地位を何十年にもわたって守り続け、数多くの成り上がり者を葬ってきた。今でも比類なき戦士ではあるが、腹音鳴らしにも老いの影が見え始めている。統率者の座に挑む者はますます増え、以前ほど簡単には勝利できなくなっている。

アート:Aleksi Briclot

グルールの部族

 新たな部族が野心的なグルールの戦長の下に時折形成され、その間にも他の部族が時折挑戦を受け、打ち負かされ、そして消え去る。だがこれら六部族はそれなりの期間に渡って安定して存在し続けている。

  •  腹音鳴らしに率いられた炎樹族は最も恐ろしく強力な部族である。この部族はまた最大規模にして最も多様性に富んでおり、ラヴニカの複数の地区に分派が存在する。腹音鳴らし自身が触発する恐れと畏敬が、多様で地理的に隔てられたこの部族の構成員達を強く繋ぎ止めている。炎樹族のシンボルはラヴニカ市民から、グルールギルドそのもののシンボルとみなされている。
  •  ゴーア族の指導者ルーリク・サーはその部族を野蛮な残忍さをもって統べる双頭のオーガである。彼は自分が、腹音鳴らし自身に対峙して生きて帰った唯一の戦士であり、その片方の頭は戦いの結果見るも恐ろしい程に損じてしまったのだと主張している。グルールの全部族中、ゴーア族は最も頻繁に野蛮な襲撃を行う部族としてラヴニカ市民に知られている。この部族は概して、人口の多いラヴニカの地区の近辺に宿営地を形成する。ルーリク・サーは部族が行う無秩序な襲撃の騒々しく血を噴き出すような音とともに、彼が言うところの「敷石ゴキブリ」を怖がらせるのを好む。
  •  瘡蓋族はミノタウルスやケンタウルス、オーガ、ゴブリンを含む様々な種族から構成されている。彼らはその残忍な傷跡と切断された身体部分から容易に見分けがつく。瘡蓋族の戦士達は見栄と見せかけの気取りを嫌っている。彼らは、身体は精神が取る上辺だけの形であり、それを多く傷つけるほどに戦士として本物になれるのだと信じている。瘡蓋族は近年幾つかの部族を吸収または破壊してきたが、その指導者、九本指のナーブルグとして知られる太った巨人は、まだ腹音鳴らしや炎樹族へと挑戦する栄誉を賜っていない。
  •  ボーラク族はのし歩く巨人族たち、おもにサイクロプス、オーガ、トロール、巨人で構成されている。この部族の指導者は、優位性を巡る粗暴な戦いが日常茶飯事であることからほぼ毎日交代する。「ボーラク」という単語は古ラヴニカ語で「重い鎚」を意味し、ボーラク族は巨大な構造物をハンマーや破城槌として使用し振り下ろすことに長けている。ボーラク族が自分達よりも小さい何かを破壊すること以上に愛しているのは、かつて彼らより大きかったものをよろめかせ、転がし、そして破壊することだけである。

アート:Kev Walker

 スリーツ族の大部分は悪賢く忍びやかなヴィーアシーノの一団だが、彼らは奇妙な「桃色肌」(人間を指す)も受け入れることで知られている。この部族は三つの戦略――隠密、地の利、遠隔攻撃――を用いて瓦礫帯を生き延びてきた。スリーツ族は廃墟で最も高所に居住し、敵に対しては頭上から矢の雨で待ち伏せを行う。グルールの他の部族はスリーツを臆病者、卑怯者とみなしているが、高低のある廃墟地域に立ち入る時は誰もが慎重になる。スリーツ族の本拠地である鞘家は瓦礫帯中央、巨大な古の構造物がどうにか数世代もの間建ち続けている中にある。

 「頭蓋晒し」としても知られるザル・ター族は「古の道」に従うと主張する唯一のグルール部族である。ザル・ター族は彼らが従える獣達に寄り添って生きている。そのシャーマンは獣を召喚し、戦いの相棒や乗騎として訓練する達人である。ザル・ター族は「地下深くの神々」ウトムングルを崇拝している、そしてその古の猪の神の目覚めを待っている。それは燃え立つような突進を開始して過剰に文明化された世界を完全に、決定的に破壊するであろうと。ザル・ター族は人型生物も動物も同様に、頭蓋骨の巨大な山を積み上げて彼らの信奉する神々への捧げ物とする。ザル・ター族の指導者、旧き道のニーキャは強大なシャーマンであり、彼女はラヴニカの古の層から巨大な蔓を召喚できると言われている。

再会の地、スカルグ

 焼け落ち、大きく穴のあいた巨大な宮殿の跡地に大きなかがり火が焚かれ、グルールにとっての伝統の地の証となっている。スカルグはグルールの各部族の中立地というわけではなく、ここで休戦が呼びかけられるわけでもない。したがって古くからの遺恨が即座に流血沙汰に繋がってしまう。それでもグルール一族はラヴニカの各地から定期的にスカルグへと足を延ばす。巨大な猪が炙り焼きにされ、勇壮な戦いが繰り広げられる。ここでグルールは何か仲間意識的なものを見つけ出す。

瓦礫帯

 あらゆる地区にグルールの不法占拠者と路上のならず者がいる。だがグルールのギルド員の多くは第十地区の外部、不連続に点在する荒れ地帯を住処としている。瓦礫帯は内部を破壊された建築物群、一時的なスラム街、そして奇妙な、さまよえる廃墟のエレメンタルである。「一帯」はより都市化された区域に全方向を囲まれている。他のギルドはしばしばこの地区へと侵入を試み、彼らの用途のために取り戻そうとする。それは文明を拒むグルールとの終わりのない紛争を生み出している。

アート:Raymond Swanland

旧き道

 ラヴニカにギルドが形成されるよりも昔の時代、グルールはこの次元の自然を祝福し所有を主張するドルイドとシャーマンの集まりであった。明らかに、グルールはこの務めに失敗した。蹂躙の火花が点されたのは、グルールのシャーマンが最後の屹然たるドルイドの樹が倒れるのを見た時であったと、そして最後の聖なる木立が採石場として彫り起こされた時であったと推測する識者もいる。その火花は文明と、「発展」のために働く者達への復讐を行うための、全てを飲み込む欲求を生み出したのだと。

 現代、グルール部族のほとんどは単純に「強者が生き残り、強者が支配する」ルールに生きている。だが今も旧き道の小さな火花がとあるグルールの部族に残っている。ザル・ター族は、瓦礫帯を揺らす地震は地下深くの神々が目覚め、起き上がって「敷石ゴキブリ」達を破壊する兆候なのだと信じている。ザル・ター族はまた、この黙示録の最初の兆候は猪の神イルハグの出現であろうと信じている。

無秩序の「祝日」、ラウク=シャウフ

 グルールにおいて慣例的な伝統行事はわずかにしか見られないが、ラウク=シャウフを祝うことだけは大好きである。これは数日に及ぶ暴動、饗宴、略奪、破壊が特徴の、不定期で暦を無視した祝祭である。識者達は、ラウク=シャウフはグルールの反知性主義の原則を称え、その起源は都市生活の不自然な制度を支える術策を根絶するという古のドルイドの契約にあると記している。だがグルールはただ物を打ち壊す口実として楽しんでいる。

アート:David Palumbo

他ギルドに対するグルールの態度

アゾリウス:「俺たちの世界は病気だ、病気の元はアゾリウスだ。あいつらを倒せば、ラヴニカは原初の姿を取り戻す」

オルゾフ:「幽霊と嘘つきのギルドだ。だがポケットがなければ取られる物なんてないぞ」

ディミーア:「怖がらせる影をかぶった弱虫だ。ディミーアを日の光にさらせば、青白くて細くてみじめな本当の顔が見られるぞ」

イゼット:「イゼットが屁理屈をこねくりまわし、ドラゴンの足元にひざまずいている間に、強い者が世界を切り開くぞ」

ラクドス:「恐れは力、ラクドスはそれを知っている。だがグルール以上の力はない」

ゴルガリ:「街を壊して土台から始めることをゴルガリは知っている。だが奴らの心は力への囁きに騙されている」

ボロス:「ボロスは格好いいな! だから俺たちの槍には奴らの内臓ではなく首を飾ってやろう」

セレズニア:「セレズニアの奴らは狼を甘やかし、棒きれを拾うのを教えて犬扱いする。狼を飢えさせ、餌を狩らせ、もっと強い狼にする方がいいぞ」

シミック:「シミックは自然をねじ曲げて楽しんでいる、だが自然がねじ曲げ返してくるのは楽しくないだろう」

 オルゾフギルドは富こそ力であり、体制が富を生み、罪悪感が体制を生むという信念に基づいて立ち上げられた。このギルドは宗教と高利貸し、そして犯罪組織を合体させたようなものである。大仰な階級制度の構成員たる僧侶や執行官や幽霊の審議官が、罪悪感に縛られた下僕や負債にまみれた霊、そしてスラルからなる信徒の集まりを統治している。オルゾフギルドの構成員の多くは自分達が統治することでラヴニカを最良の状態にできると心から信じており、権力を確かに手にするためには方法を選ばない。ラヴニカ人の多くはオルゾフを堕落した組織としてみているが、彼らが保証する富や名声、そして長寿に引き寄せられている。

アート:Mark Zug

幽霊議員オブゼダート

 オルゾフギルドは幽霊議員の集まりであるオブゼダートによって支配されている。オブゼダートの面々は定命の姿を捨てた後でも富と権力を維持している。オブゼダートは不死者とも呼ばれ、限りある生という宿命を出し抜くことに成功し、死の敷居を越えてからも意識(と強欲)を保持している。不死者は大抵、病的に肥満した、だが弱々しく青ざめてぼんやりとした高司祭や貴族の姿で現れる。彼らは偏執症的で悪意に満ちた独裁者で、時には手間暇を惜しまずに野心家の手下を妨害し、噂を吹聴する者達を潰し、敵となり得る存在に探りを入れる。彼らは富、尊敬、そして忠誠を心から欲する。オブゼダートがギルドの部外者と直接交渉することは滅多になく、たいていはその公的な大特使、テイサ・カルロフを通じて取引をしている。

カルテル

 オブゼダートへの報告を担当する「カルテル」の網がオルゾフ組の各集団を動かしている。各カルテルはラヴニカの異なる縄張りと市場の所有を主張しており、それぞれに司祭、法術士、執行者その他の内部の階級が存在する。各カルテルは枢機卿、もしくは犯罪集団の長か銀行家か高司祭のような役割の中心人物が率いている。各カルテルは資産と市場を巡って、そしていかにしてテイサとオブゼダートの機嫌を勝ち得るかで仲違いを繰り広げている。

オブゼダートの大特使、テイサ

 オブゼダートの強欲で老獪な幽霊達や様々なカルテルの口喧嘩の絶えない指導者達は、オルゾフ組にとっては下位の代弁者に過ぎない。人間のテイサ・カルロフは「大特使」と呼ばれる特別で前例のない地位を得ており、幽霊議員オブゼダートの公的代弁者兼特使を務めている。かつて現在の形のギルドパクトを作り上げた弁術士にして法術士であるテイサは今や中年となり、その溌剌とした機知には知恵と展望が加わった。彼女は自身の野望のままに成長した。彼女はその比類なき地位によって不死者達の意志を代弁できるだけではなく、彼女のギルドに都合の良い方針を形作ることができる。テイサはギルドの公的な統治者ではない――オブゼダートが今もその地位を保持している――だが多くの者が、テイサこそがオルゾフ組全体を統べていると信じている。

アート:Seb McKinnon

絢爛たる大聖堂、オルゾヴァ

 オルゾフの本拠地はオルゾヴァは時折、取引の教会とも呼ばれている。天井が高くそびえる贅沢な大聖堂であり、入った者全てへと自身が取るに足らない者であり比較は無意味であると感じさせるよう設計されている。大袈裟に着色された窓と大理石製の特大の彫像が裕福な司教、執行の天使、そして幽霊の列を描き出している。

大霊廟地区、イルビトフ

 オルゾフの有力者が死の眠りにつく時、その者はしばしばイルビトフに葬られる。オルゾフの支配するその区画には大霊廟と記念碑、そして地下納骨所が存在する。イルビトフではスラル、司祭、そして時たま実務屍術士が巡察している。イルビトフの墓石の彫刻は、死者の金銭的事情を実際に反映して変化すると言われている。

ヴィズコーパ銀行

 ヴィズコーパ銀行はオルゾフの金融の中心である。その巨大な施設では警備ガーゴイルがそこかしこで睨みを効かせ、オルゾフ債務者の浮遊霊が徘徊している。ヴィズコーパ銀行はギルドの富の大半を保管するだけでなく、ほとんどのラヴニカの通貨を鋳造している。ヴィズコーパの中心は顔のない強大な死霊で守られており、その声は魂を呪うと言われている。

鋳造街

 ラヴニカの幾つかの地域はオルゾフのけばけばしい教会に支配されているが、他のどんな地区よりも多くのオルゾフの司祭と評議員(管財人)を擁する一つの通りがある。鋳造街は古の昔、この通りの鋳造所にて貨幣が鋳造(現在はヴィズコーパ銀行が担当する機能)されていたことに由来する。だが今その名は新たな意味を持っており、この通りでビジネスを行うオルゾフギルド員が大袈裟に誇示する硬貨や宝石といった富を示している。鋳造街は多数の高級商店と飲食店を抱え、それらが要求する高い基準の礼儀作法を身に着けていない者は歓迎されない。

>アート:RyanRyan Barger

オルゾフの役割

聖職者:無意味な宗教に従事する者

 オルゾフの中層階級の多くはギルド内で何らかの公式な宗教上の階級を保持している。それは下位の奉仕者から上位は司教にまで至っている。オルゾフの聖職者は他の次元の宗教従事者と比較して不実に見えるかもしれない。彼らは信念に従っているが、その信念は神的象徴よりも権力の流れを中心としている。聖職者達はその職務から階級名を賜る。罪討人はオルゾフの教義に従わない者を罰する。放免者は信者達をその罪から解き放つ、通常は何らかの贅沢な贈り物もしくは支持と引き換えに。

死をもたらす者:生命を奪う専門家

 オルゾフの殺し屋は複雑に入り組んだ職務であり、多様な分類がある。中には死刑執行人がいる――司教達の正当な裁きを振るう巨人達。また密告者や信頼できない協力者との「仕事の関係を断つ」幽霊の暗殺者がいる。他は、脅威を除去することによって大衆を守る栄誉ある兵士達である。オルゾフが誰かを「終わらせる」と決めたならば――オルゾフの構成員でも、ギルド外の何者かでも――オルゾフは援助を打ち切ることによってそれを伝えることを好む。オルゾフの殺害はしばしば名刺の類に署名される、もしくは複雑な儀式とともに誇らしげに宣伝される。

騎士:美徳と悪徳の模範

 騎士身分は、その忠誠と技能を何らかの形で証明したオルゾフの構成員へと授けられる栄誉ある地位である。一人の人物が騎士となるたびに、その者は自身の何らかの特質を表すような称号を賜る。この特質は伝統的に、正しき美徳である必要はない。例として、償いの騎士は過去の罪を償う行いから騎士となったのかもしれない。絶望の騎士はオルゾフ組の敵へと災いをもたらした者なのかもしれない。

行政官:細字の整備者

 オルゾフは代理人、顧問、管理者、計理士、相談役、そして急使といった者達の小さな一団を雇用している。彼らはギルドの業務と経営上の活動を管理する。通常、これらのギルド構成員達は様々な名称を持ちながらも、行政官と呼ばれている。中には強大な法術士がおり、彼らはまた時に弁術士とも呼ばれている。彼らは契約を実施し、真実を語ることを促す「真実の輪」を作ることができる。また鋳造者もおり、金を貸し様々なラヴニカ市民の債務を記録し続けている。行政官の中には貿易商人もいる。彼らは資産(合法もそうでないものも)の流れを調整し、外部の者との取引を計画する。他には故買人のように、物品を隠匿し運搬して検問を通過させる者がいる。司教やオブゼダートの面々のようにけばけばしくはないが、行政官達はギルドにてかなりの実力を振るっている。彼らはしばしば、いかにしてギルドが各構成員達の枠組みを越えて強く団結するかの鍵を握るためである。

スラル

 肉から構築され、価値を失った硬貨で作られた仮面で顔を覆うスラル達は、オルゾフの身分階層において最下層に位置する。彼らは下僕として魔法的に創造され、主に付き従う、伝言を届ける、もしくは聖堂の入り口を見張る姿を見ることができる。熟達の死司祭やスラル使い達はより大型のスラルを創造することができ、より奇妙な用途に用いることもある――飛行乗騎、駕籠持ち、もしくは武装して歩く保管庫として。オルゾフの精鋭の中にはスラルを流行の装身具のように扱う者がおり、甘やかされたペットのように、貨幣を連ねた鎖で彼らを繋いでねり歩く。

天使:拘束されぬ自由

 オルゾフで天使は稀な存在である。天使は伝統的に信仰と共同社会の顕現であるため、ほとんどの天使は富と強欲のギルドへと加わることを良しとしない。だが時折、ある天使がボロスの単純化されすぎた原理と軍隊構造に幻滅し、正しい尊敬を見出す場所を求める時がある。ボロスの中で一兵卒となることを切望する天使には、オルゾフの中で聖像として力を振るう機会が与えられる。オルゾフの天使は処刑人、司令官、司教、もしくはその他高位の公職に就きうるが、むしろ彼女らはしばしば自身独自の職務を作り出すことを好む。天使は自身の命令規約に従って動き能率的かつ無慈悲にそれを遂行する。

アート:Jason Chan

霊魂:アンデッドの債務者

 オルゾフのギルド員が死亡した時、その者がギルドへと負っていた債務が通常は残っている。構成員の事情から死後も労役が継続することはしばしばあり、これはオルゾフがいついかなる時でも何百もの霊魂の下僕を支配できる理由となっている。注意すべきは、これら霊魂債務者達はオブゼダートの幽霊議員達とは大いに異なり、苦境にあるということである。オブゼダートは不死の地位と独裁的権力を獲得した者達である。

他のギルドに対するオルゾフの態度

アゾリウス:「彼らは目的よりもその過程を崇拝しています。ですが我々は彼らの厳格な秩序への献身を称賛します。それは帝国を築く最初の煉瓦の一片なのですから」

ディミーア:「ディミーアはいくつかの面で、我々の写し鏡です。それゆえに我々が創造しようとするもの全てにとっの脅威です。我らの内に加えるか、さもなくば滅ぼすかを見極めねばなりません」

イゼット:「興奮した迷子の子供です。忠誠を学ぶ機会さえあれば良き駒となるでしょう」

ラクドス:「危険な存在です、彼ら自身にとっても他にとっても。長命と富への脅威です。彼らを統制しなければなりません」

ゴルガリ:「死は終わりではない、それは真理です。ですが虫と茸で帝国を築けはしません。彼らは衛生と富と自尊心を失った我々のようなものです」

グルール:「グルールは訓戒の童話です。彼らは、あらゆる文化が強力な指導者を欠いたらどうなるかという実例です」

ボロス:「ボロスの視野は限られていますが、彼らの遂行への意志は有用です。彼らの情熱は彼らを遊ばせる操り紐となります」

セレズニア:「彼らは統一された世界という展望を我々と同じくします。ですがあのドライアド達は、自然という偽りの祭壇へと貴重な法を犠牲に捧げるでしょう」

シミック:「彼らは歴史の奥深くへと根付いています。ですが彼らの関心が生命を拡大させることだけで止まったなら、彼らはその来歴の少なくとも半分を失います」

 

(Tr. Mayuko Wakatsuki / TSV Yohei Mori)

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2019年 4月 23日

『灯争大戦』プレリリース入門 by, Gavin Verhey

プレインズウォーカー。どっちを見てもプレインズウォーカーが! 『灯争大戦』は、まさに唯一無二のセットだ。マジックの物語に注目してきた人たちにとって、今回はひとつの節目になる――今このとき、この場所で、すべてが収束するのだ。狡猾なるドラゴン、ニコル・ボーラスが入念に組んできた計略の数々が、このセットで最終局面を迎える。 掘り下げられる部分はたくさんあり、セット全体がフレ...

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