
忘れられた敵

Art by Chippy
エルドラージは霊気の中をうごめく巨大な捕食者で、姿を現したあらゆる次元のマナと生命力を食らい、その後に生命無き抜け殻を残してきた。数え切れないほどの次元の危機を目の当たりにしてきた三人の古きプレインズウォーカーは、エルドラージをマナに満ちた世界ゼンディカーへと引き寄せ、それを物質の中に閉じ込めると、想像もつかないような強力な魔法を用いて彼らをこの次元に幽閉した。

Art by Tomasz Jedruszek
しかし、牢獄は薄っぺらだった。幽閉からたった数世紀という短い時間の中で、エルドラージは自由になる寸前にまで至り、ゼンディカーのマナと生命を吸い上げてほとんど荒野にしてしまった。そして巨大なエルドラージの存在により、そこから醜悪な小型の手下が現実世界に登場しだした。彼らの血族だ。しかし、エルドラージはその血族とともに再び閉じ込められた。ゼンディカーはゆっくりと回復していったが、その生態系はゆがめられ、より奇妙で凶暴になり、エルドラージの存在を反映するかのようにより移ろいやすくなっていった。
半ば開いた目

Art by Eric Deschamps
そして今、かつて次元を食っていった時から数千年がたち、エルドラージは再び目覚めた。エルドラージを無力のまま閉じ込めるためにウギンの目の部屋で三人のプレインズウォーカーが張った結界は緩み、彼らは再びゼンディカーの生命を食い尽くすために立ち上がった。次元の全域にわたり、眠っていた面晶体の石は生命を持ち、変形し、あるいは互いに繋がり合って巨大な構造物となり、周囲の自然の法を捻じ曲げ始めた。巨大な先祖の脇を囲んで、新たな血族が現実世界に滑り込んできた。虐殺が始まるのだ。