デザイン演説2011

更新日 Making Magic on 2011年 8月 22日

By Mark Rosewater

Working in R&D since '95, Mark became Magic head designer in '03. His hobbies: spending time with family, writing about Magic in all mediums, and creating short bios.

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 主席デザイナーとして、私は毎年、それまでの1年を振り返ってマジックのデザインの現況を検証し、マジックのデザインがうまくいっているかいないかを査定し、そして、先を見て、その先の1年で果たすべき目標を表明するためのコラムを執筆している。デザイン演説コラムは、今年で7回目になる。これまでのコラムは2005年2006年2007年2008年2009年2010年のものがある(2009年までは英語のみ)。


 まず最初に、例年同じ質問をすることにしている。「マジックのデザインにおいて、去年はどんな年だったか」。これに答えるにあたって、最初のデザイン演説コラムで語った内容をもう一度語ることにしよう。その中で、マジックのデザインは3つの時代に分類できて、ラヴニカ・ブロックからは第4の時代が始まると書いている。なぜここでこれを持ち出したかというと、ミラディンの傷跡ブロックからは第5の時代に入ったと信じているからである。それについて、説明しよう。

 第1の時代(アルファ版からアライアンスまで):この時代は、カード一枚一枚のデザインに重点が置かれていた。デザイン上の決定は、カード1枚単位でなされがちであった。

 第2の時代(ミラージュからプロフェシーまで):この時代は、ブロックという概念の導入と、一年を単位としてのマジックを考えることにデザインの重点が置かれていた。

 第3の時代(インベイジョンから神河救済まで):この時代は、ブロックのテーマが導入された時期である。ただ漠然とメカニズムを集めるだけでなく、ブロックのテーマを輝かせるために選ばれたものが含まれるようになった。

 第4の時代(ラヴニカからエルドラージ覚醒まで):この時代は、ブロック計画の導入が行なわれた。テーマ1つを取り上げてブロックを通して使うのではなく、ブロックでどう進化させていくかという計画がなされるようになった。この計画によって、テーマはよりよく開始し、完結するようになった。

 第5の時代(ミラディンの傷跡から???まで):そして去年に至る。傷跡ブロックにおいて、メカニズム的なテーマの選択と使用によってデザインは新時代に移行できたと確信している。第4の時代と第5の時代では、テーマはブロックを構築するための基礎として用いられている。ミラディンの傷跡から、メカニズム的なテーマはブロックを統合するための道具として考えられるようになった。喩えて言うなら、これまでキャンバスであったテーマが、絵画になったと言えるだろう。

 より詳しく言うために、ミラディン・ブロックと傷跡ブロックを比較してみよう。ミラディン・ブロックはアーティファクト・ブロックであった。セットのための選択は、アーティファクト・テーマを強調するために行なわれていた。一方、ミラディンの傷跡は、現在進行中の物事とミラディンという次元そのものがテーマであった。アーティファクトを要素として持ってはいたが、デザインの基礎をなしていた訳ではなかった。むしろ、ミラディン軍にメカニズム的な統一性を持たせるために用いられていた。


 これについてより明確になるのはイニストラードである。イニストラードのデザインの基礎は何か? メカニズム的には何も存在しない。イニストラードは、ホラーをモチーフとしている。そのための道具として墓地と部族をテーマに用いてはいるが、どちらのテーマもデザインを主導しているというわけではない(次回から始まるプレビューにおいて、イニストラードのデザインについてはたっぷり語ることになるからお楽しみに)。

 デザインの第5の時代は、ブロックの作り方にまったく新たな視点をもたらした。去年のデザインの最も重要な側面であったそれについて、ここに書き出しておく。デザインのあり方を大きく変えたのであり、そのような変更が出来た年がデザインにおいて悪い年であったわけがないのである。

 何事も、最初からうまく行くはずがない。いくらT型フォードがその時代にはすばらしくても、後で見ればいくらでも進化の余地があったと言えるものだ。去年に一つも問題がなかったというつもりはない(実際、そのいくつかについてはこれから触れる)が、現在のデザインの方向性には非常に興奮している。去年がマジックの18年の歴史の中で最高の年であったことは、偶然ではないのだ。


 さて、それでは去年のデザインについて評価していこう。よかったところ、進歩できるところを取り上げていくことになる。

2009/2010年のハイライト

 去年の中で卓越していたと私が考えているものは3つある。

戦争(とその結果)

 昔々、リチャード・ガーフィールド/Richard Garfieldが初めてマジックを生み出した時、彼はこれを「箱に収まりきらないゲーム」と称していた。最初、私は彼の言いたいことは、ゲームがプレイヤー1人の持つものより大きい、という意味でとらえていた。モノポリーを買えば、そのゲーム全てが箱に収まりきる。友人が買った物も私が買った物もまったく同じものだ。マジックでは、私も友人もそれぞれがより大きなゲームの一部であり、同じものではありえないのだ。

 時が流れて、私は、リチャードは同時に別のことも言っていたのだと理解するに至った。モノポリーを買うとき、私は、友人と自分がプレイするためにゲームを買うわけだ。競技モノポリーの大会に出ない限りはそういうものだ。他方、マジックは、ただプレイするだけではない。たとえば、諸君が先週何時間マジックに費やしたかを考えてみよう。プレイだけじゃなく、マジックに関連するもの全てだ。そして、そのうちでどれだけが実際のゲーム時間だっただろうか? マジックにおいては、ゲームだけでないそれ以上のものが存在するのだ。デッキ構築、メタゲームの検討、コミュニティでの取り組み、記事を読むこと、マジックについて語り合うこと。プレイヤーの多くは、実際にプレイする時間よりもプレイせずにマジックに触れている時間の方が長いのではないだろうか。


 去年のデザイン上の大成功の一つが、経験をデザインに持ち込むということだった。傷跡ブロックは、ただ大型セット1つと小型セット2つだけからなるのではない。諸君の多くがすでに知っている2つの陣営が戦争をしている、というものだったのだ。プレイヤーは陣営を選び、その旗の下に集った。最初は、ただ新しいカードを見るだけではないプレリリースというイベントに過ぎなかったが、ミラディン包囲戦のプレリリースでは様々な意味での成功を得ることが出来たし、これは将来のイベントの規範になると信じている。

 デザインはいつでもゲームのプレイに焦点を当ててきた。去年は、ただゲームのプレイだけではなく、それ以上の衝撃をもたらすことが出来るということを示したと言える(とはいえ、もちろん、ゲームのプレイが最優先されることに変わりはない)。

マジック・ザ・ギャザリング 統率者

 原油を掘るときには、噴出油井と呼ばれるものが存在する。これは、油の溜まっているところを掘り当てた際、想像以上の油量があった時に発生するのだ。統率者は去年のデザインにおける噴出油井だった。統率者戦がこれほど人気があるとは思っていなかったのだ。そのために商品を作ったのは確かだが、これほどの油量があるなどとは想像していなかった。


 去年のマジックの成功には複数の要素が絡んでいるが、その大きな一つに、古典的な2人戦以外の形式のための商品をデザインし始めたことが挙げられると信じている。マジックが単一のゲームではないということについてよく語っているが、あらゆるゲームは全体として一つの傘の下に存在している。さまざまな種類のゲームを提供していったところ、プレイ人口も増えていった。これは偶然ではないと思われる。

 デザイン上の観点から言うと、マジック・ザ・ギャザリング 統率者は、今まで使われていなかったデザイン領域にカードを作ったという点がもっとも重要だと言えるだろう。作られたカード全てがスタンダードで使えなければならないという規制の下では、ある種のデザイン領域を切り捨てなければならなかった。開かれた新しいドアの向こうは、デザインにとって非常に魅力的だった。これまで、スタンダードで使えないセット(アングルードとアンヒンジドである)をデザインした時にも、デザインにとって非常に魅力的な領域が見いだされており、後にスタンダードで使用できるセットにも採用されている。

増殖

 昨年は、もう一つ噴出油井を掘り当てている。メカニズムについて語るとき、これを、突き抜けたメカニズムと呼ぶことが多い。突き抜けたメカニズムとは、人気が出て、戻すかどうかを相談することを飛び越えていつ戻すかを相談するようになったもののことである。増殖は、作られた当時の環境において特定の役割を果たすために作られただけのメカニズムであった。このメカニズムの働く新たな状況を与える(詳しくは こちらを参照)ことで、より拡張できる可能性を見いだしたのだ。そして、増殖はそこから飛び立った。

 ここで、ある調査の結果を見てみよう。マジックオンラインでもっともプレイされているカードは何か、という調査である。それによると、増殖カードが上位に顔を並べている。私はカウンターやトークンが大好きで、私のセットにはいつでも大量にそれが入っている、というジョークがあるが、ここ数年に渡ったデータからの結果を見るとそれは私だけじゃなく諸君も同じようだ。どの環境で増殖が帰ってくるかについては確約できないが、戻すリストにはしっかりと刻み込まれている。カウンターやトークンをテーマとした(つまり私がデザインした)セットを作るたびに、戻すかどうかの検討をすることになるだろう。


 増殖メカニズムを他のメカニズムを使った似たようなものに分解してみるのは興味深い。私は3つに分解してみた。まず1つめに、カウンターやトークンは人気があると信じている。2つめに、マジックのプレイヤーは一般に、ゲーム内の他のものに影響を及ぼすことが好きで、カード間の相互作用がいい。3つめに、様々な局面で活用できるメカニズムは大人気になる。マジックのプレイヤーは探査することが好きで、何かをしろと言われるよりも何が出来るかを探せるもののほうがいいのだ。この教訓は将来のデザインに活かすことになるだろう。

2010/2011年の教訓

 ここまで、昨年のデザイン上の成功例を取り上げてきた。では、失敗点を見ていこう。

「陣営を選ぶ」問題

 プレイヤーを、相競い合う2つの陣営に分けるということは全体的には成功だったが、特にミラディンの傷跡だけでのドラフトで明らかになった、デザイン上の問題が1つあった。ミラディンの傷跡の陣営戦では、いくつかのルールがあった。

 1つめに、ブロックからのカードを受け取ったら、それをすかしで分類すると、その2つの束はほぼ同じ量になる。これは、1年を通してみたときに両方の陣営がそれぞれデッキを組める程度にするための措置だった。2つの陣営の量をほぼ同じにするために、第1セットではファイレクシア陣営のカードはかなり少なくなった。その結果、ファイレクシア陣営のカードはミラディンの傷跡では20%程度しか存在しなくなった。

 2つめに、ファイレクシア陣営にはドラフトで使えるデッキが数種類は存在するようにしたい。そのため、ファイレクシア陣営は数色に固められることになった。

 3つめに、ファイレクシア陣営の支配を感じさせるため、ブロックの進行に伴ってファイレクシア陣営のメカニズムを新しい色に広げていくことにした。つまり、感染と増殖というファイレクシア陣営のメカニズム2つが、最初はそれぞれ2色、1色に限定されていた。

 4つめに、感染がセットに強烈なフレイバーを与えていたが、感染は非常に主軸的なメカニズムであり、使うプレイヤーは大量の感染カードを入れなければならなかった。この問題への多くの不満は感染のせいになっているが、感染は感染の役目を果たしている。これは多くの要素のうち一つに過ぎない。

 これら全てがあいまって、このセットは望まない方向への引力を生み出していた。その引力の一つが、ドラフトで最強なのはさまざまな感染デッキだと証明したにも関わらず、カードプールが有限なために少数のプレイヤーだけがドラフトしたのでなければ使い物にならなかったということである。


 これは囚人のジレンマのようなものである。そのテーブルで感染をピックしていたのがただ1人(や少数)であれば、統計的に見て、そのプレイヤーの勝率はぐんと上がる。逆にあまりにも多くのプレイヤーが感染をピックしていれば、誰も強力なデッキを作ることができず、そのプレイヤーの勝率は下がる。

 2つの陣営というフレイバー全体としては気に入っているので、これはこれから解決しなければならない問題である。

「カラー・パイ無視」問題

 何年にもわたり、開発部はやけどの危険のあるデザインについて学んできた。大量のカードを引くこと、マナ・コストを無視すること、ストーム・メカニズムを持たせること、などなど。そしてそれらの中に、カラー・パイを無視すること、も加えられることになる。

 一般論として、私はファイレクシア・マナが好きであり、それを無色から有色に変更したのも、したがってこのような混淆を発生させたのも私である。思い返してみると、ライフの支払いでコストを代替していい効果についてはもっと渋るべきだった(ゲフンゲフン、《四肢切断》、ゲフンゲフン)

四肢切断

 この問題はファイレクシア・マナに限定されるものではない。デザイナーがカラー・パイに触れるとき、火遊びをしているようなものである。場合によっては必要なときがあることも理解しているが、その場合にもより慎重にならなければならないと切に思う。

「マローはファイレクシア贔屓」問題

 2つの陣営の対立というのはこのブロックの大きな部分であったので、私はプレイヤーがどちらの陣営を選ぶかに興味津々であった。どこで目にしたのか、誰が発言していたのかは忘れたが、「そりゃファイレクシアが勝つさ。マローのお気に入りで強いメカニズムは全部ファイレクシアに行ってるんだから」というようなコメントがあった。

 それを見た後、私は席に戻って考えた。いや、実際、否定できない部分はある。もちろん、ミラディン陣営には親和を持たせたいと思ったし、ミラディン人がかつて使っていた武器で戦うというのは良い考えだと思ったんだ、だが、最後には、ミラディン人にはファイレクシア人ほど魅力的なメカニズムがなくなっていた。

大修道士、エリシュ・ノーン

 これについて、いくつかの理由が挙げられる。1つめに、金属術。おもしろいものではあったが、感染や増殖のような深みはなかった。ただ大量のアーティファクトを使うだけだが、金属術カードのうちで強力なものには有色のものが多かったのだ。加えて、刻印は私が思っていた以上に再利用しにくいものになっていた。思い返せば、もうちょっと進化させてよりよいものにすべきだったと思う。

 ミラディン包囲戦で両陣営に新しいメカニズムが加えられたが、ファイレクシア陣営の生体武器のほうがミラディン陣営の喊声よりも魅力的だった。

皮剥ぎの鞘調和者隊の聖騎士

 私は、内省的で、それ以上に頑固なのである。金属術も刻印も喊声もいいメカニズムだと思うが、この一年を振り返って誠実に判断すると、確かに感染、増殖、生体武器に比肩できるものではない。次に2つの側に分けて対立させるときが来たら(いずれ来る)、強さだけでなくおもしろさ的にもバランスを取るようにする必要がある。

3つと目標

 さて、この年のデザイン上の良かったところ悪かったところを見てきたわけだが、ここで去年提起した目標について検討してみよう。

 その前に、例年やっている警告文を書いておこう。目標達成は故意にやっているというものではない(こうして語っているときにはもうデザインは終わっているのだ)。実際のことが目標に合っているかどうかは、諸君の判断にゆだねられている。我々は達成に向けて努力している。ここでチェックしているのは、狙ったとおりに行ったかどうかを判断するためである。

2011年度目標#1:ブロックを経験とともにする

 すでに去年の最大の成果として上げているとおり、合格だ。私は、マジックのデザインは客年のデザインが経験とともにあるという新しい時代に突入したと感じている。新しいメカニズムやカードをプレイするというだけではなく、新しい世界(やかつて訪れた世界)に足を踏み入れた諸君の目の前で、何かが起こるのだ。


 また、ここであらためて(各プレイヤーが陣営を選んだ)ミラディン包囲戦のプレリリースの成功を宣言しておこう。開発部にとっても、ウィザーズ社にとっても、これからの標準になることだろう。

2011年度目標#2:郷愁と改革を組み合わせる

 時のらせんの郷愁路線が一部の観客には好評で、一部には不評だったということについては何度も述べてきている。傷跡ブロックでの実験の一つに、知らないプレイヤーを白けさせない形で郷愁を利用する方法を探すというものがあった。

 郷愁と切り離した形で新セットの文脈を作ることで、(様々な分析指標から見て)成功したと感じている。ミラディン人とファイレクシア人の対立は、その両陣営について知らない人にとっても楽しめるものになっていた。郷愁は香り付けであって、土台ではなかった。


 また、それぞれが以前に持っていなかったメカニズム的な統一性を持たせることで、ミラディン人っぽさ、ファイレクシア人っぽさを出すことに成功したことにも満足している(これについてはミラディン人よりもファイレクシア人について成功していた)。

 全体として、この目標に関しては、改善の余地はあるものの合格と言える。

2011年度目標#3:毒の働きを証明する

 これは一番合否の判定がしにくい目標である。数の上では、毒(感染メカニズム、増殖メカニズム)は結果を残した。感染はミラディンの傷跡で最も評価されたメカニズムであり、増殖はそれに次ぐものである。どちらのメカニズムもよくプレイされており、よくトレードされており、どちらにも大量のファンがいる。では、何か問題があるのだろうか?

 問題は、毒があまりにも賛否両論であったということである。毒を好きなプレイヤーは本当に大好きであったが、その一方で毒を嫌うプレイヤーは心底嫌っていた。賛否両論を呼ぶことを忌避しなければならないとは思わないが、本当に賛否両論を呼ぶものにしなければならないのかどうかは検討が必要である。毒を嫌いなプレイヤーも楽しめるような形には出来なかったのだろうか?


 このことを長い間検討してきたが、結論としては、毒の実装は良かったものの、完璧とはとても言えないものだった、と言える。将来、毒が再び戻ってきた時には(今すぐではないが、いずれ戻ってくると信じている)、デザインは今回の決定全てについて検証する必要がある。マジックに毒を乗り越える手段があって良いのかどうかということも検討することになる。ライフと毒を全く違うものとして扱うべきかどうかという議論も必要だ。増殖のような、毒を強化するメカニズムはあるべきかあるべきでないかも検討することになるだろう。

 私が言いたいことは、毒には、大成功を収めたとは言えない程度のマイナス点がある、ということである。飛躍的な進歩は遂げたと信じているが、次にデザインされるときには傷跡ブロックでの処理全てが正しかったという仮定を置かずに始めることになるだろう。ということで、この点については補欠合格としておこう。

 合計点としては、デザインは合格2つと補欠合格1つ。悪い結果ではないが、より上を目指すことは出来る。それを踏まえて、来年への目標を提示しておこう。

2012年度目標#1: 傷跡ブロックを踏まえて、デザインの第5の時代を確立させる

 変更するときに一番難しいのは、変更することそのものではなく、その変更が持続できることを示すことである。何でも一度はうまく行くものだ。問題は、稲妻をもう一度瓶に閉じ込められるかどうかなのである。そして、これがイニストラード・ブロックの最初の重大な目標となる。デザインは、再びプレイヤーを旅路に招くことができることを示さなければならない。

 傷跡ブロックがミラディン次元での戦いを描いたものであったのと同じように、イニストラード・ブロックでは絡み合った物語をデザインを通して辿っていく。ただ起こっていることを眺めるだけでなく、それをプレイするのが諸君なのである。体感してもらうこと、それが最低限の目標となる。

2012年度目標#2: トップダウン・デザインがセットの中核になれることを示す

 サンディエゴ・コミック・コンで行なわれたマジック・パネルにおいて、私はイニストラードのことを「私がデザインした中で最もトップダウンなセット」と紹介した。そう呼んだ理由は、これが、私がデザインした中で、フレイバーがセットの中核をなす最初のセットだからである。ゼンディカーには冒険世界というテーマがあったが、セットの中核にあったのは土地であった。イニストラードは、ホラー性を最大化するようにデザインされている。

 この目標は単純なものだ。フレイバーに基づいたデザインでセットを作ったのがうまく行ったかどうかである。このセット(そしてブロック)が成功したか? 現在のセットに求められるあらゆる水準をクリアーしているか? それについて1年間で見ていこう。

2012年度目標#3: [メカニズムX]が働くことを示す

 昨年のデザイン演説はプレビューの後だったので、そのブロックのメカニズムについては自由に話すことが出来た。毎年、我々は少しばかり議論を招くようなメカニズムを導入し、プレイヤーが情熱的に語れるネタを提供している。イニストラードも例外ではない。この目標は、イニストラードのメカニズム、今日のところは「メカニズムX」としておくものについてである。

 メカニズムXが成功したかどうか? 受け入れられたかどうか? マジックのゲームをより良いものにしたかどうか? 我慢できない諸君のために、次回、このメカニズムXについて語ることにしよう。

デザインこれから

 今日の内容はこれで終わりである。去年のデザインを振り返ることが洞察に満ちたものであったことを祈る。去年のデザインについて、またそれへの評価について意見があれば、メールやツイッターなどで知らせて欲しい。

 それではまた次回、イニストラード(とメカニズムX)でお会いしよう。

 その日まで、誇りある仕事の喜びがあなたとともにありますように。

おっとおまけ

 おっと、おまけがあった。次回はイニストラードのプレビューなので、ここで前触れを出しておこう。これは(かつてウィザーズ社が発行していたマジック専門誌)デュエリスト誌の時代から続けてきたことだ。ここで言うことはすべて真実だが、真実すべてを言っているわけではない。それでは、これがイニストラードに入っているものだ。

  • 銀枠の白カードを元にしたカード
  • 過去のどのトークン生成呪文よりも多くのクリーチャー・トークンを生成するソーサリー(ただしXや生成数が変動する呪文は除く)
  • 全てのクリーチャーをコストを払わずに使えるようにするエンチャント
  • 13点のダメージを複数のクリーチャーに与えられる1マナ呪文(13点をそれぞれ与えるのだ)
  • 有名なホラーの物語に触発された、多くの(2、3枚ではない)カード群
  • 負けを勝ちにするカード
  • 2マナで毎ターン2/2クリーチャーを生成する2マナのクリーチャー
  • ライフ総量を、今まで交換できたことのないある値と交換するカード

それから......

  • 忠誠度能力を5つ持つプレインズウォーカー

 興味を持ってもらえれば幸いである。それではまた次回。


(Translated by YONEMURA "Pao" Kaoru)

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