やあ、みんな!「統率者戦フォーマット委員会(CFP)」代表のガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyだ。(統率者戦フォーマット委員会や所属メンバーについては、こちらを見てくれ!)

本日、私たちは統率者戦の新たなマッチメイキング・システムたる「統率者戦ブラケット」についてお知らせにきた。

昨年10月にお知らせした通り、私たちはこのシステムの作成と改良に取り組んできた!多くの時間をかけて反復工程を繰り返し、グループを設定した。まさにチームの努力の賜物だろう。ここでは、この新たなシステムと今後の展望について語っていこうと思う!

統率者戦ブラケットの詳細に入る前に、まずは大事なことを3つお伝えしておきたい。きっと本日の発表への期待を高めてくれるだろう。

その1!

統率者戦をプレイする人の多くにとって、大きな変化が訪れるわけではない。ブラケット・システムは厳密に突き詰めるものではなく、君たちはこれまで通り、友達との統率者戦を楽しめる。それでまったく問題ない!プレイグループの多くがそれぞれにとっての良い形を見出しており、それは素晴らしいことだ。

でも統率者戦は成長を続けていて、ゲーム店や大型イベントの場でも常に行われるようになっている。私たちは、みんなが良いゲーム相手を見つけられるように共通言語を作りたいんだ。

ゲームをプレイしようと席に着いたら、デッキのレベルが全然違ったという経験がある人は多いだろう。ブラケット・システムは、「10段階のデッキパワーによる分類」に代わる、より有用なシステムだと私は考えている。きっと、君が求める統率者戦のゲームを見つける助けになるだろう。

統率者戦に欠けていたことの1つは、プレイヤーそれぞれが望むゲームについて意見を交わす手段だ。このシステムは、それを伝える新たな言葉をもたらすだろう。もちろん「ルール0」はこれからもあり続けるから、「これ1枚以外はブラケット2なんだ。入れてもいい?」と交渉するのは大歓迎だ。会話を通じて決めるのが一番だよ!

その2!

このシステムでも(いやどんなシステムであっても)、実際に悪意ある行為を止めることはできない。ミスマッチなゲームをプレイしようと嘘をつく人がいても、それを防ぐことはできないんだ。それでも、多くの人は同じくらいのデッキとゲームを楽しみたいと思っており、このシステムはその一助になることを目指している。このシステムの活用方法はたくさんある。どうか自分にも一緒に遊ぶ人たちにも正直でいてほしい。

そしてその3!

これはベータ版であることを強調しておきたい。みんなからのフィードバックが大切だ。私たちはこのシステムに心躍らせているけれど、はじめから完璧なものができたとは夢にも思っていない。だからどうか、君の考えを聞かせてほしい。マジック:ザ・ギャザリング公式Discord内の統率者戦チャンネルがおすすめだけれど、他のソーシャルメディアでも歓迎だ。

それから、「MagicCon: Chicago」での反応も見てみるつもりだ!だからイベントに先がけて発表しておきたかったんだ。「MagicCon: Chicago」では、コマンド・ゾーンの一部がこのシステムのテスト席に指定され、CFPのメンバーやウィザーズのスタッフが立ち寄る予定だ。(もちろん、コマンド・ゾーンの大部分は従来通りのプレイ・スペースだ。)

それじゃあ、この3点を踏まえて統率者戦ブラケットを見ていこう!

統率者戦ブラケットの概要

統率者戦ブラケットは5つに分類され、それぞれ異なるゲーム体験を提供する。ブラケット1~3は、パワーレベルは異なるものの交流を楽しむブラケットだ。ブラケット4と5はよりハイパワーで、競技志向の対戦に焦点を当てている。

また、各ブラケットの説明において、ゲームに大きな影響を与え得る4つの要素についても案内する。「2枚無限コンボ」と「追加ターン」、「土地全体拒否」、「土地を探す以外のサーチカード」の4つについて、各ブラケットでどのように扱われるべきかをお伝えしよう。

「土地全体拒否」について少し補足すると、このカテゴリに属するカードには多くの統率者戦プレイヤーがフラストレーションを抱えている。そのため、それらのカードをブラケット1~3で目にすることはないと前もって言っておこう。

「土地全体拒否」には、プレイヤー1人につき4枚以上の土地を、それに代わるものを与えずに破壊、追放、バウンスしたり、タップ状態のままにしたり、生み出すマナの種類を変えたりするカードが属する。《ハルマゲドン》や《破滅》、《隔離》、《冬の宝珠》、《血染めの月》などが一例だ。基本的に、ブラケット1~3でプレイするなら土地やマナを生み出す手段を妨げるようなカードやゲームプランは使うべきでないだろう。

それから、「ゲームチェンジャー・カード」についても各ブラケットの説明にて言及される。この新たなカードリストはブラケットの説明の後に一覧を掲載するが、高ブラケットでの使用を目的としたカード群だ。

まずはブラケットから見ていこう。

5つのブラケット

5つのブラケット

ブラケット1:エキシビション

ゲーム体験:超カジュアルな統率者戦のデッキを投げ合おう!

ここでは勝利が至上命題ではなく、自分で作った珍しいものを披露する場となる。叫ぶ悪役が描かれたアートだけのデッキ? 4という数字で揃える? それとも「馬単」? どれを使ってもフェアなゲームを楽しめる!ゲームはゆっくり進み、長引きやすいだろう。

テーブルの上で繰り広げられるものを楽しむことに集中しよう!

デッキ構築:ゲームチェンジャー・カードは使用できない。意図的な2枚無限コンボや土地全体拒否、追加ターンもなしだ。土地を探す以外のサーチカードは少しだけに留めよう。

ブラケット2:コア

ゲーム体験:現代の平均的な構築済みデッキが「コア・レベル(ブラケット2)」に属すると考えるのが一番わかりやすいだろう。

ブラケット2のデッキには最適なカードが揃っているわけではないけれど、ビッグ・ターンや強力なエンジンが実現する可能性があり、ゲームの勝利を目指した構築がなされている。ゲームが前触れもなく突然終了することはなく、おおむね9ターン以上は続くが、派手な展開も予想される。このブラケットのデッキには、ゲームプレイの面では最適でなくとも、フレイバー面が合っていたり、プレイするだけで笑顔になれたりするカードが含まれる。

デッキ構築:ゲームチェンジャー・カードは使用できない。意図的な2枚無限コンボや土地全体拒否もなしだ。追加ターンは少しだけに留め、連続してターンを得たりループを発生させたりしないようにしよう。土地を探す以外のサーチカードは少しだけに留めよう。

ブラケット3:アップグレード

ゲーム体験:このブラケットのデッキは、平均的な構築済みデッキよりハイパワーな場で戦えるよう練り上げられたものだ。

採用カードは最適なものになるようしっかりと検討されて、組まれている。またゲーム展開も少し早く、コア(ブラケット2)のデッキより1~2ターン早く決着するだろう。そしてこのブラケットから、ゲームチェンジャー・カードを最大3枚まで使用できるようになり、デッキをさらに強化できる。もちろん、ゲームチェンジャー・カードが必須というわけではない。ブラケット3のデッキはゲームチェンジャー・カードがなくても構築済みデッキより強力に組めるからね!

ブラケット3では、6ターン以内に成立するような2枚無限コンボはあるべきでないが、ロングゲームの末にコンボで突然ゲームが決着することはあり得る。

デッキ構築:ゲームチェンジャー・カードを最大3枚まで使用できる。ゲーム序盤に成立するような2枚無限コンボはなしだ。追加ターンは少しだけに留め、連続してターンを得たりループを発生させたりしないようにしよう。土地全体拒否もなしだ。

ブラケット4:オプティマイズド

ゲーム体験:さあ、ここからは派手にいくぞ!

君ならではの最強のデッキやカードを持ってこよう。爆発的なスタートに、強力なサーチカード、ゲームを終わらせる手軽なコンボ、土地全体拒否、ゲームチェンジャー・カード、何でもござれだ。強力な統率者も相まって、ゲームはすぐに決着する可能性があるだろう。

このブラケットには、君がプレイしたいデッキの最高のバージョンを持ち込める。ただしトーナメントのメタゲームを考慮してデッキを構築するまでには至らない。どのような形であれ最適化された強力なデッキをまとめ上げ、その動きを堪能しよう。ほとんどの統率者戦プレイヤーにとって、ブラケット4が最強格のデッキとなるだろう。

デッキ構築:制限なし(禁止カードを除く)

ブラケット5:cEDH

ゲーム体験:このブラケットはハイパワーなだけでなく、高い競技性とメタゲーム重視の思想を持っている。

その「思想」こそがこのブラケットの鍵であり、統率者戦への取り組み方やデッキ構築に見受けられる。ブラケット5は、ブラケット4のように最も強力なカードを制限なく使うだけに留まらない。ここでは念入りにゲームプランを練ることが求められる。メタゲームやトーナメントの動向を注意深く追い、勝利のためにデッキ構築を妥協することもない。さらに、トーナメント運営に影響するような盤外での交渉(悪意あるプレイや譲歩をしないことなど)に特別な注意と配慮が求められる。

cEDHでは、勝利することが自己表現よりも優先される。お気に入りのカードや統率者はメタゲームに対応して置き換えられ、トーナメントで勝つ可能性が高いと思うものをプレイすることになるだろう

デッキ構築:制限なし(禁止カードを除く)

ゲームチェンジャー・リスト

「ゲームチェンジャー・リスト」とは?

上記のブラケット説明でもゲームチェンジャー・カードに言及があったね。これを新たに導入したかったんだ。ゲームチェンジャー・カードは、マッチメイキングやフォーマットの理解を大きく助けると私たちは考えている。

リストには、プレイヤーがリソースを独占したり、多くのプレイヤーが嫌うような変化をもたらしたり、ゲームを満足にプレイできなくしたり、特に強力なカードを効率的に探したり、カジュアルな方向から遠ざかる方針で組まれてがちな統率者であったりと、統率者戦のゲームを劇的に変えるカードが含まれる。また、以前に議論されたシステムと異なり、追加されるリストは1つだけだ。

加えて、これは一種の監視リストととらえることもできる。将来の禁止は《有翼の叡智、ナドゥ》のように新しいセットで登場しすぐに問題になったカードを除き、基本的にこのリストの中から行われることになるだろう。同じく、禁止解除されたカードもいったんはここに加わることになるだろう。これにより、禁止カードと恒常的に目にするカードの「中間」が生まれるのだ。また、このリストは私たちが監視しているカードを把握するのに役立ち、将来的に「突然前ぶりもなくカードが禁止された」と感じることもなくなるだろう。

そしてこのリストは、禁止解除を試したり、禁止という手段を取らずに出る杭を打ったりできる場でもある。カジュアルなテーブルではフラストレーションを集めるものの競技志向のプレイヤーにとっては問題ないカードが現れた際に、ゲームチェンジャー・リストに加えることでちょうどいい場所に置けるだろう。同様に、時を経て意見が変わり、このリストに入っているカードがカジュアルでも問題ないとなれば、リストから外すこともできるのだ。「Canadian Highlander」において、ときおりポイントが調整されるのに似ていると言えるね。

ここではっきりさせておきたいのは、現在このリストに入っているカードの多くは禁止される可能性が低いということだ。不安に駆られて《ガイアの揺籃の地》をトレードに出すのはやめよう。とはいえ、リストにあるカードはゲームを変えてしまうものであり、それらを相手にしたくないと思っているプレイヤーもいるということは伝えておこう。

ゲームチェンジャー・リストに入れるべきカードについては、有効かつ管理しやすいリストになるよう委員会全員で多くの議論を重ねた。そしてちょうど40枚のリストが完成した。(キリが良い数字なのはただの偶然だ。ゲームチェンジャー・リストは40枚と定められたわけではない。)統率者戦ブラケット(ベータ版)におけるゲームチェンジャー・リストの初期バージョンは以下の通りだ。

ゲームチェンジャー・リスト一覧

1 Drannith Magistrate 1 Enlightened Tutor 1 Serra's Sanctum 1 Smothering Tithe 1 Trouble in Pairs 1 Cyclonic Rift 1 Expropriate 1 Force of Will 1 Fierce Guardianship 1 Rhystic Study 1 Thassa's Oracle 1 Urza, Lord High Artificer 1 Mystical Tutor 1 Jin-Gitaxias, Core Augur 1 Bolas's Citadel 1 Demonic Tutor 1 Imperial Seal 1 Opposition Agent 1 Tergrid, God of Fright 1 Vampiric Tutor 1 Ad Nauseam 1 Jeska's Will 1 Gaea's Cradle 1 Underworld Breach 1 Survival of the Fittest 1 Vorinclex, Voice of Hunger 1 The One Ring 1 Trinisphere 1 Chrome Mox 1 Grim Monolith 1 Lion's Eye Diamond 1 Mox Diamond 1 Mana Vault 1 Ancient Tomb 1 Glacial Chasm 1 The Tabernacle at Pendrell Vale 1 Kinnan, Bonder Prodigy 1 Yuriko, the Tiger's Shadow 1 Winota, Joiner of Forces 1 Grand Arbiter Augustin IV

ゲームチェンジャー・リストに入るカードについては、ベータテスト期間中に寄せられるフィードバックを精査していくつもりだ。

まとめ

以上、統率者戦ブラケットの理念と目標をたっぷり語らせていただいた。でも簡単な概要を見たいという人も多いだろう!以下に今回の発表をまとめよう。

ブラケット1:エキシビション。超カジュアルで、勝利することよりも(ウェザーライト号の乗組員たちのような)テーマを中心に構築したデッキに焦点を当てる。ゲームチェンジャーや2枚無限コンボ、土地全体拒否、追加ターンはなしだ。土地を探す以外のサーチカードは少しだけに留めよう。

ブラケット2:コア。現代の平均的な構築済みデッキが属するパワーレベル。ゲームチェンジャーや2枚無限コンボ、土地全体拒否はなし。追加ターンを連続で得るのもなしだ。土地を探す以外のサーチカードは少しだけに留めよう。

ブラケット3:アップグレード。現代の構築済みデッキより強力なデッキで対戦するが、採用カードすべてが最適化されたものではなく、使用できるゲームチェンジャーの枚数も少しだ。ゲームチェンジャーは最大3枚まで、土地全体拒否と早い段階での2枚コンボはなし。追加ターンを連続で得るのもなしだ。

ブラケット4:オプティマイズド。ハイパワーのカードで派手にいこう!禁止カードを除くすべてのカードを使用できるぞ。

ブラケット5:cEDH。このブラケットでは、強力なだけでなくメタゲームやトーナメントの動向にも目を向けてデッキを構築する。禁止カードを除くすべてのカードを使用できるぞ。

「ゲームチェンジャー・リスト」には、統率者戦のゲームに多大な影響を与えるカード40枚が含まれる。このリストはカードを禁止することなく制限をかけられる「中間地点」のように機能し、将来的にカードが禁止解除された際もそこへ含まれることになる可能性が高い。このリストは統率者戦におけるパワーレベル上限を示し、今後の禁止カードはそこから選ばれる可能性が高い。

何か質問はあるかな?記事の最後によくある質問集を用意しておいたから、ぜひ最後まで読んでくれ!

でもその前に、今後の話をしておこう。

今後のロードマップ

今回の発表を終える前に、私たちが次に取り組んでいることやそれらの実装予定についても伝えておきたい。今後のアップデート予定が把握しやすくなるだろう。それじゃあ、舞台裏を見ていこうか!

まずは……みんなも実際に試してみて、意見を聞かせてくれ!私たちはすぐにフィードバックの収集を始めるつもりだ。特に「MagicCon: Chicago」での対面イベントで多くの人に試してもらえるのを楽しみにしているよ。このテストの結果によって、今後の展開は大きく変わってくる。

このブラケットシステムが大筋では問題なく機能するなら、「MagicCon」の閉幕後すぐに、構造的な変更を含む改修作業に入るつもりだ。それを念頭におきつつ、あわせて禁止解除の可能性についての議論も始める。ゲームチェンジャー・リストをうまく使うことで、カードを禁止解除しリストに加え、高ブラケットでのみ使用可能にできるのだ。

現在の目標として、このシステムを機能させたうえで4月の下旬にシステム全体のリリースと禁止解除をまとめて発表したいと考えている。昨年10月にもお伝えした通り、そのときにカードの禁止は予定していない。禁止解除の可能性があるだけだ。禁止解除が気になるなら、4月下旬の発表に注目してほしい。タイムラインに変更があれば、それもお伝えするよ。上記のスケジュールは、もちろんこのシステムがうまく機能する方向へ進むのが前提だ。

これらを滞りなく済ませたら、定期的なアップデートの体制づくりに取り組んでいくよ。

以上のヒントが、近いうちにやってくることを知る助けになれば幸いだ。

ベータテストへようこそ!

今回の発表を読んでくれてありがとう。そして、これをまとめるまで待ってくれてありがとう。

この場をお借りして、ガヴィンよりCFPメンバーの働きに感謝の念を伝えたい。メンバーたちは昨年10月にウィザーズが発表したアイデアに取り組み、実用的でわかりやすく、統率者戦プレイヤーを幅広くカバーするものへと昇華してみせた。すべての要素が全会一致で決められたものではないものの、重ねた議論はどれも見事で、メンバー各人の想いのかけらがこのシステムのDNAに刻まれているのが私には見て取れる。チームが一丸となる姿を見るのは本当に素晴らしい体験だったよ。

私たちが議論を尽くして作り上げたこのシステムを、どうかみんなに試してもらいたい。次回の統率者戦の機会に向けて準備を進めている方は、ぜひさまざまなブラケットのデッキを組んで試してみてくれ。

ブラケット・システムについては、さまざまな記事や動画、会話、公式Discordへの投稿、あらゆる場所で取り挙げられるに違いない。それらを見るのを楽しみにしているよ。

それではまた、シカゴで会おう!――統率者戦フォーマット委員会を代表して、ガヴィンより

統率者戦フォーマット委員会

Attack on Cardboard
Bandit
Benjamin Wheeler
Charlotte Sable
DeQuan Watson
Deco
Greg Sablan
Ittetu/いってつ
Josh Lee Kwai
Kristen Gregory
Lua Stardust
Olivia Gobert-Hicks
Rachel Weeks
Rebell Lily
Scott Larabee
Tim Willoughby
Toby Elliott

統率者戦ブラケットに関するQ&A

皆さんご想像の通り、ブラケット・システムの設計においては数多くの議論が交わされた。君にも疑問に思うことがあるだろう! そこで、この場をお借りしてよく聞かれるであろう質問に答えておきたいと思う。長文になるが、詳しく掘り下げたい方のために書いてあるので、システムを理解する助けになれば幸いだ!

このシステムは気に入らない!これ使わなきゃいけないの?

そんなことはまったくない。記事の冒頭でも述べた通り、このシステムを使わずとも大好きなゲームを楽しめているなら、それは素晴らしいことだ。もちろんそのままでいい。このシステムはあくまで、みんなが使えるツールの1つなんだ。

でも、もし君が良いマッチメイク方法を探しているなら、ぜひ試してみてほしい。

なぜ〇〇はゲームチェンジャー・リストに載っているのですか?

今回のゲームチェンジャー・リストのカードすべてについて、それぞれ選ばれた理由をお伝えしよう。

《悟りの教示者》《神秘の教示者》《悪魔の教示者》《吸血の教示者》《伝国の玉璽》《適者生存》:これらはサーチカードの中でもトップクラスの性能を持ち、コンボパーツを揃えたり、ゲームの再現性を高めすぎてしまう傾向がある。サーチカードについてはブラケットの説明でも言及されているけれど、この6枚は特別に取り挙げておきたかったんだ。

《ドラニスの判事》《敵対工作員》《三なる宝球》《Glacial Chasm》《The Tabernacle at Pendrell Vale》:これらは対戦相手がカードを使うのを効果的にロックし、フラストレーションを抱えさせやすい。

《金属モックス》《厳かなモノリス》《モックス・ダイアモンド》《魔力の櫃》《古えの墳墓》:これらは極めて強力なマナ加速カードであり、ゲーム展開を加速させてしまう。

《息詰まる徴税》《つるむ面倒》《リスティックの研究》《一つの指輪》《ジェスカの意志》《ボーラスの城塞》:これらはマナ・コストに対して圧倒的に多くのアドバンテージをもたらし、1人のプレイヤーを雪だるま式に有利にしてしまう。

《飢餓の声、ヴォリンクレックス》:これは土地否定に対する制限の延長だ。上述した土地否定の定義に完全に当てはまるわけではなく、他の土地否定カードよりは悪くないけれど、それでも低ブラケットからはしっかり距離を取っておきたいと私たちは考えている。

《ライオンの瞳のダイアモンド》《死の国からの脱出》《むかつき》:これらはコンボ・デッキや「ストーム」デッキで使われるカードであり、どのデッキに入れても強いわけではないものの、カジュアルなテーブルのパワーレベルや目標には合わない恐れがある。

《ガイアの揺籃の地》《セラの聖域》:これらの土地は大量のマナを生み出し、ゲーム展開を一気に加速させてしまう。

《タッサの神託者》:これはゲームの価値手段として最高クラスのカードであり、2枚コンボのパーツとして使われる。

《サイクロンの裂け目》:これは統率者戦においてすべてをリセットする最高クラスのカードであり、あまり楽しい展開にはなりにくい。

《召し上げ》:コストは重いものの、追加ターンや3つのパーマネントのコントロール奪取(誰も追加ターンを選択しなかった場合)の組み合わせは、それだけでゲームが決着することもあるほど強力だ。

《核の占い師、ジン=ギタクシアス》:これはリアニメイトやコストの踏み倒し手段で繰り出すカードとして最上のものであり、非常につまらない形で対戦相手のリソースを奪いながらこちらには無限のリソースをもたらす。

《激情の後見》《意志の力》:マナ・コストなしで唱えられる打ち消し呪文については、多くの議論を重ねた。それらはこちらが築いたエンジンを守れる強力な手段だ。《激情の後見》は手札を減らす必要もなく使えて、《意志の力》は統率者を含めあらゆる呪文を打ち消せる。これらのカードは自身のターンでも機能し、コンボを守るために使用されることも多い。《否定の力》については、クリーチャーでない呪文にのみ効果を発揮することと基本的には対戦相手のターンにのみ機能することを鑑みて、リストに入らなかった。

《眷者の神童、キナン》《虎の影、百合子》《軍団のまとめ役、ウィノータ》《アウグスティン四世大判事》《恐怖の神、ターグリッド》《最高工匠卿、ウルザ》:伝説のクリーチャーについては、リストに入れるとブラケット1と2では使用できなくなるため、最新の注意を払った。加えて、統率者はゲームが始まる前にわかることの1つであるため、「ちょっと待った、その統率者だけは勘弁して」と伝えることもできるだろう。しかしながら多くの議論を交わした結果、この6体の統率者はフェアな構築で使われることが極めてまれであると私たちは感じた。私自身、みんなが楽しめる《アウグスティン四世大判事》デッキを使う人は見たことがない。誰か1人はいるかもしれないけれど、そういう人はぜひ、テーブルを説得してみてくれ。先述した通り、「ルール0」は大歓迎だ。とはいえこれらの統率者はいずれも筋金入りで、例えばブラケット2では、ほとんどのプレイヤーに相手にしたくないと思われるだろう。ゲームチェンジャーの指定は、統率者として使う場合に限らない。これらのカードも99枚のうちに入ればずっと良くなる可能性はあるけれど、「統率者として使用する場合のみゲームチェンジャー」を区別しリストを作ることはしたくなかったんだ。これについて意見があったら、ぜひ知らせてほしい!

なぜ《太陽の指輪》はゲームチェンジャー・リストに載っていないのですか?

確かにこれもゲームチェンジャー級のマナ加速カードであり、《魔力の櫃》などと並んでいてもおかしくない。

その質問への答えは……《太陽の指輪》だからだ。これは統率者戦を最も象徴するカードなんだ。統率者戦が始まった当初からこのフォーマットの代表的な存在であり、《太陽の指輪》をデッキに1枚添えるのが、シェルドン・メネリー/Sheldon Meneryから受け継がれてきた作法なんだ。

どのデッキにも《太陽の指輪》を1枚入れることができ、デッキのパワーと速度を少し上げることができる。それはこれからも変わらない。

〇〇はゲームチェンジャー・リストに載せるべきです! なぜそうしないのですか?

私たちは他にもたくさんのカードを検討した。ぜひ君の考えも聞かせてほしい。完成版に向けた取り組みの中で参考にさせてくれ!

私の統率者がゲームチェンジャー・リストに載っている場合、どうなりますか?

ゲームチェンジャー・カードごとの選定理由の項目で説明した通り、低ブラケットにおいてはこれらの統率者のパワーレベルやフラストレーションを与える程度が並外れている。ゲームチェンジャー・リストに入った統率者は、そこでは使用できない。もし君のデッキにそれらのカードが入っていても「エキシビション(ブラケット1)」や「コア(ブラケット2)」に該当すると思うなら(例えば統率者は《最高工匠卿、ウルザ》だけれど、デッキのテーマは『兄弟戦争』のストーリーを語るものになっているとか)、まさに「ルール0」の出番だ。ともにテーブルを囲むプレイヤーたちに話をしてみてくれ。

「アップグレード(ブラケット3)」では、これらの統率者は3枚使えるゲームチェンジャーのうちの1枚となる。「オプティマイズド」と「cEDH」では使い放題だ!

ブラケットを5つにした理由は? 3つに絞れそうですが

確かに「カテゴリ」としては、「ゲームチェンジャーなし」と「ゲームチェンジャー少しあり」と「ゲームチェンジャーすべてあり」の実質3つだね。私たちもブラケットを3つにする案を検討する期間があった。でもその中で、いくつかのことが明らかになったんだ。

まず、構築済みデッキより低パワーの環境で統率者戦をプレイするのが大好きだというプレイヤーがいること。私は個人的に、このレベル帯があるのは素晴らしいことだと考えている。これまでの人生で純粋に面白おかしいだけのデッキを組んだことはなかったけれど、そういうデッキで対戦する「エキシビションマッチ」に「ブラケット1」という用語がついたおかげで、もっと作ってみたくなったよ!

逆に、cEDHの専門家である「Deco」やルア・スターダスト/Lua Stardust、レベル・リリー/Rebell Lilyと話をしていく中で、ハイパワーな統率者戦と「cEDH」の間には明確な差があると彼らは感じていることがわかった。その上で、cEDHは私たちが取り組んでいることをすでに実現しているという素晴らしい指摘もあった。その実績により、「cEDH」が正式に1つの分類となったのだ!

統率者戦のデッキの多くは、コアやアップグレード、オプティマイズド(ブラケット2、3、4)に分類されると私たちは見ている。それで何の問題もないけれど、エキシビションとcEDHのための枠を空けておくことが大切だと私たちは感じた。これがうまくいけば、それら(特にエキシビション)は時間をかけて成長していくことだろう。

私のデッキにはゲームチェンジャー・カードが入っておらず、厳密に言えばブラケット2です。そこでプレイするべきでしょうか?

各ブラケットの説明にもとづいて、プレイする場所を選んでくれ。例えばゲームチェンジャー・カードを1枚も使っていなくても、デッキパワーに制限をかけていないならブラケット4でプレイしよう!

ブラケット3でゲームチェンジャー・カードを3枚まで使える理由は?

私たちは、それぞれが持っているデッキやブラケット3に期待すること、ここにふさわしいと感じることなど、さまざまなことを話し合った。その結果、ゲームチェンジャー・カードが何枚か姿を見せることはあり得るが、そればかりになることは望ましくないと考えた。使用できる枚数は3枚、4枚、5枚を検討した。5枚と聞くとそこまで多くないように聞こえるけれど、ゲームチェンジャー・リストが40枚しかないことを考えると多かった!結論として、まずは少ない方から始めて感触を確かめようということになったが、これについてはぜひみんなの意見を聞きたい。

みんなのデッキにゲームチェンジャーが何枚入っているか話題になるのは、想像に難くない。だから誰かが「デッキにゲームチェンジャーが◯枚入ってるんだけど、いいかな?」と言ったら、それでいいか君たちで判断してみてくれ。

自分のデッキを正しく分類し、自分のブラケットを見つけることについて、どれくらい気を配ればいいですか?

多少は余裕があるよ。もちろん適切なブラケット内だけで対戦できるのが理想だけれど、ブラケットが1つ違うくらいなら基本的に安全だ。ブラケット2とブラケット3が戦うことになっても、大きな問題はないだろう。私たちが避けたかったのは、ブラケット2とブラケット4が対戦することなんだ。

このシステムを活用するにはどうすればいいですか?

私が心から楽しみにしているのは、ブラケット1~4のデッキをバッグに詰めて、どれでも対戦できるようにしておくことだ。そうすれば、さまざまな嗜好に合わせて色々なプレイヤーと対戦できるだろう!

しかしそれ以上に、統率者戦ブラケット・システムはプレイヤーのみんなにより多くの用語をもたらすことを目的としている。これにより「ゲームチェンジャー5枚入りだ。クールだろう?」という風なことを伝えられるようになり、より良いゲームを見つけられる後押しになるんだ。

なぜ連続で追加ターンを得ることに言及されているのですか?

追加ターン呪文は1枚だけなら派手で楽しいカードだ。しかしながら、追加ターンが繰り返し発生するようになると、多くの時間を1人のプレイヤーが独占してしまうことになり、他のプレイヤーはあまり楽しめない。追加ターンは、複数回重なるとコンボデッキのように機能し始める。4ターン連続で得るという「コンボ」は、誰も追いつけなくなるほどの差を生み出すのだ。

追加ターン呪文1枚だけなら安全だ。でも《トレストの密偵長、エドリック》デッキは、追加ターン呪文を連鎖させることを目指すデッキだよね。それは高ブラケットで頼むよ。

意図していなかったコンボや追加ターンを得る方法が偶然見つかったら?

「意図的」という部分には言っておくべきことがあるね。「意図的な」2枚無限コンボや「意図的に」追加ターンを連続で得ることに言及したのは、まさにそのためだ。私も意図しないコンボをデッキに組み込んだ経験がある。それは呪文をコピーできる手段を対戦相手から奪って、追加ターン呪文を唱えれば実現できた。デッキ構築段階で意図していたコンボと、ゲーム中に偶然成立したコンボには、大きな違いがある。

例えば、誰かがすべての土地をクリーチャー化し、その後別の誰かが全体除去を放てば、土地全体拒否が成立する場合もあるだろう。何であれ起こり得るんだ。マジックにはカードがたくさんあるんだから!でもそれを意図的に起こせるように構築したなら話は別だ。だから、簡単に成立する2枚コンボが偶然見つかっても、みんなで笑って受け入れてほしい。次のゲームからは抜いておこうね。

これは、昨年発表した「パワーレベルに応じたブラケット」と同じものですか?

このシステムは昨年発表したシステムの血統を受け継ぐものだが、ご覧の通り、異なる点も多くある。昨年の9月に発表したときに、そのとき進行中だった私たちの取り組みの舞台裏をお見せしたけれど、完成前に何かを見せるということは、それが変更される可能性もあるということだ。

デッキをブラケットごとに分けるという方向性は有用だったものの、CFPが掘り下げていくうちに、当時発表したシステムにはさまざまな課題があることがわかった。まず、そのシステムではチェックすべきリストが複数にわたり、負担が大きかった。それから、最高レベルのブラケット以外は高ブラケットのカードを1枚も加えられないという構造だった。

そのあと数多くの反復工程を経て、私たちは今回のシステムにたどり着いた。管理すべきリストは1つだけになり、ブラケット3でも高ブラケットのカードを少しだけ使える――それでこそ、多くの人がデッキを組むというものだ。

そして仕上げに、「パワーレベル」という言葉を冠するのをやめて、「統率者戦ブラケット」と呼ぶことにした。《剣を鍬に》や《対抗呪文》は極めて強力なカードだが、統率者戦のゲームではまったく問題ない。だから私たちはパワーレベルではなく望ましいゲーム体験に焦点を当て、そのゲーム体験を劇的に変えてしまうカードに注目したんだ。

マナベースについての言及が一切ありませんでした。何か指針はありますか?

マジックをプレイする上でマナの存在はもちろん欠かせないけれど、マナベースが原因でゲームが面白くなくなったり他のプレイヤーを困らせることはまれだ。このシステムの焦点はそこにある。ブラケットが上がればマナベースの重要性も高まり、より強固になっていくと予想される。「cEDH(ブラケット5)」のデッキは最高効率のマナベースを組み上げたいところだし、逆に「エキシビション(ブラケット1)」ではゲーム展開が遅くテーマ重視の戦いになるため、マナベースの強さは意識されないだろう。そのあたりに厳密なルールはないよ。

ゲームチェンジャーの中には《ジェスカの意志》のように最近の構築済みデッキに姿が見受けられるものもあります。でも構築済みデッキは「コア(ブラケット2)」であり、ゲームチェンジャーは使えません。このことは今後の構築済みデッキのデザインに影響しますか?

確かにブラケット2に属するのは、現代の平均的な構築済みデッキだね。しかしながら「平均的な」という部分を強調しておきたい。例えば『モダンホライゾン3』の統率者デッキやSecret Lairのデッキはそれに含まれず、それぞれ使える場所がある。

このシステムがどう受け止められるかによるけれど、今後の可能性はいくつか挙げられる。ゲームチェンジャー込みでプレイするために「ルール0」を用いるプレイヤーがいるのと同じように、構築済みデッキにぴったりなゲームチェンジャーなら受け入れられるであろうことは想像できるね。それから将来的にこのシステムが人気を集めたら、製品パッケージにブラケットが記載され、ときどきセットごとに異なるレベルの構築済みデッキが発売されるなんてこともあるかもしれない。「ブラケット1」のデッキが4種類発売される、テーマとフレイバーに満ちたセットとか、強力な「ブラケット3」のデッキ目白押しのセットとかね!

いずれにしても現時点では推測の域を出ないし、そういうことに取り組むのはまだ早すぎるけれど、再録の場は色々とあるよ。このシステムは、将来的にカードが世に出るのを妨げるものではない。構築済みデッキ収録の可能性も含めてだ。

これからゲームチェンジャー・リストに直行するカードをデザインし始めるということですか?

そんなことはないよ!ウィザーズは、このシステムを統率者戦のようなフォーマット向けにより強力なカードを作るためのツールだとは見ていない。これはマッチメイキングの助けになるツールであり、私たちが限界に挑戦するための口実ではないよ。

自分のデッキがどのブラケットなのか簡単にわかるオンラインツールはありますか?

これについては、みんながよく使うコミュニティ・ツールに組み込みたいと思っているよ!コミュニティ主導のフォーマットでは、そのコミュニティが誇る素晴らしいリソースを活かすのが大切だ。

特に人気を集めるデッキ構築サイトの「Archidekt」「Moxfield」、それからマジック関連の人気検索エンジン「Scryfall」には、前もってこのシステムの概略を伝えておいた。この記事が公開されて近いうちに、便利な機能が実装されるはずだ!

私はMagic Onlineで統率者戦をプレイしています。このシステムは私にも適用されますか?

「Daybreak Games」のMagic Onlineチームが、このシステムの実装に向けて取り組んでいるところだ。今後のお知らせに注目してくれ!

私が抱えていた疑問の答えがありませんでした! どこを見ればいいですか?

マジック:ザ・ギャザリング公式Discord統率者戦チャンネルを見てくれ。そこに他にもさまざまな質問が投稿されているよ!