エンジン構築
エンジン始動!
……いや、それとはちょっと違うかな。
ああ、今日は違う意味でのエンジンについてやっていこう。マジックが世に出たときから、その要素として存在し続けている要素についてね。最初のデッキ構築者たちが現れたのは、道具として石器が使われていた古き時代だ。彼らは、カードを集めてデッキとして機能させるためには何が必要なのか、模索していた。それを見つけ出した最初の人物は、人類が《火の玉》……じゃないな、火を発見した時のように感じただろう。
そう、これはコンボ・エンジンについての話だ。
今日は、コンボ・エンジンたりうるカードがどういうものかについて取り扱っていく。それはどんなカードか、それを確認する方法は何か、そしてそれを利用してゲームをぶち壊し、対戦相手を打ち砕くやり方について調べていこう。
ああ、それから途中で『霊気紛争』の新しくも刺激的なプレビュー・カードを紹介するよ。
先が気になるだろう? さあ、始めよう!
コンボ・エンジンを見つける
まず――コンボ・エンジンとは何を指している言葉だろうか?
プレイヤーが一般的にコンボ・エンジンについて言及するとき、そこにはエンジンを中心に構築されたデッキがあり、エンジンの部品として組み合わせて作動するカード群がある。その部品の心臓部となるカードのことをエンジンと言うわけだ。基本的に、カードをエンジンとして利用するなら、それはパーマネントであることが望ましい。戦場にずっと残り続けることで、エンジンを回し続けて効果を発揮させ続けたいからだ。
私はコンボ・エンジンとなりうるカードを見るたびに、すぐさま頭の中でパーツを組合わせてエンジンをかける手段を探し始める。いまいちだったり、思いがけない方法でコンボ・エンジンになる場合もあるが、かなり良いエンジンとなることもある。
エンジンとして扱えるカードは、どうやって探せばいいだろうか? そうだな、戦場に残り続けて独自の効果を発揮し続けるカードがあれば、それは良い第一歩だ。何らかの方法でリソース(訳注1)や効果を生み出し続けられるカードを探してみよう。優れたエンジンのほとんどは、その何かを何度も何度も繰り返して役に立ってくれるものだ。
(訳注1:リソース/資源。ゲームの中で他の要素のために消費・交換できるもの)
いくつかコンボ・エンジンの例を見てみよう。
《霊気池の驚異》はエネルギーと、エネルギーをつぎ込めるすごい手段、その両方を提供してくれる。これが単にエネルギーを繰り返し供給してくれるだけであっても、エンジンとして機能はしただろう。にもかかわらず、2つ目の能力もそれ自体強力なもので、プロツアー『カラデシュ』ではかなり使われたカードとなった。
何もかもをぶち壊しにしてきた過去のエンジンの一部品がこれだ。2マナ以上を生み出せる(例えば、《トレイリアのアカデミー》などの)土地か、コストを軽減して戦場に出す仕掛けでもあれば、土地をアンタップする効果で簡単にマナを増やせる。
これはその金切り音でゲームを壊すエンジンだ。アーティファクトやクリーチャーが戦場に出たときの誘発型能力を、なんでもコピーする。何と組み合わせればいいかは明白だ――あとは正しい組み合わせを探すだけでいい。
これは3マナの起動型能力を持つだけの地味なクリーチャーに思えるが、その能力を使えば戦場に出たときの効果を再利用できる。となれば、私ならまずは戦場に出たときにマナを生み出す方法がないか探したくなるね。そして驚くなかれ、《血統の観察者》と一緒に使えば、「クリーチャーが戦場に出たとき」と「クリーチャーが死亡したとき」の誘発条件を無限に満たせるんだ――よって、《ズーラポートの殺し屋》のようなものが一緒にあれば、その利点を簡単に生かせるようになる。
このすごいアーティファクトは素晴らしい永久機関装置で、使えば――
おっと! まだみんな知らないんだっけ? これが今回の『霊気紛争』プレビュー・カードさ!
英語のカード名にエンジンと入っているから(Paradox Engine)、というだけでなく、これがコンボ・エンジンとなる可能性にもあふれているのは間違いない。このカードはパーマネントとして繰り返し効果を発揮して、リソースを生み出し続けられる。これは前述した過去のカード、《パリンクロン》を想起させるものだ。
詳しく見ていこうじゃないか。
コンボ・エンジンを組み込む
よし、続きだ。それを中心にデッキを組みたい、コンボ・エンジンとなるカードを選んだとしよう。次は、それで何をやるべきなのか見定める時だ!
《パラドックス装置》の場合は、どうやればその効果から恩恵を受けられるかを見定める必要がある。何度も何度もアンタップすることを望む何かがあるだろうか?
ここでの選択肢はいろいろあるだろう。しかし私なら明々白々に思えるものから取り掛かる。そう、マナ能力だ!
《パラドックス装置》は、土地をアンタップしてはくれない――それはちょっと甘すぎるよね。しかし、マナを提供してくれるそれ以外のパーマネントをアンタップしてくれるのは、ゲーム的に妥当なところだろう。呪文を唱えれば、マナを生み出せるクリーチャーやアーティファクトがすぐにアンタップする――それはつまり、それらを必要な数並べるだけで、さまざまな呪文が無料で唱えられるだけでなく、唱えるたびにマナが増える可能性すらあるということだ!
この段階に来たなら、基本的にはスタンダードに含まれるセットのGathererを眺めて、関係のあるカード……今回の場合はマナを生み出すカードを探し出すのがいいだろう。私はすでにそれらを調査済みで、実際、良いカードはいくつもある。《耕作者の荷馬車》、《死天狗茸の栽培者》、《面晶体の記録庫》、それに《崩れた墓石》などはいずれも文句のない選択肢だろう。
よって、《パラドックス装置》と一緒にこれらをすべて詰め込んでマナの循環を生み出すのが、目指すべき方向性のひとつとなる。特に、どこかのターンで一気にコンボを決めようとするなら、《耕作者の荷馬車》のような出してすぐにマナを生み出すためにタップ可能なアーティファクト呪文を唱えることで、パーマネントを何度もアンタップしつつ生み出せるマナも増やしていけるようになる!
もちろん、もっと別の方向も考えられる。《パラドックス装置》と組み合わせると極めて危険なカードがあるんだ。
アーティファクトの束を引いたものから出していくのではなく、大量のトークンを並べるだけですぐにコンボを始められるのは良い条件だろう。
コンボすることについて言えば――どの方法を使うかはともかく、そのマナで何をすればいいだろうか? 呪文を連続して唱えるにはどうすればいいだろうか?
次の段階に進むいい時期じゃないかな!
エンジンルームの設計
エンジンを正しく設置して、動かし方も把握した。しかしまだ、コンボを動かすために必要な補助部品が果たして何なのかを見極める、という重要な仕事が残っている。
そこで、まずは質問から始めよう。「このデッキのコンボに必要なものは何だろうか?」
そうだな、まず、呪文を唱えるたびにマナを生み出す方法を手に入れた。それはマナを増やせるということでもあり、呪文を無料で唱えられるということでもある。となると、必要なのはもっとたくさんの呪文を手に入れることじゃないかな! 最終的に、ライブラリーのカードをすべて手に入れれば、すべてを唱えられるだろう。
当てはまるものの1つが、カードを引く呪文だ。デッキに十分な数のドロー呪文を用意しておこう。カードを3枚引く呪文を唱えれば、マナを増やしつつ次のドロー呪文が手に入るはずだ。そのたびにマナは増え、デッキを引き切るころにはマナ・プールに大量のマナが溜まっているだろう――ここまでくればゲームを終わらせる切り札を使う時だ。
コンボのフィニッシュを飾るカードとして定番のものを紹介しよう。X呪文はいかがかな?
大量にカードを引く関係上、ほぼ確実に手札に加わるだろうから、デッキには1枚か2枚だけあればいいだろう。
コンボ・エンジンを設置し、コンボを動かすのに必要な部品も解明した。どうやって勝つかも決まった今、いよいよデッキを構築する時だ! 《パラドックス装置》は、土地ではないマナ生成パーマネント、カードを引く手段、そしてそこから勝つための手段として少量のX呪文を必要としている、ということはわかっただろう。《面晶体の記録庫》のように、それらの役目を2つ以上にまたがってこなせるものがあれば、いずれもよい選択肢と言える。
それぞれの役割を正しい割合で組み合わせるには、時間がかかるだろう――しかしすでに《パラドックス装置》コンボ・デッキの骨組みはできている! 残りを埋め、そして調整していこう!
コンボとともに生きる
初お目見えとなった《パラドックス装置》と、コンボ・エンジンを中心としたデッキ構築について興味を持ってくれたなら嬉しいよ。
コンボ・デッキはそれぞれ、そのエンジンが持ち合わせる性質によって構築の仕方が変わってくるものだ。それでもこの土台となる考え方は、さまざまなコンボ・デッキを構築する取っかかりとして助けになるだろう。進め、そしてコンボせよ!
今回の記事について考えや意見があれば、ぜひとも聞かせてほしい! TwitterやTumblrで話しかけてくれてもいいし、あるいはBeyondBasicsMagic@gmail.comに英語でメールを送ってくれてもかまわない。いつでも読ませてもらうよ。
パラドックスが現実となるかもね。
Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)