『イニストラードを覆う影』のメカニズム

イニストラードを覆う影』で新登場(または再登場)するメカニズムについてマットが解説します。

プレインズウォーカーの皆さん、こんにちは。ゼンディカーへの旅が成功に終わったことを心から祝します。皆さんの旅の物語は、多元宇宙全体に広がっていきます。さすがは英雄です!世界全体を救ったのですから、充分満足すべき成果です。これから皆さんは、どこか落ち着いた次元に行かれてゆっくり休息されるのでしょうね。えっ、どこへ行かれるのですって?イニストラード?恐怖と死の暗き次元?あの、イニストラード?ううむ……皆さんの準備が整うよう、『イニストラードを覆う影』のメカニズムについて見ていかなければならないようですね。いいでしょう、その影が夢に満ちたものではないことは、ご存知ですね?

両面カード

恐ろしいものが別の恐ろしいものへと変身してこそイニストラードというものです。そこで、両面カードが再登場を果たします。両面カードには2つの面があり、裏面はありません。なんと!大部分において変更はありませんが、浮上した問題に対してルール上の変更をいくつか加えました。両面カードについてよくご存知なら、この節を読み飛ばして両面カードに関するルールの変更の節へ進んでいただいてかまいません。「なんと!」で行き詰まっているなら、把握が必要な内容について見ていきましょう。

(両面カードは英単語の頭文字を使って「DFC」と表現されることもあります。)

第1面と第2面はそれぞれの特性を持ちます。名前、タイプ、能力などです。両面カードが戦場にある間、オモテになっている面のみが参照されます。両面カードが戦場以外にある間、第1面(マナ・コストが記されている側)のみが参照されます。両面カードを唱えるときには、第1面を用います。つまり《神出鬼没な拷問者》を唱える際には、{2}{B}{B}を支払います。《陰湿な霧》として唱えることはできません。他の第2面についても同じです。呪文が解決されると、《神出鬼没な拷問者》が戦場に出ます。

両面カードの第1面は、そのパーマネントを変身させる能力を持ちます(第2面も持つこともあります)。両面カードが変身すると、もう一方の面に変わります。変身する両面カードは戦場を離れません。したがって、その上に置かれているカウンターは置かれたままで、それにつけられているオーラまたは装備品はつけられたままになり、それに与えられている影響も継続されます。それが攻撃またはブロックしているなら、依然として攻撃またはブロックしています。変身はパーマネントに「召喚酔い」を与えません。したがって、そのクリーチャーをあなたのターン開始時から続けてコントロールしているなら、それが変身したとしても攻撃することができます。(それがクリーチャーに変身したと仮定して、ですが!)《神出鬼没な拷問者》/《陰湿な霧》のように、ゲームの中で両面を行き来する両面カードもあります。また、変身が通常1度きりである両面カードも存在します。

チェックリスト・カード

非常に重要なこととして、デッキに入っているすべてのカードが裏面によって区別できないようになっている必要があります。現在では、ほとんどの人が不透明のカードスリーブを使ってこれを行なっています。両面カードと不透明のカードスリーブを使う場合は、問題ありません。しかし、特にリミテッドのイベントなどでは、スリーブを使わない人もいます。その場合は?

カードの名前を実際に消してしまうわけにはいきません。そのカードはそのカードで、まだ公開できないだけです。まだ公開したくないだけかもしれません。どちらも同じことです。

イニストラードを覆う影』のブースターパックには、チェックリスト・カードが入っていることがあります。コモン・アンコモン用のものと、レア・神話レア用の2種類があります。それらを、手札やライブラリーにある(あるいは、何らかの理由で裏向きで追放される)両面カードの代用として使うことができます。ックリスト・カードは、ゲームを始める前に、どの両面カードとして使うか印をつけ、デッキに入れて使います。チェックリスト・カードを使う場合は、実際にその両面カードを持っている必要があります。サイドボードと混ざらないようにしてください。戦場または墓地にあるときは、実際の両面カードを使ってください。それが手札に戻されたり、ライブラリーに混ぜ入れられる場合、再びチェックリスト・カードに差し替えます。チェックリスト・カードまたは不透明のカードスリーブ、あるいはその両方を使う必要があります。

両面カードに関するルールの変更

今回、まれに発生する問題に対処するため、両面カードに関するルールを3点変更しました。この節では少々細かいルールの話をしますが、すぐに「メカニズム記事の楽しいプレビューコーナー」に戻るとお約束しますよ。

1.点数で見たマナ・コスト

オモテになっている面の特性のみを参照するとお伝えしたのを覚えていますか?それは厳密には正確ではありません。新ルールにおいて、両面カードの第2面の点数で見たマナ・コストは、その第1面のマナ・コストに基づいたものになります。(以前は、第2面にマナ・コストが記されていなかったことから、その点数で見たマナ・コストはすべて0でした。)その例外として、何かが両面カードの第2面のコピーとなった場合、その点数で見たマナ・コストは0です。例えば《陰湿な霧》をコントロールしている場合、それにはマナ・コストはありませんが、その点数で見たマナ・コストは4です。その後、《陰湿な霧》のコピーが戦場に出た場合、その点数で見たマナ・コストは0です。

2.変身させた状態で戦場に出る

カードを変身させた状態で戦場に出す効果が存在します。つまり、それは第2面で戦場に出るということです。このセットから、両面カードではないカードを変身させた状態で戦場に出すように指示された場合、単にもとの領域に留まる、という新ルールを設けます。この変更はこのセットのカードにも影響を与えますが、マジック・オリジン』のプレインズウォーカーがよい例示となると思います。(これは「このセットには、今回の例示となりえるクールなカードが存在するが、まだプレビューされていない」という暗示でしょう。ええ、私も同感です。)例えば、《ヴリンの神童、ジェイス》をコピーしている《クローン》をコントロールしていて、墓地に4000枚のカードがある状態で「偽ジェイス」の能力を起動したとしましょう。もちろん4000枚は「5枚以上」なので、偽ジェイスは律儀に自分を追放します。そして変身させた状態で戦場に戻ってこようとしますが、追放領域でそれは両面カードではない単なる《クローン》です。両面カードではないため、戦場に戻ることはできずに追放領域に留まります。そこで引いたカードが良いものでありますように。なぜなら、そうでもなければ良いプレイとは言えないからです。

3.「変身の変身」はなし

今回の最もテクニカルな変更について、最後にお伝えしようと思います。新ルールは以下のとおりです。両面カードが起動型能力または誘発型能力でそれ自身を変身させる場合、そのパーマネントはその能力がスタックに置かれている間に変身していない場合にのみ変身します。どういうことでしょうか?例えば、《神出鬼没な拷問者》の能力を起動して、それに対応してさらにその能力を起動したとします。なぜ?カードをたくさん捨てたいからです。なぜ?もう少しです。落ち着いて。最初の能力を解決すると、それは想定通りに《神出鬼没な拷問者》を変身させます。しかし2回目の能力はそうしません。最初の能力によって、《神出鬼没な拷問者》はすでに変身しているからです。

昂揚

知られているように、イニストラードは暗い恐怖と死の世界です。そこで墓地に注目するのは自然なことでしょう。昂揚は新しい能力語で、あなたの墓地に4種類以上のカード・タイプがある場合に強化されるカードを強調します。昂揚能力にはさまざまなものがあります。ひとつは、《空翔る月銀の魂刈り》に見られるような起動型能力です。

墓地に存在しうるカード・タイプとは、「アーティファクト」「クリーチャー」「エンチャント」「インスタント」「土地」「プレインズウォーカー」「ソーサリー」「部族(古いカードに見られるカード・タイプ)」です。「基本」「伝説の」のような特殊タイプや、「吸血鬼」「装備品」のようなサブタイプを数えないようにしてください。4種類以上のカード・タイプがあるならば、カードの枚数は問いません。アーティファクト・クリーチャー1枚、インスタント1枚、プレインズウォーカー1枚でも条件を満たします。

これらのカード・タイプを墓地に置く方法については、伝統的なものがいくつかあります。戦闘でクリーチャーが死亡する、呪文を唱える、プレインズウォーカーがあなたの悪ふざけの果てに忠誠度を失ってしばらくの間墓地に居座ることにする……まあ、比喩が通じないこともありますね。また、《ねじれ地帯》のようにカードを墓地に置く方法もご用意しています。

インスタントやソーサリーの中には、墓地に4種類以上のカード・タイプがある場合に追加の効果を持つものがあります。そうでないものは、「代わりに」という言葉が強化された効果を表記するために使われています。解決中のインスタントまたはソーサリーは数に入れないことに注意してください。その指示に従って行動している間は、それはスタックにあり、墓地にはありません。

「調査を行う」と「手掛かり」

謎はイニストラード全土に広がっています。ちょうど私の書き物の奇妙な参考書のように。なんてこった!謎を解き明かすためには、手掛かりをたどり調査を行う必要があるでしょう。

彼女は友好的なようです。助けになってくれるでしょう!「調査を行う」は『イニストラードを覆う影』で登場する新しいキーワード処理です。それはとても簡単です。「調査を行う」とは、手掛かり・トークンを1個戦場に出すことです。手掛かりは新しいアーティファクト・タイプです。手掛かりは無色のアーティファクトで(青だと思われましたか?)、それぞれは「{2}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:カードを1枚引く。」の能力を持ちます。

検査官は少しの調査を行い、すぐにコーヒーブレイクを始めました。もしかすると、伝統的な調査の方法で、より信頼できる情報源であることが証明できるかもしれません。

多くの場合、皆さんは手掛かりを生け贄に捧げてカードを引くことになるでしょう。しかし、それらはアーティファクトなので、使い道は他にも見つかると思いますよ。

マッドネス

まったく新しく、かつてない『イニストラードを覆う影』の能力をめぐる旅、次はマッドネスです。再録された能力で、以前見かけた方もいらっしゃるでしょう。あなたがマッドネスを持つカードを捨てる場合、それを墓地に置く代わりに追放します。これにより、能力が誘発します。その能力が解決されると、あなたはその呪文をそのマッドネス・コストで唱えることができます。この方法でその呪文を唱えない場合、それは墓地に置かれます。ええ、正気ではないように聞こえますね。

以前のルールとのわずかな違いとして、カードを捨てる代わりに追放することは義務であることにご注意ください。かつては、マッドネスを持つカードを捨て、マッドネスの行動全体を飛ばして墓地に置くことができていました。これは、《ヴリンの神童、ジェイス》のようなカードに関連することがあります。このセットにはないカードなのに、この記事に何度も出てくるものですね。

マッドネス能力で呪文を唱えることのクールな点のひとつは、どのカード・タイプであるかを問わないことです。つまり、何らかの方法で対戦相手のターンの間にマッドネスを持つクリーチャー・カードを捨てるなら、それを唱えることができ、サプライズのブロック要員をつくることができるのです。その呪文のマナ・コスト、および点数で見たマナ・コストは変化しません。代わりにマッドネス・コストを支払うだけです。

マッドネスを持つカードを捨てる理由は問いません。《神出鬼没な拷問者》のようなカードの起動コストを支払う場合もあります。対戦相手が呪文を使ってあなたにカードを捨てさせることもあるでしょう。ターンの終了時に8枚以上のカードが手札にあることもあるんじゃないですか?理由を問わず、そのマッドネス・コストを支払ってそのカードを唱える機会があります。カードを捨てたいからといって、単に捨てることはできないことにお気をつけください。カードを捨てるように指示する何かが必要です。ただの風のせい、ではいけません。

おっと。大丈夫でした。《ただの風》にはそうせよと書いてあります。それなら問題ないですね。次は……

潜伏

ここまで、イニストラードは暗い世界だとお伝えしてきました……そう、私たちはその上に立っているのです。人目につくことをよしとしないクリーチャーもいます。それらのために、私たちは新しいキーワード「潜伏」を用意しました。潜伏を持つクリーチャーは、それよりも大きいパワーを持つクリーチャーにブロックされません。《遠沼の亡霊》の登場です。

おお……真っ暗な中に、かわいらしいものを携えていますね。潜伏については、これからブロックを宣言しようとしているクリーチャーのパワーのみを考慮します。《遠沼の亡霊》をパワー1のクリーチャーでブロックすることは適正です。その後パワーが増加しても、ブロックがやり直されることはありません。対戦相手ががっちりとした守りを固めていても、潜伏はダメージをこっそり通す効果的な方法になるでしょう。

楽しい狩りを!

今回は以上です。今回の『イニストラードを覆う影』のご紹介が、プレリリースやその先の準備の助けになれば幸いです。新規あるいは再録メカニズムだけでなく、皆さんのようなプレインズウォーカーが手ぐすねを引いて待ち構えている素晴らしいカードがたくさんあります。手ぐすね? ヒレぐすね? 突起ぐすね? 何でしょうね。私にはわかりませんが。