『エルドレインの森』のメカニズム
エルドレインの住民たちは侵略してきたファイレクシアの軍勢に打ち勝ちましたが、今、この次元には新たな問題が起きています。「忌まわしき眠り」と呼ばれる呪いがエルドレインに広がり、歯止めがかからないのです。『エルドレインの森』のストーリーでは、新たな覇王が王国に秩序を取り戻そうと努める一方で、彼の双子のきょうだいは自分の心に従い、治癒の魔法を探してかつてのエルドレインを取り戻そうとしています――そうすれば、誰もが幸せに暮らせるようになると信じて。
「おとぎ話」カード
今回のメカニズムへ飛び込む前に、「おとぎ話」カードを見てみましょう。全63種のボーナスシートには、人気エンチャントの数々が絵本をテーマにしたカード枠やアート、フレイバー・テキストで再録されます。
「おとぎ話」カードは固有のエキスパンション・シンボルと3文字略号(WOT)を持ちます。これらは他のセットでスタンダードに収録されたものを除き、スタンダードで使用できません。すでに使用可能なフォーマットでのみ使用できます。だから統率者戦では使えるでしょう。
シールドデッキのイベントで引き当てた場合は、カードプールに加えて使用できます。ブースター・ドラフトのイベントで引き当てた場合は、それをピックすれば使用できます。ピックしない場合は他のカードと一緒に次のプレイヤーに渡さなければなりません。
さて、『エルドレインの森』には新規カードも収録され、それらはさまざまなメカニズムを持っています。まずはあなたの「役割」を把握しましょう。
役割・トークン
この壮大な物語では、私たち全員が「役割」を演じます。役割・トークンは7種類の定義済みトークンであり、いずれもエンチャント(クリーチャー)を持つオーラです。7種のうち6種は、メインセット収録のカードから生成されます。そこに統率者デッキのカードが1種加わって全7種です。それぞれの役割が与える利点(1つは欠点)は以下の通りです:
- 呪われし者――エンチャントしているクリーチャーは基本のパワーとタフネスが1/1になる。
- 怪物――エンチャントしているクリーチャーは+1/+1の修整を受けトランプルを持つ。
- 王族――エンチャントしているクリーチャーは+1/+1の修整を受け護法 {1}を持つ。
- 魔術師――エンチャントしているクリーチャーは+1/+1の修整を受け「このクリーチャーが攻撃するたび、占術1を行う。」を持つ。
- ひねくれ者――エンチャントしているクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。このオーラが戦場から墓地に置かれたとき、各対戦相手はそれぞれ1点のライフを失う。
- 若き英雄――エンチャントしているクリーチャーは、「このクリーチャーが攻撃するたび、これのタフネスが3以下である場合、これの上に+1/+1カウンター1個を置く。」を持つ。
- 聖者(統率者デッキ収録)――エンチャントしているクリーチャーは、あなたがコントロールしているエンチャント1つにつき+1/+1の修整を受ける。
クリーチャー1体に同一のプレイヤーがコントロールしている役割が2つ以上つけられる場合は、そのクリーチャーには最新の役割がつけられ、同一のプレイヤーがコントロールしている他の役割は墓地に置かれます(そして役割はトークンであるため、存在しなくなります)。この挙動を正確に把握するため、いくつか例を挙げましょう。
例1:あなたはクリーチャーを1体コントロールしており、それにひねくれ者・役割・トークンをつけました。はい、ここで邪悪な笑い!そしてゲームが進み、あなたはそのクリーチャーに怪物・役割・トークンをつけました。邪悪な咆哮を上げれば良いのでしょうか?この場合、怪物が最新の役割となるので、怪物・役割・トークンが戦場に残り、ひねくれ者・役割・トークンは墓地に置かれます。咆哮を上げましょう!
例2:あなたは怪物・役割・トークンがつけられたクリーチャーをコントロールしています。咆哮を上げましょう!そこへ対戦相手が、呪われし者・役割・トークンをつけました。咆哮が小さくなるのでしょうか?この場合、つけられている役割・トークンのコントローラーが異なるため、そのかわいすぎる小さな怪物につけられたまま両方戦場に残ります……心優しき怪物はだあれ?あなたです!
例3:ピクルスくん(例2の小さな怪物に名前をつけました)にはその後、王族・役割・トークンがつけられました。これが怪物・役割・トークンに置き換わり、怪物・役割・トークンは墓地に置かれます。ですが呪われし者・役割・トークンは違うプレイヤーにコントロールされているため、そのまま残ります。呪われし王子ピクルスは、つらいことをたくさん経験してきました。おひるねが必要ですね。
協約
エルドレインは不思議な次元で、ときには取り引きも必要になります。「協約」は、呪文を唱えるための追加コストとしてアーティファクトやエンチャントやトークンを生け贄に捧げることができる、新たな能力です。わくわくしますね!もちろん、何かを捧げれば見返りもありますよ。
《やんちゃなアウフ》のようなパーマネント呪文の場合、基本的には「協約」することの見返りは戦場に出たときの誘発型能力の形で得られます。この呪文を協約しないことを選んだ場合は、単純にその能力が誘発しません。
協約持つインスタントやソーサリーは、取り引きに応じてさまざまな見返りを得られます。「代わりに」と書かれていたら、その呪文は協約しない場合より強力な効果を発揮するでしょう。
テキスト欄の最後の行についてはご注意ください。パーマネントを追放する置換効果は、《塔の点火》を協約してもしなくても発揮されます。「代わりに」と書かれていない呪文については、協約することでその呪文の基本効果に追加効果が付与されることが多いです。
それから、協約を持つカードの中には唱えるためのコストを少なくするものもあります。手放してもいいアーティファクトやエンチャント、トークンがあるなら、協約が良い取り引きをしてくれますよ。
祝祭
ファイレクシアは去りました!寝ている暇はありませんよ!(なんで皆さん寝ているんでしょう?) 祝祭を開きましょう!「祝祭」は、1ターンの間に土地でない2つ以上のパーマネントがあなたのコントロール下で戦場に出た場合の能力を表す、新たな能力語です。
土地でない2つのパーマネントが同時に戦場に出る必要はありません。また、それらが戦場に出た後にどうなっても問題ありません。戦場からいなくなっても機能しますし、コントロールが他のプレイヤーに渡っても機能します。何かしらの方法で土地になっても機能します。戦場に出るときに土地でないパーマネントであり、あなたのコントロール下であり、少なくとも2つ目であれば、祝祭能力は喜んで効果を発揮するのです。《パーティー破り、アッシュ》の場合は、自身もパーマネントとして扱うことができますね。
なお、すでに戦場にあるパーマネントのコントロールを得ても、そのパーマネントが戦場に出たことにはなりませんので、ご注意ください。それから、あなたがコントロールしている土地を土地でないパーマネントに変えるのも楽しいですが、祝祭は機能しません。
出来事
エルドレインはさまざまな出来事に満ちた次元であり、当事者カードが再び登場するのも驚くことではありません。このセットに収録されるパーマネント・カード(ほとんどはクリーチャーですが、他のパーマネント・タイプのカードもあります)の中には、カードの左下側に「出来事」を持つものがあります。出来事は固有のカード名やマナ・コスト、タイプ行、ルール・テキストを持ちます。どの出来事もインスタントやソーサリーです。
例えばこちらのカードを唱えてみましょう。あなたはこれを、《恋に落ちた騎士》として唱えることも《獣との婚約》として唱えることもできます。どちらで唱えるにしても適正なコストを支払えば、通常通りスタックに置かれます。それは多くの呪文と同様に、打ち消されたり対応されたりします。《恋に落ちた騎士》を選んだ場合は、呪文が解決されるとあなたのコントロール下で戦場に出ます。
出来事として唱えるのもほとんど同じです。《獣との婚約》はスタックに置かれますし、あなたがその対象を選びます。コストを支払ったら、運命の行く末を見守りましょう。無事解決されたら、書かれている通りに処理します。ですが物語はここから面白くなってきます。そのカードは墓地に置くのではなく、追放します。そしてそれは「進行中の出来事」となります。わくわくしますね!
「進行中の出来事」となったカードは、追放領域からパーマネント呪文として唱えることができます。出来事として唱えたターン中でも、以降のターンでも唱えられます。ただし、これは出来事呪文が解決されて、それにより追放された場合にのみ機能します。例えば《獣との婚約》を唱えたものの、(打ち消されたり対応して対象がいなくなったり)何らかの理由で解決されなかった場合、そのカードは墓地に置かれ、《恋に落ちた騎士》として唱える機会は失われます。
出来事を持つパーマネントが戦場にある間は、出来事の部分に書かれていることはすべて無視します。そのカードが出来事として唱えられた後にスタック上にある場合を除いて、他のどの領域にある場合も同じです。これは特に、《退廃的なドラゴン》のような異なる色の出来事を持つカードにとって重要でしょう。《退廃的なドラゴン》は、戦場にある間はマナ総量4の赤のクリーチャーです。それが手札やライブラリー、墓地にあるときは赤のクリーチャー・カードです。しかし《贅沢な嗜好》として唱えた場合は、マナ総量3の黒のインスタント・呪文となります。
ローズウォーターがどんなワイルドなだじゃれを使うかわからない……こっちもワイルドにいってみる?それが無難だね
さあ、古い絵本のほこりを払い、エルドレインを再訪するときです。見るべきものはたくさんあって、眼福とはまさにこのことです……開いたままにしておければの話ですが。『エルドレインの森』の各種製品は、お近くのゲーム店やAmazon、その他マジックを取り扱う場所にて予約受付中です。それでは皆さん、プレリリースでお会いしましょう