議員は特権階級

更新日 Feature on 2006年 1月 18日

By Zvi Mowshowitz

Translated by Yoshiya Shindo

 今回は、僕の担当するプレビューカードは1枚だけだから、その意義があるものにしたかった。ぱっと見たところ。オルゾフは最強ギルドには見えなかった。クリス・ピキュラ(Chris Pikula)はオルゾフの匂いのするデッキでレガシーを戦えることを証明したけど、白黒デッキは赤緑ビートダウンや赤青の呪文満載デッキほどピンと来るものじゃない。それに、そのカードを組み合わせたときの戦略も明確じゃなかったんだろう。でも全体像が見えたとき、このギルドの意義がはっきりしてきたんだ。今回の僕の役割は、その全体像のもっとも重要な一ピースを紹介することにある。

 僕はこれまで様々なセットで様々なカードのレビューをやってきたけど、それらは全部憶測だった。そいつの強さとかゲームでの役割を知る唯一の方法は、デッキに入れてどうなるか見ることだけだ。で、全部終わったらそれの報告をすればいい。僕にとって幸いだったのは、今日紹介するカードやオルゾフギルドに関しては、僕は実際にそれをやってきたってことだ。ほとんどの金枠カードは融通が利くから、様々な戦略にあわせることが可能だ。しかし、それがぴったり来る場所に収まれば、特別な価値が出てくる。そうすれば、それは色の組み合わせ全体に対する戦略の基盤を形成する旗手となり、その色のマナ・コストにも同様の焦点による恩恵が与えられるんだ。僕が自信を持って言える事は、このカードは最強だし、オルゾフギルドを使う最も重要な理由――ただし唯一の理由ってわけじゃ全然ない――になるだろうってことだ。

 ギルドパクトのデータが調整に回される少し前に、僕はそれを目にする機会にあずかれた。僕がこのカードを見たとき、僕にはこのカードの強さに思い至れなかった。《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》は、敵に回すと見た目よりも遥かにイライラが溜まるカードだ。唯一の弱点はそのマナ・コストで、そのため他の色の組み合わせでは適切に使うことができない。このカードはコストに比べれば非常に強力で、が夢物語に見えるデッキで《召喚の調べ/Chord of Calling》からこのクリーチャーが出てきたのすら見たことがある。たしかにこれは伝説のクリーチャーだけど、僕は白黒クリーチャーデッキに問答無用で4枚入れるね。

 そもそも、《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》は4マナ4/4と強力な数値で、それに互いに噛み合った二つの能力を持っている。おかげでプレイヤーは、《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》が呼び出されたら椅子に深々と腰をおろせることになるんだ。文字通り、どっかり腰をおろしてふんぞり返ってればいい。というのも、《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》を除去しようと思ったらかなりの手間と面倒をかけなければならないし、それをやってる最中も、《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》はライフをどんどん奪っていくのさ。プレイしたところでライフを1点吸うのも悪くはないけど、この能力の真の力は、複数回誘発できることにある――そしてその脅威が繰り替えすんだ。

 《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》の二番目の能力が実に強力なのはそういった理由だ。クリーチャーを1体生け贄に捧げれば、《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》はほとんど全部の除去から身を守れるし、戦闘でも生き延びることができる。能力を使うことで、《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》に実質的に警戒を与えることもできる――そしてブロックで死ぬようなら、また能力を使えばいいだけだ。実際にこれを殺そうと思ったら、相手にできることは君の《闇の腹心/Dark Confidant》とか《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》とかギルド魔道士とか、とにかく周りをうろうろしてる生け贄の羊を全滅させなければいけない。フェアにやらなくちゃいけないなんて誰が言ったんだ? 《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》で出てきたトークン(まあ他でもいいけど、プレビューカードは順番にいかなくちゃ)を生け贄に捧げてもいいし、《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》を生け贄に捧げてもいいし、憑依効果を誘発させてもいいだろう。

 オルゾフギルドにとっての鍵は、すべてのピースをきっちり組み合わせることだ。《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》はプレイするためのマナと使い捨てのクリーチャーのいるデッキなら何にでも入るけど、他のオルゾフの道具箱が揃っていればさらにずっと強くなる。その道具箱の中には、ほとんどすべての問題を処理するものとか、互いに互いの道具を助けるものとかがある。クリーチャーを生け贄に捧げるたびに《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》は役立ってくれるし、そうすることでさらに生け贄に捧げたり憑依カードを使えるようにしたりできる。それに、自分の憑依カードのタイミングを調整することすらできる。大切な《闇の腹心/Dark Confidant》が思ったほど使えない状況になってきたら、彼のために見繕った霊議会の椅子を渡すこととしよう。あっちだっていつも新しいメンバーを探してることだろう。

 このカードは本物だよ。これが他のギルドに対して何ができるかを見てみよう。

 世間では、グルールの素の強さにどうやったら対抗できるんだろうって懸念が上がってるらしい。確かにグルールには、サイズに対して群を抜いて軽いクリーチャーが数多く並んでいるけど、ぶん殴るばかりが生きていく術じゃない。一直線で怒れるグルールデックが一番見たくないものは、オルゾフの手練手管に長けた面々だろう。向こうはどうやって《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》に攻撃を仕掛け、どうやってこいつを除去するつもりなのか? 一方で、オルゾフ側は若干残っている脅威を排除しつつ、ライフを吸い取ってバーンの射程から逃れればいい。《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》が《極楽鳥/Birds of Paradise》や《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》を除去してくれるおかげでカードアドバンテージも取れる――おそらくここ数年で最強のサイドボードになってくれるだろう。向こうがデカブツまでたどり着いても、大物に対する除去は黒や金や、さらには白にまで揃っている。グルールやボロスが大量の小物で攻めてきても、同じように防御を固めればいい。向こうは攻勢に出てゲームに勝とうとするだろうけど、君にも強い1マナクリーチャーの選択肢がいくつかあるし、2マナクリーチャーになればさらに上質なものが手に入る。そうすれば、中盤戦でのペースはこっちが握れるだろう。

 イゼットデッキが君とまともに戦うためには、大幅なカードアドバンテージを稼いでおく必要があるだろう。君のクリーチャーは存在しているだけで向こうにとっては突きつけられた短剣みたいなものだ。《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》をどうにかできなければゲームはそれで終わりだし、《闇の腹心/Dark Confidant》も同様だ。《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》も何とかかわさなくちゃいけない類のものだ。《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》はスタックにあるうちに対処しなければ手遅れになる。ディミーアやその他のコントロールデッキも同様の問題を抱えている。ゴルガリは弱点を見せることはないが、全面的に防御に回る羽目になるだろう。

 そして、世界選手権を獲得し、現在最強の一つとして頭角を現し始めた“ガジーの輝き”デッキやそのバリエーションに代表されるセレズニアだ。おそらく、これも対処することは可能だろう。カードアドバンテージを稼げるクリーチャーは何体かいるし、こちらは最悪の問題となるカードに対するカードがメインデッキからあるのに対し向こうにはそれが無い。また、2ゲーム目や3ゲーム目には、大量のサイドボードカードが仕事を終わらせれくれるだろう。苗木軍団が収拾がつかないレベルになっても、それに対する回答がこちらのデッキには普通に存在するわけだし。

 《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》は、本来持つアドバンテージに加え、色々な意味で真にゲームを勝たせてくれるカードだ。君のクリーチャーが1体死ぬ毎に、ライフは2点差がつくんだから。向こうが低くなるライフをどうにもできないんなら、普通に殴って勝ってもいいし、《制圧の輝き/Glare of Subdual》のロック下でも相手を殴りきる事だって可能だろう。相手が地上で攻撃してくれば、君はその内2体をブロックすることもできる、タフネスが5を越えないクリーチャーならトークン1個で除去ができる。向こうが《神の怒り/Wrath of God》を撃ってきても、君はパワー4を場に残すことができるし、《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》はそれをさらに悪い事態にしてくれるだろう。1マナクリーチャーは古き信心深き者達から新型兵器まで強いのが揃っている。白のクリーチャーデッキは2マナクリーチャーとは向かい合いたくないだろう。強力な3マナクリーチャーも2体いるし、4マナまで来れば相手は虫の息だ。

 もう一つ示しておきたいのが、いつでも好きなときにクリーチャーを生け贄に捧げられる能力が、今日では見た目よりもより価値が高いってことだ。例え君が自身の能力を悪用するつもりが無くてもだ。《稲妻のらせん/Lightning Helix》や《不忠の糸/Threads of Disloyalty》のように単純に有効性が下がってしまうカードもあるけど、中でも大きな一枚が《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》だろう。君のクリーチャーにダメージが与えられなければカウンターは乗らないんだ。わかっているプレイヤーは一年以上《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》で実践済みだろう。対処しなくちゃいけない新たな強力武器のお出ましだ。

 それじゃ、この類のカードとどう戦ったらいいんだろうか?

 オルゾフが自分の得意なやり方で優位に立っているように、君も君の得意なやり方で優位に立てばいい。僕はこの闇の商売人が唯一ゲームでかつ方法だなんて宣言するつもりは無いし、こいつが環境を席巻するだろうなんて言うつもりも無いけど、危険を覚悟で剣を交えるように。戦争は市場で決まってしまうこともあるし、オルゾフは取り引きでは常に一枚上手のようだからね。

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