告知日:2016年4月4日

発効日:2016年4月8日

「Magic Online」発効日:2016年4月13日

モダン

ウギンの目》 禁止

祖先の幻視》 禁止解除

弱者の剣》 禁止解除

ヴィンテージ

磁石のゴーレム》 制限

 制限カード、禁止カードのフォーマット別一覧はこちら。モダンの禁止カード一覧はこちら。ヴィンテージの禁止制限カード一覧はこちら

次回禁止制限告知:7月18日


変更についての説明

 新セットの発売が近づき、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは各トーナメント・フォーマットのイベント結果を検証し、フォーマットの均衡が大きく崩れている場合、あるいはゲームの多くから駆け引きが失われていた場合には、我々はその原因を検証します。

 今回の変更は以下のとおりです。

モダン

 プロツアー『ゲートウォッチの誓い』以来、エルドラージ・デッキがモダンのイベント環境を支配し続けています。そのプロツアーでは、エルドラージが優勝したジャアチェン・タオ/Jiachen Taoのデッキなど、トップ8デッキのうち6つで採用されていました。3月6日の週末に、モダンのグランプリがメルボルン、ボローニャ、デトロイトの3箇所で開催されましたが、トップ8に入賞した24人のうち、優勝者2人を含む14人がエルドラージ・デッキを使っていました。

 「Magic Online」の結果も似通ったものでした。エルドラージ・デッキが蔓延し、フォーマットは完全に均衡を失って、トーナメント・デッキの健全な比率からは大きく離れていました。

 エルドラージ・デッキには強力なカードが多く含まれていますが、強力な動きは《エルドラージの寺院》と《ウギンの目》からのマナ加速によるものです。複数のクリーチャーを禁止するよりも、土地1つを禁止するほうが望ましいとわかりました。そこで私たちは、禁止しない土地を使って、デッキを組む方法、プレイする方法を検証して選択を行ないました。

 《エルドラージの寺院》を禁止して《ウギンの目》を残した場合、デッキは複数の低コスト・エルドラージを毎ターンプレイすることに焦点を当てたものになりました。エルドラージそれぞれ2マナ軽くなるということは、ターン内に4マナ、あるいはそれ以上軽くなることになります。デッキはさらに爆発力を持ち、1種類の構成に集中することになり、そして強力なカードは駆け引きを失わせることになります。

 《ウギンの目》を禁止して《エルドラージの寺院》を残した場合、マナは多様なデッキの構成を支援することになります。《エルドラージの寺院》2枚でマナを大量に出すプレイングが発生することがなくなるわけではありませんが、引ける《エルドラージの寺院》が1枚だけという状況が多くなり、強力ではあるが倒せないほどではありません。

 《ウギンの目》を他のデッキ、特に《ウルザの魔力炉》などの土地を使う「トロン」デッキで使う場合についても検討しました。《ウギンの目》はそのデッキで終盤の戦力を増やしていますが、そのデッキの核となるゲームプレイ、つまり大型クリーチャーをトロン・ランドから唱えるというプレイは何も影響を受けません。《ウギンの目》を禁止することがトロン・デッキにも影響を与えるのは残念なことですが、様々な影響を計算に入れた上で、エルドラージの脅威を解消し、モダンを全体として楽しいものにするための正しい解決策だと考えています。

 こうした理由から、《ウギンの目》をモダンで禁止します。

 『戦乱のゼンディカー』と『ゲートウォッチの誓い』のデベロップ中、デベロップ・チームはブロック内のエルドラージ・クリーチャーがこれらの2マナ土地によってモダンでは強力になる、ということを把握していました。エルドラージ・デッキが強くなりすぎるリスクはありましたが、新しく楽しいトーナメント・デッキが登場する可能性がありました。プロツアーでは、エルドラージをプレイしていたのは参加者の8%で、感染と同程度でした。バーンや親和のほうが多かったのです。ほとんどのプロ・プレイヤーにとって、エルドラージ・デッキが強すぎるということ、それどころか他の選択肢と同じぐらい強いということは明らかではなかったのです。このような広いフォーマットでは、デッキがどの程度強いかを高レベルなイベントが行われる前に知ることは非常に難しいのです。そして、多くのプレイヤーにとってマジックの楽しい部分は、プレイを見ることにあります。究極的には、プロツアーやグランプリの結果が示す通り、エルドラージ・デッキは強すぎ、フォーマットに不健康な影響を与えています。

 また、私たちはフォーマットの豊かさを向上させられるカードを禁止リストから探しています。現在、このフォーマットはアグロ・デッキや高速コンボ・デッキに寄っています。私たちは、遅いデッキでうまく働くカードを探しました。

 モダンの禁止リストを最初に作った時点では、私たちは同様のフォーマットを支配していたデッキを警戒し、それを用いて手順を進めました。これらのカードがさらなる問題を起こす危険性はありますが、私たちはそのリスクを小さいと判断しました。これらのカードを解禁してもトーナメント・レベルのメタゲームには何も変化が生じない場合もあります。その場合、そのデッキをプレイすることが好きなプレイヤーは新しいデッキを手に入れることになります。

 《祖先の幻視》は非常に効率よくカードを引くカードです。歴史的に、これは続唱メカニズムを使ったデッキで強力でした。それらのデッキでは、デッキから即座に《祖先の幻視》を唱えて3枚引くのです。また、青ベースの、長期戦を戦うようなデッキでも強力でした。現在、《血編み髪のエルフ》が禁止されているので《祖先の幻視》を使ったような続唱デッキは存在できません。《祖先の幻視》を使うようなコントロール・デッキは存在しますが、メタゲームの中では主流とはいえません。青ベースのコントロール・デッキ、あるいは遅いデッキの数を増やすため、《祖先の幻視》を解禁します。

 《弱者の剣》は《飛行機械の鋳造所》と組み合わせて、強力な一方で遅いコンボとなります。このコンボはモダンの前身とも言えるエクステンデッド・フォーマットで支配的なデッキを作っていました。ただし、そのデッキのもう1つの要素(《吸血鬼の呪詛術士》を組み合わせて使われていた《暗黒の深部》)は禁止されています。《弱者の剣》によって遅いコンボ・デッキやコンボ系コントロール・デッキが成立するようになるかもしれません。想定していなければ対処しにくい、現在のメタゲームでは主流ではないデッキであるランタン・コントロールの勝利条件カードとして使われる可能性もあります。このフォーマットでコントロール系コンボ・デッキを増やすため、《弱者の剣》を解禁します。

ヴィンテージ

 私たちは、不均衡なメタゲームを監視し続けています。特に、《Mishra's Workshop》系のデッキは今でもかなり多すぎ、トーナメントのメタゲームを破壊しています。この問題はその名前となっているカードを禁止することで解決できるかもしれませんが、私たちは可能ならばそのデッキをトーナメント・レベルに保ち、一方でその頻度はフォーマットがより多様性を持つ程度にしたいと思っています。《磁石のゴーレム》は、一方的なゲームを引き起こしています。このカードが《Mishra's Workshop》デッキに1枚しか入らないようにすることで、デッキの強度は適当なレベルまで引き下げられることを期待しています。この理由から、《磁石のゴーレム》を制限します。