2026年2月9日 禁止制限告知
スタンダード
変更なし
パイオニア
変更なし
モダン
変更なし
レガシー
変更なし
ヴィンテージ
変更なし
パウパー
変更なし
アルケミー
ヒストリック
タイムレス
ブロール
変更なし
制限カード、禁止カードのフォーマット別一覧はこちら。
ゲーマーの皆さん、こんにちは!
私はカルメン・クロンペアレンズ/Carmen Klomparens。マジックのプレイ・デザイン・チームに所属する上席ゲーム・デザイナーです。今回が2026年最初の禁止制限告知となります。2025年最後の告知では、スタンダードやパイオニア、レガシー、パウパー、それからMTGアリーナでもいくつかのフォーマットに変更がありました。また、今年の告知間隔についても変更をお知らせしました。これまでは、禁止リストの更新によってフォーマットを管理する必要に迫られたときに、行動を起こせる機会を十分に持てていませんでした。マジックを可能な限り楽しいものにし、必要に応じてフォーマットを調整することを私たちは常に目標としています。今年は行動を起こせる機会をしっかり設けることで、その目標を維持することに集中できるでしょう。ここで改めて私たちの見解を強調しておきますが、禁止制限告知は変更を行える「機会」であり、必ずしも今年は7回変更を行うという宣言ではありません。プレイヤーの皆さんが各フォーマットでプレイするためにカードを入手するときは常に、そのカードで楽しい時間を過ごせる確信を持ってほしいというのが私たちの想いです。禁止リストの更新タイミングを確保することと、カードが禁止されるかもしれないという恐怖を和らげることのバランスを取るのは、一筋縄ではいきません。私たちはそれを目標に取り組んでいきますので、どうか見守っていただければと思います。
なお今回の変更については、太平洋時間2月10日10時(日本時間27時)よりtwitch.tv/magicでの公式配信(英語)でも詳しくお伝えします。
スタンダード
(この項はジェイディーン・クロンペアレンズ/Jadine Klomparensよりお送りします。)
変更なし
現在のスタンダードは、前回の禁止制限告知時点と比較してはるかに健全な状態にあります。明確なベスト・デッキのない環境に戻っており、多種多様な戦略がトロフィー獲得をうかがえる位置にあります。直近に行われた「プロツアー『ローウィンの昏明』」ではトップ8の舞台に7種類ものデッキが上がり、このフォーマットの驚くべき多様性が示されました。
「プロツアー『ローウィンの昏明』」ではトップ8以外にもバラエティに富んだスタンダードのデッキが見受けられ、トップ8入賞には届かなかったもののさまざまなアーキタイプが好成績を記録しました。プロツアー出場選手たちの創意工夫が存分に発揮され、このプロツアー用に開発された新機軸のデッキが数多く成功を収めることになりました。
そして現環境はいまだ進化を続けています!《アナグマモグラの仔》は登場以来スタンダードの物語を支配し、この戦略は「ビビ大釜」の後を継いでスタンダードにおける敵役となるのではないかと多くのプレイヤーが考えていました。「アナグマモグラの仔」デッキがスタンダードの風景を席巻していることに疑問の余地はありませんが、「第31回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」と「プロツアー『ローウィンの昏明』」の2度にわたって、《アナグマモグラの仔》戦略を打ち負かすツールは存在し、さまざまなデッキでそれを実現できることがプロツアー・レベルの舞台で示されました。
「プロツアー『ローウィンの昏明』」では、「アナグマモグラの仔」デッキが初日のメタゲームの約40%を占めたものの、その日の同系以外への勝率は50%を下回りました。この使用率と勝率のバランスの悪さは、メタゲームが今後も動き続けるという明確なシグナルです。「アナグマモグラの仔」デッキは、新たに現れたデッキに勝てるよう適応する道を探し求めるでしょう。《アナグマモグラの仔》を打ち倒して高い勝率を記録したデッキは、互いに用心する必要がありそうです。環境が均衡状態に達するまでには、まだまだ探求の余地が多く残されています。
ここからどうなるかは何とも言えませんが、現在のところスタンダードのメタゲームは良い状況にあると言えるでしょう。あらゆる色のデッキに成功のチャンスがあり、環境の核となるアグロ、ミッドレンジ、コントロール、コンボのアーキタイプはいずれもプロツアーに持ち込めるくらい強力なデッキを擁しています。とはいえ完璧な環境というわけではありません。青は理想よりも多くのデッキで存在感を発揮しており、サーチ手段と強力なカード選択手段によって成立する高速コンボ・デッキがメタゲーム上で高いシェアを持つため、決着が早すぎるゲームが多くなっています。しかしながら、それでも現在のスタンダードはその主要目標の1つを達成しています。あなたがどんなマジック・プレイヤーであろうと、スタンダードにはあなたのためのデッキがあるのです。
ここ1年以上にわたり、スタンダードは同じ理由で何度も望ましくない方向へ向かいました。その理由とは、強力なカードや戦略に対する反撃手段の欠如です。スタンダードに強力なデッキがあるのは望ましいことですが、それらのデッキに対しても反撃の余地があってほしいと私たちは考えています。《欺瞞》で執拗に手札を狙ったり、《刻み群れ》や《紅蓮地獄》《古代魔法「アルテマ」》《死人に口無し》で戦場を一掃したり、大量の除去呪文や打ち消し呪文で脅威を退けたり、あるいは《安らかなる眠り》や《倦怠の宝珠》で特定の動きを完全に封殺したりと、現在のスタンダードで特に大きな成功を収めているデッキには、それらに対する干渉手段もあり、やり取りの余地があります。現在のスタンダードのパワーレベルと干渉しやすさの度合いは、私たちがスタンダードに意図するところにかなり近づいています。
最後に、1つのセットのテーマに沿ってデッキの大部分が構成される「セット・テーマのデッキ」の増加についてもここでお話ししておきたいと思います。『マジック:ザ・ギャザリング | アバター 伝説の少年アン』では「イゼット講義」デッキと「同盟者」のタイプ的デッキがスタンダードに登場し、『ローウィンの昏明』 ではさまざまな「エレメンタル」デッキが環境に姿を現しました。
セット・テーマのデッキはこれまでのマジックのセットにも常にありましたが、私たちは最近それらに積極的に力を入れています。セット・テーマのデッキで私たちが目指しているのは、特定のセットを気に入ったプレイヤーにスタンダードへの入口を用意することです。最近の例に見受けられるような高いパワーレベルは、セット・テーマのデッキにおける第一目標ではありません。セット・テーマのデッキにはかなり強力なデッキを含め、様々なパワーレベルのものを用意しようと取り組んでいますが、それらはときおりトップ8入賞はできても、長期的に勝ち続けるほどの強さの範囲にあるべきではないと私たちは考えています。例えば『ローウィンの昏明』ではゴブリンのタイプ的デッキもサポートされていますが、「ゴブリン」デッキはエレメンタルほどハイレベルな舞台での成功は掴めていません。
スタンダードは、探検する余地と発見がたくさんあるときに最高のフォーマットになると私たちは考えています。つまり環境で特に強力なデッキは、セットの垣根を越えたシナジーを見せるものであるべきです。現在のスタンダードにはそのようなデッキが多く存在し、強力なセット・テーマのデッキもあります。デッキ構築における創造性は、全体的に見て素晴らしい状況にあると見受けられます。私たちは、これからのスタンダードの展開を楽しみにしています。
パイオニア
(この項はカルメン・クロンペアレンズよりお送りします。)
変更なし
パイオニアは、いわば2つの街が舞台となる物語のような状況が続いています。私たちは昨年11月に行動を起こしましたが、その理由の一部はテーブルトップとMagic Onlineでのメタゲームが非常に健全に見えるにも関わらずMTGアリーナの方では大きな問題を抱えているように見受けられたからです。前回の告知以降メタゲームの健全性は改善されましたが、まだ完璧ではありません。《迷える黒魔道士、ビビ》や「講義」パッケージを擁する「イゼット果敢」の系統は、Magic Onlineでは不釣り合いなほどの大きな成功は収めていないにもかかわらず、MTGアリーナにおいては高い勝率を記録しメタゲームの上位を占めています。読み間違いではありません。パイオニアで起きていることを話しながら、たしかに「講義」と言いました。
このデッキはMagic Onlineでちょっとした成功を収めていますが、実のところ、他にもさまざまなデッキが同じくらいの成功を掴んでいます。「アゾリウス・コントロール」や「セレズニア・カンパニー」、「脂牙」、それから《不浄な別室》を燃料とするさまざまな黒ミッドレンジ系デッキが、「Challenge」イベントで活躍しているのです。私たちはこのフォーマットの発展を見守っていますが、現時点では収束点に至っていないようです。プレイヤーの皆さんは、多様な戦略と色の組み合わせを楽しんでいます。
モダン
(この項はカルメン・クロンペアレンズよりお送りします。)
変更なし
モダン最高!少しひいき目がありますが、モダンは素晴らしい状況にあるように見えます。ここ数か月を振り返ると、昨年の「プロツアー『久遠の終端』」ではトップ8の舞台に7種類のデッキが上がりました。このイベントで優勝を果たした「タメシ・ベルチャー」は、その後は環境が適応し、使用者数と勝率を減じています。一方「ボロス・エネルギー」はこの大会で狙われる立場となり、極めて控えめな勝率を記録する結果になりました。その傾向は続く地域チャンピオンシップでも見受けられましたが、シーズン終盤にかけて再び勢いを取り戻しています。そしてこのシーズンには、世界を席巻したデッキも登場しました。「ジェスカイ・ブリンク」です。
モダンの地域チャンピオンシップ・シーズンが閉幕して数か月のうちに「ボロス・エネルギー」は競技シーンでの成功を背景に人気が上昇し、一方の「ジェスカイ・ブリンク」はメタゲーム上のシェアを少し下げています。環境の主力級デッキは、それぞれが1~2週間ほどMagic Onlineで脚光を浴び、メタゲームがそれに適応し、他のデッキがその地位を奪うというサイクルを見せています。私たちはこれを、メタゲームが非常に健全であることのサインだと見ています。現環境は自己修正力を持ち、幅広いプレイ・パターンや戦略に成功を収めるチャンスがあります。
さらに素晴らしいことに、モダンのメタゲームに隙がない中でも《司書、ワン・シー・トン》や《並外れた語り部》のような新しいカードにも活躍の場ができています。
現時点では、モダンは新たなセットから定期的に新鮮な刺激を受けながら安定したメタゲームを楽しめる、という幸せな状況にあると見受けられます。このフォーマットの今後の発展も楽しみにしています。
レガシー
(この項はカルメン・クロンペアレンズよりお送りします。)
変更なし
レガシーはこの数か月に大きな変化を迎えました。前回の告知では、長きにわたりレガシーを支配し続けてきた「ディミーア・リアニメイト」に対して、私たちはそれを一段落させるために《納墓》を禁止するという難しい決断を下しました。あわせて、フェアなクリーチャー戦略にもう少し活躍の余地を与えるために《有翼の叡智、ナドゥ》をこのフォーマットから取り除きました。それ以来、状況は大きく動いていますが、メタゲーム上の最大勢力は依然として《Underground Sea》を用いるデッキが占めています。
《納墓》が禁止される以前から、「ディミーア」は《思案》や《渦まく知識》、《意志の力》、《目くらまし》といった青の人気カードと、《知りたがりの学徒、タミヨウ》や《オークの弓使い》、《悪夢滅ぼし、魁渡》といった単体で脅威として機能する強力なカードを組み合わせていました。少数の脅威を展開し、それらで対戦相手の手の届かないところへゲームを持っていきながら、残りのリソースを使ってゲームを支配する、いわば「女王を守る」戦略です。禁止措置を経てもなおこの戦略が一番の倒すべき相手であり続けているという事実は、私たちも確かに認識しています。しかしながら現時点では、その勝率やメタゲーム上のシェア、プレイ・パターンはいずれも、レガシーにおいて適切であると考えています。
この数か月に見受けられる変化は、「ディミーア・テンポ」だけではありません。「Lands」や「デス&タックス」系デッキ、青ベースの「親和」系デッキ、そして《ガイアの揺籃の地》を用いるフェア系デッキが心強いペースで数を増やしているのが観測されています。私たちは現時点でレガシーが向かっている先を前向きに捉えており、今後もアーキタイプの多様性が広がっていくことに期待しています。
ヴィンテージ
(この項はカルメン・クロンペアレンズよりお送りします。)
変更なし
数か月前に開催された北米地域のエターナル・ウィークエンドにて、私たちはヴィンテージのメタゲームを好ましく思いました。そしてその良好な状況は現在も続いています。ゲームのはじめに《夢の巣のルールス》が公開される姿は多々見られるものの、「ルールス」デッキの中にもアーキタイプの多様性があり、ヴィンテージの健全さを感じられます。昨年末の「アジア・エターナル・ウィークエンド2025」で行われた「2025 Asia Vintage Championship」では、その典型的な例が見受けられました。
《夢の巣のルールス》にディミーアのマナベース、その他制限カード――一見すると同じデッキ構成に見えるかもしれません。しかしそれらが持つゲーム・プランは大きく異なるものであり、「パワー9」の選択にすら違いが見受けられます。「イニシアチブ」や「ドレッジ」、「Shops」といったアーキタイプのさまざまなバージョンがいずれも成功を収めており、あるアーキタイプの中でも《夢の巣のルールス》を採用するかどうかといった選択肢がある(「逆説的な結果」デッキのことです)ヴィンテージは、プレイするデッキやチューニングするデッキを選ぶ楽しさを味わえるフォーマットとなっています。
パウパー
(この項はガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyよりお送りします。)
変更なし
私たちは《満潮》が去った後の環境を注意深く観察してきた。《満潮》が去ったことにより、サイドボードの枠が再び空いたり「ハイタイド」を相手に苦戦していたデッキが環境に戻る助けになったりと、小さいながらも前向きな効果が出ている。
《こそこそサクサク》を採用した赤のデッキや《欄干のスパイ》を用いるデッキにも目を光らせてきたけれど、現在私たちのレーダーに特に大きく反応しているのが「青単テラー」デッキだ。「青単テラー」は好調を維持しているものの、とはいえこの戦略に対する反撃手段はたくさんある。
たしかに成功は収めているが、現時点では禁止されるほどの存在感も結果も出ていないだろう。ただしこのまま成功を重ね続ければ、いつかは禁止が必要になるかもしれない。
私たちは今年も引き続き監視していくつもりだ。
アルケミー
(この項はダニエル・スー/Daniel Xuよりお送りします。)
『アルケミー:久遠の終端』 のリリース以降デジタル限定カードの供給が一時的に止まったにも関わらず、2026年に至るまでアルケミーのメタゲームは多様でダイナミックなものになっています。スタンダードのスター選手である《アナグマモグラの仔》と青赤の「講義」パッケージはアルケミーでも即時採用され、「ティムール・ドラゴン」や「白青バード」といったフォーマットの雄とメタゲーム上のシェアを争っています。私たちは現在の環境に全体的には満足しており、『アルケミー:ローウィン』が現状を揺り動かすことを楽しみにしていますが、BO1のアルケミーとヒストリック特有の問題に対処するべく、2種類の再調整を行うことにしました。
手札からいきなり《全知》を繰り出して勝利できる《救助のけだもの、コーナ》は、BO1のアルケミーにおいてはフラストレーションを感じる存在です。《噴水港のスター》や《幼生の天文学者》、《狡猾なる蒼鱗》のようなアルケミー・セットのカードにより、この戦略はスタンダード版よりも洗練され効果的なものになっています。サイドボードを駆使すればコーナもだいぶおとなしくなるのですが、アルケミーでは大半のゲームがBO1で行われているため、その勝率とやり取りが発生しにくいゲーム・プランが相まってランク戦における恐るべき脅威となっているのです。「コーナ」デッキがもう少し遅くなり、対戦相手が息を整える暇を得られるようになれば環境はもっと面白くなると私たちは信じています。以上の理由から、デジタル・フォーマットにおける《救助のけだもの、コーナ》のマナ・コストを{4}{G}に増加します。
《置き去りにされた偵察員、ヴァル》はヒストリックにおいて《月の踊り手、トレラッサーラ》とのコンボがあり、片方の能力を誘発させれば無限にダメージを与えることができます。ヒストリックの禁止カード・リストを刷新する取り組み(後段にて詳しくお伝えします)の一環として、「エルドラージ」や「エネルギー」といったデッキとメタゲーム争いを繰り広げるこの強力で効率的なコンボにも手を入れることにしました。《置き去りにされた偵察員、ヴァル》を2マナから4マナに変更することで、このカードをヒストリックの競技シーンから遠ざけつつカジュアルなブロールで引き続き楽しめることを私たちは期待しています。
あわせて、『アルケミー:ブルームバロウ』や『アルケミー:ダスクモーン』、『アルケミー:久遠の終端』のカードを強化する再調整も行います。これらの変更は特定の問題を解決することを目的としているのではなく、人気はあるもののいまいち振るわない戦略を活性化させることに重点を置いています。今回の変更についての詳細は、今週の「MTGアリーナニュース」をご覧ください。
ヒストリック
(この項はダニエル・スーよりお送りします。)
ヒストリックの導入時に、私たちはこのフォーマットで禁止措置を受けるカードの基準を決定するためのガイドラインをいくつか定めました。ヒストリックの理念は、プレイヤーの皆さんが所持するカードを自由に使ってマジックならではのやり取りを楽しめると感じられる場であることです。悪名高き《血染めの月》のような大規模な土地否定は呪文を唱えることを封じるため、それらに遭遇するような環境は私たちの望むところではありませんでした。マナ・コストを支払わずに唱えられる呪文もまた、ゲーム体験を損なうものであると考えていました。それらの呪文は定期的にゲームを一時停止させ、エターナル・フォーマットでの使用率や強さも相まって、ランク戦での定番カードとしては望ましいものではありませんでした。「エルフ」や「ライフゲイン」、「スリヴァー」といったカジュアル寄りのデッキが人気であるなら尚更です。この理念により、ヒストリックのパワーレベルや複雑さには上限が設けられることになりました。ヒストリックのランク戦では、対戦相手がタップアウトの状態からあなたのクリーチャーを《孤独》で追放することはありませんでした。ランク戦で使われる平均的なデッキは、「緑単信心」のようなデッキを含むフォーマットの主力デッキとパイオニアくらいのパワーレベルで競い合えるチャンスがあったのです。
しかし時が経つにつれてヒストリックにはそれまでの基準を超えるような強力なカードが追加されていき、メタゲームは初期の形から劇的に変化していきました。ターニングポイントとなったのは『モダンホライゾン3』の導入です。これによりモダンで通用するパワーレベルの競技的な戦略がヒストリックにもたらされたのです。ランク戦で人気の戦略は人口を保ったものの、勝率の面ではメタゲームの上位デッキにもはや敵わなくなりました。そしてデッキが強力になるにつれて、やり取りも発生しにくくなっていきました。BO1のヒストリックでミシック・ランクへ到達するために使用されたデッキのうち特に人気を集めたのは、早ければ2ターン目に《頑強》で《失われた宝物庫の学者》をリアニメイトし、呪文の連鎖でゲームを終わらせるものでした。他の上位デッキも一方通行の戦略を支持し、BO3のヒストリックでさえもやり取りが減っていきました。「エルドラージ」や「ボロス・エネルギー」、「ヴァル・コンボ」、「ロータス・コンボ」、それから(比較的その傾向は薄いものの)「オーラ」デッキは、いずれも「自分の戦略をより早く実行する」ことを除けば、明確な反撃手段がなく短期間でゲームを終わらせることができるデッキです。
今回の禁止措置は、現環境において特に明確に異常値を示しているパワーレベルとプレイ・パターンに対処することを目的としています。なお「ヴァル・コンボ」については、上記「アルケミー」の項でご説明した通り、《置き去りにされた偵察員、ヴァル》の再調整によって対応します。
ヒストリックにおける禁止
「エルドラージ」はヒストリックの上位帯において特に支配的な戦略であり、さまざまな形がありながらもそのすべてが《ウギンの迷宮》と《エルドラージの寺院》によるマナ加速に支えられています。その2枚こそ、この戦略の安定性と力強さの鍵なのです。《ウギンの迷宮》は「エルドラージ」以外の戦略にも使い道があるため、私たちは《エルドラージの寺院》の方を禁止することにしました。『モダンホライゾン3』のリリースから『久遠の終端』 のリリースまでの間がそうであったように、《エルドラージの寺院》がない「エルドラージ」デッキはより遅い戦略を追い出すことなく、ヒストリックで妥当な戦略になり得ると私たちは信じています。
「ボロス・エネルギー」は、『モダンホライゾン3』のリリース以来ヒストリックに波風を立て続けています。《電気放出》や《魂の導き手》、《オセロットの群れ》が再調整されたにも関わらず依然としてデッキ内のカードの質は高く、ランク戦全体での勝率は60%を大きく上回り続けています。中でも私たちが特に飛び抜けていると見ている1枚は、《ナカティルの最下層民、アジャニ》です。有利な交換を取るのが不可能に近いこの2マナのアジャニは、変身で多くの勝利を担うだけでなく、よりシンプルに攻撃やブロックでも勝利に貢献しています。このカードの禁止は「エネルギー」以外の白をベースにした戦略にも影響が出ると思われますが、このフォーマットの天井を下げる措置は必要だと私たちは考えます。
《輪作》については、《ガイアの揺籃の地》のようなマジックでも特に強力な土地がないフォーマットにおいて、妥当なパワー帯で機能するかどうかを見るための実験として、実装当時ヒストリックでの事前禁止を行いませんでした。しかし「ロータス・コンボ」の復権を支えた時期に続き、MTG アリーナへ《暗黒の深部》のような土地が追加されていくにつれて、私たちは禁止措置の前倒しが必要だと確信するようになりました。《輪作》がヒストリックのデザイン領域にかける制約は、あまりに大きすぎるのです。
最後に、私たちは「スカラー・コンボ」デッキの極端さを望ましく思っていません。BO1のゲームが突然決着する状況を緩和するべく、《失われた宝物庫の学者》を禁止します。しかしながら、今後同じリアニメイト戦略に合う別のクリーチャーが現れる可能性はあります。その場合は、ヒストリックにおける効率的なリアニメイト手段を検査し直すことになると思われます。あわせて今回は禁止解除も行われるため、BO1でも強力な墓地戦略に対抗する選択肢が得られることに期待しています。
ヒストリックにおける禁止解除
今回の禁止解除は、私たちが長年培ってきた慣習を破ってでも、支配的な戦略に対する明確な反撃手段を追加することを優先したものです。マナ・コストを支払わずに唱えられるカードについては、パワーレベルの観点で見れば禁止解除の可能性がありながらもリストに残るものがあります。それらはメタゲーム上でポジティブな役割を見出だせなかったものや複雑さから禁止措置を継続しているものです。
全体的に見て、ヒストリックでは脅威がそれに対する回答をはるかに上回っており、特にハイレベルな舞台での競争において、やり取りの少ない一方通行の戦いが繰り広げられる要因になっています。今回の禁止解除に繰り返し見受けられるテーマは、プレイヤーの皆さんが強力な戦略に対する明確な反撃手段を持てるようにすることです。そのためには、効率的に脅威を対処できる手段が欠かせません。《否定の力》は、自身のゲーム・プランを雪だるま式に加速させることなく、コンボやゲームエンド級の呪文を止めることができます。対応手段としてこの上なく、遅めのデッキを支えることが期待されます。《忍耐》はBO1のメインデッキにも採用できるクリーチャーでありながら、墓地を利用するコンボに対して有効です。今回の禁止措置によって現在の上位戦略が落ち着きを見せると、今度は「親和」が一方通行のデッキとして将来的に問題になる可能性があります。《活性の力》は、他の手段では有利な交換を取るのが難しい「親和」やその他のアーティファクトやエンチャントに依存する戦略に対して、明確なサイドボード・カードとなるでしょう。
「エルドラージ」が環境を支配している主な要因の1つは、強力な基本でない土地への対策が不足していることでした。例えばモダンには、ヒストリックでは使用できない《血染めの月》のようなあらゆる土地への対策となるカードで、強力な土地を基盤とする戦略に対抗してきた歴史があります。《月の大魔術師》と《海の先駆け》なら、ヒストリックのカジュアル・シーンへのダメージを最小限に抑えつつ、現行および将来の土地デッキに対して適切な量の干渉手段が確保されると私たちは信じています。これらのクリーチャーは、基本でない土地を中核に据えた戦略に対して明確かつ効果的でありながら、一般的に《血染めの月》のようなエンチャントよりも除去しやすい干渉手段です。また、これにより基本土地の重要性が上がるという効果もあり、それもエターナル・フォーマットにとっての利点になるでしょう。
それから、過去のヒストリックで禁止されたカード2枚についても、現行のヒストリックに良好な刺激を届けてくれると信じて禁止解除します。《荒野の再生》は、環境の上位デッキがパイオニアのパワーレベルに近い時代は問題を起こすカードでした。しかし今なら、当時より強力な戦略と肩を並べるに違いありません。《裏切りの工作員》が禁止されたのは、《軍団のまとめ役、ウィノータ》とともに使われていたのが大きな要因でした。しかし現在はフォーマットの進化とカードの再調整によりその問題はなくなっています。
今後はMTGアリーナへ新規に追加されるカードについてヒストリックでの使用可否を評価する際には、過去からの経験則よりもカードごとのパワーレベルとプレイ・パターンを優先して見ていくつもりです。メタゲームの健全化に寄与できる《否定の力》や《忍耐》のようなカードが、過去のように事前に禁止されることはもうないでしょう。以上今回の変更すべてについて、私たちはこれからこのフォーマットがどのように発展していくかを注視し、必要に応じて調整を続けていきます。
タイムレス
(この項はアリヤ・カラムチャンダリ/Arya Karamchandaniよりお送りします。)
昨年12月に開催された「アリーナ・チャンピオンシップ10」にてタイムレスに競技の緊張感がもたらされ、「黒単ネクロポーテンス」系のデッキが最強のデッキとしての地位を固めました。この戦略は軽量の干渉手段と高速のマナ加速、そして《傲慢な血王、ソリン》と《聖エレンダ》のような強力な2枚コンボを組み合わせて、対戦相手のゲームプランを妨害しながら素早くゲームを終わらせます。このデッキは《ネクロポーテンス》によって確実にコンボを揃えることができ、同時にカード・アドバンテージの点では他の追随を許しません。アリーナ・チャンピオンシップでブレイクした《ネクロポーテンス》は、それ以来過剰なほどの活躍を見せています。
私たちもタイムレスのデッキにはかなりの自由を与えても構わないと考えていますが、「ネクロポーテンス」デッキのパワーレベルは明確な異常値であり、行動を起こす必要があります。この変更後も黒単のコンボ・デッキは存在し続けると私たちは確信していますが、その安定性とカード・アドバンテージにおける競争力は、他のデッキが引けを取らない範囲に近づくでしょう。私たちは引き続き今後の展開を観察し、特に《露天鉱床》を用いるデッキに注目していくつもりです。とはいえ現時点では、いずれもタイムレスにおいて私たちが行動を起こす基準を越えていません。
ブロール
(この項はダニエル・スーよりお送りします。)
変更なし
昨年11月の禁止措置を受けて、ブロールはあらゆるレベルの統率者がゲームプランを練って展開できる居心地の良い環境になりました。それと同時に、私たちは競技志向でないブロールでは手に余る強力なカード、すなわち《露天鉱床》や《古えの墳墓》、《激情の後見》のようなカードを使用できる新たな競技志向のブロール・イベントを開催し、実験を行ってきました。2回行ったこのブロール・イベントの意義は今後数か月の間に明らかになっていくと思いますので、今後の更新にご注目ください。





