『アモンケット』のメカニズム
最新セット『アモンケット』は、このセット名にもなっている絢爛な世界へ私たちを招いてくれます。アモンケットでは、王神の力と威厳がすべての中心です。この世界のほとんどの住民は、栄光の来世に向かう準備を人生の使命としています。この世界では死は喜ばしいものであり、『アモンケット』で登場する新能力も墓地に関するものです。神々による5つの試練を乗り越えて蓋世の英雄となるために、修練者たちは心も体も磨き上げなくてはなりません。とはいえプレイヤーの皆さんには、そこまで過酷な使命は課せられませんね。皆さんがするべきは、ゆったりと座って新たなマジック体験を心置きなく楽しむことです。『アモンケット』へようこそ。
不朽
この世界では、死者が大いに役立ちます!料理を任せたり。掃除を任せたり。戦略カードゲームのプレビュー記事執筆を任せたりできます。ナクタムンでの生活にミイラは欠かせないのです。不朽は、死後のクリーチャーを動かす新たなメカニズムです。もう隠すこともありませんから、実際に見ていただきましょう。《選定の司祭》をご覧ください。
不朽は、この能力を持つクリーチャーがあなたの墓地に置かれているときに起動できる起動型能力です。特筆すべきは、墓地から唱えるわけではないため、呪文として打ち消そうとしてもできないということです。もちろん元のクリーチャー呪文を打ち消すことはできますが、打ち消された後は墓地へ行きますね。そこで不朽の出番です。
不朽能力を起動するために必要なのは、不朽コストを支払ってそのカードを追放することだけです。この能力は、ソーサリーを唱えられるとき、つまりあなたのメイン・フェイズで他に何も起こっていないときならいつでも起動できます。不朽能力が解決されると、そのクリーチャーのコピーであるトークンが生成されます。ただし皆さんご想像の通りそのトークンはミイラ化したものであり、いくつかの変化が見受けられます。まずアンデッドの性質を持つため、元のクリーチャー・タイプに加えてゾンビでもあります。ゾンビであることを利用してアドバンテージを取る方法は、きっとたくさんありますよね。そして、そのクリーチャーが生前どんな者であったとしても、属していた色に関わらず白になります。おまけに、持っていたマナ・コストも持たなくなります。
ミイラを従えるあなたの姿は禍々しいものになるでしょう。まるで映画の悪役のように!自身のコピーであるトークンを生成するカードがあっても、通常はそのトークン・カードは印刷されません。しかしこれほどぴったりな機会を逃すには惜しいというのも事実です。こうして、不朽を持つ各クリーチャーに対応するトークンが印刷されました。
トークン・カードは、使わなければならないというものではありません。でもきっと使いたくなるはずです。素晴らしいですから。
督励
アモンケットの死者について語ったところで、今度は生者に目を向けましょう。彼らは己を鍛えています。それはもう徹底的に。この極端なまでの勤勉さを表現したのが、新たな能力の督励です。督励はクリーチャーに少し多く負荷をかけることで、通常ではあり得ない強力な効果をもたらします。
クリーチャーを督励するかどうかを決められるのは、攻撃クリーチャーとして宣言する時です。そこで督励することを選ぶと能力が誘発し、さまざまな効果を発揮します。ただしその代わり、督励したクリーチャーはあなたの次のアンタップ・ステップにアンタップしません。督励に応じて疲れた者には、少し休息が必要なのです。もう一度攻撃させるのはちょっと待ってあげましょう。
あなたは、攻撃の際に督励しないことも選べます。督励しなかった場合は能力は誘発せず、通常のように次のターンにアンタップします。督励できるのは攻撃クリーチャー宣言時のみであることにご注意ください。そのときを逃すと、あとから督励することはできません。なお督励したクリーチャーがあなたの次のアンタップ・ステップ以外でアンタップしても、特にコストは要求されず、何も起こりません。ということは何か別の方法でアンタップしたり、あるいは警戒をつけてやったりすれば……さすが皆さん鋭い!王神もきっとお喜びになるでしょう。(気づかなかったという方も、これでばっちりですね。ここで知ることができたのですから!王神もきっとお喜びになるでしょう)
余波
そして、生者と死者のどちらにも関わるメカニズムも登場します。マナが不安定なアモンケットならではの現象をご覧いただきましょう!新たな余波能力は、墓地に置かれているインスタントやソーサリーと、新たな仕掛けが施された分割カードが組み合わさってできたものです。
分割カードが初めてだという方のために、簡単におさらいしましょう。分割カードは、2枚のカードを1枚に収めたようなものです。分割カードを唱える際は、どちらか片方を選んで唱えます。唱えた方がスタックにある間は、唱えなかった方はないものとします。余波では、その選ぶという部分にひねりを加えました。裏返るぐらい。どうか今のはお気になさらず。
今日は《天導+先導》の《天導》の側を便宜上「上半分」と呼びましょう。《天導》を唱えそれが解決されると、他のインスタントと同様に《天導+先導》は墓地に置かれます。そして、墓地に置かれたので、《先導》の側を唱えることができます。《先導》の側、つまり「下半分」を唱える場合の挙動も他の呪文を唱える場合と同じです。コストを支払うとスタックへ移動しますし、スタックにある呪文は打ち消される可能性がありますし、その他についても同様です。ただし「下半分」は墓地からのみ唱えることができ、解決後にそのカードは追放されます。
余波を持つカードは1ターン中に両方を唱えることもできますし、「下半分」を何ターンか墓地に温存しておくこともできます。ここで役立つ革新的な豆知識をお教えしましょう。余波を持つカードを墓地に置いておく場合は、左に90度回しておくと良いでしょう。すると墓地から唱えられる側がいつでもこちらを見ていてくれます。墓地から。冷たく、鋭い目で。オーケー、次へ行きましょう!
サイクリング
人気のサイクリング能力が帰ってきます。何といっても、適切なカードを適切なときに引き込めるというのは大事ですからね。おっとそれから、墓地を肥やすことも大切です。
サイクリングは、手札のカードを入れ替える能力です。《結束の限界》を撃ち込む先がないという状況や、ライフには余裕があるが脅威が足りない状況があるかもしれません。そんなときに、サイクリングは必要なものを引き込むチャンスを増やしてくれます。
サイクリング能力は、この能力を持つカードがあなたの手札にあるときに起動できます。サイクリングにはそれぞれコストが設定されており、その大多数はマナですが、私たちは時々創造的なこともします。コストを支払いそのカードを手札から捨てれば、サイクリングを起動できます。効果はどれも同じで、「カードを1枚引く。」です。それでも鋭い着眼点を持つ皆さんなら、きっとさまざまな使い道を見つけられることでしょう。
カードを1枚サイクリングするだけでは、《炎刃の達人》の能力は一度しか誘発しません。ですが「カードを1枚サイクリングするか捨てるたび」という文言は、(サイクリングでもその他でも)手段は問わず手札を捨てればそのたびに適用されるのです。
-1/-1カウンター
死を歓迎する世界において、死に近づくものを道具にしているとしたら驚くことでしょうか?そんなことはないですよね。「-1/-1カウンター」はいたって素直なメカニズムです。さて、このような記事はやはり、見事なアートとともにクールなプレビュー・カードをお披露目してこそ意味があるというものでしょう。ご覧ください――ああ、母なる……
『アモンケット』では-1/-1カウンターが使用されるため、+1/+1カウンターに注目したカードは登場しません。それでもスタンダードやその他のフォーマットには+1/+1カウンターを扱うカードが多くあるため、-1/-1カウンターと+1/+1カウンターがどちらも置かれている場合に何が起こるのかは知っておくべきでしょう。簡潔に言えば、相殺します!クリーチャー(厳密に言えばパーマネント)の上に+1/+1カウンターと-1/-1カウンターが置かれている場合、それらは互いに打ち消し合い、1組ずつ取り除かれます。例えば、+1/+1カウンターが4個置かれているクリーチャーに-1/-1カウンターを2個与えると、そのクリーチャーの上には+1/+1カウンター2個が残ります。
また、+1/+1カウンターが1個置かれている《ピーマの改革派、リシュカー》をコントロールしている状態でこの大きな歯を持つ獣をプレイし――
-1/-1カウンターを《ピーマの改革派、リシュカー》に乗せると、それは+1/+1カウンターを失いマナを生み出せなくなるのです。そんなことしないですよね?
試練とカルトーシュ
アモンケットでは、修練者には彼らの功績や実績を記録するためのカルトーシュが授けられます。5つの試練における偉業を知らしめる証書でなり、またファッション・アクセサリーにもなります。カルトーシュはオーラの新たなサブタイプであり、これらの魔法的な効果を持つ勲章のサイクルに見受けられます。
ルールの観点から言えば、「カルトーシュ」のサブタイプが付いたことで特に注意するべきことはありません。ですが私たちは、何の意味もなくオーラにサブタイプを追加したりはしません。皆さんも、すべてが5つの試練へ繋がることはご存知でしょう。この記事を読んでいる時点で、試練は始まっているのです。試練に挑みましょう!
永遠の栄光が汝を待っている
いよいよプレリリースが近づいてきました。『アモンケット』の世界で栄光を掴む最初のチャンスがやってきます。その日まで、皆さんのためにご用意した素晴らしいプレビューの数々をお楽しみください。皆さんもよく学び、己を鍛えてください。王神に約束された来世に招かれるのは蓋世の英雄だけなのです。