マジックは選択し続けるゲームだ。デッキ構築時に行った選択が、ゲーム中に何を引いてくるかに影響し、それにより何を唱えることができて、何を唱えることができないかが決まってくる。

 あらゆる選択が、重要となるんだ。

 何百もの項番に分かれた、冒険小説を読んでいくとしよう。あなたの選択により物語は様々な分岐を見せるだろう。そのうち、気づけば考えてもいなかった道へとつながる経路を発見することもあるだろう。これと同じで、出発点であるデッキ構築時に変更した内容が、はるか先であるトーナメントの第4回戦で取りうる行動に、深く影響するんだ。

分かれ道》 アート:Jung Park

 今日は、これら選択の影響に関する点から1つを取り上げて詳しく解説する。人によっては何度も痛い目を見ているであろう――見逃すのが簡単だったり、気づきすらしないような点についてね。

 親愛なる読者の皆さん、それは、色を強く要求する呪文を唱えることについての問題だ。

霊気からの贈り物

 今日の実例として、『霊気紛争』の素敵なカードを取り上げてみよう。もう見たかもしれないが――まだ見ていないなら、《才気ある霊基体》をご覧あれ!

 2マナで2/3。絆魂に接死。霊基体・吸血鬼という嬉しいクリーチャー・タイプまでついている。《吸血鬼の夜鷲》の後釜を狙えるね。

 これは極めて有能だ。リミテッドでプレイしたくなるのは当然だし、構築なら少なくともスタンダードで使ってみたいと思わせるだけの魅力がある。

 しかしここには、このカードにかかわる駆け引きがある。真っ先に知るべき点だ。カードの右上を確認しよう。

http://media.wizards.com/2017/images/daily/32NpWZ2BGL.png

 このカードを常に2ターン目に出したければ、デッキ構築の時点でそれを踏まえた選択をしなければならない。

 《才気ある霊基体》のようなカードを含めたデッキ構築では、意識しなければならない要点が3つ存在する。それぞれ見ていこう。

マナ基盤全体の調整

 《才気ある霊基体》のようなカードを使う上で最も重要なのは、マナ基盤をそれらのカードが使えるように対応させておくことだ。しかしながら、《才気ある霊基体》のお仲間のようなカードが、マナ基盤を調整しないままデッキに放り込まれている様子は、しばしば見かけられる。

 《才気ある霊基体》を常に2ターン目に唱えたいのであれば、黒マナを出せるマナ源が多数必要だ。

 マジックの先導者であり、数学にも通じているフランク・カーステン/Frank Karstenが2013年に書いた、私自身も頻繁に参照する「フランクの分析-その呪文を一貫して唱えたいならば、その色マナ源はいかほど必要か?」(リンク先は英語)という素晴らしい記事がある。その中で彼が出した結論はこうだ。《才気ある霊基体》のようにコストがCC(同じ色が2つ必要なコストを表す開発部の略式表記)のカードを、60枚のデッキで2ターン目に90%の確率で唱えられるようにするには、デッキにその色のマナ源が20枚は必要となる。

 少しの間、よく考えてみてほしい。20は大きな数だ。

 2色出せる土地が8枚入っている2色デッキを使うことを想定してみよう。それでも、先の条件を満たすにはその色を出せる基本土地がさらに12枚必要となる。

 リミテッドではさらに厳しいことに、2ターン目に唱えるにはその色のマナ源が14枚必要だとフランクは結論付けている。1色分の基本土地を10枚にすることすら問題になりかねないことを考えると、14枚は非現実的なラインだ。

 さて、唱えたい時にコストを支払えるようにするという一貫性は、取ろうと思えば取れるものであり――そして多くの場合、そうするだろう。そうするだけの十分な理由があるからだ。ともあれこれはたいていの場合、こういったカードがどの程度の犠牲を要求してくるのかについて、具体的な確認項目として役に立つだろう。

 そして一貫性を取る理由についての話だが……

マナカーブとの剥離

 混乱する人もいるかもしれない。{B}{B}のコストを持つカードを2ターン目に唱えられない体験を繰り返せば繰り返すほど不安になり、そのカードを二度と使いたくないという衝動が募るだろう。あるいはすでに裏庭に穴を掘り始め、唱えるために同じ色が2つ必要なカードの墓とするつもりかもしれない。

 いったんそのシャベルを置こうか。

 こういったカードを使うためには、前述の必要数を理解することが重要だ。とは言え、それは見た目ほどの難問ではない。

 なぜなら、ダブルシンボルのカードといっても、必ずしもマナの展開に沿って唱えなければならない、というわけではないからだ。《才気ある霊基体》と《キランの真意号》を4枚ずつ採用したデッキを想像してみよう。

 そう、両方が手札にあれば、黒マナを出せるマナ源がまだ1つしかないとしても、とりあえず《キランの真意号》を出すことはできる。(それに、実際のところ、両方出せるとしても先に出すのはほぼ《キランの真意号》だろう。)

 多くの場合、複数の色マナシンボルから得られる利点はカードパワーであり、となれば出すのが1ターンか2ターン遅くても問題ない。

 リミテッドでは、2ターン目に《才気ある霊基体》を唱えられないのであれば、2マナ域のカードとして勘定するかどうかはよく考えるべきだ。しかしともあれ、後半にようやくプレイしたとしても、まだ十分に強いだろう。それに、2ターン目にうまく出せる可能性も少しはある。

 もう1つ注意点がある。ダブルシンボルとそれ以外のコストが合わさった重いカードや、相手に対応して使うためのカードについては、即座に使えるかどうかを心配しなくてもよいという点だ。

 いくつか例を見てみよう。

 《新緑の機械巨人》は唱えるために{3}{G}{G}を必要とする――しかし5マナ揃うころには、タッチ色でもない限り緑を2マナ分は出せるだろう。《殺害》は唱えるために{1}{B}{B}が必要だが、3ターン目に即座に唱えようとしているわけではないので、3ターン目に黒を2マナ分出せないとしても《殺害》にとっては問題ではない。

 常に、なぜそれが問題となっているかを理解することが重要だ――その上で、関連してくる要素を踏まえて、各事例ごとにそれが本当に問題かどうかを調べていこう。

色マナ・シンボルの重なり

 呪文を唱える条件を、判断の誤りからより困難なものへとしてしまわないように、注意しなければならない。

 今まで話したことをすべて踏まえて、《才気ある霊基体》をデッキに入れてみる。そして、常に最速で出せないとしてもかまわないとしよう。それでいいかな。同様の条件で、《空中対応員》をデッキに入れる。ああ、良さそうだ。

 これらの判断はそれぞれ単体では問題ない。しかし一緒にすると、より厄介な絡み合う問題が生まれてしまう。なぜだろうか?

 問題はここにある。2ターン目は、コストが{B}{B}の《才気ある霊基体》を唱えたい。3ターン目は、コストが{1}{W}{W}の《空中対応員》を唱えたい。それがマナ基盤に大きな負担をかけてくるんだ! これを実現するためには、最低でも1枚は2色出せる土地が必要になる上、他の土地も適切な組み合わせで引けるよう願わなければならない。これらはそれぞれ別の方角を向いている。

 リミテッドでは、カードの強さに応じてという前提はあるものの、私なら基本的に両方とも採用するだろう。おそらく、強いカードのどちらか一方を抜いたりはしない。しかしどちらかがわずかに力不足であり、デッキから何かカードを抜く必要に迫られているとすれば、片方だけにしてみるだろう。

 それがどの程度使えるか判断するには、デッキ全体がどういう状態かを確認しなければならない。少しぐらいの無理は問題ないかもしれないが、1つの無理を受け入れるたびにその危険性はすべて一か所へと積み上げられていく。そしてその危険性の山が高くそびえるほどに、転げ落ちやすくなるんだ。

ダブるシンボル

 デッキを回してみて、黒のマナ源を2枚引けなかった時に、それを引きのせいにするのは簡単だ。しかし、そうなるには理由がある――それは、あなたが考えているほかの理由よりも大きな原因かもしれない。

 カードを唱えるためのコストを念頭に置いて自分のデッキを構築していくと、構築環境とリミテッド環境のどちらであっても、よりデッキを精密に観察できるようになる。その時間を取り、注意を払うようにすれば、その差に気づくようになっていくだろう……それが勝ち負けの差につながるかもしれない。

 色の濃いカードを唱えることについての記事を楽しんでもらえたなら嬉しいよ。今週末にあなたの地元のお店で開催されるプレリリース・イベントに参加して、デッキを構築する時にこの手法を当てはめてみよう!

 何か考えや疑問があるかな? いつでもTwitterTumblrで、あるいはメールならBeyondBasicsMagic@gmail.comに英語で、私に伝えてほしい。

 また来週会おう。全ての《才気ある霊基体》を唱えられるような、よいプレリリースを!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)