それの余波
マジックのセットは、どのエキスパンションにも使い道を考えたくなる新カードや新能力が満載されている――そして『アモンケット』も、そのための刺激的で新鮮な恵みを豊かにもたらしてくれるぞ。
不朽、督励、そして摩訶不思議なエジプト風カードのほかにも、斬新かつ奔放なものがある。それは『アモンケット』で登場するまったく新しいカードで、これまでに見たものとはまったく違うと感じるだろう。
さらに詳しく説明していこう。『アモンケット』で登場する、1枚に2枚分のカードが詰め込まれた革新的メカニズム、「余波」についてこれから語る。
キッチン・テーブルからトーナメント・テーブルまで、(ドラフトの最中以外で)あらゆるテーブルでよく見かけることになりそうな新しい余波カードを、まずは紹介しよう。実物を見るより優れた解説の始め方はないよね!
《開拓+精神》をご覧あれ!
どうだい、洒落てるだろう。このカードは私が大好きなアーキタイプで使える、楽しいやつさ。そして、おそらく最も重要な点だが、このカードは強力だ。
だが、一見しただけでは、必ずしもそうは思えないかもしれない。結局どちらの効果もコストが重すぎるのでは? どうして《霊感》や他のカードを使わないのか?
余波カードを理解する上で、そのような印象を持つことが何度もあるかもしれない。それでも、このメカニズムを実際に使ってみると、信じられないほど強力だったよ。余波カードを過小評価することなかれ、さ。
どうして強いのか? 余波の働きを調べていこう。
内に潜むカード
はっきり明示しているわけではないが、余波は密かにカードを引かせるというマジックのメカニズムの流れを汲んでいる。
マジック史上最も素晴らしいメカニズムの1つ、フラッシュバックを取り上げてみよう。フラッシュバックは、同じ呪文をもう一度唱えることが可能な、墓地で機能する類のメカニズムだ。しかしほとんどの場合、「この呪文を最初に唱えたとき、このカードのコピーを引く。ただし唱えるためのコストは増える」と言い換えることができるだろう。
これらはすべてこっそりカードを引かせてくれる。擬似的なカード・アドバンテージ(訳注1)だ。
(訳注1:カード・アドバンテージ/パーマネントや手札のカード枚数における優位)
カードを引くのは良いことだ、と誰もが思っていることだろう。マジックの歴史上もっとも強力なカードのうちいくつかは、カードを引く呪文だ。したがって、何か別のことを実行した上でカードも引ける効果は、最低でも考慮するだけの価値があるだろう。
ゲームが長引くと、マジックはリソース(訳注2)管理と消耗戦のゲームへと変貌する。ゲームの途中でこのような余禄つきのカードをいくつか手に入れておくことで、長期戦になったときにそのリソース管理と消耗戦のゲームで確実に勝利できるようになる、というわけだ。
(訳注2:リソース/資源。ゲームの中で他の要素のために消費・交換できるもの)
余波の見た目は、ほぼ分割カードと同じだ。
しかし余波と分割には大きな違いがある。分割カードは選択がすべてだ。どちらか一方を使うもので、両方を使えたりはしない。柔軟性に基づいて作られたメカニズムだ。
そう、分割カードが与えてくれるのは、ほぼ全てが、柔軟に対応できるという応用力だ。何らかの効果を発揮した上で追加のカードを得たりはしない。(ああ、もちろん、《火+氷》という素晴らしいカードは除くよ。)
一方で余波は、素晴らしく有用な追加のカードを常に提供してくれる。
もう一度余波の部分を見てみよう。
余波とフラッシュバックの大きな違いは、余波によって唱えられる――あるいはさきほどの表現で言えば、呪文を使った後に「引く」――カードは、最初に唱えた呪文とは別のカードになる、という点だ。これは良い点だろうか?
そうだな、《開拓+精神》が相性の良い効果の組み合わせになっているのは間違いない――そしてほとんどの余波カードがそうなっているんだ!
《開拓+精神》で見てみよう。序盤に引けばランプ(訳注3)呪文になり、マナを伸ばす助けとなる。そしてそれが、墓地に置かれたこれ自身の、重い側のコストを支払う助けとなる。《開拓+精神》は単体で相乗効果を持っているんだ!
(訳注3:ランプ/マナを伸ばす行動)
カードが引ける3マナのランプ呪文があったら使うよね?(《耕作》のような極めて使い勝手の良いカードなら、絶対そうだろう。)《開拓+精神》はそんなカードさ。
それに《開拓+精神》なら、普通のランプ呪文と違い、後半引いて使うときにもっとお得になる。後々カードを2枚引く呪文になるのだから!
ランプ・デッキが常に必要とするものは何だろうか? 長期戦で、展開できる脅威が切れたときに、カードを引くことだ。
ああ、《開拓+精神》は、フラッシュバックを持つランプ呪文とは異なる需要に答えている。余波は全く新しいメカニズムだ。
そしてもちろん、擬似的にカードを引ける点以外にも、余波には基本的な利点がもう1つある……
墓地が手札に
そう、カードを引くと見なすだけでは、余波を正しく表してはいない。余波は、あらかじめ手札として引いて唱えておく行為など必要ないのだから!
ライブラリーから墓地にカードを置く効果や、手札を捨てる効果などで、余波カードが墓地に置かれたとしよう。それでも余波カードを利用できるんだ。
そして面白いことに、『アモンケット』にはそういう効果がいくつもある!
通常、こういったカードで何かをするには別の方法が必要になるところだが、余波カードはそれだけで利用可能だ。
《開拓+精神》の場合、序盤ならマナ加速はしたいが、後半はランプ効果をあまり必要としないだろう。一方で、何らかの仕組みを利用して自分のライブラリーから墓地へとカードを置いていけば、どんなデッキでも長期戦でカード・アドバンテージを獲得できる。
カードイメージギャラリーで公開されている他の余波カードを詳しく調べれば、ちょっと自分のライブラリーを削るだけで準備できる痛烈な効果を、いくつも見つけられるだろう。見に行こう!
「余波」の余波
『アモンケット』には、対戦相手を打ちのめすための新しい方法が満載されている――その攻撃方法にはもちろん、自分の墓地に落ちている余波カードも含まれているぞ。
これから大活躍するであろう、《開拓+精神》を始めとする余波の仲間をお楽しみに。ドラフトで早めにピックしたり、構築フォーマットで試してみよう。
何しろ、アモンケットの世界では、5つの試練を生き残るためにあらゆる助けが必要となるだろうからね。
感想や疑問があれば何でも聞かせてほしい! いつだって大歓迎だ。TwitterやTumblr、あるいはBeyondBasicsMagic@gmail.comに(済まないが英語で)メールしてくれればいつでも読ませてもらうよ。
《開拓+精神》、そして『アモンケット』の躍進を楽しんでくれ! 先を見越して、このセットを直接体験できるプレリリース・イベントが近くで開催されるかどうか調べてみよう。
また来週会おう。『アモンケット』をお楽しみに!
Gavin / @GavinVerhey / GavInsight / beyondbasicsmagic@gmail.com
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)