『ストリクスヘイヴンの秘密』のメカニズム
『ストリクスヘイヴンの秘密』でストリクスヘイヴン大学へ帰還し、授業がまた始まるわけだが、魔法の知識をさらに深めてもらおうと思う。5つの大学も健在だ。まだ専攻を決めていない者も、上級課程に進む者も、見るべきことはまだまだ沢山ある。しかし、秘密は内にも外にも潜んでいる。今回はこれまでとちがい、キャンパスの外に出て、アルケヴィオスの世界へと踏み出していくのだ。今日の授業は「『ストリクスヘイヴンの秘密』メカニズム入門編」だ。諸君、席についてくれ。
準備
本セットのクリーチャーの中には、決闘を有利に進められるように準備を整えてキャンパスにやってくる者がいる。新登場の準備カードにより、過去の名高い呪文の数々から、いずれ名を馳せるであろう最新の呪文まで、幅広いレパートリーを使えるようになる。
準備カードは二つに分かれた枠を持つ。出来事や前兆を持つカードのようなもので、過去に目にした者もいるのではなかろうか。カードの大部分は、クリーチャーとその特性(名前、マナ・コスト、タイプ行、パワー、タフネス)で構成されている。文章欄の左側は、そのクリーチャーの能力、
右下に差し込まれた部分が準備・呪文である。準備・呪文はそれ自身の名前、マナ・コスト、タイプ行、そして文章欄を持つ。中には見覚えのある呪文もいくつかあるかもしれない。《篤学の一年生》が身につけようと"勉学"に励んでいる《不屈の自然》とか。それに加えて、新しい呪文もいくつか登場する。
準備カードがどこに置かれているかにかかわらず、それはそのクリーチャーの特性を持つことになる。あなたのライブラリーからクリーチャー・カードを探している場合や、あなたの墓地にあるクリーチャー・カードをあなたの手札に戻す場合、あなたは《篤学の一年生》を問題なく見つけてくることができる。なにせ、この子は熊だ。見落とす方が難しい。だがソーサリー・カードを探しているなら、このカードを見つけてくることはできない。これはどこに置かれようとソーサリー・カードではないのだ。
というわけで、ここまでが準備・カードの全体像だ。ここまでは良いかな?素晴らしい。とはいえまだ五段落目だ。先へ進もう。仕組みについて準備・呪文を持つクリーチャーの多くは準備済状態で戦場に出る。ここで取り上げているのはクリーチャーだが、実際のところ準備はどんなパーマネントだろうと持ちうる記号である。準備・呪文を持つクリーチャーが準備済状態になると、その準備・呪文のコピーが追放領域に姿を表す。このコピーは、次の3つの事象のうち1つが発生するまでそこに留まる。1つ目。あなたがそれを唱える。この中で最も望ましい結果だ。2つ目。その準備済状態のクリーチャーが戦場を離れる。3つ目。その準備済状態のクリーチャーが未準備状態になる。これを発生させるカードもいくつか存在する。最後の2つの事象のうちいずれかが発生し、あなたがまだ準備済状態の呪文のコピーを追放領域から唱えていなかった場合、そのコピーは消滅する。
準備済状態の呪文のコピーを唱えることは、他の呪文を唱えることと同様に機能する。あなたはそれのコストを支払わなければならず、カード・タイプによって定められたタイミングのルールに従わなければならない。それが《不屈の自然》のようにソーサリーであれば、スタックが空である間にあなたのメイン・フェイズ中にそれを唱えることができる。だがインスタント、それもよくあるインスタントなら…
…あなたの都合のいいタイミングでそれを唱えることができるだろう。あなたが追放領域から準備・呪文を唱えたなら、準備済状態のクリーチャーは未準備状態になる。つまり、それは準備済の記号を失うのだ。
《観念の名誉教授》の最後の能力は、クリーチャーがどのようにして準備済状態に戻るのかのお手本と言えるだろう。ただし、クリーチャーがすでに準備済状態であるなら、それは準備済状態になれない。あなたが追放領域にある準備・呪文のコピーを、2つ以上生成することは決してできないのだ。別のコピーを生成できるようになる前に、準備・呪文のコピーを唱える必要がある(または、クリーチャーが他の方法で未準備状態になることによりコピーが消滅する必要がある)。
ストリクスヘイヴンの学生たちは時折専攻を変えるため、あるひとつの特殊な状況について言及しておこう。あなたが準備済状態のクリーチャーをコントロールしていて、あなた以外のプレイヤーがそれのコントロールを得たなら、その準備済状態のクリーチャーをコントロールしているプレイヤーが、追放領域から準備・呪文のコピーを唱えることができる。
即妙(シルバークイル)
シルバークイルの舌鋒鋭い研究者たちは、熱に浮かされたような激しさで言葉を巧みに操り、度肝を抜かれる仲間を尻目に論敵を圧倒する。呪文を狙いすまして数発放てば、不運な対戦相手は言葉を失うだろう。
即妙とは、クリーチャーを対象としてインスタントやソーサリーである呪文1つを唱えるたびに誘発する誘発型能力を示す能力語である。即妙能力はそれぞれ効果が異なるため、一言一句、注意深く読まなければならない――シルバークイルの学生諸君にとっては大いに悦ばしいことだろうがね。複数のクリーチャーを対象とする呪文を唱えた場合も、即妙能力は1回しか誘発しない。クリーチャーを対象とした呪文1つを唱え、複数の即妙能力が同時に誘発した場合、あなたはそれらの能力を望む順番で解決することができる。あなたがスタックに最後に置いたものを、最初に解決する。即妙能力は、それらを誘発させた呪文よりも常に先に解決する。
演目(プリズマリ)
マジックのゲームとは、壮大な演目に他ならない。対戦相手に対し、あなたが到達した芸術の高み、あなたの輝きの集大成、そして凋落の始まりを見せつけるのだ。
演目とは、あなたがインスタントやソーサリーである呪文1つを唱えるたびに誘発する誘発型能力を示す能力語である。演目能力はそれぞれ初期効果を持ち、演目能力を誘発させた呪文を唱えるために5点以上のマナを支払っていたなら、追加効果または代替効果を持つ。
演目能力は、その呪文のマナ・コストを支払うためのマナだけでなく、あなたがその呪文に支払ったすべてのマナを考慮する。その呪文に追加コストがあれば、そのマナも数に含まれる。ただし、その呪文を唱えること以外で支払ったマナ(呪文が打ち消されないよう、護法コストのために支払ったマナなど)は数に含まれない。
即妙能力と同様に、複数の演目能力が同時に誘発したなら、あなたはそれらの能力を望む順番で解決することができる。あなたがスタックに最後に置いたものを、最初に解決する。演目能力は、それらを誘発させた呪文よりも常に先に解決する。
注入(ウィザーブルーム)
ストリクスヘイヴンでは、多元宇宙のありとあらゆる学問分野の講座を網羅している。だがウィザーブルームの学生には確信があった。生命(ライフ)がなければ何も手に入らない、それが究極の真理だ、と。
注入もまた能力語であり、これが示す能力は何らかの形で、あなたがこのターンにライフを得ていたかどうかを参照することになる。注入はさまざまな方法で用いられる。呪文に追加効果あるいは代替効果を与えるため、ボーナスが適用されるかどうかを決定するため、または《古株の教育者》のように誘発型能力が効果を持つかどうかを確認するためである。
注入能力は、そのターンの間にどれだけのライフを得たのかには関心がない。ライフを得たという過程さえあれば問題ない。また、そのターン開始時よりもあなたのライフ総量が減っていても関係ない。たとえば、あなたが12点のライフでターンを開始し、3点のライフを得て、その後5点のダメージを受けたとしよう。悲しいことにあなたのライフは10点になってしまったわけだが、一応ライフを得てはいるので、少なくともあなたの注入能力にとっては喜ばしいと言える。
フラッシュバック(ロアホールド)
ロアホールドの好奇心旺盛な学生たちは校風に則り、過去からキーワードを掘り起こしてきた。ごく最近の出来事から学び、繰り返されるさまを見届けるのだ。
フラッシュバックは、インスタントやソーサリーである一部の呪文に見られるキーワード能力である。フラッシュバックを持つカードがあなたの墓地にあるなら、あなたはそれを唱えてもよい。フラッシュバックによって唱える場合、通常のマナ・コストの代わりにフラッシュバック・コストを支払う。その呪文がスタックを離れるに際し(通常は解決するためだが、解決しない場合や打ち消される場合もある)、あなたはそれを、あなたの墓地などの他の領域に置く代わりに追放する。
フラッシュバックは呪文を唱えられるタイミングを変更しないため、フラッシュバックを持つソーサリーはあなたのメイン・フェイズにしか唱えられない。また、マナ総量については、呪文を唱えるために何を支払うかにかかわらず、常にマナ・コストのみを用いて算出される。フラッシュバックを用いて《溶融せし音色》を唱える場合、Xは0になるため、マナ総量は2である。ただし、この効果が考慮するのは、これを唱えるために8点のマナを支払った点である。
あなたは自分の墓地からフラッシュバックを持つカードを、そのカードがどのようにして墓地に送られたかにかかわらず唱えることができる。あなたが最初にそれを唱えている必要はない。それを捨てていてもよいし、それを切削していてもよいし、他の何らかの方法でそれを墓地に置いていてもよい。ロアホールドの探検隊にとっては同じこと。喜んで発掘するだろう。
増分(クアンドリクス)
普通であれば、他の魔道士と1対1で対決するなら五分五分の確率で勝つことができる。だがそこにクアンドリクスが加わると、対戦相手の勝率は……おそらく劇的に下がるだろう。
増分は、誘発型能力を表すキーワードであり、クリーチャーに見られる。あなたが呪文1つを唱えるたび、その呪文を唱えるために支払われたマナの点数が増分を持つクリーチャーのパワーまたはタフネスより大きいなら、そのクリーチャーの上に+1/+1カウンター1個を置く。
あなたは、そのクリーチャーの能力値と唱えるために支払われたマナの点数を2回比較する。まず、その呪文を唱えた直後に、増分が誘発するかどうかを確認する。支払われたマナの点数の方が低いのなら、その能力は誘発しない。その能力が誘発したなら、増分の解決時にふたたび比較を行い、マナの点数が依然として、そのクリーチャーのパワーまたはタフネスより大きいか否かを判定する。この時点で、クリーチャーの能力値が上がっていたなどによりマナの点数の方が低くなっていたなら、増分の能力は何もしない。あなたはそのクリーチャーの上に+1/+1カウンターを置かない。
演目能力と同様に、呪文を唱えるためにあなたが支払ったすべてのマナを増分は考慮する。その呪文に追加コストがあれば、そのマナも数に含まれる。ただし、その呪文を唱えること以外で支払ったマナ(呪文が打ち消されないよう、護法コストのために支払ったマナなど)は数に含まれない。数字は嘘をつかない。それは対戦相手に災厄をもたらすのだ。
範例
各大学の看板メカニズムを見てきたところで、ここからは視野を広げてみよう。講義の中には、将来の世代が何年も先まで参考にできるような、手本とすべきものもある。……あるいはまあ、同じことを何度も何度も何度も繰り返すだけってこともあるだろう。
範例は一連のソーサリーに登場する新しいキーワードで、いつまでも残り続けるような力を授けてくれる。あなたが範例を持つ特定の呪文を初めて解決するとき、それを追放する。以降は、あなたの各第1メイン・フェイズの開始時に、あなたはそれのコピーをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。各コピーを唱えるかどうかは任意であり、以前のコピーがどうなったかにかかわらず、あなたの各ターンに1つ唱える機会を得る。たとえば、各コピーのうち1つが打ち消されたとしても、次のターンの誘発型能力はそれとは別にもう1つ機会を与えることになる。
範例を持つカードはすべて、再録サブタイプ「講義」も持つ。これはかつて、キーワード処理「履修」とともに登場していたが、このセットに「履修」は再録されない。本セットの5つの講義は、講義というサブタイプと相互作用する既存のカードとうまく噛み合うが、講義自体は『ストリクスヘイヴンの秘密』の主要メカニズムではない。
収斂
それぞれの大学は受け持ちの学術分野に固執しがちだが、外部に手を伸ばすことが功を奏する場合もある。収斂は、呪文を唱えるために支払われたマナの色の種類数(パーマネントであれば、そのパーマネントになった呪文を唱えるために支払われたマナの色の種類数)を数える呪文を示す再録能力語である。
呪文を唱えるために支払われたマナの色の種類数は、かならず0から5までの間の数字である。それを唱えるために支払ったマナは、支払った追加コストや代替コストも含めすべて含めるが、知ってのとおり、呪文を実際に唱えるために支払われていないマナは含めない。たとえば、呪文が打ち消されないよう、護法コストのために支払ったマナなどがそれにあたる。
マナ・コストを支払うことなく呪文を唱えたなら、追加コストがある場合を除き、あなたはそれを唱えるためにマナを一切支払っていないことになる。その場合、その呪文を唱えるために支払われたマナの色の種類数は0である。同様に、その呪文がコピーされたなら、そのコピーを唱えるためにマナは支払われていないため、それを唱えるために支払われたマナの色の種類数は0である。
本
立ち去る前に、ちょっとしたおまけを。このセットでは、アーティファクト・サブタイプ「本」が新たに登場する。
大図書棟の図書館学部門による徹底審査の結果、既存のカードのうちいくつかは内容が更新され、サブタイプ「本」に分類されるようになる。詳細については、今後発表されるオラクル更新を待つこと。
明かされる秘密
そろそろ学校が再開する頃だ。『ストリクスヘイヴンの秘密』のプレビューはまさに今配布されており、4月24日にセットが発売される。『ストリクスヘイヴンの秘密』は現在、お近くのゲーム店やAmazon、その他マジックを取り扱う場所で予約受付中です。本日の授業はこれまで。では、プレリリースで会おう!

