『テーロス還魂記』のメカニズム
ついに様々なおとぎ話が大団円を迎え、私たちの冒険はまた次の世界へ旅立ちます。次は皆さんもご存知の、計り知れぬ神々の監視の下にある美しい夜空の世界です。さあ皆さん、シートベルトをお締めください。再びテーロスに向かいますよ。早速、私たちを待っている新規メカニズムと再録メカニズムを見ていきましょう。
脱出
これまで、定命の者が住まう世界と死の国の間には極めて強力な障壁がありました。死者は概ね死んだままだったのです。しかし『テーロス還魂記』というセット名で分かる通り、その障壁はかつてとは異なるものになっています。穴がいくつも開いた死後の世界は、死者に再び命を得る機会を与える新規キーワード「脱出」にうってつけの舞台です。
脱出を持つカードが墓地にあるなら、あなたはそれを唱えることができます。脱出は、一定量のマナの支払いとあなたの墓地から他のカードを何枚か追放することという2つの要素で構成された代替コストを与えます。脱出を用いても、その呪文を唱えられるタイミングは変わりません。脱出を持つインスタントはいつでも唱えられますが、他のカード・タイプはあなたのメイン・フェイズでスタック上に何もないときしか唱えられません。
また、脱出で呪文を唱える場合も、呪文を唱える際の通常のルールは変わりません。唱えられた呪文はスタックに置かれます。打ち消されたるなど、対応されることがあります。点数で見たマナ・コストは変わりません――脱出コストではなく、常にマナ・コストを参照します。
脱出を持つインスタントやソーサリーが解決されると(あるいは打ち消されたりスタック上を離れたりすると)、それは再びオーナーの墓地に置かれます。脱出を持つパーマネント・呪文が解決されると、それは戦場に出ます。その後それが死亡すると、再び墓地に置かれます。エレボスには言わないでほしいのですが、他の追放できるカードが墓地にあってマナを支払える限り、脱出を持つカードはゲーム中何度でも脱出できるのです。
脱出を持つクリーチャーの中には、(《死の国の憤怒犬》のように)+1/+1カウンターが置かれた状態で脱出するものもあります。それらを脱出能力で墓地から唱えると、カードで示された数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出るのです。
信心
他の世界の数多の神々と同様に、テーロスの神々は生命の単純さを愉しみます。彼らは、定命の者からの憧憬を、敬愛を、崇拝を、尊敬を、畏怖を、追従を、畏敬を、崇敬を、そしてあまねく歓迎されることを心から望むのです。それらはすなわち「信心」です。それなら『テーロス還魂記』でこのメカニズムが戻ってくるのはごく自然なことでしょう。
あなたの色への信心は、あなたがコントロールするパーマネントのマナ・コスト内に含まれるその色のマナ・シンボルの数です。あなたの色への信心を参照する能力は、その数を様々な形で使います。例えば、《太陽に祝福されしダクソス》は信心によってタフネスの値が決まります。
ある色への信心を数えるには、あなたがコントロールするすべてのパーマネントのマナ・コストを見ます。マナ・コストに含まれるマナ・シンボル1つにつき、その色の信心が1加算されます。例えば、《太陽に祝福されしダクソス》のマナ・コストには白マナ・シンボルが2つ含まれるため、このカードをコントロールしているとあなたの白への信心が2増えます。2色への信心を参照する効果の場合は、どちらかの色であるマナ・シンボルすべての総数を数えます。その2色の混成マナ・シンボルがあっても、そのシンボルは1回しか数えません。不特定マナ・シンボル({0}、{1}、{2}など。{X}も含まれます)や無色マナ・シンボル({C})は、どの色の信心にも数えられません。
《太陽に祝福されしダクソス》のタフネスは、あなたの白への信心が変化すると変わります。しかしあなたの色への信心を参照する呪文や能力が解決される場合、信心を数えるのは一度だけ――その呪文や能力が解決されるときだけです。例えば、《クローティスの企図》を見てみましょう。
《クローティスの企図》が解決される際に、それによる修整が決められます。つまり解決前に何か対応されると、期待した効果とは異なるものになる可能性があるのです。呪文が解決された後で、緑への信心が変わっても影響はありません。修整が変わることはありません。
星座
神々の住まう星空の世界「ニクス」については、数年前に初めてテーロスを訪れた際に多くのことがわかりました。神々はエンチャントと結びついており、再録となる能力語「星座」はエンチャントをきらめかせるデッキを使うプレイヤーに褒賞を与えます。
星座は能力語なので、それ自体にルール上の意味はありません。エンチャントがあなたのコントロール下で戦場に出るたび誘発する能力を、星々のように目立たせるために使用されています。星座の効果はさまざまです。
戦場に出たエンチャントが他のカード・タイプを持っていても問題ありません。例えばクリーチャー・エンチャントがあなたのコントロール下で戦場に出ても、星座能力は誘発します。ただしオーラ・呪文が解決されなかった場合(たぶん何か対応されて、対象不適正になったのでしょう)、それは戦場に出ないため星座能力も誘発しません。
英雄譚
「英雄譚」は伝説上の物語を1章ずつ伝えるエンチャントです。『ドミナリア』で登場したこのメカニズムは、今回のセットにこれ以上ないほどうってつけでしょう。
英雄譚をご存じない方のためにその挙動をご説明します。英雄譚にはいくつかの「章」があり(通常は3章ですが……古代ギリシャの神話から着想を得たセットですから、普段より長い物語が語られるものがあっても驚くことではないでしょう)、それぞれ対応する能力を持ちます。章能力は基本的に、1ターンに1つずつ効果を発揮していき、物語が終わるとあなたはその英雄譚を生け贄に捧げます。図書館のようなものとも言えますが、延滞料はほとんどなく、生け贄と流血が多めですね。
現在どの章を読んでいるのかは、伝承カウンターによって示されます。英雄譚は伝承カウンターが1個置かれた状態で戦場に出ます。その後は、あなたの第1メイン・フェイズの開始時(つまりあなたのドロー・ステップの直後)に、各英雄譚に伝承カウンターを1個加えます。これらの方法による伝承カウンターの追加は、スタックを用いません。
あなたがコントロールする英雄譚が伝承カウンターを1個得ると、対応する章能力が誘発します。つまりⅠの章能力は、英雄譚が戦場に出るに際して伝承カウンターを1個得たときに誘発します。大抵の場合、Ⅱの章能力は次のあなたのターンに誘発します。そしてⅢの章能力はさらに次のあなたのターン……と続きます。
章能力はスタックを用いるため、対応することができます。章能力が対象を必要とし、適正な対象がいない場合、その章能力は何もしません。最後の章能力が誘発し、(解決されたり打ち消されたり、あるいはその他の方法で)スタックを離れたら、その英雄譚のコントローラーはそれを生け贄に捧げます。
エンチャントな夜
『テーロス還魂記』は間もなくあなたの都市国家にやって来ます。それでは皆さん、プレリリースでお会いしましょう……もちろんその先でも!