2025年10月21日 統率者戦ブラケット(ベータ版)更新
やあ、みんな!「統率者戦フォーマット委員会(CFP)」代表のガヴィン・ヴァーヘイ/Gavin Verheyだ。CFPを知らないという方は、ぜひこちらの記事を読んでみてくれ。
私たちはこの1年の間、みんなからフィードバックを集めながら統率者戦ブラケットやゲームチェンジャー・リストがどのように機能しているかを見守ってきた。今日は私たちが最近交わした議論の内容と、統率者戦ブラケットやゲームチェンジャー・リストの更新をお伝えしよう。
私たちは9月に、「Commander Summit」というこれまでにないイベントを開いた。レントンの本社オフィスに統率者戦フォーマット委員会のメンバーを全員招待し、3日間にわたって現在取り組んでいる事柄についての議論やミーティングを行ったんだ。こんな風に多くのメンバーが集まってくれたよ。
「Commander Summit」は非常に有意義な機会だった。私たちはそれぞれが目にしてきたものについて直接会って話し、統率者戦ブラケットなどに関して今後やっていきたいことの詳細をしっかり詰めることができた。他にもさまざまなことを話し合ったよ。ここでは、まずブラケットに関する変更をお伝えし、それから私たちがみんなの意見をぜひ聞きたいと思っている事柄を共有しよう。ぜひ最後まで目を通して、意見を聞かせてくれ。
それじゃあブラケットの話から始めるぞ。(ブラケット・システムについておさらいしたいという方は、こちらを確認してくれ。)
ブラケットの見直し
9か月の時間と3回の「MagicCon」を経て私が言いたいのは、統率者戦ブラケットは成功しているということだ。不十分な点がないわけじゃないけれど、「MagicCon」でのアンケート結果を見るに、ブラケットはゲームを探すのにすごく役立っていると見受けられる。私たちも実際に、みんながゲームを探す際にブラケットの話をしている姿を目にしているよ。デッキに入っているゲームチェンジャーについてや、ブラケットを用いたデッキの説明など、とにかくゲーム前の会話がこれまで以上に生まれている。それこそ私たちが目指していたことだ。
だがもちろん、整理したり改善したりすべき点はある。
1つは以前から話していたけれど、意図に焦点を合わせるのが足りなかったことだ。ブラケットの肝となるのは、君が何をしようとしているのかという意図の部分だ。ブラケット2の条件を満たした上で高レベルのデッキを組むこと自体は、決して難しくない。今回の更新でもそのことを強調し、各ブラケットにおいて「期待されること」を指針とするつもりだ。
2つ目は、定義や基準が明確でない部分があること。「ゲーム序盤のコンボはなし」や「サーチ手段は少し」といった部分のことだね。すべてを厳密に決めることはできないけれど、私たちならもっとうまくやれるはずだ。
3つ目は、私たちの施策に「アップグレード(ブラケット3)」へ人を集めすぎるきらいがあったこと。私たちは各ブラケットの人口を同じにすることを目指しているわけではないものの、みんなが自分に合ったブラケットを見つけられるようにいくつかの用語や言い回しを更新するつもりだ。ブラケット2、3、4に人が集まるのは変わらないと予想しているけれど、今回の更新でそれらの区別がつきやすくなればと思っているよ。
そして、ゲームチェンジャー・リストとその理念も更新することした。ゲームチェンジャー・リストについては、はじめは少なすぎたところに多くのカードを追加したのだが、今度はちょっと多すぎた。改めて、私たちの目指すところへ立ち返る必要があるだろう。ゲームチェンジャー・リストに関する考え方を更新し、いくつかのカードの扱いを変えるつもりだ。
それじゃあ早速、今回の更新内容を見ていこう。なお今回の更新で既存のシステムに大きな変化が起こるわけではない。システム全体の刷新ではなく、パッチノートだと考えてくれ。
各ブラケットにおいて期待されることとプレイ・ターンの設定
コミュニティから寄せられた声の中に、各ブラケットで期待されることをまとめたガイドラインがあると嬉しいというものがあった。そこで今回は、各ブラケットの大まかな枠組みとそこで期待されることを見ていきたい。
これは、君のデッキが一度でも期待に反すればただちにそのブラケットから追い出されるというものではない。一風変わったカードやカードの組み合わせもまた、統率者戦の醍醐味だからね。そうではなく、もっと包括的で、さまざまなブラケットで期待されることの話だ。
これには2つの指標がある。1つは、主にデッキの構成や勝ち手段、ゲームプレイなど、ゲームの内容に関わるもの。こちらは比較的説明しやすく、期待されることがわかりやすいだろう。
もう1つはやや難しいけれど、誰かの勝敗が決まるまで何ターンプレイできるかだ。常にそのターンでゲームが決着するというものではないが、そのターンで終わってもゲーム体験に満足できるという指標だ。私たちが話を聞いた中でも、重視している要素にゲームの長さを挙げる人は多かった。だから例えばブラケット3が「誰かが勝つか負けるまでに少なくとも6ターンプレイできることが期待される」と設定されているなら、誰かが7ターン目にゲームを終わらせてもプレイヤーが満足できるゲームだったという意味になるのだ。
この指標により、ゲームを終わらせるカードやコンボがどこで現れるべきかがより明確になることを私たちは望んでいる。例えば「ゲーム序盤のコンボはなし」と言われるとどういう意味か考えてしまうところを、「6ターン目より早く勝敗が決まるのは期待されていない」と言うことで、どのようなコンボが許されるのかがはっきりわかるだろう。それは、6ターン目までに成立するようなものではないということだ。これは、カード2枚の無限コンボを6ターン目まで待てという意味ではない。頻繁に起こるコンボは、そのブラケットに適していないという意味だ。
どのブラケットでプレイすればいいか迷ってしまうという声は、私たちのもとへ届いている。以下に、大まかな考え方をお伝えしよう。
ブラケット1:エキシビション
このブラケットで期待されること:
- デッキは強さよりも目標やテーマ、アイデアが優先される。
- カードや統率者の使用ルールは、卓ごとに柔軟に決める。
- 勝ち手段は高水準のものではなく、テーマ性が高いものである。
- ゲームプレイは、作品を披露する場である。
このブラケットでは基本的に、誰かが勝つか負けるまでに少なくとも9ターンプレイできることが期待される。テーマを重視するこのブラケットでは、プレイヤーがそれぞれのデッキを披露する時間を十分にとれることが大切だ。
ブラケット2:コア
このブラケットで期待されること:
- デッキは最適化されたものや複雑なものではなく、創造性やエンターテインメント性のために選択したカードも採用されたものである。
- 勝ち手段は段階的なものであり、盤面上に示され、妨害可能である。
- ゲームプレイは交流を重視したプレッシャーの少ないものである。
- ゲームプレイは能動的かつ思いやりがあり、それぞれのデッキのプランを見せ合える場である。
このブラケットでは基本的に、誰かが勝つか負けるまでに少なくとも8ターンプレイできることが期待される。
ブラケット3:アップグレード
このブラケットで期待されること:
- デッキは強力なシナジーやカードを備えたものであり、対戦相手の妨害も効率的に行えるものである。
- ゲームチェンジャーは、バリューを生み出すものやゲームの決定打となるものが採用される。
- 勝ち手段は着実に積み上げたリソースから繰り出され、1ターンで勝負を決める場合もあり得る。
- ゲームプレイは非常に能動的かつ、対応した動きも多い。
このブラケットでは基本的に、誰かが勝つか負けるまでに少なくとも6ターンプレイできることが期待される。
ブラケット4:オプティマイズド
このブラケットで期待されること:
- デッキは、ブラケット5で見受けられるようなcEDHのメタゲームに必ずしも沿ったものではない。
- デッキは極めて強力で、高速かつ安定しており、対戦相手を可能な限り早く倒すために練り上げられたものである。
- ゲームチェンジャーは、マナを加速するものや雪だるま式にリソースを生み出すもの、コストなしに相手を妨害できるもの、サーチ手段が採用される。
- 勝ち手段はさまざまだが、いずれも効率的かつ即座に勝利が決まる。
- ゲームプレイは爆発的で力強い。巨大な脅威と、それに対応する効率的な妨害のやり取りが繰り広げられる。
このブラケットでは基本的に、誰かが勝つか負けるまでに少なくとも4ターンプレイできることが期待される。
ブラケット5:cEDH
このブラケットで期待されること:
- デッキはcEDHのメタゲーム上で戦えるよう綿密に設計されたものであり、迅速に勝利を手にするか圧倒的なリソースを生み出す。cEDHに関する知識やツール、デッキリストを駆使して組み上げられたものが多い。
- 勝ち手段は、効率的かつ安定して勝利できるよう最適化されている。
- ゲームプレイは複雑かつ高度。ミスはほとんど許されず、プレイヤーは他の何よりも勝利を優先する。
このブラケットではどのターンでもゲームが決着する可能性がある。
以上の考え方が各ブラケットへと広がり、それぞれのレベルで期待される舞台が用意されれば幸いだ。
エキシビション(ブラケット1)の更新:テーマに焦点を絞る
さっきも少し触れたけれど、今回の更新にともない「エキシビション」ブラケットにおける意図を強化し、役割よりもテーマを重点に置いたものにしたいと私たちは思っている。
もちろん「ルール0」(ゲーム前の話し合いでその卓のルールを決める方法)はcEDHを除くすべてのブラケットで常に活用できるけれど、ここで改めて、はっきりと強調しておきたかったんだ。
プレイテスト・カードや「アン」セットのカードみたいな、普通じゃない統率者を必要とする一風変わったテーマを実現したい?「ボーラス」テーマのデッキに《ボーラスの城塞》を採用するという風に、君のデッキにとってテーマに富んだゲームチェンジャーを使いたい?それらは「エキシビション」で門前払いされるべきではなく、ゲーム前の話し合いの場へ上げられることが期待される。エキシビションのデッキは、制約が強いもののユニークな構築が見受けられるものであるべきだ。
そういったテーマ性の高いデッキはプレイしていてとても楽しく、多くの人が統率者戦の魅力を味わえるだろう。
ブラケット1のデッキは、パワーレベルだけでは決まらない。それを使ったプレイ体験の方が肝であり、テーマ性の高い体験を一心に目指すデッキこそがブラケット1のデッキなのだ。ぜひ君だけのテーマに沿ったユニークなデッキを組んでみてくれ!
コア(ブラケット2)の更新:構築済みデッキとの結びつきを削除
私たちがブラケット・システムを発表した当時、「コア」ブラケットは平均的な構築済み統率者デッキのレベルが期待されると言及した。
ブラケットのレベルを認識しやすくしようという試み自体は素敵なものだったけれど、そこには難点が2つあった。
1つは、構築済み統率者デッキのパワーレベルに幅があったことだ。『モダンホライゾン3』やSecret Lairの統率者デッキは、『スターター・統率者デッキ』と同じレベルではないのだ。一口に「構築済みデッキ」と言っても、モデルケースに必ずしも沿うものでないデッキがある中での説明は穴だらけで、混乱を増すばかりだった。
もう1つは、構築済みデッキに期待されることが人によってさまざまであることだ。5年前のデッキは、現在のデッキとは大きく異なるのだ。
「コア」ブラケットが最高のスタート地点であることは変わらないけれど、構築済みデッキと結びつける必要はない。だから構築済みデッキに関する言及は撤回し、コアに求めるプレイ体験をもっとうまく伝えられるようにしたいと思う。
サーチ手段の制限の撤廃
サーチ手段はゲーム展開を同じ形にして、デッキの安定感とリスクの均一化を高める。私たちがブラケット・システムを構築した当時、ブラケット1~3におけるサーチ手段については「少し」と定めた。
だがその基準はあまり明白でなく、またサーチ手段も全部同じように作られているわけじゃない。《悪魔の教示者》が非常に効率的なのは間違いないが、《魔性の教示者》に4マナを支払うとしても、それが深刻な問題になるだろうか?そもそも、何を「サーチ手段」としてカウントするのか?《探検の地図》は?《工匠の達人、テゼレット》は?そういう点でも混乱が起きた。
そこで私たちは多くの議論を重ね、統率者戦ブラケットにおけるサーチ手段の制限を完全に撤廃し、特に効率的なものについてはゲームチェンジャー・リストで対応するという道をとることにした。効率的でないサーチ手段を多く使ってもデッキの再現性は特段高くなるわけではなく、そこに安全装置をつける必要はないと私たちは見ている。サーチ手段が抱える最も大きなリスクはコンボを実現できる点だが、低ブラケットにおけるゲームを終わらせるわけではないコンボや、各ブラケットで期待されるプレイターンの制限によって、その問題は軽減されるだろう。
ゲームチェンジャー・リストの理念
前回の更新において、私たちはコミュニティの意見をもとにゲームチェンジャー・リストへ数多くのカードを追加した。その多くは追加して良かったものの、いささかゲームチェンジャーの数が多すぎる方向へ振り子を振りすぎたと思う。ゲームチェンジャーが1枚増えるごとに、みんなが追わなければならない情報が1つ増えることになる。それから、何をもって「ゲームチェンジャー」とするのか、その理念をより明確にする必要があったのだ。
ゲームチェンジャー・リストには、統率者戦のゲームをたやすく大きく歪めるカードが入るべきだ。圧倒的なリソース差を生み出すものや、多くのプレイヤーが不快に思う方向へゲームを変えるもの、他のプレイヤーのプレイを封じるもの、デメリットなしにデッキ内で最強のカードを効率的にサーチできるもの、そしてカジュアルなゲームではあまりに楽しくない統率者などが挙げられるだろう。私たちがゲームチェンジャー・リストから除外したいものは2つある。
- マナ総量の高いカード。統率者戦において大量のマナを注ぎ込んでいるのだから、それは強くて然るべきだろう。ただし早い段階でゲームを変え得るカードについては、引き続き目を向けておきたい。態勢が整う前にゲームを奪われるのは、とりわけフラストレーションが溜まるからね。
- 統率者として単純に強力な伝説のカード。一番の理由は、それが誰かの統率者であることだ。誰かが「《虎の影、百合子》を使いたい」と言う。君たちならその意味が正しくわかり、会話のきっかけになるはずだ。99枚の方に入っていても手をつけられないほど強力なものや、どうしても楽しくないものをリストに残すことに抵抗はないけれど、ゲームチェンジャー・リストに入る理由はパワーレベルだけではない。
リストから除外されるカード
以上のことを念頭に、本日ゲームチェンジャー・リストからいくつかのカードを除外する。
マナ総量の高いカード
- 《召し上げ》
- 《核の占い師、ジン=ギタクシアス》
- 《星の揺らぎ》
- 《飢餓の声、ヴォリンクレックス》
統率者として強力な伝説のカード
- 《眷者の神童、キナン》
- 《最高工匠卿、ウルザ》
- 《軍団のまとめ役、ウィノータ》
- 《虎の影、百合子》
そしてこれらの分類には当てはまらないものの、《偏向はたき》と《食物連鎖》もリストから除外したい。理由は以下の通りだ。
- 《偏向はたき》
- 《食物連鎖》
《偏向はたき》については、コストをかけずに唱えられる点は強力だが、《意思の力》や《激情の後見》のような打ち消し呪文と比べれば一段劣る。当たる範囲も限られており、ゲームチェンジャーと呼ぶほどのカードではないだろう。
《食物連鎖》は極めて強力なコンボ・カードだ。しかしながらコンボ・カードであるがゆえに、低ブラケットにおいては問題を起こすことはないだろう。このカードの歴史を見てリストに加えたことは賢明だったけれど、ブラケット・システム自体がコンボにうまく制限をかけていると、コミュニティからも声が上がっている。本日をもって、《食物連鎖》をゲームチェンジャー・リストから除外する。
今回は多くのカードを一度にリストから除外することになり、君たちのデッキにも大きな影響が出ると私たちは認識している。今回はゲームチェンジャーに対する私たちの理念が変化し、それに合わせてリストを更新した。今後は一度に10枚ではなく、数枚程度の変更になることを願っているよ。君たちがリストの内容を知ったときに安心感を覚えてくれるようになるのが、私たちにとって大切なことなのだ。
リストに残るカード
今回リストに残るカードの中で、特筆すべきものを取り挙げておこう。
《聖別されたスフィンクス》:マナ総量の高いカードをゲームチェンジャー・リストから除外しようという議論の中で、《聖別されたスフィンクス》はまさにその候補に挙がっていた。だが6マナと7マナには天と地ほどの差がある。《聖別されたスフィンクス》が除去されずに能力が数回誘発すれば、ゲームは完全に支配されるだろう。また、クローン効果を絡めて2人のプレイヤーが共謀できる奇妙な相互作用も、最高の体験とは言えない。今回の更新の結果を見てからにはなるけれど、将来的にはリストから外れることもあり得るかもしれない。
《合同勝利》:コストは重いものの、5色の統率者をコントロールしていれば文字通りゲームを終わらせるというのは依然として極めて強力だ。《合同勝利》は禁止リストから除外されて日も浅く、また《星の揺らぎ》と異なり、5色デッキなら何にでも入るし機能する。いつかはゲームチェンジャー・リストから外れることもあるかもしれないけれど、今回は残しておこう。
《一望の鏡》:このカードもリストからの除外が議論されたが、完全に制限を外してしまって良いものか、もう少し時間をかけて見てみようということになった。《食物連鎖》と同様に、低ブラケットにおけるコンボへの意識はかなり高まっているけれど、《一望の鏡》はまだ解禁されたばかりであるため、監視を続けるつもりだ。
更新後のゲームチェンジャー
以上をまとめると、更新後のゲームチェンジャー・リストはこのようになる。
さらに、統率者戦フォーマット委員会のメンバーであるレイチェル・ウィークス/Rachel Weeksが、ブラケット・システムの変更点を説明する便利な図を作成した。ぜひこちらから確認してほしい。
それからもう1つ、お知らせしておきたいことがある。私たちのもとには、ブラケットやゲームチェンジャーに関する情報がこの記事のように長い記事の中で隠れてしまわないように、まとめられた場所があると嬉しいという声が寄せられている。そこで、まだ「ベータ版」のタグは外せないけれど、以下のリンクから情報を確認できるようにしたぞ。リンク先にはまだこの記事でお伝えした最新の情報が反映されていないけれど、近日中に反映予定だ。
「Commander Summit」で取り挙げられた話題
「Commander Summit」の中で、私たちは今後の統率者戦フォーマットについてさまざまな事柄を話し合った。ここでいくつかの話題をみんなにも共有し、フィードバックを集めたいと思う。今回は主に4つの話題を取り挙げよう。
1つ目は《リスティックの研究》についてだ。
このカードは統率者戦を象徴する1枚であり、「1マナ支払いますか?」はこのフォーマットのいたるところで何度も言われてきた。統率者戦全体で見ても、特に優れたカード・アドバンテージ・エンジンの1つだ。カジュアルなゲームでは、《リスティックの研究》を持つプレイヤーは他のプレイヤーに呪文を唱えてもらうだけでゲームを支配してしまうだろう。cEDHのような高ブラケットでも、大きな問題を引き起こしている。
しかしながら、私たちが知る限り、このカードは多くの人に愛されている。《太陽の指輪》ほどこのフォーマットを象徴するカードとまでは言えないけれど、その地位にそう遠くない存在なのだ。
《リスティックの研究》があることで、統率者戦はより楽しいフォーマットになっているだろうか?このカードがゲームチェンジャーとなり、禁止へ至る世界はあるのだろうか?現状における私たちの考えをはっきり伝えておくと、カジュアル統率者戦を象徴するカードである《リスティックの研究》をゲームチェンジャーや禁止カードのリストへ入れるのは反対寄りだ。これについて意見があったら、ぜひ聞かせてほしい。
2つ目は《タッサの神託者》について。
このカードは《Demonic Consultation》や《汚れた契約》のようなカードと組み合わせて即座にゲームに勝利する手段となり、高ブラケットで広く使われている。私たちの知見と競技志向の統率者戦プレイヤーの知見を総合すると、このカードは人によって好みが分かれるという評価になっている。
ただしこれについては、私たちにはよく見えていない部分が1つある。よりカジュアルなテーブルでどれくらい使われているのかだ。ブラケット3やブラケットの区分がないカジュアルなゲームを楽しんでいる方に聞きたいのだが、《タッサの神託者》でゲームが終わることは頻発しているだろうか?どうか知らせてほしい。現時点では、行動を起こすに足る証拠があるとは私たちは考えていない。
私たちは基本的に、カードの禁止は避けてゲームチェンジャー・リストをツールとして使うのが好ましいと考えている。とはいえ《タッサの神託者》は広く議論の種となっており、影響も大きいため、ぜひ君の意見を聞かせてくれ。
3つ目は、さらに別のブラケットが必要かどうかだ。
ブラケット2と3の間やブラケット3と4の間にもう1つブラケットを置いて、もう少し細かく刻むというアイデアは、私たちもかなりの議論を重ねてきた。
私たちが出した結論は、もう1つ追加する前に今回の更新による影響を見てみようというものだ。みんながまた新たな呼称を覚えることになるため、決してノーコストでできることではない。ぜひ君の意見を聞かせてほしい。ブラケットがもう1つ加わったら、君はそこで遊びたいだろうか?教えてくれ!
そして4つ目は、他の3つとまったく異なる部分だ。混成マナ・コストについてのフィードバックを集めたい。
マジックにおいて、混成カードはどちらの色でもプレイできるように作られている。それはマジックのあらゆる場面で機能する。つまり《台所の嫌がらせ屋》は白単のデッキにも緑単のデッキにも採用できる。ところが統率者戦では、状況がまったく逆になる。白単のデッキにも緑単のデッキにも採用できないんだ!
混成カードが採用できるようになれば、色の少ないデッキで使えるカードの選択肢が広がるだろう。
デザインの観点から言うと、現在の混成カードをデザインする手法では、それぞれの色を個別に扱うカードにする必要がある。白のカードと緑のカード、それぞれの規則を個別に守ってデザインしなければならず、それぞれの色の単色のカードよりも弱めに作られることが多い。
そこでこの提案はあくまでデッキ構築に限った話だけれど、混成マナ・シンボルをそれぞれの色として扱えるようにするのはどうだろうか。そうすると《贖われし者、ライズ》は白のデッキにも緑のデッキにも採用できるようになり、また緑白のデッキの統率者に選ぶこともできる。カードの他の部分にあるマナ・シンボルは通常通り扱われるため、《死儀礼のシャーマン》を黒単色のデッキで使用することはできない。テキスト欄に緑マナ・シンボルがあるからね。
《女王への懇願》のようなツーブリッド・マナについても、同じように機能させたいと私たちは考えている。そうなるとどのデッキでも採用できるようになるのだが、そこはもっと議論を深めたいところだ。
混成マナ・コストが統率者戦において長い間議論されてきたことを私たちは知っている。みんなはどう思う?
私たちは以上の4つを中心に、ソーシャルメディアへ投稿されたコミュニティの意見に目を通していくつもりだ。それからマジック公式Discordチャンネルでもフィードバックを集める予定だから、ぜひ参加してほしい。
2026年へ向けて統率せよ
次は来年の2月が終わるまでに、また状況を確認しよう。そのときにはブラケットのさらなる更新もあるだろうし、今回みんなに問いかけたことにも着地点を見い出せているかもしれない。今年中には禁止も禁止解除もないと以前言ったけれど、来年に向けてあらゆる評価を続けていくよ。
また、年に一度の委員会メンバーの入れ替えも控えているから、そちらの報告もさせていただこう。メンバーの入れ替えは初めてのことになる。昨年委員会発足のお知らせをしたときに言った通り、何人かメンバーを入れ替えて新しい人を迎え、全体の人数は減らす予定だ。発足直後の移行期間は、これまでの一貫性を維持するために多くの目が必要だったんだ。当初は11月前半までにメンバーの入れ替えを行うと言っていたけれど、もう少し後になる見込みだ。今後2、3か月以内にお伝えすることになると思う。
統率者戦は、全体的に素晴らしいフォーマットだ。私たちとしても、あまり多くの変更を加えるつもりはない。統率者戦ブラケット・システムは大部分がうまく機能しており、みんなに楽しんでもらえている。いつもこの最高のフォーマットで遊んでくれてありがとう!
それじゃあ、また次回。
統率者戦フォーマット委員会を代表して――ガヴィン・ヴァーヘイ
Attack on Cardboard
Bandit
Ben Wheeler
Charlotte Sable
DeQuan Watson
Deco
Greg Sablan
Ittetu
Josh Lee Kwai
Kristen Gregory
Lua Stardust
Olivia Gobert-Hicks
Rachel Weeks
Rebell Lily
Scott Larabee
Tim Willoughby
Toby Elliott

