シングルカード・ストラテジー

更新日 Card Preview on 2018年 6月 21日

By Gavin Verhey

When Gavin Verhey was eleven, he dreamt of a job making Magic cards—and now as a Magic designer, he's living his dream! Gavin has been writing about Magic since 2005.

 マジックのデッキを組むための方法には、いくつかの基本的な手法がある。

 よくあるやり方の1つは、一般的なアーキタイプやテーマに従ってデッキを構築する方法だ。例えば、アグロやコントロールとかだね。アグレッシブ・デッキの目標は明確だ。可能な限り素早く、かつ可能な限り多くのダメージを与えられるようにする。特定のカードに頼るのではなく、それらアーキタイプやテーマの戦略に沿ってデッキを作るというものだ。

 それとは対照的な方法が、カードを軸にデッキを構築する手法だ。それは、デッキ全体を使って特定のカードを最大限生かすよう構築する、というものになる。その方法で作るデッキは、コンボデッキであったり、あるいはどのようなデッキでも使えるような汎用性が無い、特殊なカードを生かすためにあつらえたデッキとなったりするんだ。

 これらは2つの異なるデッキ構築戦略について説明している。テーマ・ストラテジーとシングルカード・ストラテジーだ。

 今日はそれらについて――そしてそれらに絡むいくつかのカードについて話そうと思う。ええと、それらのカードが全部『基本セット2019』のプレビュー・カードだってことは伝えたっけ? 全部レアか神話レアだってことは? いやあ、とっても気になるね。

 もたもたしてる場合じゃない。先に進もう!

貯めこんでる?

 デッキを作る時には、1つのテーマを決めて、それに合うカードを求めていくやり方がある。その1つに集中するやり方はリニア戦略と呼ばれるもので、その特定の種類のカードを入れるほどに強力になっていくんだ。

 マジックの歴史の中にも数多くの例がある。アーティファクト重視のデッキ、バーン・デッキ、そしてもちろん(特定のクリーチャー・タイプを重視する)部族デッキもだ。

 では、《ドラゴンの財宝》を見てみよう!

https://media.wizards.com/2018/m19/jp_fswfJdXrvr.png

 まず、それだけですでに《マナリス》を得られる――その大あごを開くまでもなく、(《彩色の灯籠》のような)追加の能力を持つマナランプ・カードはよく使われる傾向にある。

 これは紛れもなくその種のカードだ――そしてこれを採用したいデッキと言えばお分かりだろう。まさにドラゴン部族デッキが望むものだ! ドラゴン・デッキはマナを加速してそれら厄介なでかぶつどもを唱えるわけだが、ランプ・カード自体がドラゴンに恩恵を与えることはほぼない、という問題がある。それにそれらはゲーム終盤においては無駄なドローにもなってしまう。

 《ドラゴンの財宝》であれば、無くなりかけた手札を補充できる能力によってテーマに関連してくるカードと、マナを加速するカード、その両方の条件を満たせる!

 《ドラゴンの財宝》に投資して両方の能力の恩恵を受けるためには大量のドラゴンが必要だ、というわけでもない。後々追加のカードが引けるのであれば、すでにそれだけでも素晴らしいことだ。3マナでマナを加速し、カードが引ける。きわめて強力なカードだ!

 これはドラゴンを大量に詰め込んだデッキに最適なのはもちろん、少しだけドラゴンを入れたコントロール・デッキを組む場合でも十分に考慮できるものだろう。

 まあ、もしあなたがドラゴンに興味がなかったとしても、『基本セット2019』にはまだいろいろなカードが用意されている。次もまた、テーマ重視のデッキ向けに利用してもいいし、単にそのまま採用してもいい、別のカードをご覧に入れよう。

https://media.wizards.com/2018/m19/jp_zgoiKPWPiR.png

 このスフィンクスは単体でも十分だ。飛行クリーチャーによる攻撃を抑止する大型クリーチャーであり、それらから攻撃を受けた時にカードが引ける。いいね。

 しかしこれが真に輝くのは、デッキに飛行クリーチャーを満載しているときだ! 《風読みのスフィンクス》は、部族戦略のためにデッキに関連カードを大量に投入するときと同じ戦略を用いることで飛行デッキのマナ・カーブの頂点に据えられる、素晴らしいカードだ。こいつを盤面にたたきつけて、飛行クリーチャーで攻撃し、引きたてほやほやのカードを抱えよう。

 相手クリーチャーのブロックを回避する助けとなるので、飛行はそれだけでも素晴らしいものだ――しかもこの再録されたスフィンクスは、そのアドバンテージを後押しし、さらなるアドバンテージをも獲得してくれる。

頂点に向かって

 《ドラゴンの財宝》はリニア的なドラゴン・デッキで輝く。《風読みのスフィンクス》は飛行を十分に入れたデッキにぴったりだ。これらは、かなり直接的にリニア戦略へと向かわせるカードだろう。

 そして、相性の良いカードをともにデッキに投入することで生きる、それを中心としたデッキ構築が可能となるカードがある。『基本セット2019』のブースターパックから出てくる、古き良き時代のカードの再録を例として取り上げてみよう。

https://media.wizards.com/2018/m19/jp_e6B0pnzKiv.png

 『基本セット2010』で初めて登場したこのジンは、すごいことをしてくれそうだ。本人が強力な飛行クリーチャーというだけでなく、なんと自分のライブラリーの一番上にあるカードを見て、無料で唱えられる能力まで内蔵されている。

 ああ、単にその恩恵を得るためだけにジンを使ってもいい。ただそれを戦場に出して、能力を起動し、うまくいくことを願う――それでも十分だ。このジンをリミテッドで使うときには、よくあることだろう。

 しかし《願いのジン》入りのデッキを組むのであれば、ライブラリーの一番上から釣りあげたいのは、とんでもない効果を持つすごい呪文か、あるいは極めて強力なパーマネントとなる呪文だ。《川識の占い師》のようなカードを使ってライブラリーの一番上を操作すれば、タダ出ししたい呪文のためにジンの能力を起動できるだろう。これは最も重いものをプレイしてその能力を生かすための方法だ。これこそが、ジンを軸とした構築と言える。

 ライブラリーのカードをめくって唱えたいカードといえば、『基本セット2019』に存在する中では、イラストの中央にニコル・ボーラスが描かれたカードだろう。ボーラスを描写しているカードはこのセットにいくつか存在し、その中には彼の隆盛を描いたものと彼の敗北を描いたものの両方がある。早速、ボーラスを、彼のその時を紹介させてくれ。ああ……そのカード名がすべてを語っている。

https://media.wizards.com/2018/m19/jp_74bxo8GGQW.png

 うわあ。「Spellslingers」(英語動画)の最新作ですでに《力の頂点》を見ているかもしれないが、もう少し詳しく見ていこう。

 ああ、これは相手が《願いのジン》から使ってくるだなんてことは絶対に願い下げであろうカードだ。実際、これはデッキ全体をこれに合わせて構築する類のカードだろう。そう、これを中心にデッキを組むカードだ!

 あなたは――この呪文を実質無料にする――10マナを得て、ライブラリーの上から7枚をめくる。7枚引いてそれらをまとめて唱えるようなものだ。マジックのデッキの歴史を振り返って考えてみても、これは何らかのコンボデッキを組める効果だろう。

 しかし、これで何をすればいいだろうか?

 それはおおむねデッキによると思われる。ランプデッキだとすれば、マナ加速を使って10マナに到達し、これを唱えて、強力な脅威となるカードをいくつも展開することがデッキ全体の目標になるだろう。まったく別のやり方としては、コントロールデッキがゲームを決めるために用いるのもありだ。相手のカードを1対1交換で捌きつつ、ドロー呪文などでカードを引き増ししてから、戦場に脅威を展開するなどで優位に立てるよう、この呪文を叩きつけよう。

 あるいは、予想だが、これはいくつかのコンボデッキを生み出せるだろう。コンボに必要な呪文すべてを一度に唱えられる可能性があるからね。手札に《力の頂点》が複数ある場合、1枚目に続けてそのまま2枚目を唱えることも可能なため、唱えられる呪文の選択肢が山のように増えることになる!

 このカードを軸にデッキを組むにはどうすればいいだろうか? それは自分で見つけ出してくれ。正解はひとつじゃない……皆がどんな使い方をするか気になってしょうがないよ。

ドラゴン痘

 もし鶏痘のようなひどい悪疫にかかるのは嫌だと思っているなら……

 おほん。

 ああ、先に前置きを挟もう。初期のマジックでは、それがゲーム全体を左右するような注目すべきカードがいくつかあった。自分のデッキはそれらから恩恵を受けるように組まれており――たいてい対戦相手のデッキはそうなっていなかった。《天秤》はわかりやすい例だ。警戒できず《天秤》にぶち当たってしまうと、手札、クリーチャー、そして土地までもを失ってしまいかねない。

 この系統のもう1つの例は《悪疫》だ。

 《悪疫》は自分を含むすべてのプレイヤーに影響する。そう聞くと、その効果は平等に思える。全員が影響を受けているのは確かだ!

 しかし実際のところは、まったくもって公平ではない。

 自分のデッキに《悪疫》を入れる場合、より良い成果を得られるように唱える時期を自分で選べるというだけでなく、そもそもデッキに入れておくカードを選別しておくことができる。そうだな、例えば、自分でクリーチャーをたくさん並べるようなデッキにはしないだろうから、《悪疫》を使ってもひどい損害を受けることはない。

 《悪疫》は長年にわたるマジックの歴史の中で、いくつかの同類カードが登場している。その中には、《死の雲》のようにデッキやフォーマットの要となるようなものもあるんだ。

 では、《悪疫》の新しい家族となる最新カードをご紹介しよう。

https://media.wizards.com/2018/m19/jp_OvSwuQx1x2.png

 3枚のレアサイクルとなっている他のカードも、《力の頂点》と同様にニコル・ボーラスの支配について描いている――ただし、これは《力の頂点》とは違い、ボーラスの強大な力がほころび始めたところを表現しているんだ。

 それらの3枚を並べて、それらが語るストーリーを確認してみよう!

Apex of PowerFraying OmnipotencePatient Rebuilding

 哀れな。

 そして今や、あなたは対戦相手にこれと同様の痛みを負わせられる……それから、当然、自分自身にもだ。とはいえきっと、あなたはそれに備えた構築をしているだろう! 手札のカードは使い切り、クリーチャーは出し過ぎないように気を付け(るし、切り上げになるから奇数ではなく偶数にして)、影響のないカード・タイプを重視するんだ。

 土地、アーティファクト、プレインズウォーカー、どれも大丈夫だ。《消耗した全能》はそれらに手を出さない。したがって、自分はそれらを利用したデッキを組むことで、このカードをより効果的なものにできる。こちらはパーマネントを維持できるが、対戦相手はそうではないからね。

 そして、ボーラスがそれを別の方法で得ることはないだろう。

ドラゴンはここにあり

 『基本セット2019』入りのデッキを構築するための筋肉をほぐす準備をしておこう!

 昔以上の魅力を備えて、基本セットが帰ってきた。よりリニア的な戦略に興味があるとしても、1種類のカードを主役に構築するにしても、それを中心にデッキを組んでみたいものがたくさんある。私はこのセットがまさに新しく、そして生き生きとしたものに感じられるだけでなく、それでいて新規プレイヤーのための素晴らしい導入にもなっているところが本当に好きだよ。

 あなたが新人さんだとしたら、遊び始めるのにこれより良い機会はない――そしてあなたがベテランだとしても、気に入るものがたくさんあるはずだ。ぜひとも楽しんでくれ!

 何か思いついたことや感想はあるかな? それを聞きたくてしょうがないよ! いつでもTwitterTumblrでメッセージを送ってくれてかまわないし、BeyondBasicsMagic@Gmail.comにメールしてくれても大丈夫だよ。(編訳注:英語でお願いいたします。)

 また会おう!

Gavin / @GavinVerhey / GavInsight

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa / TSV testing)

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