Day 1 Blog Archive

更新日 Event Coverage on 2006年 8月 19日

By Wizards of the Coast

TABLE OF CONTENTS

  • Blog - 9:48 p.m.: Decklists: Day 1 Undefeated Decks
    by Keita Mori
  • Blog - 9:34 p.m.: Sealed Decks of the Pro Tour Champions!
    by Keita Mori
  • Blog - 9:13 p.m.: Round 8 : 八十岡 翔太(神奈川) vs. 石村 信太朗(埼玉)
    by Yusuke Yoshikawa
  • Blog - 8:40 p.m.: Round 7 : 津村 健志(広島) vs. 谷井 祐介(岡山)
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 7:37 p.m.: Round 6 : 三原 槙仁(大分) vs. 有田 隆一(千葉)
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 7:09 p.m.: Round 5 : 中村 修平(大阪) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)
    by Yusuke Yoshikawa
  • Blog - 6:41 p.m.: Round 5 : 小室 修(東京) vs. 森 勝洋(東京)
    by Daisuke Kawasaki
  • Blog - 5:55 p.m.: Round 4 : 鍛冶 友浩(埼玉) vs 斎藤 友晴(東京)
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 5:18 p.m.: Round 4 : Julien Nuijten(オランダ) vs. Helmut Summersberger(オーストリア)
    by Yusuke Yoshikawa
  • Blog - 4:23 p.m.: Round 2 : 金 民守(神奈川) vs. 真木 孝一郎(東京)
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 1:56 p.m.: 広島に集まる人々
    by Yusuke Yoshikawa
  • Blog - 1:17 p.m.: 黒船来航
    by Keita Mori
  • Blog - 11:41 a.m.: 広島へようこそ!
    by Yusuke Yoshikawa

BLOG

今回のグランプリの舞台となる広島市。ご当地は人口約115万人の政令指定都市で、中国地方の経済と行政の中核をなしている。同時に、緑と平和のまちとしても知られる広島は、「安芸の宮島」をはじめとする景勝地でも名高い。

安芸の宮島

広島におけるプレミアイベントの歴史は、2001年1月に最初のグランプリが開催されたことに始まる。インベイジョンのリミテッドによって争われたこの大会は、1999年日本王者でもある東野 将幸(大阪)が優勝を飾った。

東野 将幸

次にグランプリが行われたのが2003年1月。この時の形式はエクステンデッドで、「エンチャントレス」デッキを駆った東 大陽(大阪)が、並み居るプロを押しのけて栄冠を手にしている。

東 大陽

本大会はそれ以来のグランプリとなり、地元のプレイヤーには期するところも大きいはずだ。2003年と同じ会場、広島県立広島産業会館で、今回はどのような戦いが繰り広げられるのだろうか。


Saturday, Aug. 19: 1:17 p.m. - 黒船来航

by Keita Mori

グランプリやプロツアーと呼ばれるイベントは入賞にともなう賞金にばかり注目が集まるイベントかもしれない。しかし、いわゆるプロプレイヤーと呼ばれる強豪たちにとっては、のどから手が出るほどほしい「もうひとつの賞金」がかかっている。

「もうひとつの賞金」、それこそがプロポイントである。

マジック:ザ・ギャザリングの年間サーキットというのはF-1のそれに似ている。各地で開かれるイベントで活躍するごとに、賞金とともにドライバーポイントよろしくプロポイントが与えられる。そして、プロプレイヤーたちは年間通算でのポイント獲得量を競いあっているのだ。

ご当地広島の英雄、津村 健志が昨年度の最多プロポイント獲得者として「年間最優秀プレイヤー賞(=Player of the Year)」に輝いており、これはF-1ならワールドチャンピオンにも相当する快挙だった。さらに津村は「マスターズ賞金」と呼ばれる特別な報奨金12,000ドルを年度末に獲得したのだが、これもそのプロポイント獲得量による順位による分配である。このあたり、まさしくプロポイントが「もうひとつの賞金」たるゆえんだ。

このポイント、獲得量が1点やそこらのうちはちょっとした名誉以上のなにものももたらしてはくれない。しかし、獲得量が一定以上となったプレイヤーは予選に出場せずとも自動的にプロツアーに招待されるようになる。これが特急列車「グレイヴィ=トレイン」への乗車権と呼ばれており、長きにわたってトッププレイヤーの証とされてきた。

そして、このプロポイントの価値をさらに高めたのが昨年度より敷かれた新しいシステム、「プロプレイヤークラブ」の導入だ。

プロプレイヤークラブ:ガイドライン(英語)

そのシーズンごとの獲得プロポイントによってプロプレイヤーたちは格付けされ、上位に行けば行くほどに大きな報酬を手にするという新しい仕組み。昔を知る人のために言うなら、前述のグレイヴィ=トレインの乗車券にも自由席、指定席、グリーン車といったカテゴリーが設けられたというわけだ。

たとえば、最上位のレベル6魔法使いともなると、

(左から)ピエール・カナーリ、ジュリエン・ナウテン

・国別選手権(日本人であれば日本選手権)に招待される
・グランプリにおける3回戦不戦勝(=3 Bye)を得る
・すべてのプロツアーと世界選手権に招待される
・プロツアーや世界選手権に参加するごとに参加報奨金2,000ドルを提供される
・プロツアーや世界選手権に参加するための航空券と宿泊ホテルをすべて提供される
・グランプリに参加するごとに参加報奨金500ドルを提供される

といった待遇でマジックのイベントに参加することになるのである。

そんな中で今シーズンも折り返し地点を迎え、来季を睨んでさらなるプロポイントの上積みを狙いたい海外勢たちの日本遠征というはこびになった。中村 修平や津村 健志といった日本人トッププロが海外のグランプリへと遠征していくのとまったく同じロジックで、彼らは日本へと侵攻してきたわけである。

これからのレポートに何度となく登場するだろう彼らについて、簡単にご紹介しておこう。

■Julien Nuijten/ジュリエン・ナウテン(オランダ)

2004年度に世界王者と新人王のダブルタイトルを掴み取ったオランダの若き英雄。国際舞台での異文化交流によって片言の日本語を話せるようにもなった。友人のOlivier Ruel(フランス)、Pierre Canali(フランス)とともに来日し、大親友だという津村 健志の自宅に短期ホームステイ中。

■Pierre Canali/ピエール・カナーリ(フランス)

初出場となったプロツアーで初優勝という快挙を成し遂げたフランス人で、エクステンデッドにおける《霊気の薬瓶/AEther Vial》型「親和/Affinity」デッキのマイスター。本業がサルサダンスのコーチというのもマジック界ではかなり異色の肩書き。

(左から)アンドレ・コインブラ、ヘルムート・ズマースバーガー、マクシミリアン・ブラフト

■Andre Coimbra/アンドレ・コインブラ(ポルトガル)

2005年度の世界選手権で見事にベスト8に入賞したポルトガル勢。いわゆる「エイト・ヒッピー」タイプのスタンダードデッキで活躍したが、準々決勝で鍛冶 友浩の「ガジーの輝き」に敗北している。

■Helmut Summersberger/ヘルムート・ズマースバーガー(オーストリア)

かつて「フィンケルの年」に行われた2000年度世界選手権ブリュッセル大会で6位入賞を果たしている強豪。今年に入ってからもグランプリ・リールとグランプリ・バルセロナに優勝している。

■Maximilian Bracht/マクシミリアン・ブラフト(ドイツ)

ブッディが一線を退いた今、新世代ドイツの旗手として注目の存在。今季絶好調の構築屋で、プロツアー・ホノルルでは《春の鼓動/Heartbeat of Spring》コンボデッキでベストエイト入賞を果たしており、つい先日のドイツ選手権でも「エラヨウ忍者」という驚異の新アーキタイプを披露しての華々しい優勝を飾った。

Maximilian Bracht

Download Arena Decklist


Saturday, Aug. 19: 1:56 p.m. - 広島に集まる人々

by Yusuke Yoshikawa
(左から)大礒 正嗣 、津村 健志、上野 一樹

「マジック:ザ・ギャザリング」で「広島」といえば、やはりこの男たちを抜きにしては語れない。

2005年度Player of the Yearの津村 健志を中心に、2002~2003年度Rookie of the Yearの大礒 正嗣のツートップ。彼らの活躍は、広島の名を世界に知らしめたといっても、決して過言ではない。

そんな彼らを見守るかのように、広島の重鎮・上野 一樹。元祖広島の精鋭・檜垣 貴生とともに、ワールドクラス2人を輩出した陰には、彼らの下支えがあることは、記憶されてしかるべきだろう。大礒の国際試合デビュー戦となったチームプロツアーHato Beamは檜垣、上野、大礒というトリオであった。

ところで、津村は日本勢の中でも足しげく海外遠征を行っていて、世界各地に友人を持っている。そんな彼を慕ってか、友人たちの何人かはこの広島にやってきて、津村宅にホームステイしているそうだ。

彼らが何故やってきたか、その主な動機については先ほどのエントリー「黒船来航」にてご説明しているので参照していただきたい。しかし、目的は賞金だけに留まらず、「友人」津村と遊びにやってきた、ということも大きいだろう。

世界を回って、できた友達と週末を過ごす。ありそうでなかなかないことが、このマジックの世界にはあるのだ。

おりしも、今日8月19日は津村健志の20回目の誕生日。仲間から似顔絵入りのケーキを贈られてはにかむ津村の姿は、彼の魅力そのものであり、「強さ」の一端を示しているのではないだろうか。

津村 健志はグランプリ会場で二十歳の誕生日を迎えた!

Saturday, Aug. 19: 4:23 p.m. - Round 2 : 金 民守(神奈川) vs. 真木 孝一郎(東京)

by Yukio Kozakai
金 民守

Bye(=不戦勝)が明けたプレイヤーが、次々とフィールドに姿を現す。いわゆるグレイヴィ組と呼ばれるプロプレイヤークラブLV3以上のプレイヤーたちが出番を待つ中で、ベテランプレイヤー同士の注目のマッチが早くも成立した。

ご存知、ご意見番・真木 孝一郎。そして、かつての日本選手権準優勝者たる金 民守の対戦だ。

何よりも驚くべきは…現在のレーティングやプロポイントのシステムで2つ以上のByeを掴むことは、彼らほどのプレイヤーであっても難しいという事実だ。1900を超えるレーティングを維持し、10以上のプロポイントを積み重ねるのは、並大抵ではない。その並大抵ではない偉業を果たして、遠く海の向こうから多くのプロプレイヤーが参戦しているのも、今大会の印象的な出来事だ。

Blog記事でも語られているが、その意味で非常にハイレベルになった今回のGP広島。それは、プレイヤーリストが雄弁に語っている。なんと、その1つのByeを掴むのでも大変という環境下で、3Byeを誇るプレイヤーが57名も参戦しているのだ。実に全体の1/8以上という高濃度である。2日目に残れるプレイヤーの数が64名なのだから、まさにその努力と成果に見合った報奨と言えるだろう。

実力のあるプレイヤーが、GPにおいて9点のリードを持って挑んでくるのだから、GPにおけるByeの価値というのはますます高くなっていくのだろうと強く感じた。

さて、なぜゲームに直結しない部分の話をこれほど長く続けたかというと、デッキ登録ミスの疑いのあった真木が、ジャッジに呼ばれたままなかなか帰ってこないからに他ならず。

結論から言うと、筆記用具を忘れずに持ってくるのはトーナメントに参加する上で重要なことだが、その中身にインクが入っているかどうかはもっと大事かもという話。それが、お出かけ前のエチケット。

では、真木が帰ってきたので、8分遅れでゲームスタートだ。

真木と金の対戦

Game 1

後手の金が、1ターン目に《エルフの空掃き/Elvish Skysweeper》から立ち上がり、真木はお帰りランドを絡めて《年季奉公の鈍愚/Indentured Oaf》をプレイ。金は《噛みつきドレイク/Snapping Drake》で応えるが、真木が速やかに《大笑いの炎/Cackling Flames》で除去。続けて金がプレイした《棘茨の精霊/Bramble Elemental》には《夜の飾り紐/Ribbons of Night》と、《年季奉公の鈍愚/Indentured Oaf》1体でのビートダウンを強行し続ける。その手には、いまだ《黒焦げ/Char》が握られており、真木のデッキパワーの高さをうかがわせる。

だが、この「1体でのビートダウン」に落とし穴が待っていた。押し気味にゲームメイクしていた真木に突き刺さったのは、《よじれた正義/Twisted Justice》。

殴られた代償に、除去をしつつ十分なカードを補充した金は、《よだれ垂らしのグルーディオン/Drooling Groodion》を場に送り込み、真木はたまらず《黒焦げ/Char》を打ち込む。

続け様に《ヴィーアシーノの牙尾/Viashino Fangtail》を召喚して金の出方をうかがうが、登場する役者は《木彫りの女人像/Carven Caryatid》《シラナの星撃ち/Silhana Starfletcher》《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》と、どれも小物ばかり。真木も《松明ドレイク/Torch Drake》《粘液絡みの鼠/Gobhobbler Rats》と戦線を維持し、《ヴィーアシーノの牙尾/Viashino Fangtail》を《最後の喘ぎ/Last Gasp》で失うものの、まだまだ手札には飛行クリーチャーに溢れている。

カード単体の強さでは敵わない金は、枚数で勝負とばかりに《不死の断片/Strands of Undeath》を《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》へとまとわせ、強固な防御網と共にアドバンテージの拡張を図り、《悪魔の道化師/Demon's Jester》召喚から《生育/Thrive》につなげて、逆転の体勢は整った。

真木もやられっ放しではない。《破れ翼のドレイク/Tattered Drake》をプレイして一方的な空中戦にピリオドを打ち、続くターンには《幻の漂い/Drift of Phantasms》でさらに守りを厚くして見せる。

しかし、金はその手札の全てを使い、《翼膜のバイパー/Patagia Viper》召喚から《すがりつく闇/Clinging Darkness》を真木の《松明ドレイク/Torch Drake》へエンチャント。暴勇を果たした《悪魔の道化師/Demon's Jester》がパワー5という恐るべきサイズの飛行クリーチャーになって、《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》と共に真木へと襲い掛かる。そのインプもパワーが2と、今の状況ではビートダウンには充分なサイズに「生育」されているのだから、真木はたまらない。

さらに《死足虫/Mortipede》を追加した金に対し、真木はついに弾丸切れ。《死足虫/Mortipede》に喰らい付かれた真木のクリーチャー達はほぼ全滅し、長い第1ゲームは、カードアドバンテージを生かし切った金が、空中戦からの見事な切り崩しで勝利を飾った。

金 1-0 真木

真木 孝一郎

Game 2

サイドボードで白を追加し、安定を取って今度は後手を選択した真木。初手に見つけた土地2枚のうち、1枚が《グルールの芝地/Gruul Turf》。そして2枚の印鑑というちょっと噛み合わないハンドに軽くガッカリしながらも、最初のドローで基本地形を引き込んでプラン立てが出来上がった。

印鑑経由で4マナ揃えても何も出てこない金に対し、真木は《絹羽の斥候/Silkwing Scout》から《ゴルガリの腐敗農場/Golgari Rot Farm》と理想的につなげる。金は《幻の漂い/Drift of Phantasms》変成から《シラナの星撃ち》を手に入れるに留まり、その場にはいまだ何のクリーチャーも展開されていない。

明らかに不審な金の動き。真木もそれは充分に察しており、過剰な展開を避けて印鑑と《グルールの芝地》を追加するに留め、金の動きを追うように、《シラナの星撃ち》に対して《松明ドレイク》を召喚と、わずかに有利になるように場をコントロールする。

それは金も同じで、真木よりも斜め上に行くくらいの動きでアドバンテージを取りに行き、《蒸気核の奇魔/Steamcore Weird》で《松明ドレイク》を焼き払い、それに《空想の飛行/Flight of Fancy》をエンチャントした所で考え込む。

Twisted Justice

 「《大竜巻/Savage Twister》? この流れはサベツイですよね?」

真木 「んー。どうかなー?」

と、全体除去を覚悟しながら追加したのは《翼膜のバイパー》。しかし、真木の手には全体除去の類は無く、《火花魔道士の弟子/Sparkmage Apprentice》で《翼膜のバイパー》を葬るのみに留まる。実は、ここまで進んだターンで真木の手札引き込まれたカードのほとんどは土地だったのだ。

そうなると、後が続かない真木のクリーチャーは、「孤独な戦い」を強いられる事になる。数で押されてはいるものの、幸いにも金のクリーチャーの線は細い。1体だけの防衛戦だが、まだ真木の陣営に構える《年季奉公の鈍愚》がいる限り、殴り合いになればまだ勝負になると信じ、真木は土地だらけのハンドに力を込める。

 「じゃあ《よじれた正義/Twisted Justice》で」

真木 「あれ? この光景、さっき見たよね???」

金 2-0 真木

Final Results :金 Wins!


Saturday, Aug. 19: 5:18 p.m. - Round 4 : Julien Nuijten(オランダ) vs. Helmut Summersberger(オーストリア)

by Yusuke Yoshikawa
ヘルムート・ズマースバーガー

3つの不戦勝を消化したトッププロたちがテーブルにつく第4回戦。ここで、先ほどのエントリー「黒船来航」で取り上げた外国勢同士が早くも激突した。

そのプロフィール紹介はそちらを参照いただくとして、彼らにしてみれば、「日本まで遠征してきて、なんで同じ遠征組と当たるかなあ?」という気持ちなのだろうが、我々としてみれば、普段目にすることのできない欧州のトッププロのプレイングを観る絶好の機会でもある。

ちょっとしたトピックとともに、彼らの戦いを追ってみよう。

Game 1

先攻のHelmutがダブルマリガンの憂き目に。それを尻目にJulien少年の《木の葉ドレイクの休息地/Leafdrake Roost》がもりもり活動。

Helmutはやる気のない顔から《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》を出してミラクルを狙ってみるが、Julienは涼しい顔で受け流し、手札にうなる火力でHelmutのライフを一瞬で奪ってみせた。

Julien –1 Helmut –0

Game 2

ところで、皆さんはシールド戦において「サイドボード」をどのように活用しているだろうか。

「シールド戦のメインデッキは完成形だから、サイドボードはほとんど使わない」という人もいるだろうし、逆に構築を間違って第2ゲームから完全入れ替え、という経験をした方もいることだろう。

だが、メインデッキを補う形で数枚のカードを入れ替えて使う、というのは意外と難しい。何を抜くかも考えなければならないし、自分のデッキのできること、足りないことを知らなければいけないからだ。

Julienは白をタッチして第2ゲームに臨んだ。マッチ終了後に聞いてみたところ、

「僕のデッキの除去は全部ダメージもので、相手の《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》に対処するために除去を増やしたかった。自分のデッキは色をタッチしやすい構成だし。」

とのこと。これが、勝負どころで利いてくることになる。

ジュリエン・ナウテン

後手になったJulienの初手は《森/Forest》《島/Island》《グルールの芝地/Gruul Turf》《楽園の拡散/Utopia Sprawl》《グルールのギルド魔道士/Gruul Guildmage》《松明ドレイク/Torch Drake》《不死の断片/Strands of Undeath》で、最初のドローが《現実からの剥離/Peel from Reality》。問題ないのだが、《楽園の拡散》と「お帰りランド」は両立せず、順番に苦労するところだ。

Helmutが「1ターンから土地がないの?」と軽く茶化すくらい考えて、Julienは《森》に《楽園の拡散》(指定は黒)、《島》、《グルールの芝地》と展開した。しかし、他にパーマネントは展開できず、Helmutが《世慣れたドライアド/Dryad Sophisticate》《大いなる苔犬・Greater Mossdog》で主導権を握ることに。
Julienは第4ターンにようやく《松明ドレイク》《炎の印章/Seal of Fire》と動き出す。《炎の印章》は即《世慣れたドライアド》との交換に。

続く《悪魔の道化師/Demon's Jester》は《最後の喘ぎ/Last Gasp》で葬って、《グルールのギルド魔道士》を配備してその巨大化能力で守りの姿勢。返す《包囲ワーム/Siege Wurm》にはどうしたものか、と思ったが、Helmutが《松明ドレイク》に《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》をつけて攻撃してきたので、これ幸いと《現実からの剥離/Peel from Reality》でかわす。

そして、《棘茨の精霊/Bramble Elemental》に《不死の断片/Strands of Undeath》をつけて大きなアドバンテージを獲得。ジリジリと盤面を掌握していく。デッキパワーにはJulienに分があるか。

《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》《胞子背のトロール/Sporeback Troll》で身を守る体制のHelmutだが、Julienは《護民官の道探し/Civic Wayfinder》から白マナを調達しての《不眠の晒し台》で《臭い草のインプ》を黙らせる。やっかいな「発掘」クリーチャーに対し、サイドボードした《不眠の晒し台》が役に立った格好だ。

そして、《グルールのギルド魔道士》を背景に《棘茨の精霊》が殴りだす。Helmutは《ヴィトゥ=ガジーの守護者/Guardian of Vitu-Ghazi》で地上を固め、《グルールのギルド魔道士》を《腹わた抜き/Disembowel》して盤面を取り戻そうとするが、いかんせん出血が止まらない。

今後の戦いに望みなしと悟ったHelmutは、右手を差し出して少し早い投了の意志とした。

Julien –2 Helmut -0

いつ見ても大人びた表情と冷静さで、風格すら漂わせる世界王者・Julien Nuijten。
ただ、勝利の嬉しさからか、軽やかにフィーチャー・マッチの策を飛び越える姿は、17歳という年相応の少年だった。

Final Results: Julien Nuijten Wins!


Saturday, Aug. 19: 5:55 p.m. - Round 4 : 鍛冶 友浩(埼玉) vs 斎藤 友晴(東京)

by Yukio Kozakai
鍛冶 友浩

これで、全てのプレイヤーが出揃った。出揃ったという事は、まだマッチアップされていない、同ポイントのプレイヤー同士の対戦の可能性があるということ。それは、チーム戦プロツアーで同じチームを組んでいたプレイヤー同士も戦うことになるという意味だ。

「Kajiharu80」

6月のPTチャールストンで栄冠を勝ち取ったチームの名を、知らないトーナメントプレイヤーはいないだろう。チーム戦の枠を超えても、普段から切磋琢磨を続ける2人がBye(=不戦勝)明けの4回戦でいきなりのマッチアップとなったのだ。特に、GP北九州優勝から世界選手権TOP4、そして先日、晴れてプロツアーチャンプの称号を手にした鍛冶は、こんな感想を語ってくれた。

鍛冶 「最近、GPのBye明けは良くフィーチャー呼ばれるんですよね~。何ででしょうかね? まぁ……もっと呼んで下さいよ!」

世界のKJが相応のポジションで戦っていれば、必然的に赤絨毯(フィーチャーエリア)が付いてくるというもの。むしろ、呼ばせて頂きますとも。ええ。そして、齋藤も直前の心境を語ってくれた。

齋藤 「かわいく書いて下さいね! ☆」

と、なかなかスキルを要求する事を言ってくれる。この、「ゲーム前とゲーム中の切り替えの上手さ」が、とても巧みだと感じる2人。これが出来るからこそ、長丁場のGPやPTで結果が出せるのだろう。しかし、誰もが出来るわけではなく、ハイレベルでの真剣勝負の連続がそうさせたのだろうな、と。イベントで彼らを追うたびに感じている。

そんなリラックスムードで始まった第4ラウンドだったが、ゲームは白熱そのものの大激戦となった。

Game 1

鍛冶は、後手ながら《楽園の拡散/Utopia Sprawl》スタートで《セレズニアのギルド魔道士/Selesnya Guildmage》発進を決め、齋藤は《オルゾフの聖堂/Orzhov Basilica》でアドバンテージを確保しながら《最後の喘ぎ/Last Gasp》で即座に除去。返しに《噛みつきドレイク/Snapping Drake》を送り込めば、鍛冶がそれを《脳崩し/Brainspoil》と、序盤からかなり激しいやり取りが繰り広げられる。

齋藤はさらに《強迫的な研究/Compulsive Research》でライブラリーを掘り進め、《尊い祖霊/Benevolent Ancestor》《絹羽の斥候/Silkwing Scout》と展開。鍛冶も《棘茨の精霊/Bramble Elemental》プレイから、《尊い祖霊》を《信仰の足枷/Faith's Fetters》し、アタックを強行する。

手札の枚数では圧倒的に齋藤が有利。7マナを揃えて《啓発のジン/Djinn Illuminatus》を戦場へと誘うが、その瞬間にまるでカウンター呪文のごとく鍛冶の手から放たれる《化膿/Putrefy》が齋藤に自由を与えない。ならばと、次に齋藤が打った手は《鐘楼のスピリット/Belfry Spirit》。

それに対しても、鍛冶は《エルフの空掃き/Elvish Skysweeper》を召喚し、戦闘によって《棘茨の精霊》のチャンプブロックに回った《鐘楼のスピリット》のトークンへ憑依を食い止め、進行を続ける。

しかし、この戦闘で《エルフの空掃き》自身を生け贄に捧げさせた事こそが齋藤の誘いだった。場に見えるアドバンテージの確保に走った鍛冶は間違いではない。だが、齋藤の手札にはさらなる脅威の《突撃ゼッペリド/Assault Zeppelid》がおり、堂々とその姿を現した。齋藤は、鍛冶の《松明ドレイク/Torch Drake》を《信仰の足枷/Faith's Fetters》した所で反撃開始。飛行クリーチャー軍で一斉攻撃に打って出た。

これで、ライフは鍛冶が6で齋藤が8。この状態が続けば齋藤の勝ちだが、このままでは終わらないのがプロツアーチャンプ。《鐘塔のスフィンクス/Belltower Sphinx》で再び場に膠着をもたらしたのだ。しかし、それもつかの間。齋藤はトップデッキした《アゾリウスのギルド魔道士/Azorius Guildmage》で、全てを解決したのだった。

そう。齋藤もまた、プロツアーチャンプなのである。

Azorius Guildmage

鍛冶 0-1 齋藤

Game 2

土地5枚のハンドを見て苦慮する齋藤だが、そのままキープ。第1ゲームで敗れた鍛冶が後手を選択したため、先攻でこのハンドをキープした齋藤に待っていたのは、さらなる土地っ引きだった。

一方の鍛冶は順調そのもの。《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet》から《虚無魔道士の番人/Nullmage Shepherd》《棘茨の精霊/Bramble Elemental》とつなげ、さらに《鐘塔のスフィンクス/Belltower Sphinx》《妨害の公使/Minister of Impediments》と後続を呼び込む。

齋藤の場には、4ターン目からずっと《尊い祖霊/Benevolent Ancestor》のみ。11マナ引いてもクリーチャーは2体。これは正直言って無理過ぎた。

鍛冶 1-1 齋藤

Game 3

後手を選択した齋藤。今度は白が基調になるカードを多く引き込むものの、初手に見える土地は《沼/Swamp》と《島/Island》。だが、しっかりと最初のドローで《平地/Plains》を引き込み、鍛冶が2ターン目プレイでプレッシャーをかけた《セレズニアのギルド魔道士/Selesnya Guildmage》は、即刻《最後の喘ぎ/Last Gasp》と、第1ゲームを思い出させる好取組を再現する。

しかし、今回違う点は鍛冶の送り込んでいるクリーチャーが《松明ドレイク/Torch Drake》《鐘塔のスフィンクス/Belltower Sphinx》と、空を飛んでいる点。《尊い祖霊/Benevolent Ancestor》で軽減しつつ、《鐘塔のスフィンクス》は《信仰の足枷/Faith's Fetters》で排除し、《玉突き衝突/Carom》でのドローでハンドを整えて反撃に転じようという齋藤に、《虚無魔道士の番人/Nullmage Shepherd》が待ったをかける。

軸線をずらした戦いを維持して押し込もうとする鍛冶に対し、齋藤は考えた末に手札に唸る暴力をフルタップで連続召喚する。《アゾリウスのギルド魔道士/Azorius Guildmage》《突撃ゼッペリド/Assault Zeppelid》と、そのラインナップは非常に力強い。戦闘に備え、齋藤のターンを迎えるまで動かなかった鍛冶。だが、《アゾリウスのギルド魔道士》はタップだけではない。そう、リミテッドにおいてはそのタップ能力ばかりが大きくクローズアップされるが、奇襲性に富んだもう一つの能力こそが、新たな「青い悪魔」の悪魔たるゆえんだ。

鍛冶ほどのプレイヤーですら失念していた、青い悪魔の「青い能力」。《虚無魔道士の番人》の能力を起動した鍛冶を封じ、追加された《妨害の公使/Minister of Impediments》に対してもにらみを利かせつつ、ライフレースに持ち込んだら、今度はタップ能力を駆使して攻めに攻める。

それでも、数の優位を確保しているのは鍛冶だ。能力の起動に多くのマナを要する各種ギルド魔道士が、アドバンテージと引き換えにしているものがある。それが、実質的な展開力なのである。相手のドローの勢いが落ちなければ、次第に押され始めてくるのだ。もちろん、ギルド魔道士をコントロールしているプレイヤーが手札から呪文を展開すればマナが不自由になり、今度はスキ生み出すことになる。その抜き差しが非常に重要になってくる。

斉藤 友晴

やむを得ず齋藤が動いた瞬間に、鍛冶は《信仰の足枷/Faith's Fetters》を叩き割り、齋藤はその代わりに自陣に《鐘楼のスピリット》《盲目の狩人/Blind Hunter》《噛みつきドレイク/Snapping Drake》を得た。延長ターンに突入したが、このまま行けば待っているのは齋藤の勝利である。

「何か引け~」とばかりに鍛冶がドローした先に見つけたのが、《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet》。そしてよーく鍛冶の場を見ると、これが初の白マナ。繰り返しになるが、さすがはプロツアーチャンプ。引くべきカードはわかっている。手札で腐りかけていた《信仰の足枷/Faith's Fetters》が《アゾリウスのギルド魔道士/Azorius Guildmage》に対して文字通り足枷をはめ込み、ライフレースまでも平行カウントに持ち込んだのだ。

勝ちに行きたい両者。最大の見せ場が、延長ターンに訪れる。双方の戦力を確認し、鍛冶が《乱打するワーム/Battering Wurm》《鐘塔のスフィンクス/Belltower Sphinx》で殴れば、齋藤は引き当てた《薄暗がりへの消失/Douse in Gloom》を握り締めて考え込む。

出した答えは、飛行クリーチャー(トークン含む)と《ヴィトゥ=ガジーの守護者/Guardian of Vitu-Ghazi》での5体アタック。ブロック前に《薄暗がりへの消失/Douse in Gloom》で鍛冶の《松明ドレイク/Torch Drake》を除去し、鍛冶に大ダメージを叩き込んだ。

あえて勝ちに行くためのプレイングをして《妨害の公使/Minister of Impediments》を残し、猛反撃に賭けた鍛冶だったが、本人が「勝ちに行って負けた」と悔やむ通り、齋藤の残りライフを削るには、先ほどの場で何度計算しても1点足りず、また齋藤のトップデッキしたカードが「除去しつつ回復の出来る」代物だった事が、鍛冶の最大の誤算だった。

最後のドローを確認し、鍛冶はカードを片付けた。

GPでの引き分けは負けに等しい。れを熟知しているからこそ、鍛冶も齋藤も「勝ちに行くプレイング」を目指して最後まで押した。結果として齋藤に勝ちは付いたが、最後の鍛冶のドロー次第ではまだわからなかった。リスクを承知で押しの一手を選んだのである。勝ち点3の重みを良く知っているからこそ、攻めれば負ける可能性のある場面であっても、攻める事を選べるのだ。

50分しかない決闘の時間を、いかに「勝つ為に」使うか。最後の駆け引きで感じ取ったのは、当人達だけではないだろう。ギャラリーも、この記事を読んでいるあなたも、次に大会に出る時には強く意識してみてはどうだろうか? それが、もしかしたらあなたのマジックを大きく変えるかも知れない。

鍛冶 1-2 齋藤

Final Results:齋藤 Wins!


Saturday, Aug. 19: 6:41 p.m. - Round 5 : 小室 修(東京) vs. 森 勝洋(東京)

by Daisuke Kawasaki
小室 修

さて、この広島の会場、ここまで幾つもの記事で言及されているように、日本人だけで7人、海外勢も含めると、2桁に届こうかという人数のプロツアーチャンプがひしめいている。それ以外にも、Player of the Yearだったり、Rookie of the Yearだったりと、とかく肩書きには事欠かない。もはや、プレイヤーの格にはタイトル+αが求められる時代になってしまったということだろうか。まったく、日本のトーナメントシーンも世知辛くなってしまったものだ。

とはいっても、今回のGP広島はリミテッドのグランプリ。リミテッドのグランプリの一日目といえば、シールド戦なわけで、そこには技術だけではどうにもならない壁が存在する。

それは、パック運である。

特に、このラブニカシールドと言う環境は、パワーカードが溢れる一方で、色がかみ合わなかったりなんだったりと、「こんなデックは紙の束だ」としか言いようのないデックになってしまう可能性も高い。ありていに言えば、通常の環境以上に「神の束」と「紙の束」とのふり幅が大きいのである。

本人申告によると、八十岡や鍛冶、大澤といった面々は、どちらかと言えば「紙の束」よりのパックを引いてしまったようで、デック構築後に浮かない顔をしていたのが印象的である。

一方で、斎藤・森・小室の三人は「神の束」を手に入れる事に成功したようで、さすがは、「ストンピーの貴公子」で「世界王者」で「華麗なる天才」であるといったところだろうか。今にも小室の、「パックを引けないということは凡人だった、ということですよ」という天才節が聞こえてきそうだ。別に小室がそういったというわけではないが。

ちなみに、「日本初のPTチャンプ」黒田 正城曰く、デックの豪華さでは本命が森で、対抗が小室だという。そんな2人が、3Bye(=不戦勝)明けのRound 4を危なげなく勝ち上がり、Round 5で邂逅する。

「世界王者」と「華麗なる天才」の豪華なデックと華麗な美技に酔いしれよう。

Game 1

さて、小室といえば、通称「天才語録」が作られてしまうほど、数々の名言を残しているプレイヤーではあるが、そういうキャラでいえば、むしろ森の方が元祖であるとも言える。

少し古いプレイヤーにはなつかしの流行語である「マジゴッド」をはじめ、その特異な視点から断言するという特徴的な発言によって、森もまた数々の名言を残してきているのである。

そんな、2人の対決なのだから、どんな名言が飛び出すか期待するなという方が無理な話である。

ダイスロールで勝利した小室が後手を選択したので、森の先攻。見るやいなやキープする森に対して、小室は《沼/Swamp》《ボロスの駐屯地/Boros Garrison》しか土地の無い手札を見て、しばらく考えた後に華麗にキープ。

お互いに土地を置いた後の2ターン目、森が《光と成す者/Transluminant》をキャスト、するが早いか否かのタイミングで一言。

「99%勝ったね」

きた、メイゲンだ。その確率がどんな計算式で導き出されたかなんて野暮なことはいいっこなしで、勝負の成行きを見守ろう。その結果によって、名言になるか迷言になるかが決まるわけだ。

続く3ターン目に《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》がエンチャントされ、なるほど、確かに99%とまで言わなくとも、20%くらいは勝った感じに見える。

さて、一方の小室。2ターン目のドローまでに追加の土地を引く事ができなかった様子で、仕方なくお帰りランドをセットして、ディスカード。ただでさえ、序盤のビートに弱いと自他共に認めるデックだけに、この状況は、もう70%くらい森が勝っていると言ってもいいだろうか。

だが、しかし、きっちり3ターン目に《島/Island》を引き当て《幽体の照明灯/Spectral Searchlight》をキャストしマナをジャンプアップさせた小室が、ギリギリ1ターン間に合うタイミングでの《夢のつなぎ紐/Dream Leash》を《光と成す者》へと華麗にエンチャント。

残り少ないライフの小室へ《種のばら撒き/Scatter the Seeds》でごり押ししようとする森だが、1回のアタックで小室のライフを2にした所で、《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》からの《強迫的な研究/Compulsive Research》で華麗に一掃される。

この時点で森の場はマナソースのみになり、小室は《火想者ニヴ=ミゼット》をコントロールしつつ、手札は《通り砕きのワーム/Streetbreaker Wurm》やら《連弾炎/Pyromatics》と完全な布陣。これは、むしろ「99%勝った」は99%迷言になるのではないかと思われた刹那。アンタップした森がキャストしたのは《蒸気核の奇魔/Steamcore Weird》!

見事、森の名言録に新たな一行が書き加えられる事となった。

森 1-0 小室

Game 2

森 勝洋

お互い、《占い棒使いのシャーマン/Dowsing Shaman》と《感電の弧炎/Galvanic Arc》のコンボと言う強力な除去システムを持っているのだが、先にこのシステムを完成させたのは森だった。

小室も《現実からの剥離/Peel from Reality》などで時間を稼ぎつつ、ドロースペルを駆使して、なんとか遅れてパーツを揃えるのだが、後手後手に回らされてしまった感は否めない。

途中、うっかりセットランドしているのを忘れて、ダブルセットをしてしまったのを森に指摘されて警告をくらい、すっかりペースを乱した小室は、お得意の華麗な美技を発揮する余裕も無い。

頼みの綱の《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》も、《エルフの空掃き/Elvish Skysweeper》で対処されてしまった小室は、そのまま森に華麗に投了した。

はたして森の「99%勝ったね」がここまで見通したものであったのか否かをうっかり聞き忘れたのが惜しまれる。

森 2-0 小室

Final Results: 森Wins!


Saturday, Aug. 19: 7:09 p.m. - Round 5 : 中村 修平(大阪) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)

by Yusuke Yoshikawa
中村 修平

盟友・斉藤 友晴先との先ほどの戦いを経て、不戦勝後の緒戦を落としてしまった鍛冶 友浩。そして続くラウンドで対するは、またしても強敵・中村 修平である。

ともに、昨年の世界選手権でベスト8入賞を果たした勇者である(最終成績は鍛冶が3位、中村が7位)。このようなマッチアップが国内で実現すること自体、「実は凄いこと」なのではないか…と思う筆者もまた、慣れてきてしまっているのだろう。

第2ゲーム、1-0で鍛冶リードのところから戦いの模様を追ってみることにしよう。

Game 2

見知った仲である2人は、第1ゲームからサイドボード中も軽口の応酬を続けている。無論、それでも勝負どころになると静かになるのが彼ららしい。

中村が後手を選んだので鍛冶先攻から。先攻ながら《森/Forest》3枚で苦しそうにする中村に対し、鍛冶が《よろめく殻/Shambling Shell》で先んじる。中村の《土覆いのシャーマン/Loaming Shaman》には《虚無魔道士の番人/Nullmage Shepherd》出して攻撃、とテンポがいい。

緑単色デッキ風になり苦しんでいた中村だが、なんとかお帰りランドを引き当て、《木彫りの女人像/Carven Caryatid》《ボロスのギルド魔道士/Boros Guildmage》と並べて対抗。しかし鍛冶も《セレズニアのギルド魔道士/Selesnya Guildmage》でトークン生産体制に入り、《よろめく殻》のバックアップのもと攻撃を続行する。

中村もようやくエンジンがかかり始め、《腹わた抜き/Disembowel》で《セレズニアのギルド魔道士》を除去して《戦利品狩り/Trophy Hunter》《サンホームの処罰者/Sunhome Enforcer》を配備、と守りが固まってきた。手札には《絶望の天使/Angel of Despair》が見える。マナソース的には黒マナもうひとつさえあればいい。これさえ間に合えば!

一方、鍛冶も《エルフの空掃き/Elvish Skysweeper》を出して潜在的に《絶望の天使》を抑えるものの、ここまでテンポの良さは鳴りを潜め強固な陣営の前に攻めきれない。

ついに中村側に《グルールのギルド魔道士/Gruul Guildmage》まで登場し、戦況は完全に膠着した。

ライフに不安のある中村は、《ボロスとグルールのギルド魔道士》と8マナの支援を一身に背負った《サンホームの処罰者/Sunhome Enforcer》でついに攻撃。

鍛冶の陣営は4/6の《虚無魔道士の番人》、4/4の《棘茨の精霊/Bramble Elemental》、3/1の《よろめく殻》、1/1の《エルフの空掃き》と1/1トークン3体。

鍛冶はしばらく考えて、

「わかりませーん、全部(でブロック)でーす」

これに中村はさんざん悩み、《グルールのギルド魔道士》で《サンホームの処罰者》を6/8とし、《エルフの空掃き》とトークン3体、《よろめく殻》を葬る。

中村がフルタップの隙にと、鍛冶は5/7まで育った《虚無魔道士の番人》と《棘茨の精霊》で攻撃するが、先ほどの攻撃でライフが戻っている中村は、甘んじて5点を受け入れる(《棘茨の精霊》は《木彫りの女人像》でブロック)。

マナが戻って、守りを固めた中村の城壁を鍛冶は突破できない。

目前にしていた勝利は、いつの間にかはるか遠く。《思考訓練/Train of Thought》を引き当ててドローに励んだのも束の間、ついに《ゴルガリの腐敗農場/Golgari Rot Farm》で2つ目の黒マナを用意した中村は、《絶望の天使》で5/7《虚無魔道士の番人》を破壊。

鍛冶も《強迫的な研究/Compulsive Research》から《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》で天使を封じ、ドロー次第では逆転の望みを作って粘りの姿勢を見せるが、それは叶わず。

中村 –1 鍛冶 -1

Game 3

鍛冶 友浩

さて勝負の第3ゲーム、鍛冶は後手を選択。《エルフの空掃き/Elvish Skysweeper》《妨害の公使/Minister of Impediments》スタートの鍛冶に対し、中村も印鑑経由での《ボロスのギルド魔道士/Boros Guildmage》《議事会の乗馬兵/Conclave Equenaut》と互角の形勢だ。

しかしここからが互角ではなかった。

土地を引き続ける中村を尻目に、鍛冶の攻撃陣は《ディミーア家の護衛/Dimir House Guard》《松明ドレイク/Torch Drake》と厚みを増す。そもそも、《妨害の公使/Minister of Impediments》が大威張りなのではどうしようもない。

続く《鐘塔のスフィンクス/Belltower Sphinx》こそブラフアタックからの《ゴルゴンの凝視/Gaze of the Gorgon》で除去するものの、他に何にも引けなかった中村は投了に至った。

中村 –1 鍛冶 -2

先ほどに続いて厳しいマッチアップが続いた鍛冶は、「北九州のときを思い出しますね」と一言。

曰く、そのときはひたすらプロプレイヤークラブLv3以上のプレイヤーに当たり続けたという。そんな厳しい戦いを何とか潜り抜けた結果、彼はトロフィーを掲げることになったのだ。その再現が、ここ広島でもあるかもしれない。

一方、敗れてしまった中村が心底悔やんでいたのは、実は第1ゲームのことだった。

ここでも中村は《絶望の天使/Angel of Despair》の召喚に成功しているのだが、返しで鍛冶に《エルフの空掃き/Elvish Skysweeper》が現れてしまった。

鍛冶が5マナを残したままターンを返してきたので、中村は《絶望の天使》で攻撃してみるのだが、ここで鍛冶は「《エルフの空掃き》自身を生け贄に」能力を起動。それに応えて、中村は「即座に」天使を墓地に置いた。

Gaze of the Gorgon

しかし、このとき中村の手札には《ゴルゴンの凝視/Gaze of the Gorgon》があったのだ。もちろん、これを使っていれば《絶望の天使》は生き延び、その後の展開も違ったものになっていただろう。

ではなぜそんな初歩的なミスを犯してしまったかというと、中村は「隣の2/2を生け贄に」《エルフの空掃き》を起動されるものだと思っていたからだという。もしそうであれば、《ゴルゴンの凝視》を使ったところで返しのターンに再度《絶望の天使》を除去されるのであまり意味がない。その読みのもと、《ゴルゴンの凝視》を使うプランを捨てていた中村だったが、鍛冶の選択は予想外のものだった。そこに手拍子で反応してしまったことを、中村は悔やんでいるのだった。

思考ゲームであるマジックにおいて、先読みはもちろん大切な要素である。しかし、それを信じ込むのもまた、勝負の弊害になってしまうことを、このエピソードは示している。

手拍子の行動、していませんか?

Final Results: 鍛冶Wins!


Saturday, Aug. 19: 7:37 p.m. - Round 6 : 三原 槙仁(大分) vs. 有田 隆一(千葉)

by Yukio Kozakai
三原 槙仁

両者とも「デッキが弱い!」と嘆く、そんな始まり。いや、始まる前から彼らは嘆いていた。あまりにもゴージャスなフィーチャーマッチが続く中、海外勢でもなく、どこそこのチャンピオンというわけではないが、日本人的に面白いマッチアップなのだ。見ていて派手さが無いという意見には、それにはハッキリと「No!」を突きつけたい。

だが、それはそれとして。三原は3年連続で日本選手権TOP8という、構築と限定の総合商社。有田は4度のプロツアーサンデーを経験している超のつく強豪。この2人のマッチアップが「地味(有田&三原・談)」に見えてしまうというのだから、いかに今回のGP広島がハイレベルなのかを物語っているのではないか。

とにかく、ゲームをご覧あれ。

Game 1

ハンドは真緑で土地は《島/Island》だらけだが、とりあえずスタートする三原。有田はマリガンするものの、お帰りランド2枚を引いており、全くそのハンデを感じさせない。

しかし展開は遅く、有田は《破滅の印章/Seal of Doom》スタート。三原は何とか4ターン目に《森/Forest》を引き当てて《虚無魔道士の番人/Nullmage Shepherd》を送り込むに留まる。

三原は、《種のばら撒き/Scatter the Seeds》→《喚起/Recollect》→《種のばら撒き/Scatter the Seeds》とばら撒きまくり、《ゴルゴンの凝視/Gaze of the Gorgon》とのトリックで有田の《ギルドパクトの敵/Enemy of the Guildpact》を除去するが、両者とも土地祭り。その間にダメージを積み重ねていたのは、有田の《噛みつきドレイク/Snapping Drake》。

地上で軽い相打ちと膠着が続く中、空からバンバン殴り続ける有田。最後の最後まで、除去も飛行対処も見つからなかった三原は、結局この《噛みつきドレイク》に21点も殴られる憂き目にあったのだった。

三原 0-1 有田

Game 2

有田 隆一

双方とも、印鑑経由で《大いなる苔犬/Greater Mossdog》がにらみ合う展開。しかし、すぐに《不眠の晒し台/Pillory of the Sleepless》で三原の《大いなる苔犬》を止め、有田の《包囲ワーム/Siege Wurm》と有田本人が叫び始める。

有田 「《ゴルゴンの凝視/Gaze of the Gorgon》怖いー! 《ゴルゴンの凝視》怖いー!!」

……しかし、ここでも三原は土地しか引かず。実は有田も土地ばかり引いていて、このゲームで両者が引いた印鑑以外の呪文は5枚ずつ。ちなみに、土地は10枚近い。

違ったのは、引いてきたカードの質だった。

有田 「そもそも、《噛みつきドレイク/Snapping Drake》に7回もドツカれるのはデッキが弱い証拠やでー」

三原 「まったくその通りです……」

有田 「あの《種のばら撒き/Scatter the Seeds》のトークンで……」

三原 「あれはですね……」

どう見ても、一方的な土地事故で終わったはずのゲームであるにもかかわらず、そのわずかな内容の中でも課題と反省点を見つけて、軽い感想戦を行ってる2人。その姿勢は、「記事の内容どうしよう」とか考えていた筆者に、書くべきことまで示してくれたように思う。

「事故ったー」
「回らなかったー」
「相手が強すぎたー」

と、投げてしまう前に。

忘れてしまいたい敗戦を糧に、次につなげてみよう。陽はとっくに沈んでしまったが、プレイヤー達の戦いはここからが佳境を迎える。

三原 0-2 有田

Final Results:有田 Wins!


Saturday, Aug. 19: 8:40 p.m. - Round 7 : 津村 健志(広島) vs. 谷井 祐介(岡山)

by Yukio Kozakai
津村 健志

あれから4ヶ月。1つ前のGPと言うが、もうそれだけの時間が経ったのである。

第7ラウンドにして、ようやく前回のGP浜松チャンプがフィーチャーエリアに登場する。「谷井物語」と名付けられたそのチームは、多くの強豪を抑えて優勝を果たした。その物語の主役こそが、5勝1敗ラインで浜松以来のフィーチャーエリアへと帰ってきた、谷井なのである。

また、その相手が津村というのも面白い。中国地方で行われているGPという意味で、まさにご当地の2人なのだ。もちろん、負けた方は2日目への道が限りなく狭くなってしまう、という意味でのフィーチャーも大きな意味を持つのだが。

津村は、自らの誕生日を2日目進出という形で祝って見せるのか。はたまた、谷井が再び物語を紡ぎ出すのか。

Game 1

後手の津村が《古参兵の武具師/Veteran Armorer》《哀悼のスラル/Mourning Thrull》でビートダウンを展開し、谷井に攻めかかる。谷井は《オルゾフの聖堂/Orzhov Basilica》《幽霊街/Ghost Quarter》と置いた所で1ターン土地がストップし、緑マナが無いまま何も展開出来ない状態が続く。

その間にも、津村は《金切り声のグリフィン/Screeching Griffin》《木彫りの女人像/Carven Caryatid》と順調にパーマネントを並べ、谷井は《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》でマナを調達するものの既にライフは10。ようやく6マナに到達し、《よだれ垂らしのグルーディオン/Drooling Groodion》をプレイするが、とにかく序盤に奪われたリードを吸収し切れない。

《ケンタウルスの護衛兵/Centaur Safeguard》を追加して、谷井のリアクションを見る。動きは……無い。《哀悼のスラル/Mourning Thrull》と《金切り声のグリフィン/Screeching Griffin》での空襲でライフを落とし込み、さらに《ヴィトゥ=ガジーの守護者/Guardian of Vitu-Ghazi》を召喚する。

これに対し、谷井は《種のばら撒き/Scatter the Seeds》でトークンを量産し、《よだれ垂らしのグルーディオン/Drooling Groodion》の贄を調達。返しのターンに《脳崩し/Brainspoil》で《金切り声のグリフィン/Screeching Griffin》を除去し、さらに自らの《森/Forest》を《幽霊街/Ghost Quarter》で破壊して初めての赤マナである《山/Mountain》を出し、《炎の印章/Seal of Fire》で《哀悼のスラル/Mourning Thrull》にもご退場願い、残ライフ2ながらも津村の飛行クリーチャー達を全て捌き切って見せた。

しかし、津村の全てのアタッカーが致命傷となる谷井は、限られたマナの中でクリーチャーの展開と《よだれ垂らしのグルーディオン/Drooling Groodion》の起動の双方を迫られた。効果は絶大だが、要求するコストも絶大な《よだれ垂らしのグルーディオン/Drooling Groodion》。飼い慣らすのは簡単ではない。しかも、津村の場には《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》《ごみ引きずり/Junktroller》の最強コンビが登場し、数とサイズで圧倒的に不利な谷井は徐々に追い詰められていく。

《セレズニアのギルド魔道士/Selesnya Guildmage》を召喚して何とか踏み止まってはいる谷井だが、《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》の起動でついに残ライフは1。《議事会の密集軍/Conclave Phalanx》《夜番の巡回兵/Nightguard Patrol》も加えて総攻撃を仕掛ける津村は谷井に能力起動のスキを与えず、《野生の寸法/Wildsize》でしっかりトランプルダメージを通して、30分を超える長い長い第1ゲームにケリをつけた。

津村 1-0 谷井

Game 2

谷井 祐介

まるで、第1ゲームのリプレイを見ているようだ。

今度は土地が2枚で止まる谷井に対して、《哀悼のスラル/Mourning Thrull》《大いなる苔犬/Greater Mossdog》《夜番の巡回兵/Nightguard Patrol》《標の鷹/Beacon Hawk》でビートダウンする津村。

谷井のマナが無事にリカバリーする所まで完全にリプレイだが、展開を落ち着かせるはずの《夜番の巡回兵/Nightguard Patrol》に対しての《浄化の光線/Cleansing Beam》を《野生の寸法/Wildsize》でかわし、今回はその特攻と津村の号令が鳴り止む事は無かった。

デッキ構築の段階では、「弱い」部類にカテゴライズされていた津村のシールドデッキだが、それでも初日通過の当確ラインまで押し上げてくるのだから、さすがである。

津村 2-0 谷井

Final Result:津村 Wins!


Saturday, Aug. 19: 9:13 p.m. - Round 8 : 八十岡 翔太(神奈川) vs. 石村 信太朗(埼玉)

by Yusuke Yoshikawa
八十岡 翔太

先ほど取り上げたマッチで鍛冶・斉藤が熱戦を繰り広げた「Kajiharu80」から、もう1人のPTチャンプ・八十岡 翔太が全勝で初日最終ラウンドを迎えた。対するは関東の若手、石村 信太朗。八十岡に負けぬ貫禄をたたえた、好プレイヤーである。

熱戦続きの末に来て、初日の長丁場もいよいよ佳境。精鋭揃いの中にあって、初日全勝の価値はますます貴重。

切れ味よい対戦を期待しよう。

Game 1

八十岡がダイスロールに勝って、後手を宣言。手馴れた2人のゲームは非常にスピーディー。

そして、石村の展開も《哀悼のスラル/Mourning Thrull》《モロイ/Moroii》《ディミーア家の護衛/Dimir House Guard》、そして《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire》と極めてスピーディー。

八十岡は対応に追われ、息つく暇もない。

そして《骸骨の吸血鬼》の前に、手札を見て
「うーん、弱い。」
それが本当であってもなくても、これではどうしようもない。

八十岡 –0 石村 –1

勝負の合間、きわめて活発なサイドボーディングが行われる。

ジャッジに基本土地を要求した八十岡、これを見て一度決めたサイドボードを練り直した石村。お互いデッキをマイナーチェンジ、テンポ重視で飛行クリーチャーを増やしたように見える感じ。

虚虚実実のサイド合戦、これがどう出るか。

Game 2

今回は双方お帰りランドから、石村《土を形作る者/Terraformer》・八十岡《自由風の乗馬兵/Freewind Equenaut》の立ち上がり。

まずは八十岡の《空騎士の軍団兵/Skyknight Legionnaire》がうなりを上げる。返しで石村の《ギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpact》《ディミーア家の護衛/Dimir House Guard》も歩を進める。

空と地、すれ違う軍勢。双方のライフが、見る見るうちに減っていく。

八十岡は《オーガの門壊し/Ogre Gatecrasher》で軍備を続ける。だが石村は《オーガの学者/Ogre Savant》で邪魔を退ける。

返すターンに考える八十岡、4点分攻撃して《アゾリウスの一番翼/Azorius First-Wing》《金切り声のグリフィン/Screeching Griffin》と追加。見事なまでに飛行クリーチャーが並ぶ。この時点で、双方のライフも8点で並ぶ。

しかし、マナ域が同じであれば基本的には地上クリーチャーの方が強いことになっている。勢いに乗る石村は《土を形作る者》《ギルドパクトの守護者》《ディミーア家の護衛》《オーガの学者》で総攻撃。

《オーガの学者》が《金切り声のグリフィン》でブロックされると、ダメージスタック後にこれを《現実からの剥離/Peel from Reality》で回収しつつ、八十岡の《自由風の乗馬兵》を戻してテンポを稼ぐ。

ターンが戻ってきたものの、八十岡のライフは今や2のみ、《ギルドパクトの守護者》《ディミーア家の護衛》《土を形作る者》を前に、八十岡を守るは今や《アゾリウスの一番翼/Azorius First-Wing》のみ。使えるマナも限られている。

石村 信太朗

さてと考えて八十岡はそのままターンを返し、続く石村の総攻撃を、
《ギルドパクトの守護者》→《アゾリウスの一番翼》でチャンプブロック
《ディミーア家の護衛》→《ボロスの怒りの盾/Boros Fury-Shield》(ここからダメージを受けることを嫌い、石村は《ディミーア家の護衛》の能力で自身をサクリファイス)
《土を形作る者》→《電解/Electrolyze
で何とかさばききって耐える構え。だが、さらに《哀悼のスラル/Mourning Thrull》《自由風の乗馬兵/Freewind Equenaut》を追加して、石村は押し切る構え。

変わらない苦境、しかし変わらない表情。八十岡は常に冷静だ。だがそれも束の間のこと、

彼はわずかに笑みを浮かべてぼやきながら、カードを片付けた。

八十岡 –0 石村 -2

投了した八十岡が見せたカードには、《現実からの剥離》《オーガの学者/Ogre Savant》《ヴィダルケンの放逐者/Vedalken Dismisser》などが多数。どうやら、第2ゲーム(サイドボード後)は双方ほとんど同じデッキになっていたらしい。その意味で、双方の読みは当たっていたことになる。ただ今回は、ドロー内容で石村に分があった、ということだろう。

終わった後も、あの《山/Mountain》が《島/Island》だったら行動が変わっていた、状況はこのように変化していたからこう対応していた、などと活発な感想戦を行っている。

勝負の決着はついたけど、丁々発止のコメント合戦を。3点の差はついたけど、明日もきっと好勝負を。

Final Results: 石村 Wins! 初日全勝達成


Saturday, Aug. 19: 9:34 p.m. - Sealed Decks of the Pro Tour Champions!

by Keita Mori

かつてない濃密さ。

グランプリ広島初日8回戦を一言で総括するなら、こんなところではないか。

場内を見渡すと、7人のプロツアーチャンピオン、2人の世界王者。さらには年間最優秀プレイヤー(1人)。実際、初日8回戦の間に王者直接対決なども何度となくFeature Match(注目の対戦)へと招待されたものだった。

そもそも、初日通過枠が64名であるのに対し、Bye(=不戦勝)を3つもって参戦しているプレイヤーの数が57名。おそらく、戦いの場にやってきた競技者たちのレベルの高さは過去に例のない水準だったグランプリだと言えるのではないだろうか。

しかしながら、マジック:ザ・ギャザリングというゲームの大きな魅力のひとつに「ラック(=運)」という要素があることも事実。ましてやフォーマットがシールド戦ともなれば、誰もが光り輝くトップレアに夢を託すことができるし、ゴミパックをつかまされてアッサリと散っていくこともある。

そんな中、栄光のプロツアー王者たちはどのような土曜日を送ったのだろうか?

結論から言えば、二日目進出かなったのは7名、初日落ちは3名。猿も木から、もといPTチャンプも初日落ちの憂き目にあった土曜日だった。

悲喜こもごも、彼らの作り上げたシールドデッキと戦績をご覧あれ。

※登場する順番は今大会の戦績ではなく戴冠した時系列による

■#1 黒田 正城/プロツアー神戸2004王者

初日戦績:6勝1敗1分(二日目進出/暫定14位)

Masashiro Kuroda

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■#2 Julien Nuijten/世界選手権2004王者

初日戦績:7勝1敗(二日目進出/暫定7位)

Julien Nuijten

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■#3 Pierre Canali/プロツアー・コロンバス2004王者

初日戦績:5勝2敗1分(初日落ち)

Pierre Canali

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■#4 小室 修/プロツアー名古屋2004王者

初日戦績:5勝2敗1分(初日落ち)

Shu Komuro

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ソーサリー (2)
1 Compulsive Research 1 Train of Thought
インスタント (3)
1 Peel from Reality 1 Last Gasp 1 Pyromatics
アーティファクト (4)
1 Rakdos Signet 1 Gruul Signet 1 Spectral Searchlight 1 Terrarión
エンチャント (3)
1 Dream Leash 1 Galvanic Arc 1 Ocular Halo
他 (1)
1 Rise/Fall
40 カード

■#5 森 勝洋/世界選手権2005王者

初日戦績:7勝1敗(二日目進出/暫定5位)

Katsuhiro Mori

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■#6 津村 健志/2005年度年間最優秀プレイヤー

初日戦績:6勝2敗(二日目進出/暫定50位)

Kenji Tsumura

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■#7 大澤 拓也/プロツアー・プラハ2006王者

初日戦績:6勝2敗(二日目進出/暫定49位)

Takuya Osawa

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■#8 鍛冶 友浩/プロツアー・チャールストン2006王者

初日戦績:5勝3敗(初日落ち)

Kaji Tomohiro

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■#9 斉藤 友晴/プロツアー・チャールストン2006王者

初日戦績:7勝1敗(二日目進出/暫定9位)