Day 1 Blog Archive

更新日 Event Coverage on 2007年 11月 11日

By Wizards of the Coast

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    by Daisuke Kawasaki
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BLOG

Saturday, Nov 10: Event Preview: グランプリ北九州回顧録

by Daisuke Kawasaki
 

Best Top 8 ever ?

ちょうど2 年前の2005年11月6日。場所は、ここ西日本総合展示場。

13回戦終了後の順位が読み上げられ、Top 8のメンバーが決まった。

「こんなに豪勢なTop 8のメンバーは見たことがない」

  GP(old) PT(old)
鍛冶友浩 3 0
小倉陵 3 1
三原槙仁 1 0
大礒正嗣 8 5
森田雅彦 15 0
岡本尋 4 2
石田格 15 1
浅原晃 6 0
  55 9

これはベスト8のメンバーの当時のGPおよびPTトップ8入賞回数を表にしたものだ(GP北九州05の成績を含む)。

8人合計で、PTで9回、GPに至っては55回という途方もない数字。その他にも、岡本のAPACや森田のMasters、浅原のFinals連覇などのタイトルを列挙すれば、それだけでこのPreview記事の紙幅を埋められそうな、それぐらいに豪華な戦績に彩られたメンバー達。

会場のいたるところで選手たちは語り合った。

「きっと、このGP北九州は語り継がれる伝説のイベントとなるだろう」

Grandprix Kitakyushu 05:
http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgevent/gpkita05ja/welcome

九州という土地でのグランプリ

この時のTop 8がいわゆる「トッププロ」によって固められた理由はいくつかある。もっとも有力かつほぼ正解といえる答は「直前のPTロサンゼルスが、同じく新環境のエクステンデッドで行われており、その経験差が大きく影響した」というものであろう。

だが、ここではあえて夢のない現実的な解からは目をそむけ、「九州(福岡)という土地」に何かあるのではないかという強引な仮定を元に、過去にこの九州の土地で行われたグランプリの結果に夢を見てみようと思う。九州で行われるグランプリもこれが4回目となるのだから。

 

GP Kyushu 99 Winner, Tadayoshi Komiya

Download Arena Decklist
クリーチャー (7)
2 Morphling 2 Palinchron 3 Masticore
インスタント (17)
4 Annul 4 Rewind 4 Stroke of Genius 1 Rescind 4 Power Sink
アーティファクト (7)
4 Grim Monolith 3 Thran Dynamo
エンチャント (3)
3 Treachery
60 カード

九州で行われた最初のグランプリ、その名もGP九州。1999年に行われたこのイベントを制したのはこの青いデックだった。

GP北九州Top 8にも名を連ねる石田 格によって構築された「イタリックブルー」。後世に青茶単(Accelerated Blue)と呼ばれるデックの雛形となったこのデックが制したのは「環境の頂点」ではなく「環境の全て」だった。

1.小宮忠義
2.板谷栄作
3.森雅也
4.佐野文彦
5.黒田正城
6.東野将幸
7.播野拓一
8.塚本俊樹

なんと、Top 8のうち、板谷・黒田・播野を除く5名がこのデックを使用、会場のほとんどが青一色、いや「イタリックブルー一色」に染め上げられていたのである。その様子は不毛な同系対決の連続からの初日落ちで思わずこぼれた「こんなデッキ作らなければよかった」という石田のセリフが端的に表しているだろう。

そして、優勝したのは当時「ブルーマスター」と謳われた小宮 忠義だった。

さて、ここで本題のTop 8の面々だが...やはりというかなんというか圧倒的な実力者たちが揃っているといわざるをえないだろう。

この年に行われた日本選手権で代表入りを果たし、後に日本人初のPT王者となるご存知黒田 正城、この年と翌年のAPAC 2連覇で知られる森 雅也と日本が世界を目指した次代の歴史に名を刻む二人はもちろんの事、塚本・小宮・東野と日本王者が3人も顔をそろえているのには驚愕の二文字しか出てこない。

ここで、注目していただきたいのは、このグランプリが99年に行われたということである。日本選手権が行われたのが96年からなので、これまでに行われた日本選手権は4回、そのうち96年98年は塚本 俊樹が制しているので、この時点で「日本王者」の栄光に預かったことのあるプレイヤーは日本に3名しかいなかったのである。

つまり、GP九州時点での過去全ての日本王者がTop 8に名を連ねていたのである。
まさに当時の日本の「Best Top 8 Ever」、それがこのGP九州だったのだ。

Grandprix Kyushu 1999:
http://www.wizards.com/sideboard/article.asp?x=results/GPKYUSHU99

日本から世界へ、世界から日本へ

さて、まず、以下のリストを見ていただきたい。

Alex Shvartsman 21
Olivier Ruel 20
Itaru Ishida 17
Antoine Ruel 17
Masahiko Morita 16
Kai Budde 14
Raphael Levy 13
Tsuyoshi Fujita 12
Darwin Kastle 11
Katsuhiro Mori 11
Jelger Wiegersma 11
Bob Maher 10
Shuhei Nakamura 10
Steve O'Mahoney-Schwartz 10
Kenji Tsumura 10

これは、現時点での生涯トップ8回数10回以上のプレイヤーをリストアップしたものである。そして、続いて以下のリストを見ていただきたい。

1. Alex Shvartsman
2. 森田 雅彦
3. 石田 格
4. 石原 隼
5. 黒田 正城
6. 藤田 剛史
7. 佐々木 祐介
8. 中村 修平

実に多くの名前が符合していることに気がつかれただろうか?実は、このリストこそが、九州で二度目に行われたグランプリ、GP福岡(02年)のTop 8なのだ。

GP福岡2002より、森田とシュバルツマン

世界に数多いるトッププレイヤーの中でも、選びに選びぬかれた15名。その1/3にあたる5名がTop 8に名を連ねているのである。特に、1位のShvartsman、2位の森田、3位の石田の上位3名は、あのドイツの皇帝Kai BuddeをもしのぐTop 8回数を誇っており、この3人の数字を足すだけでも、55回という途方もない数字が算出される。前述の05年当時のGP北九州のTop 8全員の合計数字が55回だということを考えると、これがいかに異常な数字であるかがご理解いただけるだろう。GPTop 8に特化した場合、これは「今に至るまで破られていない記録」なのである。

ところで、もしかしたら若いプレイヤーの中にはAlex Shvartsmanの名前をご存じない方もいらっしゃるかもしれないので簡単に説明しよう。

Shvartsmanは、当時世界中のグランプリを回っているプレイヤーとして非常に有名であり、日本のグランプリにも盛んに参加していることから、日本人にも馴染みの深いプレイヤーのひとりであった。Week in ReviewというWizards公式サイト(当時はSideboard Onlineという名称であった)での連載をもったライターでもあり、世界中をまわって拾い集めたニュースを逆に世界中に発信する役割も持っていたのである。

そう、中村・斎藤・津村・八十岡らグランプリサーキット組の先駆者のような存在だったのである。

Grandprix Fukuoka 02:
http://www.wizards.com/default.asp?x=sideboard/events/gpfuku02

彼らの話題が出たのなら、ついに終盤にさしかかった今期のPlayer of the Yearレースの話題にも触れないわけには行かないだろう。

Name Pro Points
1. Tomoharu Saito 58
2. Shingou Kurihara 52
2. Guillaume Wafo-Tapa 52
4. Kenji Tsumura 51
5. Paul Cheon 49
6. Olivier Ruel 45
7. Raphael Levy 44
8. Mark Herberholz 38
9. Mike Hron 37
9. Shuhei Nakamura 37
  • For complete standings, click here.

最終コーナーを回ったラストスパートの直線で独走する斎藤を、栗原・津村のふたりが追走するという日本人の三つ巴かと思われた今期のPoYレース。だが、この最後の直線で猛烈な差し足を見せるプレイヤーがいた。「PT横浜王者」Guillaume Wafo-tapaと「昨年米王者」Paul Cheonだ。

この2回のグランプリで一気に彼らが差を詰めてきたことにより、わずかに斎藤がリードをしているものの、上位5人が9点差にひしめく大混戦となった。

このあたりの日仏米入り乱れた状況については別記事で触れるとしとしよう。とにかく、この最終局面で1点でもプロポイントを稼ぎたいプレイヤーたちがこの日本、九州の地に結集するであろう事は想像に難くないのである。

2002年当時、海外勢が日本に遠征してくるのは非常に珍しいものであった。だからこそ、Shvartsmanの姿は日本のプレイヤーの記憶に強く残っているのだろう。だが、今やそれは当たり前の出来事となった。思えば、昨年度の同時期に行われたGP山形でも多くの海外勢が日本を訪れ、日本VS海外というのが大会でのトピックのひとつとなっていた。

だが、結局日本のグランプリのタイトルは海外に流出しなかった。いや、このGP福岡を最後に日本のグランプリのタイトルは海外に流出していない。

これもまた、「今に至るまで破られていない記憶」なのである。

Best Top 8 Again ?

GP福岡でShvartsmanに敗れた時、森田 雅彦はまだ二十歳そこそこの青年であり、「シルバーコレクター」と呼ばれていた。安定した成績の、といえば聞こえはいいが、そこには大一番で勝ちきれない脆いプレイヤーというニュアンスがあったであろう事は想像に難くない。

だが、そんな森田は先日のGPバンコクでの勝利で、GP優勝回数を4回(団体戦含む)にと伸ばした。

何がきっかけとなって飛躍するかわからない。強豪と認められるようになっても、絶えず研鑽することでさらに上を目指すことができる。強い相手に囲まれればさらにさらに上を目指すことができる。

GP北九州でのTop 8がそのきっかけにあたったかはわからない。だが、彼らが更なる飛躍を果たしたことは歴史が証明している。

  GP(old) PT(old) GP PT
鍛冶友浩 3 0 3 2
小倉陵 3 1 6 2
三原槙仁 1 0 1 2
大礒正嗣 8 5 9 6
森田雅彦 15 0 16 0
岡本尋 4 2 4 2
石田格 15 1 17 1
浅原晃 6 0 7 1
  55 9 63 1

GP Top 8回数が8回、PT Top 8にいたってはほぼ二倍である7回がこの二年間で彼らの実績の合計に積み重ねられた。当時、「これだけのメンバーはもう揃わないかもしれない」といわれた彼らだが、2年間でこれだけの実績を積み重ねられるメンバーという意味では、本当に「Best Top 8 Ever?」なのかも知れない。

だが、新しい「Best Top 8 Ever?」が明日また生まれるかもしれない。それが、九州という土地なのだ。

Saturday, Nov 10: GP北九州構築風景: From Two-head to One-Head

by Daisuke Kawasaki
 

PTサンディエゴ。

日本勢2チームがTop 4入りを果たしたこの大会だったが、そのメンバーは国際的にはまだまだ無名な4人であった。

国際的にはいまだ「Random Guy」の域を脱さず、フロックなのかそれとも確かな実力があるのかと動向を見守られている4人ではあるが、国内の、特にそれぞれのコミュニティではいずれも認められた実力者たちである。

したがって、サンディエゴは、むしろ世界に日本勢の層の厚さを見せつけた大会であったと捉えることが可能だろう。

さて、関東圏での活躍を中心にしている4人だが、当然ながら北九州にも顔をそろえている。

せっかくなので、ここではこの4人へのインタビューを中心に、今回のシールド構築の基本を探ってみよう。

高橋 優太(東京)

Mulldrifter

さて、まずは先日行われた日本選手権でもTop 8入りを果たし、その地位を確固たるものとした高橋に話を聞いてみよう。

高橋 「コモンで言えば《巣穴のこそ泥/Warren Pilferers》《熟考漂い/Mulldrifter》に代表されるアドバンテージカードをタッチしてでも使いたいですね。」

環境のキーワードとして、「多色化」と「アドバンテージ」を挙げる高橋。

やはり、想起をもったクリーチャーをはじめとする1:多交換ができるカードが溢れる以上同じ土俵で勝負しなければ勝負にならないという。

自信の求めるカードを集められるドラフトに比べて、あるカードを活用する必要のあるシールドでは、シナジーよりも、単体カードのクオリティが求められるのだろうか。

昨今のトーナメントマジック、特にリミテッドではマナコストの低いカードによる早期ビートダウン、いわゆるテンポ戦略が重要視され、多少のアドバンテージカードでもマナコストの高いカードは敬遠される傾向にあった。そう考えれば、ある意味原点回帰を果たしている環境ともいえるだろう。

だが、高橋は続ける。

高橋 「でもテンポで勝つしかないですかね、このカードプールだと...みんな(アドバンテージ重視で)後手とってくるんでそこをつくしかないですよ。」

環境の前提に真っ向から反することとなってしまった高橋だが、この選択が吉と出るか凶と出るか。

山本 賢太郎(東京)

シールド構築する山本 賢太郎

山本 「まぁ、弱いんじゃないですかね」

奇遇にもチームメイトである高橋がチェックしたパックを見ての山本の感想である。

山本 「スポイラー見た時は楽しそうだなと思ったんですけど...実際にやると、部族シナジーが多すぎて、道が狭いというか逃げ道が少ないというか...」

と、この環境の一番の欠点として「部族がかみあわないパックの時の戦略の狭さ」を挙げる山本。そして、自身の目の前にはまさに「かみあわない」パックがあるわけだ。

とはいえ、大型エキスパンションのカードプールの広さを考えれば、かみあわないパックの方が多いのも事実。だからこそ、アドバンテージカードと多色化が重要だと山本は語る。

しかし、多色化の肝となるVividランドの加護も受けられず、《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》による「質の落ちる」多色化しかできなかった山本がとった策は...高橋同様テンポだった。

※Vividランド=《鮮烈な草地/Vivid Meadow》のように、カウンターを取り除くことで好きな色のマナを2回まで出せる土地

終盤向けにアドバンテージ兼飛行による突破力を備えた《熟考漂い》のみにタッチを絞り、基本は2色のテンポデックを構築したという。

ちなみに、パワーカードとしてレアの《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》があり、色選択はレアのパワーを軸にしたのかと質問したところ、こんな返事が返ってきた。

山本 「それも無くはないですけど、《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft》のようなテンポ支援カードが多かったことが決定打ですね。」

金子 真実(埼玉)

フィレンツェで個人タイトルも獲得した金子

金子 「テンポ勝ちは選択肢に無い。基本はレアをはじめとしたパワーカードを軸に構築するべきですね。」

山本・高橋の選択を真っ向から否定するような発言をするのは、「かねぴー」こと金子 真実。史上初のプロツアーサンデーでの毒死をバネに先日のGPフィレンツェを制した、今、日本でもっとも注目されているプレイヤーのひとりである。

コモンに多く用意された、多色推奨カードを利用し、多色化によって、デッキ全体のアドバンテージ能力とカードパワーの水準を引き上げるのが基本だと語る。

それができない時のためのテンポ...というのが高橋や山本のとった戦略だったわけだが、金子はそうは考えないようだ。

金子 「たとえば、《キンズベイルの散兵/Kinsbaile Skirmisher》なんかが象徴的ですね。テンポクリーチャーとしては非常に優秀なんですけど、デッキにほとんど入らないという。逆の意味でどんなに無理してでも《嘆きウェルク/Mournwhelk》は絶対にデッキに入れます。」

一方で、それらのパワーカードを対処できる除去やカウンターの有効性も金子は指摘する。だからこそ、色は増やすべきなのだと。

樽 元気(神奈川)

神奈川の古豪、樽

 「多色にこだわるより、できるなら少な目の色でまとめたい。多くても2色にタッチ1色が限界かな。」

チームメイトである金子と反対のことを語る樽。Vividランドは重要だが、それでもむやみに色を増やせばいいというわけでもないらしい。

 「やはり構築りリミテッドの方が楽しいですね。この環境はそれなりに自信もありますよ。」

と語る樽の出した結論は、安定したマナベースのデックだという。やはり、カードパワー中心のゲームだからこそ、色事故が致命傷になりるという判断なのだろうか。

パックを配布された時には緑黒タッチ赤のエルフデックを考えていたという樽だが、最終的には青黒タッチ赤のフェアリーを構築したという。

 「結局シールドは長引くじゃないですか。この環境は特に。そうすると地上にトークンとか並んでもしょうがないんですよ。回避はじめとした突破力がないと勝負にならないんです。」

長引くからこそ、回避能力や除去が重要。そういう意味でもやはり、マジックの基本が原点回帰した環境といえるのかもしれない。

4人が4人、それぞれの信念を基に構築していた印象はあるものの、まとめてみるとが共通しているところが多い。

マナコストの大きいアドバンテージカードが強いからこ長引き、長引くからこそマナコストの大きいアドバンテージカードが強い。

カードパワーを求めて多色化するからこそ長引き、長引くからこそ多色化してでもパワーカードを詰め込む意味がある。

鶏と卵の関係ではないが、とにかく「停滞したゲーム」というのがキーワードであり、だからこそ除去や回避能力も重要視される環境となるし、近年のマジックの中心ったテンポがそこまで重要視されないとも言う。

事実テンポデックを構築していた高橋も、Bye中の調整の結果、比較的遅めのカードを中心に構築するほうが正解だっただろうと語っている。

とにもかくにも、今シーズンの活躍により、日本のトーナメントシーンの先頭に踊り出ることとなったこの4人。今大会でもトップグループでの活躍を期待したい。

Saturday, Nov 10: Level 3 Judge ― Mitchell Waldbauer

by Keita Mori

レベル3ジャッジ、ミシェル・ヴァルドバウアー(福岡)

プロプレイヤークラブの設立以来、洋の東西を問わずして強豪たちは世界中を飛びまわるようになった。中村 修平の旅行記(マジックプレイヤー的地球の歩き方)などを読んでいただけると、そのライフスタイルがどんなものか、おわかりいただけるだろう。

日本のトッププレイヤーたちが世界各地と遠征していくわけだから、同様に、ここ日本へとやってくる海外の腕自慢たちも少なくない。そんな状況の中で、イベントを支えるジャッジたちも、否応無く「国際化」という問題に直面する。

そもそも、マジックの公用語は英語である。

...で、あるわけだが、日本人のプレイヤーたちは英語でのコミュニケーションに慣れていない。言葉による意思の疎通が難しいこともあって、ゲームの進行状況に関して二人のプレイヤーの見解が異なってしまうトラブルというのは、いわゆる外人対日本人の試合で平時以上に起こりがちである。そして、それを調停する役割を担うジャッジたちもまた、言葉の壁に苦しめられることが多い。

現在、日本人のDCI認定レベル3ジャッジは三人存在する。レベル3というのはグランプリのヘッドジャッジをつとめることのできる資格で、「国際試合の経験も豊富英バイリンガル」といったところだ。当然、今大会のヘッドジャッジをつとめる若月氏もそのレベル3資格保有者の一人である。

しかし、見方によってはレベル3が「三人しかいない」とも言えなくはないのが昨今だ。して、そんな状況の中で、とうとう心強い四人目の国際派があらわれた。アメリカはテキサスからやってきたミシェル・ヴァルドバウアー(Mitchell Waldbauer)だ。

ヴァルドバウアーは日本語と日本文化、アジア研究といったテーマを大学で追求して人物で、この五月に大学を卒業し、恋人とともに福岡へとやってきたばかりだ。

Legends(絶版)のブースターパックがアメリカで12ドルくらいなら買えたころ(1994年)からマジックをはじめました」という、キャリア14年目となる大ベテランのヴァルドバウアー。プレイヤーとしてプロツアー参戦の経験もある彼は、2000年からジャッジとして活動をはじめ、ゲームとコミュニティに貢献し続けてきた。

「日本で暮らしながら日本語のスキルを磨いて、ゆくゆくは翻訳や通訳といった仕事にたずさわれるようになりたいです。予定では、少なくとも2年くらいは日本で暮らしてみようと思っています」

「英語のわかるジャッジ!」と引っ張りだこのヴァルドバウアー

まだ日本に渡ってきたばかりのヴァルドバウアー。そんな彼がアメリカ人として強く感じていることが「たてまえ」の難しさだ。

「タテマエという日本語を一つの言葉では英語で言い表せません。文化の違いだとは思いますが、マジックの競技においても、その独特のスタンスが我々にとってはとても難しいものだと感じています。まだ日本語が十分ではないのでグランプリのヘッドジャッジなどはできませんが、いずれ私もコミュニティのお役に立てるようになれたらと思っています」


Round 4ダイジェスト

By Daisuke Kawasaki

3人のMr.Byeとの対戦を終え、全プレイヤーが揃ったRound 4。当然のごとく3勝ラインに並んだことによって、強豪同士による熱いマッチが大量にアップされることとなった。

この豪華なマッチアップという名の概念の群れをそのまま見過ごすのはあまりにもったいない! というわけで、ダイジェスト形式で一気に3試合をお送りしよう。

斎藤 友晴(東京) vs. 大澤 拓也(神奈川)

斎藤 友晴 vs. 大澤 拓也

まず、最初に目をつけたのは、Player of the Yearレースを単独トップで走っている「ストンピーの貴公子」斎藤 友晴(東京)と、今シーズン最初のPTジュネーブでの不遇だか自業自得だかの準優勝による大量得点で今シーズンの目標である「まったりとレベル5」をなんとか達成出来そうと言う「リミテッドの王者」大澤 拓也(神奈川)による対戦。

斎藤 「3回目の対決だからなぁ」

と斎藤が言うように、二人ともこの環境でのグランプリは3回目。多くのプレイヤーが語るように難易度の高いこの環境において、実戦回数の多さのアドバンテージは大きいという。

全勝も夢じゃない強パックを手に入れたという斎藤と、すでに「ローウィンマスター」と呼ばれているかいないかは知らないが環境理解に定評のある大澤。非常に見ごたえのある対戦が期待できる。

大澤のデックはこの環境ではオーソドックスな緑メインの多色デック。一方の斎藤は、青黒の2色という「作れるならば最強」といっていいカラーコンビネーションのデックである。

Game 1

Vividランドセットから、《森林の変わり身Woodland Changeling》キャストという大澤に対して、《バネ葉の太鼓Springleaf Drum》キャストの斎藤。

続いて、《ナースの精鋭Nath's Elite》を場に送り出し、攻める姿勢を崩さない大澤だが、斎藤は《メロウの先触れMerrow Harbinger》で《休賢者Fallowsage》をサーチ。これと《バネ葉の太鼓》とのシナジーが圧倒的なアドバンテージを稼ぎ始める。

《名も無き転置Nameless Inversion》で《ナースの精鋭》除去されてしまう大澤だが、《森林の変わり身》をブロックした《メロウの先触れ》を《コショウ煙Peppersmoke》で除去しつつ《熟考漂いMulldrifter》《嘆きウェルクMournwhelk》とキャストし、アドバンテージ差を開かせない。いや、開く前に勝負を決めてしまいたい。

しかし、斎藤の想起《熟考漂い》からの、《不敬の命令Profane Command》による圧倒的なアドバンテージを前に大澤は「ヤバイ、それヤバイ」と断末魔の叫びをあげたのだった。

斎藤 1-0 大澤

Game 2

続いて、またも《森林の変わり身》《ナースの精鋭》とテンポビートな展開の大澤。斎藤の《叫び大口Shriekmaw》が一気に体勢を崩そうとするのを《忘却の輪Oblivion Ring》で押しとどめ、ターンエンドの《雲打ちCloudthresher》で《熟考漂い》を除去しつつ圧倒的なクロックを展開する。

これは勝負あったか...と思った次の斎藤のドローが《ベンティコアBenthicore》。ここで生み出されるマーフォークトークンによるチャンプブロックを繰り返し、時間を稼ぐ。

時間を稼いだ分だけ、斎藤には回答となりうるカードを手に入れる機会が訪れる。ここで斎藤は《狡知Guile》をドローし場に叩きつける。

これによって場を膠着させることに成功した斎藤。続いてドローした《休賢者》が《ベンティコア》とのシナジーによって大量のカードを斎藤に与え始める。

そして、島渡りを持ったマーフォークが、大澤の「タッチカラー」である《島》をわたり始め、じわじわと大澤のライフを削りきったのだった。

斎藤 2-0 大澤

三田村 和弥(千葉) vs. 三原 槙仁(東京)

三原 槙仁 vs. 三田村 和弥

さて、ここで別のテーブルに目を向けてみよう。

さて、ここで別のテーブルに目を向けてみよう。

さきほど、PTジュネーブで大澤が準優勝したという話題を出したと思うので、今度はPT横浜準優勝の三田村 和弥(千葉)のマッチアップに注目してみよう。思い返してみれば、今シーズン行われた4回のプロツアーの全てで日本人が決勝に進出しているのだ。

その三田の対戦相手は、昨年度世界王者の三原 槙仁(千葉)。実力・ネームバリューともに不足の無い非常に重厚な対戦が繰り広げられることだろう。

青白の三原がキスキンでのビートダウンを決行しつつ後続を《砕けた野望/Broken Ambitions》でカウンターする展開を、赤緑タッチ黒青の三田村が《変わり身の狂戦士/Changeling Berserker》でひっくり返し、Game 1を制した。ここで双方がサイドボードチェンジを行っているところで三原が語る。

三原 「デッキの40枚お互い全部知ってますよ」

これを聞いた三田村が反論。

三田村 「いやいや、サイドボード後まったく知らないし」

どうやら、三原は相当大規模なサイドボードチェンジを行った様子。

三原 0-1 三田村

Game 2

1ターン目の《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier》からのビートダウンという同様の展開の三原だが...今度はセットした土地は《森》。やはり、大規模なサイドボードによってメインカラーをチェンジしたようだ。

一方の三田村は、2マナで土地が止まってしまう。

三原 「さっきのデッキの方がよかったー」

たしかに、この展開ならカウンターを構えた形のほうが有利。そして、三田村もその後は順調にマナを伸ばし、《雲冠の樫/Cloudcrown Oak》と《臭汁飲みの向こう見ず/Stinkdrinker Daredevil》でビートダウンを開始する。。これを押しとどめるべくキャストされた《茨角/Briarhorn》も《眼腐りの終焉/Eyeblight's Ending》で除去され完全におされ気味な三原。

この三田村優位の流れを押しとどめたのが地上を固める《森林の庇護者/Timber Protector》と飛行クリーチャーの《チドリの騎士/Plover Knights》。

《エルフの先触れ/Elvish Harbinger》でサーチした《変わり身の狂戦士》で《木化/Lignify》された《泥デコの松明走り/Mudbutton Torchrunner》を覇権するというグッドプレイを見せる三田村だが、続いて《樫瘤の戦士/Oakgnarl Warrior》まで地上に追加され完全に膠着させられる。

《思考囲い/Thoughtseize》で《焼夷の命令/Incendiary Command》をディスカードさせられ完全にゲームプランを支配された三田村は、土地を片付けたのだった。

三原 1-1 三田村

続くGame 3は三田村のワンサイドゲームが展開されたのだった。

三原 1-2 三田村

小室 修 vs. 中島 主税

三原・三田村のGame 3があまりにもあっという間に終わってしまい時間が余ったので、「華麗なる天才」小室 修(東京)の華麗な美技に酔いしれておこう。

Game 3

対戦するのは中島 主税(神奈川)。

Game 1を《誘惑蒔きSower of Temptation》によるボードアドバンテージからの飛行クリーチャーでの華麗なビートダウンに屈した中島。サイドボーディングで青緑タッチ赤から青赤タッチ赤の形に変更し、華麗に立ちはだかる《キンズベイルの勇士、ブリジッドBrigid, Hero of Kinsbaile》をあざ笑うように《川床の水大工Streambed Aquitects》でダメージレースを制する。

そして、勝ち数イーブンで迎えたGame 3。

《アメーバの変わり身Amoeboid Changeling》をキャストしつつ3色目の《沼Swamp》を《放浪者の小枝Wanderer's Twig》でサーチしてくるという展開の中島。

だが小室も、後続を連続して《砕けた野望》で華麗にカウンター。ここでの激突で2連勝した小室は、大きく中島のライブラリーを削り取る。使わずして2枚の《タール火Tarfire》をはじめとした優良カードを失った中島。

だが、ライブラリー破壊もゲームが長引かなければ大きな意味を持たない。《メロウの先触れMerrow Harbinger》で《休賢者Fallowsage》をサーチし、ドローを進めつつクロックを展開できるシステムを構築した中島。小室がブロッカーとして展開した《亀の甲の変わり身Turtleshell Changeling》を《山羊さらいGoatnapper》で奪い一気に勝負を決めにかかる。

小室はドローを見て華麗に席をたった。

中島 2-1 小室

さて、三原といい、中島といい、サイド後の大きな色換えが目立ったこのラウンド。中島に色換えした理由を聞いてみた。

中島 「大澤にもっと強い組み合わせを教わったから、サイド後に変更しただけです」

なるほど、「ローウィンマスター」の実力はこっちのテーブルで発揮されていたのだ。


Round 4 : 石丸 健(熊本) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)

By Naoaki Umesaki
Andre Coimbra(ポルトガル)

世界中のイベントを回りながらマジックを楽しんでいる旅人系プロプレイヤーであるアンドレ・コインブラ(Andre Coimbra/ポルトガル)に、このグランプリが行われている九州を代表して熊本在住の石丸 健(熊本)が立ちはだかる。

石丸は昨年開催された日本選手権2006にてTop 8入賞を果たしており、それによって権利を得た世界選手権2006にも出場している強豪である。他にも名だたるプロプレイヤーがフィーチャーエリアに呼ばれている中、石丸の試合を観戦する地元プレイヤーの視線が石丸に対する期待を物語っている。

石丸のデッキは白青タッチ黒で、《雲山羊のレインジャー/Cloudgoat Ranger》《突風粉の魔道士/Galepowder Mage》といった強力カードも入っており、石丸本人も「ランク的には、中々に強いほうだと思います」と言っており期待が持てそうだ。

コインブラのデッキは緑白タッチ赤で、エルフカードが沢山入っている構成となっているようだ。

Game 1

石丸 健(熊本)

石丸が小気味良い展開から4ターン目に《突風粉の魔道士/Galepowder Mage》を場に繰り出してゲームの流れをつかむかと思われたが、対するコインブラは《突風粉の魔道士》を《木化/Lignify》で対処し、《エルフの小間使い/Elvish Handservant》を覇権しての《レンの地の群れ使い/Wren's Run Packmaster》を場に繰り出し、そのトークン製造能力で反撃に出る。

反撃どころか、《レンの地の群れ使い》が生き残る展開となるとトークン製造だけで場は制圧されコインブラの圧勝となる展開だろう。
大人しくしていられない石丸は《霊気撃ち/AEthersnipe》をプレイして能力により《突風粉の魔道士》に付いている《木化》をバウンスしてフルアタックを仕掛けるが、アンドレは《ヴェリズ・ヴェルの盾/Shields of Velis Vel》により戦闘を一方的に有利なものとして、石丸の虎の子である《突風粉の魔道士》は死亡してしまう。

次のターン、コインブラは石丸に反撃のチャンスは与えまいと《忘却の輪/Oblivion Ring》で《霊気撃ち》を除去しての、狼トークン4体と《チドリの騎士/Plover Knights》によるアタックで勝利を決定づけた。

石丸 0-1 コインブラ

Game 2

Shields of Velis Vel

コインブラは、《葉光らせ》《鋸歯傷の射手》《ナースの精鋭》とエルフ軍団をマナカーブに沿って綺麗に展開する理想的な回りを見せる。

対する石丸だが、《キスキンの癒し手/Kithkin Healer》《霊気撃ち/AEthersnipe》土地5枚という初手をキープしてスタートしており、不運にもドローは土地ばかりとコインブラの攻めに対抗することができない。

コインブラのフルアタックに対して、石丸は《エレンドラ谷の衛兵》をインスタントタイミングで出して《キスキンの癒し手》とのダブルブロックで《ナースの精鋭》は《エレンドラ谷の衛兵》との相打ちにすることに成功するが、コインブラは《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》を戦線に追加して攻め手を緩めない。

石丸は《霊気撃ち》をプレイして何とか耐えようとするが、コインブラの手札からは《森林の庇護者/Timber Protector》がプレイされ、続くターンには《霊気撃ち》を《木化》しての、フルアタックが慣行される。

最後の希望を信じてブロック宣言を行った石丸に対し、コインブラの手札から公開されたのは《ヴェリズ・ヴェルの盾/Shields of Velis Vel》!
コインブラの軍隊は、全員多層を持ち、《森林の庇護者/Timber Protector》の能力によって+1/+1修正&破壊されないという脅威の軍勢へと早変わり。

石丸の戦線は壊滅し、もはや対処する術は無かった。

石丸 0-2 コインブラ


海外勢のシールド構築

By Daisuke Kawasaki

Olivier Ruel と Raphael Levyいわゆるサーキット(=遠征)組を中心に日本人が世界各地のグランプリをまわり成績を残していくのが当たり前の風景となった昨今。すでに日本勢の実力は世界の認めるところとなっているのは周知のことだろう。

だが、世界を回るのは日本人だけの特権ではない。

同じように、世界各国をサーキットするプレイヤーは世界各国にいる。

代表格が、フランスのOlivier RuelRaphael Levyだろう。また、今回ポルトガルからAndré Coimbraが参戦している。

確かに日本という国の実力が底上げされてきているとはいえ、彼らは別格と言ってもいいほどのトップ中のトッププロ、ここで構築理論をインタビューしないのはあまりにももったいない。

というわけで、突撃インタビューを決行しよう。

揃ってByeがあけるのを待っている3人。OlivierとLevyが対戦する横で寂しくひとりデュエルしているCoimbraの場を見ると...並んでいる土地は全て《平地/Plains》!?

"Mono White?"

当然そんなわけはなく「色事故だよ」と苦笑いするCoimbra。しかし、筆者が白単かと聞いたのも得意な質の悪いジョークというわけでもない。というのも、Coimbraはそれでも十分にクリーチャーを展開していたのである。

Coimbra 「やっぱテンポが重要だと思うよ」

デックの中身をマナコスト順にならべ、2マナクリーチャーが充実していることを指してCoimbraはこう語った。そんなCoimbraのデックは、白緑にタッチで《変わり身の狂戦士/Changeling Berserker》だけを投入するという、「多色化」「カードパワー」が当たり前と思われていたこの環境としては非常に異質なもの。

たとえば、Coimbraのサイドボードには、先ほど金子 真実(埼玉)が環境の象徴と掲げた《嘆きウェルク/Mournwhelk》がなんと2枚もあるのだが、このカードをタッチする気はまったく無かったという。

Coimbra 「(黒をタッチするなら)《最後のお祭り騒ぎ/Final Revels》ならサイド後に入れるかもね。でも、《嘆きウェルク》は入れないよ。7マナでしょ、だって。」

Coimbraの考えでは、そのマナ域の時点で対戦相手にカードが残っているわけが無いし、ならばパワーが劣っても2マナ域で行動できるカードを入れたいということだ。

さらに、Coimbraは、自身のデックのキーカードとして《ヴェリズ・ヴェルの盾/Shields of Velis Vel》を挙げた。これもまた、日本人プレイヤーからは名前のあがりにくいカードだろう。

Coimbra 「テンポは重要だけど(部族の)シナジーはもっと重要だからね」

と、ここで、ちょうどデュエルを終えたOlivierとLevyが同意するように語り始めた。

Levy 「Solidなマナベースをわざわざ構築するのはありえないよ。」

「マジック界の鉄人」は語り始めた。

-- 「日本人の間では、デック全体のパワーアップの為にタッチカラーで強いカードを入れるという戦略がスタンダードになっていますが」

Levy 「確かにデッキのパワーは上がるだろうね。でも、プレイできないカードにどれだけの価値があるんだい?」

Levyは具体例を挙げながら説明してくれた。

Levy 「たとえば、デックのスペルが23枚だとする。」

といいながら、自身のデックを色別に並べ始める。

Levy 「メインカラー10枚ずつとタッチカラー3枚のデックの場合、おそらく75%のマッチで十分なマナベースを確保できるだろう。そして、残りの25%のうち、20%はメインの2色だけで十分に戦えるゲームになるだろう。マナ事故で負けるゲームはわずかに5%だ。」

そして、紙に、「Main Color=8&8 Sub Color=4&3」と書いた。

Levy 「こういうデッキの場合、55%くらいのゲームは圧倒的なゲームを展開することができるだろうね。ただ残りのゲームは...きっと手札を眺めながら悲しい思いをするんじゃないかな。」

平均的な勝率を上げることこそ、プロフェッショナルに求められると語るLevy。多くの日本人と大きく違ったアプローチで環境を見据えているその姿に、さすがは鉄人と納得させられた。

そんなLevyのプロという言葉に対応してOlivierが一言。

Olivier "I'm Beginner!!"

何を冗談を...と、Olivierの方を振り向くと、そこには満面の笑みで日本語テキストを抱えたフランス人が。

なんと、今回Olivierは日本語パックを使用しているのだ。

ウィザース社の掲げるプロツアーのスローガンである"Play the Game, See the World"をまさに体現しているOlivier Ruel。これもまたひとつのプロフェッショナルの形と言えるのではないだろうか。


Round 5 : 藤田 剛史(大阪) vs. 黒田 正城(大阪)

By Keita Mori

いまや、プロツアー王者、Player of the Yearといった一流の肩書きをもった強豪たちがひしめきあうマジック大国となった日本。そんな中でも、ひときわ大きな存在感と伝説を輝かせる二人のプレイヤーのマッチアップをお届けしよう。

黒田 正城 vs. 藤田 剛史

プロツアー神戸(ミラディン・ブロック構築)において日本人初のプロツアー王者となった黒田 正城。対するは、今年12月にニューヨークで開催される世界選手権で第三期マジック殿堂入りを果たすことになる藤田 剛史。超一流の、そして友人同士としても知られる二人である。

白熱の攻防に誰もが期待をかけた注目の一戦。
...しかしながら、そのゲーム展開は驚くほど一方的なものとなってしまった。

Game 1

《アメーバの変わり身/Amoeboid Changeling》召喚、《光り葉の待ち伏せ/Gilt-Leaf Ambush》からトークン2体、《貯め込み屋の欲/Hoarder's Greed》でドロー2枚。2、3、4と綺麗にマナカーブ通りのアクションを起こしていく藤田 剛史。対照的に、先手の黒田 正城の最初のクリーチャーは5ターン目の《銀エラの達人/Silvergill Adept》召喚(ドロー1)という遅い立ち上がりだ。

攻勢の藤田は順調に色マナをとのばし、戦線に強烈なフィニッシャーを送り出す。文字通り、《戦慄/Dread》が走る盤面。苦しい黒田はここで《霊気撃ち/AEthersnipe》のバウンスで時間稼ぎをはかることにしたが、藤田も《戦慄/Dread》を度展開た上で《霊気撃ち/AEthersnipe》を呼び出し、盤面を掌握にかかる。

まもなく、ダメ押しとばかりに藤田の増え続ける成長/Incremental Growth》がゲームを決めた。

藤田 1-0 黒田

Game 2

 

Dread

不戦勝ボーナス三回戦(3 Bye)のあいだの練習で、「サイドボードから色変更すべきことに気がついた」という黒田 正城は赤青黒から緑青白に大きくシフトチェンジ。再起をはかる。

しかしながら、先手マリガンスタートから2マナストップという土地事故に見舞われてしまう黒田。それでも、藤田 剛史の《ナースの精鋭/Nath's Elite》と《アメーバの変わり身/Amoeboid Changeling》をそれぞれ《木化/Lignify》でさばき、なんとか3マナ域に到達してからの《忘却の輪/Oblivion Ring》で《戦慄/Dread》も無力化に成功したのだが...

続く藤田の《ベンティコア/Benthicore》を前に、万策尽きる。

藤田 2-0 黒田

黒田としては不本意きわまりない展開となってしまった。
しかし、仕方ないものは仕方ない。これもまたマジックなのである。


Round 5 : 田中 久也(東京) vs. 津村 健志(広島)

By Naoaki Umesaki

全勝対決の中からGP京都準優勝などの戦歴を持つ古豪である田中 久也vs.2005年度のPlayer of the Yearである津村 健志の試合をお届けしたい。
2003年に開催されたグランプリ宇都宮でも対戦をしているという両者。 ジャッジによるランダムデッキチェックが行われ、出来た時間で当時の話を聞いてみた。

津村 「グランプリ宇都宮の頃の僕はマジック初心者で、2日目のフォーマットだったロチェスタードラフトがその日初体験だったんですよ(笑)。久也さんと対戦したこともよく覚えてますよ」

田中 「懐かしいな(笑)コガモ(津村の愛称)が《活力の魔除け/Vitality Charm》を取らずに《エルフの開拓者/Elvish Pioneer》を取って、周りのプレイヤーがみんなビックリしたのとか、俺もよく覚えてる」

筆者 「そんな津村さんも、今では世界を代表する選手になりました」

田中 「そうだね。でも、その頃からセンスの良さを感じる強さがあったんだよ。別に驚きはないというか」

津村 「久也さんは当時から活躍してて、雑誌とかにも載っていて存在を知っていたから対戦の時は凄く緊張したんですよ」

津村と田中の試合は昔話からはじまる和やかなものとなった

昔懐かしい話で、空気が和む。
そんな時間はあっという間に過ぎ、デッキチェックの終了と同時にお互い戦闘モードに入り戦いが始まった。
津村のデッキは、除去がこれほどまでかという程に満載な赤黒。田中のデッキはカードパワーを重視した結果均等3色赤黒緑で、相手によってサイドから白緑ビートに変形することもあるらしい。

Game 1

田中が《夢棄ての魔女/Dreamspoiler Witches》、津村が《低地の鈍愚/Lowland Oaf》とプレイして、これからどういった展開になるかというところで5ターン目に津村が繰り出したのは爆弾カードである《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》!

その能力によって田中の手札が毎ターン1枚ずつ削られてゆく。田中は手札を破壊し尽くされる前に《破壊的なかがり火/Consuming Bonfire》で《低地の鈍愚/Lowland Oaf》を殺し、《夢棄ての魔女》でのアタックや《炎族の火吐き/Flamekin Spitfire》を場に繰り出して《リリアナ・ヴェス》を殺しにかかるが、なかなか殺せない。

津村は《炎族の火吐き》により田中の《炎族の火吐き》を対処することに成功し、《巣穴のこそ泥/Warren Pilferers》2枚により死んだクリーチャーを回収して場を有利に運ぶゲーム展開で勝利を収めてみせた!

田中 0-1 津村

津村の強力なデッキに対しては生半可な覚悟では太刀打ちできない、と、田中は「相手によって変形するプランがある」語っていた白緑ビートへの変形を行った。

Game 2

 

Liliana Vess
変形サイドボードを行い、ここから巻き返したい田中だが、ここで痛恨のダブルマリガンを喫してしまう。
しかし、サイドボーディングの意図通りといった感じに田中はダブルマリガンを感じさせない展開を見せてみせる。

《ルーン刻みの鍾乳石/Runed Stalactite》を装備した《戦杖の樫/Battlewand Oak》を《キスキンの短刀挑み/Kithkin Daggerdare》でバックアップするというビートダウンである。
さらには《キスキンの先触れ/Kithkin Harbinger》で《鳥の変わり身/Avian Changeling》をサーチと、津村のライフを着実に追い詰める。

津村も《幽霊の変わり身/Ghostly Changeling》《低地の鈍愚/Lowland Oaf》《リリアナ・ヴェス》と展開して殴り合いに持ち込むが、先ほどのゲームで大活躍した《リリアナ・ヴェス》は本体へのサーチ能力を1回使用するのみで田中のアタックによって死亡する。

一気加勢に攻めきらんと田中はさらに戦線を展開するが、待っていたのは先ほど津村が《リリアナ・ヴェス》の能力によってサーチしていた《雷雲のシャーマン/Thundercloud Shaman》。 場に出た時の能力によって、田中のクリーチャーのみが《ルーン刻みの鍾乳石》を装備した《戦杖の樫》と《鳥の変わり身》を残して全滅する。津村の場に出ているクリーチャーは3体とも巨人なために、一方的な残虐劇となり津村が有利となり、ダメージレースが逆転する。

《鳥の変わり身》によるアタックを続けられるターンを稼げば何とか津村のライフを削りきれそうな田中は、《メドウグレインの騎士》を出して《ルーン刻みの鍾乳石》装備と耐える体制に入るが、津村はこれを《雑草の絡めとり/Weed Strangle》で除去してのアタック!

津村の残りライフはあと僅かなのだが、ダブルマリガン分のディスアドバンテージが響いているのが、最後の一歩が削れない。
田中の最後のターン、デッキに2枚入っている《一握りの力/Fistful of Force》を引ければ田中の勝ちだったようだが、残念ながら、ライブラリートップは応えてくれなかった。

田中 0-2 津村


Round 6: 森 勝洋(大阪)vs. 窪内 直樹(千葉)

By Daisuke Kawasaki

不適切なプレイの累積により、PT横浜で半年間の出場停止処分を受けることとなった森 勝洋(大阪)。処分期間を満了し、このGP北九州が復帰戦となった。

 「(仕事が忙しくて)正直1日しか練習できなかったよ。まぁ、このグランプリはセンスが問われるね」

と、いつものごとく、謙虚だか慢心だかわからないコメントの森。とはいえ、ここまで全勝で進めてきているあたり、復帰戦としてはまずまずの滑り出しと言えるのではないだろうか。

森 勝洋 vs. 窪内 直樹

そんな森を迎え撃つのが、窪内 直樹(千葉)。

古くは関西を拠点とし、過去に中村 修平(大阪)とのチームでグランプリ準優勝経験ももつ古豪ではあるが、最近のプレイヤーには、タカラトミーの公式サイトにおける「ドミニア英雄譚」やカバレッジスタッフとしての執筆活動の方が馴染みが深いかもしれない。

その、「人柄の良さ」がにじみでるような窪内節には隠れたファンが多いとも聞き、非常にうらやましい限りである。

Game 1

《森/Forest》《平地/Plains》とセットし、《葉光らせ/Leaf Gilder》でマナ加速をする森。窪内も《肥沃な大地/Fertile Ground》で負けじと加速。

加速したマナを利用して、森は《キスキンの大心臓/Kithkin Greatheart》、そして《森林の変わり身/Woodland Changeling》を一気に送り込む。部族シナジーを形成しにくいシールド環境だからこそ、《森林の変わり身》のもつ多相が大きな意味を持つ。

だが、窪内は落ち着き払った態度で、この《キスキンの大心臓》を《ツキノテブクのエキス/Moonglove Extract》で、後続の《種導きのトネリ/Seedguide Ash》を《外身の交換/Crib Swap》で除去。リアクション気味の展開を《レンの地の克服者/Wren's Run Vanquisher》をキャストによって、ひっくり返す。さらに《エルフの枝曲げ/Elvish Branchbender》を展開し、おもむろに《エルフの行列/Elvish Promenade》で場のエルフを倍増する。こうなると《エルフの枝曲げ》が生み出すツリーフォークが馬鹿にならない。森が《森》にビートされるのを嫌がったのどうかはわからないが《エルフの枝曲げ》へと《外身の交換/Crib Swap》。

《三つ目巨人の視線/Triclopean Sight》で一回り大きくなった《森林の変わり身》による防御壁をものともしないエルフと多相の1/1トークンでビートダウンを続ける窪内。減ったトークンは、《クローバーデルの守護者/Guardian of Cloverdell》で補充する。

《増え続ける成長/Incremental Growth》によって、軍勢が膨れ上がると、森は土地を片付けた。

窪内 1-0 森

Game 2

先手の森が2ターン目に《森林の変わり身》というテンポゲーム。対抗する窪内の《レンの地の克服者》を《忘却の輪/Oblivion Ring》で排除し、ダメージを積み重ねる。

森渡りを持つ《ボガートの丸太運び/Boggart Loggers》でダメージレースに持ち込もうにも、《リス・アラナの狩りの達人/Lys Alana Huntmaster》《歩哨の樫/Sentry Oak》と緩やかなマナカーブを描く。

窪内は《ツキノテブクロのエキス》で《森林の変わり身》を除去し、続いてブロッカーを確保するべく《エルフの行列》をキャスト...するのだが、なんとこの時窪内の場にはエルフは存在しない。森に指摘され、ミスに気づいた窪内。続く森の戦闘フェイズの激突に敗北すると、気持ちを入れ替えてデックのシャッフルを始めた

窪内 1-1 森

Game 3

三度森は2ターン目に《森林の変わり身》。

窪内が《肥沃な大地》から展開した《光り葉の予見者/Gilt-Leaf Seer》を即座に《忘却の輪》に封じ込め、《リス・アラナの狩りの達人》《歩哨の樫》と展開というなんともデジャブな状況。窪内の場には《ボガートの丸太運び》が追加され、ますますデジャブ。

しかし、ここからの展開は違う未来を映し出した。

窪内のライフを8まで追い詰め、《歩哨の樫》でめくられたライブラリーのトップは《茨角/Briarhorn》という優状態まで持ち込んだ森。

だが、窪内の手札はその展開に十分対処できるだけの用意があった。

《リス・アラナの狩りの達人》を《名も無き転置/Nameless Inversion》で対処すると、《ボガートの丸太運び》を《変わり身の勇士/Changeling Hero》で覇権。

 

Vigor
この《変わり身の勇士》が除去されないのを見ると、渾身の《活力/Vigor》キャストからの《変わり身の勇士》アタック。

これで、一気にゲームのペースは窪内のものに、かと見えたが。

しかし、落ち着いたプランを構築し、優位を決して手放さないのが「帝王」森 勝洋のマジック:ザ・ギャザリング。

《変わり身の勇士》アタック後に、手札で溜め込んでいた《外身の交換》で《活力》を除去。目障りな《変わり身の勇士/Changeling Hero》を、ダブルブロックで討ち取ることに成功する。

こうして、一瞬窪内に移ったかに見えた場の優位をしっかり取り戻した森。地上を固めつつ、《熟考漂い/Mulldrifter》によるビートダウンというプランを築き上げる。

Game 1を制した《増え続ける成長/Incremental Growth》も《妖精の計略/Faerie Trickery》できっちり対処された窪内。《クローバーデルの守護者》をフルタップでキャストし、ライフをごまかしつつ地上を固め、《ボガートの丸太運び》の森渡りでなんとかダメージレースを制するプランで対抗する。

しかし、森はこのフルタップの隙に《霊気撃ち/AEthersnipe》を想起で使い捨てて《茨角》を使いまわし、窪内のライフをきっちり削りきってしまったのだった。

窪内 1-2 森

 「とりあえず、レベル5めざすよ」

森がレベル5に必要なプロポイントは残り26。過去に多くの奇跡を演出してきた森だが...果たして。


Round 7: 浅原 晃(神奈川) vs. Tsai Chih-Chun(台湾)

By Naoaki Umesaki

全勝卓から、浅原 晃vs.Tsai Chi-Chunの戦いをお届けしたい。

浅原 晃vs.Tsai Chi-Chun

Tsaiは台湾から東京の学校に留学してきている学生で、関東圏のイベントではよくその顔を見るプレイヤーだ。今日は、地元・台湾から遊びにきている台湾のプレイヤーの通訳としても、大活躍である。デッキは、青赤タッチ白黒。

対する、皆さんご存知であろう浅原晃のデッキは黒緑タッチ白赤で、本人曰く「このデッキのキーカードは《シュークリームくすね》でね」とのこと。

Game 1

Tsaiは《川床の水大工》《炎族の火吐き》と展開し、《霊気撃ち/AEthersnipe》により浅原のテンポを崩しながら次のターンには《敵意/Malice》と浅原に対して猛烈に襲い掛かる。

押されている浅原だが、《炎族の火吐き》は《名も無き転置/Nameless Inversion》で除去。《種導きのトネリコ/Seedguide Ash》などを展開して応戦しながら、さらには《霊気撃ち》《敵意》のダブルアタックに対して《光り葉の待ち伏せ/Gilt-Leaf Ambush》をあわせてプレイして、もし激突に勝てば接死を持っているエルフが場に出ることによりTsaiのクリーチャーを両方とも一気に葬り去る状況を作り出す。

勝てば浅原が一気に優勢となる状況であるが、結果的には激突は浅原の負けとなり、浅原が続いてプレイした《キスキンの哀悼語り》は、Tsaiは《使い魔の策略/Familiar's Ruse》によってカウンターされ、呪文の効果によって《霊気撃ち/AEthersnipe》が手札に戻り使い回されるといった厳しい展開になってしまう。

さらに遅いかかるTsaiのフルアタック。浅原は必死のブロックで多大な犠牲を払いながら《敵意》《霊気撃ち》を殺すことに成功するが、この戦闘によって事態は好転す。

浅原は返しのターンで《巣穴のこそ泥/Warren Pilferers》をプレイし、場を一気に盛り返したのである。
そして、Tsaiがプレイした激突カードによって公開された浅原のライブラリートップは 《勇壮な体形/Epic Proportions》!

浅原は《勇壮な体形》により場の優位なものとし、その圧倒的な打撃力により一気にTasiのライフを一気に削りきった。

浅原 1-0 Tsai

Game 2

今度は浅原序盤から《キスキンの短刀挑/Kithkin Daggerdare》によるバックアップをしながら《湿地の飛び回り/Marsh Flitter》《幽霊の変わり身/Ghostly Changeling》《光り葉の予見者/Gilt-Leaf Seer》によるビートダウンを仕掛ける。

浅原の攻めを受ける一方の展開となったTsaiだが、《眼腐りの終焉/Eyeblight's Ending》で《湿地に潜むもの》を除去、《霊気撃ち》で浅原のテンポを阻害しながら応戦してみせる。
場に残っている戦線が細い浅原はビートダウンが止まらないよう、《忘却の輪/Oblivion Ring》で《霊気撃ち》をリムーブしてビートダウンを続けるが、Tsaiも《忘却の輪》をプレイし、浅原の《忘却の輪》をリムーブすることによって《霊気撃ち》が場に戻ってきて《光り葉の予見者》をバウンス。

Squeaking Pie Sneak

浅原は大きくテンポを崩され、更には《幽霊の変わり身》を《タール火》で除去されて、場に残るのは1/1のゴブリントークン2体と《光り葉の予見者》だけと嫌なムードが漂うが、浅原は次のターンに《チューパイくすね》をトップデッキして場に追加。Tsaiの残りライフが少ない現状において、畏怖を持つ《チューパイくすね》は非常に強力だ。

そして、このまま《チューパイくすね》がTsaiのライフを削りきれるのかという体制となったが、次のターンに浅原が4マナを残してプレイしたのは《鏡の精体/Mirror Entity》!

Tsaiは苦笑しながら「ありがとうございました」と投了を宣言した。

浅原 2-0 Tsai


Round 8 ダイジェスト

By Daisuke Kawasaki
ここまで7戦全勝、(左から)浅原、今川、Park(朴)、津村、三田村、山下

デック構築の方法論にも諸説飛び交い、過去屈指の難易度を誇ったこのローウィンシールド。

パワーカードと土地事故と圧倒的な相性差によってどうにもならないゲームばかりとの声も聞こえる中、7ラウンドを戦い抜いた6名が全勝をかけて3つのテーブルに分かれた。

ここでは、初日全勝をかけた3つのマッチをダイジェストでお送りしよう。

津村 健志(広島) vs. 山下 秀敏(東京)

Game 1

2ターン目に《潮刻みの神秘家/Tideshaper Mystic》をキャストする山下に対して、《炎族の火吐き/Flamekin Spitfire》をキャストする津村だが、ここには《つっかかり/Lash Out》。

《消えざる焼け刃/Ceaseless Searblades》《低地の鈍愚/Lowland Oaf》と展開する津村に対して、《熟考漂い/Mulldrifter》でアドバンテージを稼ぎにかかる山下。

《熟考漂い》にむけられた《つっかかり》は《砕けた野望/Broken Ambitions》され、激突に負けた津村のライブラリーが削られる。するとそこには津村の爆弾《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》の姿が。

これは手痛いおまけではあったが、しかし、《低地の鈍愚》で津村は果敢なダメージレースをしかける。

だが、山下の場にあらわれる《鏡の精体/Mirror Entity》。一気に勝負を決めるべく、全ての土地をタップしてのアタックを試みる山下だったが、これは3枚目の《つっかかり》と《名も無き転置/Nameless Inversion》といった除去によっていなされてしまい、逆に返しの津村のフルアタックを《鏡の精体》でチャンプブロックをせざるを得ない。

この場の傾きを取り返せなかった山下は、すばやく土地を片付けた。

津村 1-0 山下

続くゲームも津村が制し、まずは津村が初日全勝一番乗りをはたす。

津村 「今年のPlayer of the Yearにはどうしてもこだわりたいんです」

津村 2-0 山下

三田村 和弥(千葉) vs. 朴 俊映(韓国)

まずは、韓国から来日した朴が、三田村を《光り葉のナース/Nath of the Gilt-Leaf》のカードパワーで圧倒し、Game 1を制する。

Game 2

 

Vigor
《エルフの先触れ/Elvish Harbinger》《雲冠の樫/Cloudcrown Oak》と展開する三田村に対して、《忘却の輪/Oblivion Ring》《沼うろつきのトネリコ/Bog-Strider Ash》で対抗する朴。

三田村も《沼うろつきのトネリコ》を追加。《臭汁飲みの向こう見ず/Stinkdrinker Daredevil》でマナコストの軽くなった《変わり身の狂戦士/Changeling Berserker》との同時アタックで一気に盤面を掌握にかかる。

《変わり身の狂戦士》を《ルーン刻みの鍾乳石/Runed Stalactite》を装備した《沼うろつきのトネリコ》のブロックと《夜明けヒラメ/Dawnfluke》想起とのあわせ技でいなした朴は、爆弾カードである《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》を場に追加し、逆に一気にゲームを決めにかかる。

三田村は《沼うろつきのトネリコ》の沼渡りと《タール火/Tarfire》で《野生語りのガラク》を排除しつつ、追加の《沼うろつきのトネリコ》で一気に攻め立てる。が、朴の《変わり身の勇士/Changeling Hero》アタックからの《一握りの力/Fistful of Force》での激突で朴が勝利したことで、三田村の防衛線は崩壊し、朴には若干の余裕が与えられてしまう。

そして、この隙に朴のライブラリーのトップからは《活力/Vigor》が。

三田村 「笑っちゃうくらいデッキパワーに差がありましたね」

朴 2-0 三田村

浅原 晃(神奈川) vs. 今川 浩匡(大阪)

大量の除去に恵まれたという今川は、予定調和的にGame 1を制するが、浅原もシュークリーム、もとい《チューパイくすね/Squeaking Pie Sneak》の加護か否か意地でGame 2を制する。

Game 3

2ターン目・3ターン目と連続しての《森林の変わり身/Woodland Changeling》によってビートする今川。一方の浅原の場にはポツンと《鏡の精体》。これには《名も無き転置》。

だが、この序盤の後世で3枚に減った今川の手札を、浅原は想起の《嘆きウェルク/Mournwhelk》で削りにかかる。続いて土地をセットして《泥デコの松明走り/Mudbutton Torchrunner》をキャストしたことで、手札の無くなった今川。そこへ、浅原の《巣穴のこそ泥/Warren Pilferers》が《鏡の精体》を回収しながら登場。

山下の場には《種導きのトネリコ/Seedguide Ash》が追加されるものの、《森林の変わり身》《葉光らせ/Leaf Gilder》をさらに場に追加して場を立て直しにかかる浅原。しかし、ここでドローしたカードを見て山下は息をのむ。

そのカードは《増え続ける成長/Incremental Growth》。

3つめの対象に選ばれた《森林の変わり身》を《名も無き転置》で除去したものの、非常に苦しいブロックを強いられる浅原。

結果カウンター1個の《種導きのトネリコ》を《巣穴のこそ泥》《森林の変わり身》でブロックし、《泥デコの松明走り》(カウンター2個)はスルー。

ここで浅原は満を持して《鏡の精体》を場に投入する。

《泥デコの松明走り》を5/5になった《葉光らせ》で一方的に討ち取る。ここで《泥デコの松明走り》の投げつける火力は浅原自身へと打ち込まれ、ライフは1となる。

慎重に《鏡の精体》でライフを削りにかかる浅原。だが、山下のライブラリートップは《叫び大口/Shriekmaw》。そして、《雲冠の樫》がライブラリートップから続く。

浅原は、《スズメバチ騒がせ/Hornet Harasser》で畏怖をケアしつつ、《光り葉の待ち伏せ/Gilt-Leaf Ambush》でなんとか耐え切ろうともくろむが、激突に敗北し、やはり厳しい場はひっくり返らない。ちなみにめくられたトップは「シュークリーム」こと《チューパイくすね》。浅原はこれをライブラリーの下におくる。

浅原 「シュークリームをボトムに送らざるを得ない時点で、あれ?あれあれあれ?頓死じゃないですかね~?って感じでしたね。」

壮絶なトップデック合戦。だが、浅原のライフにはまったく余裕が無いため、ちょっとの優位をも許せない状態だ。

初日全勝の栄誉を掴んだのはPark(朴)、津村、今川!

結果《泥棒スプライト/Thieving Sprite》が浅原の最後のライフを削りきった。

浅原 「あれ?1体...フライング、ちょうど足りちゃってますねぇ...」

今川 2-1 浅原

こうして、初日全勝の栄誉を受けたのは、この3人となった。

なお、全勝者3人へのインタビューと、GPバンコク優勝者の森田 雅彦(大阪)に一日密着した記事を明日掲載予定なので、ご期待いただきたい。


GPバンコク王者、森田 雅彦のグランプリ初日

By Naoaki Umesaki

このコーナーでは、つい先日行われたGPバンコクを優勝した森田 雅彦プロのグランプリ北九州・1日目における戦いぶりを紹介し、デッキ構築の段階から、1日を戦い終えての感想・反省まで詳しくお届けします。

1日目のフォーマットとなっているのはシールド戦。森田プロの感想を参考に、みなさんも是非ローウィンのシールド戦を楽しんでみて下さい。

ローウィンのシールド戦って?

森田 雅彦

まずトーナメント開始前、森田にローウィンの限定戦について簡単に印象を聞いてみた。

筆者 「森田さんは先日行われたグランプリ・バンコクでも優勝されていますが、ローウィンの限定戦はどれくらい練習されていますか?

森田 「練習量はそこそこといった感じですね。GPバンコクの時にプロポイント1点がとにかく欲しかったので、2日目のフォーマットであるドラフトの練習はひとまず置いておいて、1日目のフォーマットであるシールドの練習を重点的に行っていました」

筆者 「そういった練習をしてきた中での、ローウィンのシールド戦における印象を教えて下さい」

森田 「ドラフト戦だとドラフトのピック段階で意識をして集めれば部族のシナジーを活かしたデッキが組めるので、自軍のカードとカードが連動させて戦う感じの戦いとなりますが、シールド戦はランダムに与えられたカードプールの中からデッキを組むので、そう都合よく部族のシナジーを活かしたデッキは組めません。シールド戦は、カード単体でのスペックで戦う感じですね」

筆者 「なるほど。各色の強さについてですが、何色が強いと思われますか?」

森田 「プールの大半を占めることになるコモンだけで見た場合、青が一番ですね。《熟考漂い》を始めとして全体的にカードの質がよく、強い印象を受けます。そして、次に強いのが白ですね。《忘却の輪》といった除去カードもありますし、クリーチャーも飛んでいるものが多いので。 僕の場合は実際の練習でも、青白のデッキに赤や黒の除去カードをタッチで入れるといった構築になることが多かったですね」

筆者 「除去カードをタッチして、デッキの色を増やすとデッキの安定性が落ちますが、タッチしてでも入れるべきでしょうか?」

森田 「そうですね。生かしておいては駄目なクリーチャーが多い環境なので。 構築時のイメージとしては、クリーチャーの質・枚数が揃っている2色を中心にデッキを組んで、タッチで入れたい除去を詰め込むといった感じです」

除去を詰め込んでデッキは多色になるものの、あくまでデッキの屋台骨は2色でしっかり組むということである。試合で色事故を起こしてしまったら元も子もないので、多色化をサポートできるカードの枚数と相談しながら節度を持ってデッキ構築を行いたいところ。

大会開始、そしてデッキ構築

森田のシールド構築術は二色をベースに除去をタッチするスタイルだ

ヘッドジャッジによる開会宣言で大会がスタート。353名による戦いが始まった。
いよいよパックが配布され、デッキ構築がスタートする。

・各色にある除去の確認

森田はまず最初に、事前に最重要と語っていた除去を各色に何があるかを確認する。今回、森田が開封したパックからは...

無色:《ツキノテブクロのエキス/Moonglove Extract》2枚
黒:《名も無き転置/Nameless Inversion》1枚、《雑草の絡めとり/Weed Strangle》1枚
緑:《木化/Lignify》1枚
赤:《焼夷の命令/Incendiary Command》1枚、《雷雲のシャーマン/Thundercloud Shaman》1枚

...といった除去カードが出たようだ。

森田 「2枚出た《ツキノテブクロのエキス》は、絶対に腐らないので嬉しいですね。また、今回出た《名も無き転置/Nameless Inversion》は個人的にはこの環境のTopコモンカードだと思っているので、これも嬉しいですね」

除去カードには、そこそこ恵まれた内容だったようだ。

・各色にあるクリーチャー陣の確認

除去カードの確認の次は、クリーチャーカードの確認だ。色ごとにマナコスト順でカードを並べてゆく。

森田 「正直厳しいですね」

今回の森田のパック内容は、どの色も生物の強さ・枚数ともに足りておらず、組むのが難しいパックのようだ。

・デッキ構築

各色ともクリーチャーカードの枚数・質ともに不足している苦しい状況において、森田はどうデッキ構築を行うのか?

 

Fertile Ground

森田は、デッキの多色化をサポートできる《肥沃な大地/Fertile Ground》が2枚あるので、メインに据えた2色をベースに3色目のカードは多少色拘束の厳しいカードでも積極的にデッキに入れてゆくといった方向になりそうだ。

森田 「《肥沃な大地》が2枚あるから、土地も16枚に削ろうかな。ローウィンの環境は、激突があるから意外と事故らないんですよね」

まぁ、時にはある程度セオリーを無視して無理してでもデッキパワーを求めて構築を行わないといけないと。

森田 「青緑タッチ黒になりそうですが、緑は練習でもほとんどやったことが無い色なのが不安です」

そして、出来たデッキがコレ!

 

Masahiko Morita

Download Arena Decklist

筆者 「デッキの点数としては、どれくらいでしょうか?」

森田 「55点ですね(苦笑)」

デッキ構築時間が終了し、いよいよラウンドがスタートした。

不戦勝(Bye)の間に

森田はプロポイントによる3 Bye(不戦勝)を所有しており、ゲームを行うのはRound 4から。 Round 4が開始されるまでの間、仲間達と一緒に構築にミスが無かったかどうか検討をしてみたり、ゲームをしてデッキの感触を確かめてみたりして時間を待つことになる。

そろそろRound 4が始まるといったタイミングで、現時点で新たに気がついた事や、デッキ構築ミスが無かったかどうか聞いてみた。

森田 「構築の段階から分かっていましたけど、実際にゲームをしてみると想像以上にデッキが弱いですね。仕方が無く数合わせでデッキに入っているクリーチャーが多かったりと、クリーチャーの質が全体的に悪いのが決定的すぎます。《肥沃な大地》2枚・《鮮烈な小川》から色マナは出るんで、《概念の群れ/Horde of Notions》を投入するくらいのテコ入れが必要だったかもしれません」

森田としては、今日は厳しい戦いとなりそうだ。

Match Report

R4 vs.ナカムラ タカヒロさん(青白タッチ赤)
勝ち(×○○)

森田 「相手は《チャンドラ・ナラー》《黄金のたてがみのアジャニ》という2枚のプレインズウォーカーを搭載している強いデッキでした。運よくこちらに都合がよいゲーム展開となり、勝つことが出来ましたがデッキの弱さを改めて実感するゲームでした。」

R5 vs.ヤマシタ ヒデトシさん(4色レインボー)
負け(××-)

森田 「パワーカードを詰め込んだ多色デッキなので、普通に回られればカードパワーの差で負けるという(苦笑)」

R6 vs.マエダ ケンタロウさん(赤青タッチ白)
勝ち(×○○)

 

Thoughtseize

森田 「1ゲーム目を《焼夷の命令》で負け、サイドインした《思考囲い》が大活躍でした。後の2ゲームで、都合よく《チャンドラ・ナラー》を《思考囲い》でハンデスできたのが勝因ですね」

R7 vs.ウエマツ コウイチさん(緑青タッチ白)
負け(××-)

森田 「2ゲームとも、2ターン目に《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher》が出てきてビートが展開される厳しい展開でした。1本目に見た《レンの地の克服者》はノーマルで、2本目に見た《レンの地の克服者》は光っているという。最後は、《活力/Vigor》に殴り殺されてGGでした。」

R8 vs.クロダ マサシロさん(赤青タッチ黒)
勝ち(×○○)

「1ゲーム目を《焼夷の命令》で負け、2本目から青緑タッチ白のデッキに変形されたのですが、うまく勝つことができました。この環境は、サイドからデッキを変形するケースが多いですね」

1日を終えての感想

結局、森田は1日目を6勝2敗の43位で終えた。

森田 「やはりというか、デッキ構築を間違えていました。最初に組んだデッキは青緑タッチ黒でしたが、緑黒タッチ青といった形にしたほうが良かったようです」

筆者 「具体的にはどういった改善でしょうか?」

森田 「環境的に、僕が最初に選択した《渦巻沈め/Whirlpool Whelm》《休賢者/Fallowsage》《紙ひれの悪党/Paperfin Rascal》といったカードよりも、長期戦で強かったりアドバンテージを取れる《ウーナのうろつく者/Oona’s Prowler》《泥棒スプライト/Thieving Sprite》《思考囲い/Thoughtseize》といったカードを選択したほうが良かったです。ローウィンのシールド戦は、ゆったりとした展開なので」

森田ほどのプレイヤーでも、なかなかに正解にたどりつけないのがこのローウィンのシールド構築。しかし、カードプールが悪いなら悪いなりに、弱いなら弱いなりに、ラウンドの間にサイドボーディングのプランを調整し、最終的な落としどころを見つけられたところはさすがだ。ドラフト巧者の森田だけに、とりあえず二日目にさえ残れれば、という部分も少なからずあっただろう。

果たして、森田の二日目は...?

示唆にとんだ森田のコメントが、みなさんのお役にたてれば幸いだ。


Draft Report: 第1ドラフト1番卓

By Naoaki Umesaki

Draft Report: 第1ドラフト1番卓
By Naoaki Umesaki

栄光の1番卓、(左上から時計回りに)森、川田、Tsai、今川、Park、三田村、浅原、津村

1日目を勝ち残った64名の選手達による2日目が始まった。 2日目のフォーマットであるドラフト戦は、1日目のフォーマットであったシールド戦とは大きく違い、ドラフトでのピック選択によって戦略的にデッキに使うカードを集められるので、真の意味で種族がメインテーマであるローウィン限定戦(リミテッド)の腕が問われる勝負となる。

早速、第1ドラフトの第1番ドラフト卓の様子をお届けしたい。
席順は以下の通りとなった。

1番席:今川浩匡
2番席:Tsai Chih-chun
3番席:川田千尋
4番席:森勝洋
5番席:津村健志
6番席:浅原晃
7番席:三田村和弥
8番席:Park,Jun-Young

森・津村・浅原・三田村の4人が並んでいる分のドラフトレポートは他の記事で紹介されるので、こちらの記事ではその反対側に位置する初日全勝の今川 浩匡(大阪)を中心としたドラフトレポートをお届けしたい。

「ドラフトはまったく練習していないので、特に戦略というのはありません。ただ、ある程度デッキを種族で固めたほうが良いと友人から聞いているので、それだけは意識してピックをしたいと思っています」と謙虚に語る今川。

ローウィンというエキスパンションは、同じ種族で集めることによって初めてカードパワーを発揮するカードが多い。もちろん、種族に依存しないドラフト戦術もあるのだが、考え無しにそういった種族を無視したドラフトをすれば、デッキに入れたいレベルの強さを持ったカードの枚数が足りなくなり、結果として弱いカードがデッキに入ってしまい失敗となるだろう。

今川は、どんなドラフトを見せるのか? それでは、ドラフトスタート!

1 Pack目

今川は《白熱の魂炊き》からスタート!

1手目⇒《白熱の魂炊き/Incandescent Soulstoke
他の候補:《外身の交換/Crib Swap》《エレンドラ谷の衛兵/Sentinels of Glen Elendra

2手目⇒《やっかい児/Pestermite
他の候補:《首のへし折り/Neck Snap》《葉光らせ/Leaf Gilder

3手目⇒《白熱の魂炊き/Incandescent Soulstoke
他の候補:《ルーン刻みの鍾乳石/Runed Stalactite》《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart

4手目⇒《渦巻沈め/Whirlpool Whelm
他の候補:《砕けた野望/Broken Ambitions

5手目⇒《輝き帯び/Glarewielder
他の候補:《ゆらめく岩屋/Shimmering Grotto

6手目⇒《低地の鈍愚/Lowland Oaf
他の候:《一握りの力/Fistful of Force》《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart

7手目⇒《眼腐りの狩人/Hunter of Eyeblights
他の候補:《鮮烈な小川/Vivid Creek

8手目⇒《嘆きウェルク/Mournwhelk
他の候補:《自我の消去/Ego Erasure

9手目⇒《煙束ね/Smokebraider
他の候補:《内炎の見習い/Inner-Flame Acolyte

10手目⇒《内炎の見習い/Inner-Flame Acolyte
11手目⇒《ボガートの丸太運び/Boggart Loggers
12手目⇒《アシュリングの特権/Ashling’s Prerogative
13手目⇒《羽軸投げのボガート/Quill-Slinger Boggart
14手目⇒《炎族の喧嘩屋/Flamekin Brawler
15手目⇒《沼のチンピラ/Bog Hoodlums

初手と3手目でエレメンタルの王様である《白熱の魂炊き/Incandescent Soulstoke》をピックして、エレメンタルを中心としたデッキを目指す展開となった。 2・3パック目で、強いエレメンタルを集めて《白熱の魂炊き》を活かしたいところだ。

2 Pack目

1手目⇒《熟考漂い/Mulldrifter
他の候補:《雑草の絡めとり/Weed Strangle》《外身の交換/Crib Swap》《突風粉の魔道士/Galepowder Mage》《種導きのトネリコ/Seedguide Ash

2手目⇒《熱の陽炎/Heat Shimmer
他の候補:《コショウ煙/Peppersmoke》《キンズベイルの風船使い/Kinsbaile Balloonist》《内炎の見習い/Inner-Flame Acolyte

3手目⇒《タール火/Tarfire
他の候補:《種導きのトネリコ/Seedguide Ash》《キスキンの大心臓/Kithkin Greatheart

4手目⇒《タール火/Tarfire
他の候補:《種導きのトネリコ/Seedguide Ash》《鳥の変わり身/Avian Changeling》《死角持ちの巨人/Blind-Spot Giant

5手目⇒《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger
他の候補:《死角持ちの巨人/Blind-Spot Giant

6手目⇒《炎族の反乱/Rebellion of the Flamekin
他の候補:《鋳塊かじり/Ingot Chewer》《三つ目巨人の視線/Triclopean Sight

7手目⇒《嘆きウェルク/Mournwhelk
他の候補:《沼うろつきのトネリコ/Bog-Strider Ash》《眼腐りの狩人/Hunter of Eyeblights

8手目⇒《内炎の点火者/Inner-Flame Igniter
他の候補:《沼うろつきのトネリコ/Bog-Strider Ash》《木化/Lignify

9手目⇒《足の底の饗宴/Footbottom Feast
他の候補:《ヴェリズ・ヴェルの翼/Wings of Velis Vel

10手目⇒《ツキノテブクロの選別者/Moonglove Winnower
11手目⇒《樫族の戦士/Kashi-Tribe Warriors》
12手目⇒《鋳塊かじり/Ingot Chewer
13手目⇒《樫族の戦士/Kashi-Tribe Warriors》
14手目⇒《森のこだま/Sylvan Echoes
15手目⇒《薬草の湿布/Herbal Poultice

2 Pack目を終え、火力も取れてメインカラーとなるであろう赤の地盤は固まった感じだが、まだ2色目が決まっていない印象だ。赤いカードを中心に集めて2色目を保留気味にすることで、ドラフトの流れに柔軟に対応できるとも言えるが、果たしてどうなるか。

3 Pack目

1手目⇒《霊気撃ち/AEthersnipes》
他の候補:《タール火/Tarfire》《輝き帯び/Glarewielder

2手目⇒《霊気撃ち/AEthersnipes》
他の候補:《タール火/Tarfire》《ワンダーワインの預言者/Wanderwine Prophets

3手目⇒《眼腐りの終焉/Eyeblight’s Ending
他の候補:《炎族の刃振り/Flamekin Bladewhirl》《種導きのトネリコ/Seedguide Ash

4手目⇒《輝き帯び/Glarewielder
他の候補:《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier》《種導きのトネリコ/Seedguide Ash》《泥デコの松明走り/Mudbutton Torchrunner

5手目⇒《チューパイくすね/Squeaking Pie Sneak
他の候補:《増え続ける成長/Incremental Growth》《木化/Lignify》《巨人の先触れ/Giant Harbinger

6手目⇒《思考囲い/Thoughtseize
他の候補:《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart》《タール投げ/Tar Pitcher

7手目⇒《薬草の湿布/Herbal Poultice
他の候補:《民兵団の誇り/Militia’s Pride》《ヴェリズ・ヴェルの翼/Wings of Velis Vel

8手目⇒《ヴェリズ・ヴェルの刃/Blades of Velis Vel
他の候補:《エルフの行列/Elvish Promenade》《炎族の喧嘩屋/Flamekin Brawler

9手目⇒《炎族の喧嘩屋/Flamekin Brawler
他の候補:《沼うろつきのトネリコ/Bog-Strider Ash

10手目⇒《夜明けヒラメ/Dawnfluke
11手目⇒《炎族の刃振り/Flamekin Bladewhirl
12手目⇒《夜明けヒラメ/Dawnfluke
13手目⇒《鋳塊かじり/Ingot Chewer
14手目⇒《森のこだま/Sylvan Echoes
15手目⇒《薬草の湿布/Herbal Poultice

今川 「3パック目は、《霊気撃ち/AEthersnipes》を2枚取れたのはよかったんですけど、結局デッキの構成がグチャってしまい微妙なデッキになってしまいました。2色に1色タッチするという感じを超えて、均等3色では無いんですけど、それ一歩手前の赤メインな赤青黒というか。」

完成したデッキは、こちら。

 

Hiromasa Imagawa

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ソーサリー (1)
1 Heat Shimmer
インスタント (2)
1 Whirlpool Whelm 1 Footbottom Feast
アーティファクト (1)
1 Wanderer's Twig
土地 (17)
8 Mountain 5 Island 4 Swamp
部族 (3)
2 Tarfire 1 Eyeblight's Ending
38 カード

今川の上席であるPark,Jun-Youngのデッキは、序盤からのビートダウンすることを意識した感じの綺麗な緑白ツリーフォーク/エルフ。
朴は緑白エルフ/ツリーフォーク

下席のTsai Chih-chunのデッキは、ほぼ白単気味のキスキンデッキとなっており、赤が火力のためにタッチされているというこちらも綺麗なデッキだ。

今川の上下に座っているプレイヤーのデッキ情報を見ると、色・種族の住み分け強調も出来ていること感じられるので青いカードがもっと取れていてもよさそうな感じだが、3番席の川田に加えて5~7番席のプレイヤーのデッキが全員青という事態になっており卓内に青いデッキを目指したプレイヤーが多かった為に、青を目指した今川がハマってしまった格好となってしまったようだ。

エレメンタルを部族として選択する上でのキーカードである《煙束ね/Smokebraider》が多く取れていると、通常だと無理な多色化も可能になるのだが...今回は1枚しか取れていない。卓内の情報を見ると単純に出ていない様で、この不運も今川にとっては厳しいところだ。

Round 8、今川の相手はPark,Young-Jun(韓国)。初日全勝同士の対決である。熱戦を期待したい。

 

Park,Young-Jun

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Round 9 ダイジェスト

By Keita Mori

舞台をドラフトに移して、栄光の決勝ラウンドを目指す二日目の戦いの火蓋が切って落とされた。

単純なカード一枚のクオリティが問われたシールド戦とは違って、全体としてのまとまり、部族シナジーによるプラスアルファを問われる戦いになることだろう。

今川 浩正(大阪) vs. 朴 俊英(韓国)

全勝の二人が直接対決: 朴 vs. 今川

今川: 赤黒タッチ青/エレメンタル
朴: 白緑/ツリーフォーク・エルフ

まずは全勝対決。先ほどのドラフト記事でも紹介された1番卓から今川と朴が登場する。

Game 1

まずは先手の朴が《ツリーフォークの先触れ/Treefolk Harbinger》で《森/Forest》をサーチ。対して、今川は《煙束ね/Smokebraider》から4/2速攻の《内炎の見習い/Inner-Flame Acolyte》を召喚し、ダメージレースで先行を試みる。しかし、朴の《一握りの力/Fistful of Force》によって《先触れ》が巨大化し、このプランは出鼻を挫かれてしまう。

しかし、朴の後続である2/4《沼うろつきのトネリコ/Bog-Strider Ash》を今川が《霊気撃ち/AEthersnipes》でバウンスし、今川がこの4/4エレメンタルでビートダウンをスタート。

朴は《沼うろつきのトネリコ/Bog-Strider Ash》を再召喚。続くターンには瞬速《茨角/Briarhorn》による強化能力をからめて対抗しようとするが(対象2/4トネリコ)、今川も《眼腐りの終焉/Eyeblight’s Ending》でトネリコを除去し、それを許さなかった。

ここで朴は戦線に《エルフの小間使い/Elvish Handservant》を加え、続けざまの多相《森林の変わり身/Woodland Changeling》召喚でさっそくこれに+1/+1カウンターを置いた。双方、ここから殴り合いのダメージレースを開始する。

今川はマナをアンタップさせたまま《霊気撃ち》でのアタックを継続し、朴も殴りあいに応じる。まもなくライフレースは10対12で朴がわずかにリードという状況になり、朴は4/4《種導きのトネリコ/Seedguide Ash》をブロッカーとして呼び出してターンを返した。しかし、すぐさまエンドステップに今川が《渦巻沈め/Whirlpool Whelm》でこれをバウンスし、さらに《足の底の饗宴/Footbottom Feast》で墓地の《内炎の見習い/Inner-Flame Acolyte》を回収する。

このエンドステップでのアクションから、4/2速攻と4/4で今川がアタック。ライフレースはとうとう10対4(今川リード)と緊迫した局面を迎えることになる。

しかし、ここからの朴のカムバックが圧巻だった! ディフェンスモードに作戦を切り替えて4/4《種導きのトネリコ》再展開から盤面を膠着させると、すぐさま5/7トランプル《樫瘤の戦士/Oakgnarl Warrior》、さらに《忘却の輪/Oblivion Ring》を引き当てる豪腕。サイズに勝る韓国製ツリーフォークたちがレッドゾーンを蹂躙した。

今川 0-1 朴

Game 2

第2ゲームでは今川が溜飲を下げた。

まず今川は《炎族の刃振り/Flamekin Bladewhirl》、《煙束ね/Smokebraider》、《白熱の魂炊き/Incandescent Soulstoke》、と一気呵成の攻勢に出るスタートに成功し、朴を防戦一方に追い込む。一方の朴は《煙束ね/Smokebraider》を《木化/Lignify》したものの、《一握りの力/Fistful of Force》をからめて《白熱の魂炊き》をブロックで討ち取るプランを台無しにされてしまう。ここぞと今川がそれを《眼腐りの終焉/Eyeblight’s Ending》で阻む(対象:《ツリーフォークの先触れ》)という攻防だった。

今川は《炎族の先触れ/Flamekin Harbinger》から2体目の《白熱の魂炊き/Incandescent Soulstoke》を呼び出すという絶好調ぶりで、朴の後続も《タール火/Tarfire》でシャットアウト。まもなく、朴はカードを片づけはじめた。

今川 1-1 朴

Game 3

朴は《ゴールドメドの侵略者/Goldmeadow Harrier》で今川の《煙束ね/Smokebraider》をタップアウトし続け、《霊気撃ち/AEthersnipes》を使いたい今川になかなか青マナの確保を許さなかった。一方の今川も土地が伸び悩む朴のマナベースを見逃さず、《ボガートの丸太運び/Boggart Loggers》で《森/Forest》を破壊するという判断でゲームをスローダウンさせた白熱の戦いである。

しかし、白熱しすぎた。

両雄一歩も引かぬ一進一退のゲームとなり、制限時間内でこの試合に決着はつかなかったのだった。

引き分け

栗原 伸豪(東京) vs. 森田 雅彦(大阪)

グランプリ・バンコク勝の再現: 森田 vs. 栗原

森田:緑黒/エルフ
栗原:赤タッチ白/巨人

一方その頃、もう片方のテーブルではつい先日のグランプリ・バンコクの決勝カードが再現されていた。森田 雅彦 vs. 栗原 伸豪。二週間前、森田の3枚の《霊気撃ち/AEthersnipes》によるビートダウンが栗原のフェアリー軍団を撃破している。

しかしながら、ここ北九州では栗原の巨人デッキが森田のエルフ軍にリベンジを果たしている。《雷雲のシャーマン/Thundercloud Shaman》が盤上を一掃し、重量打線が試合を決めたのだ。

栗原 2-1 森田

Draft Report: 第1ドラフト1番卓―浅原・津村の事情

By Daisuke Kawasaki
勢揃いした強豪たち、(左から)森、津村、浅原、三田村 1 今川 浩匡(大阪)
2 Tsai Chin-chun(台湾)
3 河田 千尋(東京)
4 森 勝洋(大阪)
5 津村 健志(広島)
6 浅原 晃(神奈川)
7 三田村 和弥(千葉)
8 朴 俊映(韓国)

ランダムシートのいたずらか、「帝王」森 勝洋を筆頭に、津村・浅原・三田村という世界レベルでの強豪が一列に並ぶこととなった、Pod 1。

ここでは、浅原・津村のふたりのピックを中心に、この4人のドラフトを追いかけつつ、この環境のドラフト環境を解読する糸口をみつけたい。

なお、ちょうど対面に位置する初日全勝の今川のピックを追った記事もアップされているので、あわせて読んでいただければ卓全体の様子が伝わりやすいのではないだろうか。

1st Pack

1st Pack Akira Asahara Kenji Tsumura
1 Warren Pilferers Aethersnipes
2 Warren Pilferers Aethersnipes
3 Warren Pilferers Aethersnipes
4 Silvergill Adept Sygg, River Guide
5 Peppersmoke Kinsbaile Balloonist
6 Glen Elendra Pranksters Neck Snap
7 Thieving Sprite Runed Stalactite
8 Makeshift Mannequin Tideshaper Mystic
9 Lowland Oaf Colfenor's Plans
10 Familiar's Ruse Tideshaper Mysti

実は、浅原・津村はもちろんのこと、2人上の河田までがほとんど同じ強コモンソートを引き当てた1st Pack。

レア・アンコモンにめぼしいものが無かった浅原・津村ともにプール内でもっとも強いコモンと思わた《巣穴のこそ泥/Warren Pilferers》と《霊気撃ち/AEthersnipes》をピックしている。

この時の他の考慮対象は、共に同じコモンソートの《鳥の変わり身/Avian Changeling》。特筆するべきは、津村が《巣穴のこそ泥/Warren Pilferers》を流していることくらいであろうか。

そして、3回連続で流れてくる同じソートに、苦笑しつつも、方針をぶれさせないために同じカードをピックし続ける2人。

当然のことながら、彼らが考慮対象にしつつも流していった《鳥の変わり身》を、今度は三田村が連続してピックするという形になっており、この時点で3人がほぼ色がかぶってしまう事が確定してしまった(浅原は、ゴブリンをピックしているが、種族というよりは単純なカードパワーからピックしている)。

続く4手目でやっと2人が動いた時には手遅れだった。

津村 「正直、《川の案内者、シグ/Sygg, River Guide》が流れてきて上が赤で、マーフォーク開いてるのがわかった時点で、《銀エラの達人/Silvergill Adept》とって置けばよかった!って思いましたよ」

そう、単純なカードパワーであれば、《霊気撃ち》は他のコモンを凌駕するのだが、青という色でエレメンタルは部族アピールにかけるのである。

津村は、《霊気撃ち》をピックした時点では、青赤のエレメンタルデックを構想していたというが、《川の案内者、シグ》が流れてきたことから、森が赤であるということを認識し、後手に回ってしまったことに気づかされたのだ。

これは、同様に浅原にも言えることであり、もともと青黒のフェアリーを念頭に置いていた浅原は、遅く、なおかつアピールの少ない形で《銀エラの達人/Silvergill Adept》をピックするという中途半端な動きを余儀なくされてしまう。

浅原 「シュークリーム(ここではゴブリンデックの意味と思われる)でもよかったんですけど(《銀エラの達人》が多く流れていたので)青黒は捨てがたかったですね...空論的にはうまくいってたんですけど現実的には罠でしたね、あの序盤は」

2人がまったく部族アピールの無いまま動いている中、ファーストピックで《川床の水大工/Streambed Aquitects》をピックし、ある程度部族的な方針が固まっていた三田村は、少し早い段階で《銀エラの達人》を拾うことに成功していたが、4手目から浅原・津村が迷走したあおりを受けることとなり、やはり「(そこまでの流れから)本来十分に流れてくるはずだった」マーフォークを確保できない形になってしまった。

三田村にとって、それまでの青白マーフォークができるという部族シグナルから一転して、津村が《川の案内者、シグ》をキャッチし、マーフォークに展開し始めてしまったこと自体が非常に手痛い誤算となったのだ。

世界レベルの強豪3人が、らしくない迷走を続ける中、ひとりほくそえむ男がいた。

「帝王」森 勝洋である。

ファーストピックとして《暁の君主/Sunrise Sovereign》をピックした森。《霊気撃ち》《巣穴のこそ泥》《鳥の変わり身》といったパワーカードを流しつつ、いったい何をピックしたのだろうか。その答えは驚愕に値するものだった。

 「2手目?《低地の鈍愚/Lowland Oaf》とったよ。」

2nd Pack

2nd Pack Akira Asahara Kenji Tsumura
1 Whirlpool Whelm Purity
2 Benthicore Changeling Hero
3 Shriekmaw Kithkin Greatheart
4 Weed Strangle Militia's Pride
5 Peppersmoke Deeptread Merrow
6 Hornet Harasser Paperfin Rascal
7 Turtleshell Changeling Scattering Stroke
8 Hornet Harasser Faerie Trickery
9 Quill-Slinger Boggart Kithkin Greatheart
10 Quill-Slinger Boggart Eyes of the Wisen

 「1パック目はコガモ(津村)に青やらせていいと思ってたから、代わりに完全に赤をとめて2パック目にかけたんだよね。」

そんな森の計略は見事に成功する。

この時、浅原・津村・三田村のパックから同時に《タール火/Tarfire》があらわれたのだ。

初手では《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane》を手に入れた森だが、思惑通りの赤祭りに喜びを隠せない様子。

 「やっぱ、マジックセンスだよね。」

三田村が《霊気撃ち》スタートから、青を集めてしまった為、このパックでは津村は更なる迷走をする事となる。

津村 「結局マーフォークが集められなくて、キスキン集めるしか無かったですね...《キスキンの大心臓/Kithkin Greatheart》ばっかだったんで多相か巨人欲しかったんですけど...」

実際、津村はこの後かなり早い順目から《ヴェリズ・ヴェルの翼/Wings of Velis Vel》のような圧倒的に質の劣るカードを選択肢に入れざるを得なくなる。たとえば、このパックの場合、5手目でかなり長いこと《ヴェリズ・ヴェルの翼》と《深海踏みのメロウ/Deeptread Merrow》で悩んでいた。

一方の浅原は、確かにデックの中核になるカードを集められなかったものの、サブとなりうるカードをそれなりに集められたので、パワー的には不満があれど、シナジー的には十分満足だったようだ。

浅原 「正直、部族とかいいからシュークリーム買って来いって感じだったので、《コショウ煙/Peppersmoke》や《スズメバチ騒がせ/Hornet Harasser》を遅めに取れたのはラッキーでしたね。」

この辺で、上下と黒がまったくかぶっていないという浅原のメリットが発揮された形となった。

3rd Pack

3rd Pack Akira Asahara Kenji Tsumura
1 Eyeblight's Ending Silvergill Douser
2 Aethersnipes Streambed Aquitects
3 Thieving Sprite Kithkin Greatheart
4 Hornet Harasser Paperfin Rascal
5 Makeshift Mannequin Turtleshell Changeling
6 Faerie Tauntings Faerie Trickery
7 Seedguide Ash Wings of Velis Vel
8 Seedguide Ash Giant's Ire
9 Mudbutton Torchrunner Inkfathom Divers
10 Quill-Slinger Boggart Hillcomber Giant

すでにこの時点でデックのほとんどは完成していたという浅原は、ここで、《眼腐りの終焉/Eyeblight’s Ending》《霊気撃ち》をピックしデックパワーを高めたうえで、《スズメバチ騒がせ》《その場しのぎの人形/Makeshift Mannequin》を補給する事でデック全体の完成度を高めることに成功する。

浅原 「序盤の《巣穴のこそ泥》大量ゲットの時点で、大体ゴブリン・フェアリーっていうデッキになるだろうっていう感じだったので、まぁまぁいい感じになったんじゃないですかね。」

最終的に浅原のデックは、部族というよりは、ゴブリンに割り当てられたテーマである「墓地回収」に焦点があてられたものとなっており、トリッキーな流れからは想像できないくらいにまとまったデックとなっている。

浅原 「ただ、2手目で《霊気撃ち》ごときの為に《チューパイくすね/Squeaking Pie Sneak》流さなきゃいけなかったのは、そりゃあ悪手じゃろ、アリンコって感じでしたね。」

浅原が《チューパイくすね》にどれくらいの思い入れがあるかは、機会があったら聞いてみようと思う。

一方、圧倒的な森との協調ドラフトができているにもかかわらず、《霊気撃ち》に翻弄され迷走してしまっている津村。ここでも、やはり体勢を立て直すにいたらなかったか。

津村 「5手目で《亀の甲の変わり身/Turtleshell Changeling》を大喜びでピックしてしまいましたから。《ヴェリズ・ヴェルの翼》と迷って。こんなに種族ないデッキ作ってて本当に大丈夫なのか不安になりましたよ。」

確かに、めだった部族シナジーは無いものの、低マナ域でのビートダウンから、3枚の《霊気撃ち》につなげるテンポデックには仕上がっており、なんとかデックの形を整えることには成功したようだ。

津村 「3勝は厳しいけど...できればここで2勝してTop 8を確定させたいですね。」

三田村はここで《黄金のたてがみのアジャニ》をファーストピックし、一気にデックの完成度を高める。予定通りにマーフォークデックの完成ではあったが、やはり上2人、特に津村の迷走につきあわされてしまった感は否めない。

三田村 「クリーチャー少ないですねぇ...しかも全体的に線が細い...厳しいですね。」

森 勝洋

この4人に関しては、完全に卓上の支配者であった森 勝洋は、ここで《名も無き転置/Nameless Inversion》をファーストピック。この《名も無き転置》と《黄金のたてがみのアジャニ》という2枚のファーストピックをタッチしたほぼ赤単の巨人デックを構築する。

練習をほとんどできなかったという割には、非常にマニアックなアーキタイプを選択したものだ。

森は繰り返す。

 「やっぱマジック、センスだから」

期せずして、今回ピックをとらせてもらった2人が、部族に頼りきれない状態の中でデックを纏め上げざるを得なくなっている。

部族によるシナジーがメインのテーマとなっているローウィンドラフト。しかし、様々な事情で部族シナジーに恵まれないこともある。だが、そんな中でもデックは作り上げなければならない。

この2人の例は、そういう意味では、この環境のひとつのテキストとなるのではないだろうか。

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