2人のPTチャンプ。そんな風に誰かが言った。
ご存知黒田 正城は昨年のPT神戸覇者。この大会も尻上がりに調子を上げ、現在5勝1敗で上位をうかがう。

対するOsyp Lebedowiczはアメリカの強豪プレイヤー。長身揃いの外国勢の中でもひときわ長身が目立つ、2002年のPTベネチア覇者である。
期せずしてブロック構築を制した王者が揃った。そして黒田は「日本開催PT連覇」を目指し、良い形で初日を締めくくれるか。
Game 1
ともにダイスを持ち合わせていなかったので、"Higher Decide"で決めることに。要は、マナコストの高いカード当て。《樫族の戦士/Kashi-Tribe Warriors》を引き当てたOsypが先攻となった。
Osypは"Sure"、黒田は土地が無く、重い初手に軽く舌打ちしてマリガン。6枚には"Keep"。
赤緑のOsypが《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》で先行し、土地を持ってきて《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》の展開。白青の黒田は《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster》で応える。
それを見たOsypはノータイムで攻撃、わずかな視線の交錯の後黒田は「ノーブロック」。続いて《せし郎の息子、そう介/Sosuke, Son of Seshiro》を戦列に加えて終了。
さて、《不退転の意志/Indomitable Will》が手札にある黒田だが、やはりノータイムが気になる。ここで殴る手もなく、4マナを立てて終了宣言。
Osypはアップキープにライブラリトップの《山/Mountain》を公開、《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》を3/2先制攻撃とする。そして殴ってくるわけだが、黒田は少考の後《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》をブロック、ダメージをスタックの後《不退転の意志/Indomitable Will》。手札の読み合い、見えない刃が交錯する。
…果たしてOsypに対応はなく、《粗暴な詐欺師》のみが墓地に送られる。
ここからOsypは《木霊の手の内/Kodama's Reach》を連発してドローの密度を高めようとするのだが、いかんせん現在の手札が薄い様子。3/4先制攻撃となった《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster》の前に、《せし郎の息子、そう介/Sosuke, Son of Seshiro》も沈黙してしまう。
そのうちに、と黒田は《薄青幕の侍/Samurai of the Pale Curtain》で地上を固め、《空民の雨刻み/Soratami Rainshaper》《百爪の神/Hundred-Talon Kami》で畳み掛ける。《空民の助言/Counsel of the Soratami》から導かれるトリックも《蝋燭の輝き/Candles' Glow》《祝福の息吹/Blessed Breath》《消耗の渦/Consuming Vortex》と完璧だ。
Osypも《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy》に《蛇の皮/Serpent Skin》で策を弄しようとするが、トリックの前に打開策が見つからず、黒田の秘儀連繋の前に投了した。
黒田 -1 Osyp –0
Game 2
今度はやや低い声で"Sure"のOsyp。黒田もキープ。
Osypは《自然との融和/Commune with Nature》で見た5枚に渋い顔ながら、《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy》を手札に。さらに《かまどの神/Hearth Kami》を展開して戦いの幕を開ける。しかし黒田もこれに対し《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》と回答を用意できている。
Osypが《木霊の手の内/Kodama's Reach》でマナを伸ばせば、黒田は「シロパガンダ」こと《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》で足止めを目論む。Osypが《聖鐘の僧団/Order of the Sacred Bell》を出せば、黒田は2体目の《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》を。トリックをちらつかせながら、虚虚実実のしのぎあい。
だが、Osypが攻撃後(黒田ライフ20→16)《せし郎の息子、そう介/Sosuke, Son of Seshiro》をプレイすると、やや押され出す。《川の水神/River Kaijin》をプレイするが、やはり圧力が違う。
その圧力を利して、Osypは少しずつながら攻撃を加えていく。トリックを見据え《聖鐘の僧団/Order of the Sacred Bell》だけで攻撃し、これが《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》2体と《川の水神/River Kaijin》でブロックされれば《蛇の皮/Serpent Skin》でかわす。その後も、《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy》を2体加えながら攻撃の手を緩めない。
黒田は《百爪の神/Hundred-Talon Kami》を出しながら《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》2体をチャンプブロックに使い、4枚のカードを引いて逆転に賭ける。《薄青幕の侍/Samurai of the Pale Curtain》だけで心もとなかった手札が一気に補充され、逆転の目は整った。
だが、《せし郎の息子、そう介/Sosuke, Son of Seshiro》+《松族のおとり》コンボを考え一気に展開することをせず、ひとまず《薄青幕の侍》をプレイするのみでターンを返す。手札は《蝋燭の輝き/Candles' Glow》《消耗の渦/Consuming Vortex》《伝承の語り部/Teller of Tales》土地2枚、だ。
Osypは土地も十分に伸び、《亡霊の牢獄》のコストを支払った上で《聖鐘の僧団》with《蛇の皮》、2/3「バジリスク」になっている《松族のおとり》での攻撃を選択。
黒田は《松族のおとり》を《薄青幕の侍》でブロックした上で、プレイ《蝋燭の輝き》(→《薄青幕の侍》)に連繋《消耗の渦》(→《聖鐘の僧団》)。通れば無傷で返り討ちだったが、Osypもさるもの、《木霊の力/Kodama's Might》でダメージを通し、《薄青幕の侍》を葬る。
だが黒田も反撃の時間だ。《百爪の神》が攻撃に転じ、「クチ」こと《伝承の語り部》が場を支配すべく現れる。一方Osypは《消耗の渦》が見えているため、《せし郎の息子、そう介》で攻撃して《聖鐘の僧団》を再召喚するのみ。
黒田は攻勢を緩めない。《百爪の神》《伝承の語り》で攻撃し、さらに《空民の雨刻み/Soratami Rainshaper》を追加する。この時点でのライフは11(黒田)-13(Osyp)。あと2回の攻撃で勝てる。
だが、Osypも譲らない。パワーはこちらが上だとばかりに、《せし郎の息子、そう介》《聖鐘の僧団》で攻撃。立っているのは《空民の雨刻み》だけ、黒田の手札は《消耗の渦》ともう1枚のみ。見た目は全く止まっていないように見える。
…見えるだけだった。
まず《消耗の渦》を《せし郎の息子、そう介》へ。その誘発型能力で《伝承の語り部》をアンタップすると、《聖鐘の僧団》をブロックしてダメージスタック後に《不退転の意志/Indomitable Will》!
黒田は鮮やかな捌きによって全くの無傷で攻撃を切り抜けることに成功。勝負の天秤は大きく傾いた。
だがまだOsyp側には9点分のダメージソースがある。《木霊の力/Kodama's Might》でもあれば、一発即死すらありえる状態には変わりないのだ。
黒田は空の手札から、ドローしたカードに一瞥をくれる。表情にわずかの陰が差す。だがそれも束の間、黒田は勢いよく全てのクリ-チャーをレッドゾーンに送り込んでいた。これでOsypのライフは5に。

ここで秘儀かスピリットがあれば完璧だ、と思ったが、先ほどの表情から察するとそれも難しいだろうと考えていた。しかし、そこで叩きつけたカードは筆者の予想を上回っていた。
《空民の学者/Soratami Savant》!
Osypはカードを引いてしばらく眺めたが、観念したかのようにカードを片付けた。
激闘の日の締めくくりは、力強い握手で!
黒田 –2 Osyp -0
「気持ち悪いくらい引けた」という黒田。偉業の再現目指して、明日の戦いがいっそう注目される。明日もPT名古屋カバレージをお見逃しなく!
Masashiro Kuroda defeats Osyp Lebedowicz.