Pro Tour Nagoya Preview

更新日 Event Coverage on 2005年 1月 24日

By Keita Mori

プロツアー名古屋:イベント案内

一年前のロチェスター大会、プロツアー・アムステルダムで準優勝を果たした大阪の藤田 修2005年1月末、つまり今週末に名古屋でプロツアーが開催される。これは優勝賞金300万円強、賞金総額では2000万円を超えるスケールのビッグイベントで、今回は神河物語を3パック使用してのロチェスタードラフトが競技種目(フォーマット)となっている。この「ロチェスター」という形式のドラフトが普通の「ブースタードラフト」と大きく異なっている点は、「卓上にすべてのカードが公開される」ということ。つまり、プレイヤーは周囲のライバルとの駆け引きを考えながらデッキを作り上げていかなければならないというわけで、単純なゲーム・プレイヤーとしての技量だけでなく、「外交政策」のようなスキルをも問われることになるのだ。そう、ポートメッセ名古屋では、実に奥行きの深い戦いが3日間に渡って繰り広げられることになるはずだ。

ところで、アメリカ大統領選挙直前に、「激戦州オハイオ」のコロンバスで行われたのが今シーズンのプロツアー開幕戦だった。そこでは3人もの日本人がベスト8に勝ち進んでおり、大阪の中村 修平が準優勝を飾っている。数年前までは、ワールドワイドな舞台においては「圏外の存在」とまで言われていた日本勢だが、2004年という一年間を通じて「すべてのプロツアーの決勝ラウンドに日本人が進出する」ことを果たし、今や国際的な「三大勢力」に数え上げられるほど(具体的には、フランス、オランダ、日本)になっている。それだけに、このプロツアー名古屋は、自国での開催という「地の利」を結果に結び付けられるかどうか、注目のホーム戦と言えよう。ちなみに、昨年度のホームゲームであったプロツアー神戸では、大阪の黒田 正城が「日本人初のプロツアーチャンピオン」に輝いている。

・ラストチャンス

このビッグイベントに挑戦することが出来るのは、各地で開催されたプロツアー予選大会を勝ち上がってきた全世界の猛者たち、そしてグランプリやプロツアーで結果を残している強豪だけだ。しかし、このプロツアー名古屋に挑戦するための「最後の切符」はまだ残されていて、それは木曜日の午前10:00からスタートする「ラストチャンス予選」で上位4名に勝ち上がることが条件となる。

平日の午前中から、という厳しいスケジュールではあるが、日本には一年に一度しかやってこない大きな舞台へ臨むことが出来る最後のチャンス。各地の予選大会で悔しい思いをしてしまったプレイヤー各位には、是非ともここで健闘して頂きたい。一つ注意したい点は、このラストチャンス予選の会場がポートメッセではなく「名古屋港湾会館」(名古屋市港区入船 2-1-7)であること。

・大きな変化、新たな試み

開催50大会を超える歴史を誇り、日本でのものだけを数えても5大会目となるのがプロツアー名古屋だ。そんな中で「このイベントはプロツアー史上に残る記念すべき大会となるだろう」と、Wizards of the Coast社のRon Fosterは語る。

「このプロツアーから、イベントに参加する権利を勝ち取ってきたプレイヤーに提供される新たなサービスがお披露目されます。これによって、プロツアーという舞台に参加することの栄誉が一つ上のものとなるでしょう」

・・・一つ上の栄誉。
・・・新たなサービス?

今の段階ではプレビュー記事の書き手である私にも詳細が伏せられており、彼の思わせぶりな発言以上のことを、何一つお伝えすることは出来ない状態だ。ただ、少なくともWizards社がプロツアーというステージをよりプレミアムな存在にしようとしていることは間違いなさそうだ。

さらに、

「このプロツアー名古屋の舞台で、これからのプロツアーの開催に関する大きな発表をします。おそらく、驚きをもってこのニュースは伝えられることになるのではないかと私は思っています」

と、彼は付け加えた。

もちろん、「参加者に提供される新たなサービス」や「プロツアー開催に関する大きなニュース」については、それが公開され次第、ライヴ取材記事でお伝えしていくことになる予定だ。数日ばかり、事の次第についてはお待ちいただきたい。

また、「新たな試み」という意味では、このプロツアー名古屋で「日本語音声の解説によるビデオ収録」が行われることになったのもお伝えせねばなるまい。今回のレポーターはMTG.comのライヴ取材記事やマナバーン誌の連載でもお馴染みの真木 孝一郎。これまでも、日本で開催されたプロツアーでは場内ラジオ解説で名調子を披露してくれている真木だから、おそらくイベントの生の魅力を巧く伝えてくれるだろうと私は確信している。今回は観戦記事と同様に日本語版ビデオ取材のデータも保存されるため、Web観戦の方々はもちろん、会場に足を運んでくださった皆さんにも、イベントの余韻を楽しんでいただけることになるはずだ。

それ以外のトピックとしても、今回はサイドイベントにも魅力あふれるものが実に多いことを強調しておきたい。幾度か行われてきた女性限定スタンダード・トーナメントだけでなく、カップル限定のチーム・シールド戦のかれかのシールドといった新しい催しがある。さらに、大手情報サイトとして知られているIT Media提供によるPSP争奪杯(スタンダード)、Nintendo DS争奪杯(スタンダード)、I-POD争奪杯(ヴィンテージ!)といった他企業協賛のサイドイベントも開催される。是非とも、世界の精鋭たちが火花を散らす傍らで、こういった魅力的なサイドイベントに参加なさってはいかがだろうか。もちろん、お馴染みの次期プロツアー予選大会、グランプリトライアル(序盤の不戦勝ボーナスの権利をかける)、ジュニアトーナメント、初心者講習会といったラインナップも控えている。是非とも、ご来場の上で楽しい週末を送っていただきたいと思う。

・注目のプレイヤー

年に一度の大舞台の観戦ガイドとして、このプレビュー記事の最後に、注目すべきプレイヤーたちについて紹介しておこう。もっとも、今年はボーナストラックとして「世界選手権の日本開催」ということを忘れてはいけないが、基本的に日本でのプロツアーは「年に一度」の御祭りなのだ。

FirstLastCountryPro Points
PierreCanaliFrance25
OlivierRuelFrance24
ShuuheiNakamuraJapan20
GadielSzleiferUnited States16
NicholasWestEngland16
MasashiOisoJapan14
RyuuichiAritaJapan13
TomohiroKajiJapan13
GeoffreySironBelgium12
AntoineRuelFrance11

さて、上記の表は、1月12日の集計の段階での「今シーズンのプロポイント獲得ランキング」だ。もっとも、この順位を大きく左右することになるプロツアーが今季では1大会しか開催されていないため、プロツアー・コロンバスでベスト8に勝ち進んだ全員がベスト10に挙げられていることが印象的だ。プロポイントというのは大きな賞金をかけられた公認大会(グランプリ、プロツアー、世界選手権)で上位に入賞することによって得られるもので、年間を通じて活躍したプレイヤーというのを表彰するために使われているシステムである。

プロポイントの獲得量がシーズン通算で多かったものから順に、「マスターズ」という特別な賞金を与えられるため、コンスタントに一年間の成績を残すことが、プロツアー級のマジックの世界ではもっとも重視されている。ちなみに、年間でもっとも多くのプロポイントを稼ぎ出したプレイヤーが「年間最優秀プロプレイヤー」(Player of the Year)として20000ドルのマスターズ賞金が与えられ、さらに、次の一年間すべてのプロツアーに旅費・滞在費をWizards社もちで招待されることになる。はたして、名古屋での戦いを終えた後にこの順位表がどうなるか、実に楽しみだ。

ちなみに、「帝王」ことカイ・ブッディ(Kai Budde)や「リミテッド・プロツアー連覇」のディフェンディング・チャンピオンであるニコライ・ハースォグ(Nicolai Herzog)らが欠場を表明しているため、ここでは先ほど挙げた「三大勢力」を代表するプレイヤーたちを取り上げてみよう。

フランス勢

2004年度最優秀プロプレイヤー、ゲイブリエル・ナシフ(フランス/右側)現時点のプロポイント・ベスト10に3人を送り込んでいる強豪国、それがフランスだ。

まずは、暫定MVPのピエル・カナリ(Pierre Canali)。彼は、プロツアーそれ自体が初出場だったというニューオリンズで、いきなり初優勝してしまったという大物だ。カナリは、スタンダードやブロック構築で猛威をふるっていた《霊気の薬瓶/Aether Vial》型の親和(Affinity)デッキに《翻弄する魔道士/Meddling Mage》を投入し、このアーキタイプに「構築三冠」を成し遂げさせた。

そして、カナリに続く形で、さらに二人のフランス人が先ほどのリストに名前を連ねている。オリヴィエ(Olivier)とアントワン(Antoine)、二人のルエル(Ruel)だ。彼らは実際に血縁関係にある兄弟プレイヤーで、二人とも揃って国際的なビッグネームである。弟のオリヴィエ・ルエルはグランプリ大阪が開催されてからずっと日本を漫遊しており、つい先日の神河謀反プレリリース・トーナメントを日本で迎えたことでも話題になった。

また、そんなオリヴィエ・ルエルに声をかけられて、ゲイブリエル・ナシフ(Gabriel Nassif)も予定より早めに来日しており、神河謀反のプレリリースを日本で迎えている。彼は「世界最高峰のデッキビルダー」と呼ばれている人物で、ドイツのカイ・ブッディが独占し続けてきた「年間最優秀プロプレイヤー」賞を昨シーズンに奪い取っているという、まさに世界のトップ中のトップだ。ナシフはラッキーカラーだという黄色をよく「勝負服」ファッションに取り入れることでも知られており、実際に向日葵のような笑顔が印象的な好青年でもある。今回は時差の心配も無い彼は、ポスト・ブッディの時代を名実ともに自分のものにするために、その勝負強さを見せてくれることだろう。

オランダ勢

2004年度新人王にして世界選手権の覇者、ジュリエン・ヌイテン(オランダ)ナシフやルエル兄弟を擁するフランスに負けず劣らず、力強いタレント揃いがオランダだろう。先ほどのリストにこそ名前が挙がっていないが、たとえばマジック界でもっとも若いスタープレイヤーを擁しているのがこの国なのだ。

そんな、まさに今をときめくスタープレイヤーがジュリエン・ヌイテン(Julien Nujiten)だ。彼は、昨年度の世界選手権を新人ながら優勝してしまったという驚異の15歳で、昨シーズンの「新人王」(Rookie of the Year)と世界選手権制覇という二つのタイトルを一気に勝ち取ってしまったというシンデレラボーイなのだ。そして、そのときに打ち立てられた「一つのイベントで52336ドル(520万円以上)もの賞金を稼ぎ出した」ことも、カードゲーム史上に燦然と輝く大きな記録の一つとして語り継がれている。なんであれ、「もっともこのゲームをプレイするのにむいているのは、能力的にはティーンエイジャーの世代のときだろう」という論説が思い出されるような、とにかく鮮やかな勝利であった。

また、若きヌイテン少年だけでなく、昨シーズンのオランダ勢ではカミール・コーネリッセン(Kamiel Cornelissen)の活躍も実に素晴らしかった。彼はそれまでの三度にわたるプロツアー決勝日を経験した上で、とうとう2004年度プロツアーシアトル(チーム戦)で念願の初優勝を果たしたのだ。もちろん、これはコーネリセン一人の勝利でなく、イェロン・レミィ(Jeroen Remie)とイェルガー・ヴィーガーズマ(Jelger Wiegersma)という素晴らしいチームメイトの支えがあってのことである。ただ、そのシアトルでの勝利を糧に、カミール・コーネリッセンはサンフランシスコで開催された世界選手権でも見事にベスト8へと勝ち上がり、力強いパフォーマンスの継続を印象付けた。コーネリッセンは自らをリミテッダーと自認している節もあるだけに、ここ名古屋での彼のロチェスターぶりも要注目といえるだろう。

日本勢

今季開幕戦、プロツアー・コロンバスでは三名もの日本勢が決勝へと勝ち進んでいる。一年間を通じてすべてのプロツアーで日曜日にプレイヤーを送り出せるようになった日本勢。そんな躍進劇をもっとも象徴する存在と言えるのが、通算四度のプロツアー・サンデーを経験している「日本のエース」こと大礒 正嗣(広島)だろう。今や世界のプレイヤーからも「次のチーム戦プロツアーで、一緒に組んでみたい」というオファーが届くというほどに成長した彼の強さは、構築・リミテッドを問わない総合的な安定感にある。大礒はエクステンデッドのプロツアーで二大会連続のベスト8進出というパフォーマンスを見せているかと思えば、プロツアー横浜とプロツアー・サンディエゴというリミテッドのイベントでも日曜日へと駒を進めている。もはや、彼に足りないのは最後の一勝を掴み取るための幸運だけ、といっても過言ではない。

続いて注目すべきは、昨年度よく使われたフレーズである「大阪勢」の面々だ。たとえば、プロツアー・コロンバスでベスト8に入賞した三人のうちの一人は大礒だが、残る中村 修平(大阪)と有田 隆一(現在は東京在住)は、ともに大阪の「伝説のマジック荘」Adeptで腕を磨いてきたというプレイヤーだ。日本ではじめてのプロツアーチャンピオンに輝いた黒田 正城も大阪勢で、その黒田と中村 修平をプロツアーで勝ちあがらせたデッキを製作した藤田 剛史も、大阪が誇る2004年度日本選手権者だ。さらに、昨年度のロチェスター大会であったプロツアー・アムステルダムで準優勝を果たしたのも大阪の藤田 修。先ごろのグランプリ大阪にチームPS2(森田 雅彦、黒田 正城、森 勝洋)として優勝した森田 雅彦も、グランプリ3勝目、決勝ラウンド進出12回目という大記録をうちたて、「キング・オブ・グランプリ」を我々に強く印象付けてくれたばかりだ。

また、ご当地名古屋の強豪たちも忘れてはならない。ミラディン3パックでのグランプリ静岡に続いて、神河物語3パックで行われたグランプリ横浜でも連覇を果たした「ロチェスターチャンプ」加藤 一貴は、プロツアーでの大きな成功こそ果たしていないものの、間違いなくリミテッドに精通した愛知の強豪だ。昨年度の世界選手権で三位入賞の小倉 陵、さらに彼らの師匠に当たる2003年度世界選手権準優勝者の岡本 尋もいる。その岡本と組んで、チームShop-Fireballprosとしてプロツアーシアトルで準優勝を果たした石田 格(東京)や池田 剛(福岡)も名うてのリミテッダーだ。

・・・こうして挙げていっても、まだまだ力強い人材の名前が次々と浮かんでくるわけだから、実際問題、日本勢も出世したものである。

プロツアーでの決定的な活躍こそ果たせていないものの、今季ここまでのプロポイント獲得量で世界トップ10にランクインしている鍛冶 友浩(埼玉)も要注意だし、昨年度のプロツアー・アムステルダム(ロチェスター)でしっかりと14位入賞を掴み取っている「ご意見番」藤田 憲一(東京)もDCIアジアランキング(リミテッド)で第二位の2099ポイントという凄まじいレーティングを誇っている。そして、そのアジアランキングのリミテッド部門で堂々の首位につけているのが浅原 晃(神奈川)の2107ポイントだ。そう、大阪勢たちに負けず劣らず、関東の強豪たちも十分に栄冠を狙えるポジションでこのイベントへと挑むことになる・・・といえるわけだ。

魅力的な国内外のタレントたち、間もなく明かされるという新しい「プロツアーの変化」、さらには充実のサイドイベント。是非とも、日本中のマジックファンにプロツアー名古屋を楽しんでいただきたいものである。

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