トップコモンのバランス調整

更新日 Latest Developments on 2016年 3月 4日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

 コモンはリミテッド・フォーマットの基礎であり、パックを開けて出てくるカードとデッキを構成しているカードの両方の大部分を占めているので、我々はそれらをかなり平等なものにしたいと考えています。それぞれのカードは大きく違う一方で、それぞれの色がどの色の組み合わせのデッキも作ることができるぐらい近く、他の皆が同じぐらいのパワー・レベルのカードを得る機会があることが望みです。

 理想的にはドラフトでただ最強の色にだけ集中して隣を押しのけてそれをやろうと望むよりも、人々がどの色が空いているかを考えることによって利益を得られるべきです。今週の「Latest Developments -デベロップ最先端-」では、我々が特にコモンでどのように色のバランスを取ろうとしているか、そしてリミテッド体験を全体的に良くしているものについてお話ししようと思います。

バランスの歴史

 その昔、我々は0.0(シールドで絶対にプレイしない)から5.0(常にシールドでプレイする)までの幅でセットのカードの格付けをしていました。我々は各色を全ての数字が揃ったときにバランスが取れているようにしようとしていました。その幅がどのように機能するかを書いたランディ・ビューラー/Randy Buehlerの昔の記事を取り上げてみましょう。

  • 5.0:いつでもこのカードを使います。以上。
  • 4.5:他に何を引いたかに関わらず、ほとんどいつもこのカードを使います。
  • 4.0:タッチしてでもこれを使うことを強く考慮します。
  • 3.5:このカードの色に強く惹かれます。
  • 3.0:このカードはその色をやりたくさせます。(その色をプレイするなら100%このカードをプレイします)
  • 2.5:このパワー・レベルのカードのいくつかはその色をプレイしたくさせます。その色をプレイするならば基本的にいつもそれらをプレイします(この色をプレイするなら90%デッキに入ります)。
  • 2.0:その色をプレイすることになれば、基本的にそれらをプレイします(70%)。
  • 1.5:このカードはその色をプレイする場合メインデッキに入るかどうかは半々です。(50%)
  • 1.0:これがメインデッキに入ってると駄目だと感じます。(30%)
  • 0.5:サイドボードで使う状況はあるかもしれませんが、メインに入れることはないでしょう。(10%)
  • 0.0:このカードを(メインでもサイド後でも)プレイしません。(0%)

 参考までに、いくつか古いカードをこの格付けに当てはめてみました。

  • マスティコア》:5.0――マジックの歴史上、まれに見る5点です。
  • 火の玉》:4.3
  • 苦悶の死》:3.9――コモンの限界です。我々はもうコモンで4点を上回るカードを印刷していません。
  • 踏み荒らし》:3.5――これがトリプルシンボルでなければもっと高くなっただろうことは言うまでもありません。
  • 秘教の盲信者》:2.7
  • 蛮族の狂人》:1.8――私が尊敬する何人かのプレイヤーはこのカードを私よりも低く評価していて、点数は低くなるでしょう。
  • 緑の防御円》:0.6
  • サプラーツォの略奪者》:0.0

 このシステムが正しいところもあります――もしある色にボムがたくさんあれば、このシステムはそれらを自由にさせないようになっています。その色はどこか他の部分でその代価を払わなければならないでしょう。また、「Magic Online」以前は、人々がプレイするリミテッドの主な形はシールドでした。結局のところ、この格付けの目的はセットをシールドデッキの視点で見て、各色をかなり平均的にすることを保証することですが、いくつかの不備があります。

 1つめの不備は、無色とアーティファクトのカードがとても点数が高くなる傾向にあるという大きなゆがみです(《マスティコア》の5.0は《進化する未開地》と互角です)。2番目はシールドデッキなので、パックから出てくる限られたカードではなく全てのカードが一度に目の前にあることを前提としていることです。これはつまり1パック目や3パック目で《支配魔法》を開けたとしても、望むならそれを常にプレイすることを問題と見なさないので、色の不整合にとても寛容であるということです。

 しかしながら、この格付けで私が最も問題だと確信していることは、ほとんどのコモンが0.5から2.5の範囲にあり、0.0(全く使い物にならない)と1.0(基本的にプレイしない)の間の実質的な差はカードごとに見ると小さい一方で、セット全体で見たときには大きくなることです。2つの色を思い浮かべてください。片方の色のトップレベルのコモンは3.0ですが弱いコモンは0.0です。もう一方のトップコモンは2.0ですが底辺は1.0です。1.0をプレイしなくてもいいだけの十分なカードが容易に得られるので、最初の色のほうが単純に強くなります。

 さて、このシステムは何も格付けをしないよりは全然良いのですが、実際にバランスを取るためには多くのことが求められます。古いセットを見てみると、それらは頻繁にバランスが崩壊しています。ドラフトの性質が助長していたとはいえ、ほとんど使い物にならない色があったり、他の色よりも強い色があったりしました。

新しい評価

 何年か前、エリック・ラウアー/Erik Lauerが詳細をあまり気にせず2.3や2.4を同じバケツに放り込む「簡易評価」を考え出しました。各整数にまとめてカードの束を入れるようなものだと考えてください。それぞれの色に、各バケツへ同じ枚数のカードが振り分けられます。数学的に正確ではありませんが、それらは相互作用の面では正確です。

 我々はコモンの強さをいくらか平たくして、そしてシナジーがあるカードを他よりも強くするようにしたいと考えています。このシステムはドラフトのカード評価にも使われ、それはつまり《進化する未開地》が他のカードよりも優れた評価になるというようなことが起きないということです。

 理想的には、各色のベスト・コモンは除去以外であるべきです――しかしそれの実現は困難であり、しばしば色の不均衡や全体的に楽しい環境のための弱すぎる除去をもたらします。それはあると良いことなのですが、100%起こることではありません。

 我々は各セットにおいてそれぞれの色が他の色と異なる雰囲気を感じさせ、そしてその色の伝統的な強さと弱点を持つように試みています。各色はいくつかの物事において優れていて、それがコモンで表されていない場合、我々は問題を抱えているということになります。

 例えば、緑はおそらくコモンに最も優れたファッティがあるべきです――理想的にはトップ15ののどこかにです。それは最強のクリーチャーである必要はありませんが、少なくとも加速して出した場合対戦相手を圧倒できる4~5マナ域で最強のパワー/タフネスと能力持っているべきです。青はコモンで最も優れた飛行クリーチャーを持っているべきです。黒は最も優れた「大きい」除去呪文を持っているべきで、そして赤は最高の「小さい」除去呪文を持っているべきです。

 もしセットの中の最高の飛行クリーチャーが青ではない場合、我々はそのクリーチャーを弱くするか、青いカードが最強になるように強化するかのどちらかを行います。これらの微調整はそのセットがどんなものであるかを問わず、各色を求められている通りのものにすることに役立ちます。

 カードをバケツに分けたら、今度は各色のトップコモンを選び格付けをしていきます。ここでの目標は、コモンにおいて常に興味深い選択が行われるようにすることです。例えばセットの中のコモントップ5が(初代『ゼンディカー』のように)全て黒か赤だったとします。初手のピックでレアを取らなかった場合、最終的に黒か赤をやる確率は高くなってしまいます。そして黒と赤が枯渇して2色目を決めなければならなくなるまで他の皆とそれらを取り合うことになります。

 我々がセットをまとめる方法によって、コモンを最初にピックするのは5~8手目の間のどこかになるでしょう。したがってコモンのパワー・レベルが同じぐらいであるということは、パックからコモンを取り始める必要があるときに、興味深い決断があるということです。

 例として、以下に我々がリストアップした『マジック・オリジン』のトップコモンをまとめました。

  1. 抑制する縛め
  2. 閉所恐怖症
  3. 焦熱の衝動
  4. 魂裂き
  5. 野性の本能
  6. 不浄な飢え
  7. ギラプールの歯車造り
  8. トーパの自由刃
  9. 葉光らせ
  10. 分離主義者の虚空魔道士
  11. ロウクスのやっかいもの
  12. ボガートの粗暴者
  13. 屑肌のドレイク
  14. 確固たるエイヴン
  15. 骨読み

 物事が完璧なバランスに到達することはありませんが、我々は以下のようなことを努力しています。つまり、各色のコモントップ3を選んで格付けをして、その後それらの順位の数字を合計すると、全ての色は大体同じ数字になるというものです。

 
  1 《抑制する縛め 2 《閉所恐怖症 4 《魂裂き 3 《焦熱の衝動 5 《野性の本能
  8 《トーパの自由刃 10 《分離主義者の虚空魔道士 6 《不浄な飢え 7 《ギラプールの歯車造り 9 《葉光らせ》r
  14 《確固たるエイヴン 13 《屑肌のドレイク 15 《骨読み 12 《ボガートの粗暴者 11 《ロウクスのやっかいもの
合計 23 25 25 22 25

 さて、これらの大部分は、我々の数十回におよぶプレイテストと多数の変更による我々の最大限の推測です。我々は自分たちが常に正解を得ることができないことは分かっています。今このリストを見直してみると、全体的にはかなり正確だと思いますが、しかし特に重い除去の何枚かを評価しすぎ、《トーパの自由刃》の評価が低すぎたと思います。ほぼ基本セットである『マジック・オリジン』はシナジー的な強さが低いので、平均的な大型セットよりも少し評価が簡単でした。

 もちろん、これはデベロップ後のリストであり、過程の初期のものではありません。基本的に、我々はセットのバランスを取ってカードをバケツに分けた後、トップコモンの全てを見てそれらの間に余裕があるようにしなければなりません。『マジック・オリジン』の初期バージョンは、《ギラプールの歯車造り》は{3}{R}3/2で1/1の飛行機械を1体出していました。これはトップ15を維持しながらも少し順位を下げられました。同じように他のクリーチャーが強そうに見えたときは、バランスを取るためにそのカードを変更しました。

 結局のところ、コモンにおけるこれら全ての変更は、ボムレアを引かなければやらない、もっとひどいと引いてもやらないような色がないようにするためのものです。我々は多くのセットを作りますが、誤りの許容範囲はゼロではないので、時々間違いを犯します。このシステムはその許容範囲を最小限にする助けになり、理想的にはある1色が強すぎて他の色が弱すぎても、部分の合計とドラフトの性質がかなりうまく平均的にしてくれます。

 今週はここまでです。来週はデベロップがどのようにマジック開発部の他のチームやブランドとやり取りをするかについてお話ししようと思います。

 それではまた来週お会いしましょう。

サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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