『マジック基本セット2014』ルールの変更点

更新日 Making Magic on 2013年 7月 10日

By testing

 先々月の末に、『マジック基本セット2014』に伴うルール変更のアナウンスがありました。
 これが適用される日は7月13日であり、いよいよ今週末に迫っています。

 どんな変更があったか覚えていますか?

 『マジック基本セット2014』に伴うルール変更

 今回のFMQではそれらの変更点を問題形式でお届けします。
 回答を見る前に、まずは考えてみてください。

 なお、アクティブ・プレイヤーをAP、非アクティブ・プレイヤーをNAPと表記しています。

 全ては7月13日以降、『マジック基本セット2014』に伴うルール変更(以下、「M14ルール」と表記します)の対応後ということを前提にします。

問1

1−1)

 NAPが《軍勢の刃、タージク》をコントロールしている。
 APが《軍勢の刃、タージク》を唱えて戦場に出した。どうなるか?

1−2)

 APが《軍勢の刃、タージク》をコントロールしている。
 APが《クローン》を唱えて、戦場に出す際に《軍勢の刃、タージク》になることを選択した。どうなるか?

1−3)

 NAPが《思考を築く者、ジェイス》をコントロールしている。
 APが《記憶の熟達者、ジェイス》を唱えて戦場に出した。どうなるか?

軍勢の刃、タージククローン
思考を築く者、ジェイス記憶の熟達者、ジェイス

回答1(クリックで表示します)

 さて回答です。

1−1) 何も起きない。(それぞれが《軍勢の刃、タージク》をコントロールしている状態になる。)

1−2) APがオリジナルの《軍勢の刃、タージク》か、《クローン》であったコピー《軍勢の刃、タージク》のいずれかを選んで、それ以外の《軍勢の刃、タージク》を全て墓地に置く。

1−3) 何も起きない。(それぞれが《思考を築く者、ジェイス》と《記憶の熟達者、ジェイス》をコントロールしている状態になる。)


「レジェンド・ルール」の変更

 M14ルールで一番大きな変更はこの「レジェンド・ルール」です。これと、後述する「プレインズウォーカーの同一性ルール」も同様の変更を受けました。

 今までは戦場全体を見て、「同じ名前の伝説のパーマネント」があった場合、状況起因処理によって、その全てが墓地に置かれていました。

 M14ルールではこの点が変更され、「単一のプレイヤーがコントロールする同名の伝説のパーマネントが複数戦場にある」場合、状況起因処理によって、「そのうち1つを選び、残りをオーナーの墓地に置く」となります。

 1−1)では、《軍勢の刃、タージク》という名前の伝説のクリーチャーが2体戦場にあります。

 これまではこの2体が全て墓地に置かれていました。

 が、M14ルールではそのコントローラーもチェックします。この2体の《軍勢の刃、タージク》はコントローラーが異なり、互いのプレイヤーは1体の《軍勢の刃、タージク》しかコントロールしていないため、「レジェンド・ルール」は適用されません。従って何も起きません。

 1−2)では、APが2体の《軍勢の刃、タージク》という名前の伝説のクリーチャーをコントロールしています。

 この場合は「レジェンド・ルール」が適用され、APはどれか残す1体を選んで、それ以外は全て墓地に置かなくてはいけません。


「プレインズウォーカーの同一性ルール」の変更

 レジェンド・ルールと同様に、「プレインズウォーカーの同一性ルール」もほぼ同様の変更を受けました。

 レジェンド・ルールでは伝説のパーマネントの名前を見ていましたが、「プレインズウォーカーの同一性ルール」ではプレインズウォーカーのサブタイプ――プレインズウォーカー・タイプ――を見ます。

 今までは戦場全体を見て、「同じプレインズウォーカー・タイプのプレインズウォーカー」があった場合、状況起因処理によって、その全てが墓地に置かれていました。

 M14ルールではこの点が変更され、「単一のプレイヤーがコントロールする同じプレインズウォーカー・タイプのプレインズウォーカーが複数戦場にある」場合、状況起因処理によって、「そのうち1つを選び、残りをオーナーの墓地に置く」となります。

 1−3)では、『ジェイス』というプレインズウォーカー・タイプを持つプレインズウォーカーが2つ戦場にあります。

 これまではこの2つが全て墓地に置かれていました。

 が、M14ルールではそのコントローラーもチェックします。互いのプレイヤーは1つの『ジェイス』しかコントロールしていないため、「プレインズウォーカーの同一性ルール」は適用されません。従って何も起きません。

問2

2−1)

 APは《ラクドスの哄笑者》をコントロールしている。
 APが《ファルケンラスの貴種》を唱えて戦場に出した。

 その後、APがこの《ファルケンラスの貴種》で攻撃したところ、NAPは《変化+点火》を、対象は両方とも《ファルケンラスの貴種》にして融合を使い唱えた。

 APはその《変化+点火》に対応して、《ラクドスの哄笑者》を生け贄に捧げ、《ファルケンラスの貴種》の起動型能力を起動した。

 さて、どうなるか?

337581369650

2−2)

 NAPは《ボロスの反攻者》をコントロールしている。

 APはメイン・フェイズに《至高の評決》を唱えた。それに対応し、NAPは《ボロスの魔除け》を「破壊されない」モードで唱えた。

 これらが解決され、結果として《ボロスの反攻者》は戦場にそのまま残った。

 その後、APの終了ステップの間に、NAPが《ワームの到来》を唱えて、5/5のワーム・トークンを出した。

 APの手札には《究極の価格》がある。この終了ステップの間に、《究極の価格》をワーム・トークンに唱えて破壊することができるだろうか?

ボロスの魔除け究極の価格

2−3)

 APは《残虐の達人》をコントロールしている。

 APは《残虐の達人》を対象に《巧みな回避》を唱え、解決した。

 その後、APは《残虐の達人》で攻撃した。

 NAPは攻撃クリーチャー選択ステップ中に、《残虐の達人》を対象に《変化+点火》の《変化》の側を唱えた。

 さて、この《残虐の達人》をNAPは適当なクリーチャーでブロックすることは可能だろうか?

残虐の達人巧みな回避


回答2(クリックで表示します)

2−1)ファルケンラスの貴種》は2ダメージを受けて破壊される。

2−2)究極の価格》をワーム・トークンに唱えて破壊することが可能。

2−3)残虐の達人》をブロックすることはできない。


キーワード:「破壊不能/Indestructible」

 M14ルールでは、これまで「破壊されない」というテキストで表現されていた効果が、「破壊不能」というキーワード能力になりました。

 これにより、細かい所で差が出てきます。


「破壊不能」を得た後に「能力を失う」場合

 2−1)では《ファルケンラスの貴種》が能力を起動して破壊されなくなった後、《変化》によって全ての能力を失います。

 これまでは「破壊されない」が能力でなくただの効果だったので、《変化》によって全ての能力を失っても、やはり《ファルケンラスの貴種》は破壊されないままでした。

 が、M14ルールでは「破壊不能」という能力を持つ、となるので、《変化》により「破壊不能」を含めた全ての能力を失います。結果、《ファルケンラスの貴種》は0/1となって2ダメージを受け、致死ダメージにより破壊されてしまいます。


このターン、パーマネントが「破壊不能」を得た後で、別のパーマネントが出てくる場合

 2−2)では《ボロスの魔除け》によってNAPのコントロールするパーマネントが破壊されなくなります。さて、《ボロスの魔除け》を解決後に新たに出てきたパーマネント――5/5のワーム・トークン――も破壊されないのでしょうか?

 これまでは「破壊されない」が能力でなくただの効果だったので、《ボロスの魔除け》を解決した後に出てきたパーマネントも、その恩恵を受けていました。つまり、5/5のワーム・トークンもやはり破壊されないようになっていました。

 が、M14ルールでは「破壊不能」という能力を得る、となるので、《ボロスの魔除け》を解決後に出てきたパーマネントについては「破壊不能」を持ちません。能力を得ることは特性の変化なので、《ボロスの魔除け》が解決した時点でNAPがコントロールしているパーマネントのみが「破壊不能」を得ることになります。

 つまり、この5/5のワーム・トークンは「破壊不能」を持ちません。従って、APは《究極の価格》を唱えてこのターン中にそのワームを破壊することができます。


「ブロックされない」はキーワード能力ではない。

 英語表現だと「破壊不能/indestructible」と似ている「ブロックされない/unblockable」ですが、こちらはキーワード能力ではありません。これまでと同様にただの効果として処理されます。

 2−3)では《残虐の達人》が《巧みな回避》によって「ブロックされない」効果を受けていますが、これは能力ではありません。なので、この後に《変化》によって能力を全て失ったとしても、やはり《残虐の達人》はブロックされません。

問3

3−1)

 フライデー・ナイト・マジックのスタンダード構築にて。
 サイドボードが14枚のプレイヤーがいた。どうするべきか?

3−2)

 第1ゲームが終了したあとの第2ゲームで、サイドボードのカードを全てメインデッキに組み合わせたプレイヤーがいた。どうするべきか?

3−3)

 第1ゲームが終了したあとの第2ゲームで、サイドボードのカードを16枚になるように、メインデッキから抜いているプレイヤーがいた。どうするべきか?

回答3(クリックで表示します)

3−1) 適正であるのでそのまま続けさせる。(必要ならばメインデッキが60枚以上であることを確認する)

3−2) 適正であるのでそのまま続けさせる。

3−3) 違反しているのでジャッジを呼んで対応してもらう。


構築イベントのサイドボード

 構築戦では、これまでサイドボードは0枚または15枚であり、サイドボードの入れ替えを済ませた後であってもその枚数自体を変更することはできませんでした。

 M14ルールではサイドボードに関する枚数の自由度が上がり、「サイドボードは15枚以下」であればOKになりました。ただし、メインデッキは今までと変わらず60枚以上です。

 サイドボードとメインデッキを入れ替えた結果、マッチの開始時と枚数の組合せが変わっても構いません。ただし、「メイン60枚以上、サイド15枚以下」ということは守る必要があります。

 3−1)ではサイドボードの枚数は14枚です。これは15枚以下なので適正です。

 3−2)のように、ゲームとゲームの間でサイドボードの枚数を変更しても構いません。結果としてサイドボードの枚数が0枚になったとしても、それは適正です。

 3−3)ではサイドボードの枚数は16枚なので違反しています。ジャッジを呼んで対応をしてもらいましょう。(ジャッジはできればメインデッキの枚数も確認しておきましょう。)

問4

 APは《ムル・ダヤの巫女》をコントロールしている。

 APは戦闘前メイン・フェイズに《》をプレイし、さらに《》をプレイした。

 その後、戦闘フェイズ中に《ムル・ダヤの巫女》が破壊され戦場から離れた。

 APは戦闘後メイン・フェイズに新たな《ムル・ダヤの巫女》を唱えて戦場に出した。

 さて、APはこの状態で《》をプレイしたい。それは可能だろうか?

ムル・ダヤの巫女

回答4(クリックで表示します)

 不可能。(これ以上の土地はプレイできない)


土地プレイ

 《ムル・ダヤの巫女》や《探検》にように、追加の土地をプレイ可能な場合、これまでは「○○の効果による土地のプレイ」か、「本来の土地のプレイ」かを宣言しなくてはいけませんでした。これにより、《ムル・ダヤの巫女》による追加の土地をプレイし、その後に戦場から《ムル・ダヤの巫女》を一旦戦場から除外してもう一度戦場に出すことにより、さらなる追加の土地がプレイできていました。

 M14ルールでは、新しく「土地プレイ」という概念が導入されます。

  • (何であれ)土地をプレイしたい場合、既にそのターンの「土地プレイ」を使い切っていた場合には、その土地をプレイすることはできません。
  • 通常、プレイヤーはそれぞれ自分のターンに、1回の「土地プレイ」を持っています。
  • 呪文や能力によって「土地プレイ」の数が変化することがあります。
  • パーマネントの能力によって「土地プレイ」の数が増えている場合、そのパーマネントが戦場から離れると、その分「土地プレイ」の数は減ります。

 問題4の状況を順に見て行きましょう。

 APのターンでは《ムル・ダヤの巫女》を持っているため、「土地プレイ」に1つ足されます。

「土地プレイ」2
「このターンプレイした土地」0

 APは戦闘前メイン・フェイズに《》をプレイし、さらに《》をプレイしました。

「土地プレイ」2
「このターンプレイした土地」2

 その後、戦闘フェイズ中に《ムル・ダヤの巫女》が破壊され戦場から離れました。「土地プレイ」が1つ減ります。

「土地プレイ」1
「このターンプレイした土地」2

 APは戦闘後メイン・フェイズに新たな《ムル・ダヤの巫女》を唱えて戦場に出しました。「土地プレイ」が1つ足されます。

「土地プレイ」2
「このターンプレイした土地」2

 APはこの状態で《》をプレイしようとしていますが、もう「土地プレイ」が余っていません。従ってこの《》はプレイすることができません。

 今回はここまでです。


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 愛知在住のレベル 2 ジャッジ。ルールに造詣が深い氏のブログ closet belief 2では、おもにルールにまつわる役立つコラムが掲載されることが多く、毎週金曜日に掲載されるFriday Magic Quizを毎週楽しみにしているファンも多い。

 本コラム Formal Magic Quiz は、氏のブログで連載されているFriday Magic Quizへの氏によるオマージュであることは疑いようがない。どちらも略称FMQとしてお楽しみいただければ。

 過去の『Formal Magic Quiz』は、記事『ウィザーズプレイネットワーク通信』内にてご覧いただけます。

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