グランプリ横浜を5倍楽しむ!『ギルド門侵犯』シールド入門(後編)

更新日 Making Magic on 2013年 2月 22日

By Event Coverage Staff

 前編に引き続きこんにちは。

 前編ではシールドの基本について、お話しいたしました
 後編ではより踏み込んで、『ギルド門侵犯』という環境はどのような環境なのか?というお話をしていきましょう。
 まずは各ギルドが持つキーワード能力、そしてそのギルドの特徴から切り込んでいきます。

■ギルド門侵犯・キーワード能力分析

 各ギルドに一つずつ用意されたキーワード能力はそのギルドの特性に直結しており、これらの能力を理解することは各ギルドの特性を、ひいては環境を理解するということに他なりません。環境理解なくして勝利なし、です。

○強請

オルゾフ

 オルゾフの能力である「強請」は、呪文を唱えるたび、白マナか黒マナを払うことによってライフを1点ドレインできる(相手にライフを失わせ、自分がライフを得る=吸い取る)能力です。

 強力であるがゆえにマナ喰い虫のこの能力、マナが必要ということはターンがあればあるほど強く、そういった意味では防御的なデッキに適した能力であると言えます。

 だからといって攻撃的なデッキには合っていないわけではありません。序盤にライフを削ればその後は強請でライフを削っていくことが可能であり、攻防一体の能力といえます。デッキに複数の強請が入っていれば、デッキの全ての呪文に何点かのドレイン能力がつくようになります。多くの呪文を唱えていればそれで勝利することができるのです。

 もちろん弱点がないわけではありません。そのマナの喰いっぷりによりデッキの動きは「もっさり」しがちなため、ライフによるアドバンテージを重視してもボードがさばききれず負ける、そんなこともあり得ます。したがって、強請のマナを払いやすいという点も含め、《強打》《処刑人の一振り》のような戦場に影響を与える軽いカードとは非常に相性が良いです。

 同様に、クリーチャーも強請持ちカードはできるだけ軽いほど強く、コモンで言えば2枚の2マナ強請持ちクリーチャー、《徴税理事》《聖堂の金切り声上げ》は各色のエース級カードですね。それぞれの色のコモンではトップのカードと言っても良いでしょう。

 普通のクリーチャーも含めて、全体的にデッキは軽く組みたいですね。

強打処刑人の一振り
軽い呪文とは相性が良い

徴税理事聖堂の金切り声上げ
コモンのエース達

 また、この後出てくるディミーアの能力である「暗号」と相性が良い点も見逃せません。

 暗号化したクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたびにその呪文を唱えられるこの能力は、起動するたびに強請で1点のライフを吸うことが可能です。

 《聖堂の金切り声上げ》に《影切り》が暗号化され、《影切り》の3点×2、強請2回で2点、聖堂の金切り声上げ/Basilica Screecher》の戦闘ダメージ1点で突然9点もらって死ぬ、というのはよくある光景。他のギルドの能力ではありますが、この2つの組み合わせは重要なテクニックです。

影切り聖堂の金切り声上げ
突然の死!!!

 オルゾフに代表されるような強請が多く入ったデッキ相手には、盤面で押すことが重要です。相手に自由にマナを使わせる余裕が出てきて、全ての呪文にドレイン能力が付いてしまってはほとんど勝ち目はありません。

 強請能力を持ったカードよりも単純なスペックで上回るカードで押していけば、相手は強請を起動する余裕はないでしょう。

○暗号

ディミーア

 ディミーアの能力である「暗号」。ルールがわかりにくいですが、暗号は唱えた時に対象のあなたがコントロールするクリーチャーを選び、「暗号化」します。そしてその暗号化されたクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えたとき、その呪文を再度プレイすることができます。呪文ではありますが、カードの効果としてはエンチャントに近いと言えるでしょう。

 暗号持ちカードはただ唱えるだけでの質は低いため、何度かはプレイできないと、その真価は発揮されません。戦闘ダメージをプレイヤーに与えなくてはならないという特性から、《死教団のならず者》や飛行のような回避能力を持ったクリーチャーに暗号化したいところです。回避能力持ちのクリーチャーに暗号化して圧倒的なアドバンテージを得るのは、ディミーアにおける代表的な勝ちパターンです。上の「強請」の項でも言いましたが、強請能力と相性が良い点にも要注目です。

 コモンの代表的な暗号カードは3種類。うち《束縛の手》はコストも軽く効果も強力で、回避能力と組み合わさればそれだけで勝ててしまうこともしばしばあります。その強力さ故にディミーアだけでなくシミックでも率先して採用したいカードです。

束縛の手死教団のならず者
それだけで勝ってしまうことも

 《影切り》もダメージレースをひっくり返す効果が高く、暗号化したそのターンで発動できれば1ターンで6点とそのクリーチャーのパワーの分のダメージが入ります。相手が黒の時にはうっかり即死したりしないように注意したいですね。

 《最後の思考》はカードドロー。とても地味に見えますが、暗号化して継続的にダメージが通ればその能力は非常に強力です。継続してカードアドバンテージを取られていては、逆転するのは至難の業でしょう。

 エンチャントに近いゆえに弱点もまたエンチャントに近く、暗号化した先のクリーチャーを除去されてしまえば暗号呪文の進化は発揮できません。相手の除去がありそうかどうか読んだり、守るカードを用意したりしておきたいところですね。逆にディミーアと戦う時は、暗号化されても対応できるようにしておくことが望ましいです。

○湧血

グルール

 グルールの能力は、手札からそのクリーチャーを捨てることで、対象の攻撃クリーチャーに捨てたクリーチャーの能力を与える「湧血」。対象が攻撃クリーチャーに限られていることで分かる通り、非常に攻撃的な能力です。

 与えられる修整はコモンの《焦土歩き》《ザル=ターの豚》でさえパワーが5上がり、アンコモンやレアまで含めれば修整だけでなく先制攻撃やトランプル、中には二段攻撃が付く《破壊のオーガ》なんかもあります。「軽い気持ちで相手の攻撃を通してみたら、ライフが二桁残っていたのにあっさりと死んでしまった」そんな事件が多発しています。レアの湧血まで考慮に入れるのは難しいかもしれませんが、コモンに2種類あることを考えると、いつパワーが5上がってもおかしくないぞ、くらいには思っておいた方が良いでしょう。

焦土歩きザル=ターの豚
コモンなのに即死級

 また、湧血を持ったカードは《皮印のゴブリン》《殺戮角》などのコモンカードも含めクリーチャーとしてもそこそこのスペックを持っており、普通にプレイしても十分な戦力になる性能です。他に展開するものがあれば手札に構えてコンバットトリックに、盤面を作りたければ戦場に出す。この柔軟性が湧血の強みです。

 一方で《皮印のゴブリン》《殺戮角》を除いた湧血能力はある程度のコストがかかり、ただのコンバットトリックとして使用してしまうとそのターン追加の展開ができず、あまり得にならないこともしばしばあります。相打ちする2/2を救うために手札から3/2クリーチャーを捨ててしまっては意味がありません。

 果たしてこのシーンでは湧血するべきなのか、展開するべきなのか? しっかりと盤面を見極めてください。

皮印のゴブリン殺戮角
実は、展開するべきかも?

 能力の対象が攻撃クリーチャーに限られているため、前のめりで攻撃的なデッキで真価を発揮します。採用されえるギルドであるグルール、ボロス、シミック全て攻撃的なギルドであり、相手が赤か緑含むデッキの場合には十分に注意するようにしましょう。

 特に赤を含む湧血は即死級の威力を持つものが多いため、相手が赤の時には要注意。ボロスのときは、アンコモンとのコンボになりますが《ボロスの魔除け》《オルドルーンの古参兵》による二段攻撃―湧血コンボで即死というシーンを良く見ます。ライフに余裕があっても油断しないようにしましょう。

オルドルーンの古参兵ゴーア族の暴行者
突然の死!!!その2

 うかつに攻撃を通したりしないようにできれば、あくまで重めの巨大化。対処することは十分に可能です。その爆発力にびっくりしてしまうかもしれませんが、落ち着いて対処して下さい。湧血してきたところを《強打》なんかで処理してしまえば、勝利は目前です。

○大隊

ボロス

 3体以上のクリーチャーで攻撃したときに誘発する「大隊」は、数を並べるボロスらしい能力といえます。《果敢なスカイジェク》など、「大隊」を達成できているときのコストパフォーマンスは異常ですし、アンコモンですが《ボロスの精鋭》は1マナ3/3、往年の《野生のナカティル》を思い出しますね。

ボロスの精鋭野生のナカティル
1マナ3/3!

 とはいえ、3体以上のクリーチャーで攻撃するというのはそう簡単なことではありません。3体並べるために相手のクリーチャーと相打ちしたくない、だから攻撃もブロックもできないなんてターンが続いてしまうようでは本末転倒です。

 なるべく早く大隊を起動するためには、2マナ域が重要なのはもちろんのことですが、1マナ域という枠も重視するべきです。《ボロスの精鋭》などは当然として、大隊が中心のデッキであれば《鋳造所通りの住人》《従順なスラル》なんかも採用する価値があるでしょう。

 大隊持ちクリーチャー自体も原則軽いほど強く、《果敢なスカイジェク》や《ウォジェクの矛槍兵》などはコモンとは思えない程のスペックであり、複数引いたのならぜひ優先してデッキに詰め込んでいきましょう。

果敢なスカイジェクウォジェクの矛槍兵
大隊すれば大体勝てる

 大隊発動という視点でいえば、速攻を持ったクリーチャーとは非常に相性が良いです。

 《空騎士の軍団兵》は、突然大隊を達成できるとともに、飛行という回避能力が継続しての攻撃を可能とするため、大隊能力と非常に相性が良いです。特にシナジーがなくても十分に強力なカードですが、更に強力なシナジーを形成できるとなればいうことはありませんね。

 《はた迷惑なゴブリン》なども、攻撃的なデッキで使う分には非常に強力です。また、相手のブロッカーをどけた上に攻撃クリーチャーを増やせる《反逆の行動》は、まさに大隊と組み合わせるために用意されたようなカードです。

空騎士の軍団兵反逆の行動
突然の死!!!その3

 攻撃クリーチャーを常に3体以上用意するという視点も大事です。1回大隊を発動させて攻撃しても、相手のクリーチャーと相打ちしてしまって次のターンは立ち往生、なんてことでは大隊の真価は発揮できません。

 相手のブロッカーをタップすることのできる《宮廷通りの住人》は上手く使えれば大隊を継続しながら攻撃を通すことができるため、相性が良いカードといえます。アンコモンやレアではありますが、《サンホームのギルド魔道士》《軍勢の集結》があれば万々歳ですね。

 ただし、大隊持ちのクリーチャーは元のサイズは小粒なことが多い点には注意が必要です。能力が攻撃時だけである特性上、攻撃できている間は問題ないことは多いですが、一転防御に回ったら非常にもろいものです。大隊を中心に組まれたデッキが守りに入ったようなことがあればもう負けを覚悟するべきでしょう。

 また、そのほとんどが先制攻撃や飛行を与えたり、少しだけサイズを大きくしてくれたりといった能力なため、相手の場のクリーチャーにもともとサイズ負けしていると攻撃できないこともしばしば。《心見のドレイク》や、進化した《両生鰐》なんかを前に立ち往生してしまっている光景を良く見ます。

 相手の大隊に対抗していくには、相手を防御に回させるくらい攻撃的に攻めるか、サイズで圧倒するかどちらかが有効ということですね。進化などによって相手より一回り大きいクリーチャーを用意しやすいシミックや、湧血能力によって押しこむことのできるグルールなんかでは割と対処しやすいです。

心見のドレイク両生鰐
大隊しても大体止められる

 とはいえ、先手で《ボロスの精鋭》《ウォジェクの矛槍兵》《空騎士の軍団兵》なんて展開をされてしまっては勝てるデッキはほとんどありません。ここまで極端ではないにせよ、強いボロスはものすごいスピードで攻撃してくるため、後述しますが追いつくためにシールドでも先手を取る理由になるほどです。環境一のスピードを持ったボロスへの対処は、環境の基本となる考え方です。常に意識していきましょう。

○進化

シミック

 自身よりサイズの大きいクリーチャーが場に出ると+1/+1カウンターが乗り成長していく「進化」は、実にシミックらしい能力といえます。進化クリーチャーは後出しではただのサイズの小さなクリーチャーとなってしまうため、マナカーブ順に綺麗に展開することが何より重要と言えます。

 コモンのクリーチャーでいえば、《雲ヒレの猛禽》から《シュラバザメ》に繋いで3ターン目に両方進化、というような展開がミックの理想です。それが《両生鰐》で4ターン目にさらに3体進化、なんて動きになれば、これはもうそのサイズだけで圧倒することが可能でしょう。

 出した瞬間のサイズこそ大きくないものの、ひとたび進化しはじめれば、そのクリーチャーサイズは圧倒的になります。そのサイズで踏み潰すことこそ、シミックの真骨頂といえるでしょう。

雲ヒレの猛禽シュラバザメ
最高の展開!

 ですがそこはクリーチャー除去が苦手な青緑というカラーリング、一歩間違えればサイズだけのデッキになってしまいがちです。特に今回はコモンのバウンスは非常に重い《道迷い》しかないため、呪文で戦場に干渉することが難しいのです。

 そんな中、盤面に継続的に触れる《束縛の手》は非常に優秀なカードで、シミックでは是非欲しい一枚ですね。

 また、進化と非常に相性が良いカードとして、《力線の幻影》が挙げられます。5/5というサイズはほとんどの進化を誘発することができますし、本来デメリットのはずのその能力は、再度プレイされることにより次の進化を誘発することができます。まさに進化と組み合わされるために作られたカードですね。

力線の幻影
相性バツグン

 アンコモン以上になってしまいますが、+1/+1カウンターによるシナジーを形成するカードがあることにも注目です。アンコモンには+1/+1カウンターが乗っているクリーチャー全てに能力を与えるクリーチャーが存在しており、《サファイアのドレイク》は飛行を、《冠角獣》はトランプルをそれぞれ与えます。サイズで圧倒できても回避能力が足りないという悩みを持つ進化クリーチャー達にはぴったりの能力ですね。

 どちらも単体で見てもそこの働きをするうえに、シナジーを形成できれば非常に強力であり、複数の進化クリーチャーとともにパックにあるようならぜひ意識してみてください。

 また、滅多に使われることはないですが、《遮り蔦》でとんでもない損をしてしまったりしないように気をつけましょう。

サファイアのドレイク冠角獣
完璧なシナジー

 進化クリーチャーはいったん戦場を離れるとそのサイズがリセットされてしまう弱点があるため、バウンスは弱点になります。しかし、上で言及した通り、この環境のバウンスはコモンでは非常に重い《道迷い》しかありません。それほど注意しなくても良いでしょう。

 ですが、相手が青で4マナ以上を使える状態でターンを渡してきたときには要注意です。意気揚々と全軍攻撃したら、《霊気化》でとんでもないことになってしまった……、なんてことがないように気をつけましょう。進化クリーチャーは適切な順番にプレイしないとサイズが大きくならないため、再展開が他のデッキより大変です。

霊気化
突然の大損

 各ギルドの分析はいかがだったでしょうか? もちろん解説しきれないことが数多くありますが、環境の基本はご理解いただけたのではないかと思います。

■ギルド門侵犯シールド戦・ワンポイントテクニック

ギルド

 さて、ここからはさらに一歩踏み込んでいきましょう。

 『ギルド門侵犯』におけるシールド戦においての特色や考え方について、ワンポイントテクニックとしてお話ししていきます。

 テーマは、「先手か後手か」「サイドボード」の二つです。

○先手か、後手か?

 シールド戦において先手か後手か、というのは、環境が新しくなるタイミングで定期的に出る話題です。

 一般的にはゲームスピードが遅く、カードアドバンテージとカードパワーの勝負になりやすいシールドでは後手が有利と言われています。

 最終的には「環境とデッキによる」という結論になるのですが、ここでは『ギルド門侵犯』環境においてどういうことを考えていくべきかをお話ししていきます。

 そのためにはまず、この環境におおまかにどのようなデッキが存在するか知らなくてはなりません。

 それでは、この環境に存在するデッキとは? この環境はデザインの通り、5つのギルドを中心にカードが構成されています。リミテッドもご多分に漏れず、シールドにおいても存在するデッキは大まかにギルド5種類に分けられます。各ギルドに存在するキーワード能力やその特徴については前記で触れたとおりです。キーワードや特徴からさらに一歩踏み込んで、各ギルドの一般的なデッキ構成は一体どのようなものか? それが先手後手を考えていくにあたり重要な要素です。

 以下に、各ギルドのキーワード能力と大まかな方針を記載していきましょう。

オルゾフ
 キーワード能力:強請
 方針:強請によるライフアドバンテージ獲得、ゲームコントロール

ディミーア
 キーワード能力:暗号
 方針:暗号によるカードアドバンテージの獲得、またはライブラリーアウト

グルール
 キーワード能力:湧血
 方針:クリーチャー展開と湧血によるビートダウン

ボロス
 キーワード能力:大隊
 方針:複数の軽量クリーチャーでの大隊によるビートダウン

シミック
 キーワード能力:進化
 方針:進化によるクリーチャーサイズでの盤面支配

 こうして見ると、グルールとボロスは明確にビートダウンを志向しており、先手が取りたいギルドと言えます。シミックの進化については単純な能力としてはビートダウン志向というわけではないのですが、進化という能力の性質上、サイズが大きくなるのは次のクリーチャーを展開した後となります。そういった意味でクリーチャー展開が先にできる先手を取りたいことが多いでしょう。

ボロスの精鋭殺戮角
先手が欲しい

 対してオルゾフの強請に関しては、土地を並べるほどに起動できる能力のため、ある程度後手が良いデッキといえます。

聖堂の金切り声上げ
マナが欲しい

 ディミーアは明確な方針を想定するのが難しいのですが、暗号カードの大半は4マナ以上とコストが重く、代表的な《死教団のならず者》などの回避能力持ちクリーチャーに暗号する展開はできれば先手で行いたいところです。

 ただし暗号デッキは暗号カードと回避能力を持ったカード双方が必要になるため、シールドで綺麗なデッキを見ることは多くはないでしょう。どちらかというと黒の除去を多く引いて、プールの白が弱い時にディミーアになりやすいのです。「除去コントロール」のようなデッキは軽い除去さえしっかりあるなら後手でも強力です。また、ディミーアのテーマとしては「ライブラリーアウト」がありますが、これはシールドで組まれることは滅多にないです。

 こうして見ると「先手を取りたい」印象のギルドが多いですね。また、シールドというプールの性質ゆえ組まれにくい暗号ディミーアを除いてみると、環境の半数以上のデッキが先手志向ということになります。特に先手でいわゆる「ブン回り」したボロスは手がつけられないスピードであり、これに対抗するため、というのは先手を取る理由になりえます。

 自分のデッキや相手のデッキにもよるのですが、この環境は一般的なシールドのセオリーから離れて先手を取る理由がある環境と言えます。先手か後手か。一概に決めることはできませんが、自分のデッキがどちらをとるほうが有利なのか、デッキ構築の段階から考えておくことが望ましいですね。

 2本目以降に関して言えば、相手のデッキがどのようなデッキかも考慮に入れてみましょう。防御的なデッキ、例えば《聖堂の護衛》が入っているようなデッキ相手ならば、後手を取ってみる選択も十分に「あり」です。どのギルドだからや、どの色だから、というのは大まかな指針にはなりますが、結局のところは相手のデッキを見てトータルで判断することが重要なのです。

聖堂の護衛
防御的カードの代表

○デッキがたくさん組めるよ!―――じゃんけん必勝法

 さて、あなたはパックから一番強そうな色、ギルドを判断して、マナバランスやデッキ構成も考えて、このプールで一番強いであろうデッキが組み終わりました。

 良かった良かった、あとは基本地形をもらって終わりだな! はー、デッキ構築時間内に終わった、良かった良かった!

 ……ちょっと待って下さい。本当にそれで良いのでしょうか?

 もちろん時間が迫っているなら、デッキ構築時間中はそれで良いでしょう。ですがそのカードプールから作れるデッキはひとつだけでしょうか? あなたが使っているカード以外が本当にプレイに値するカードがないのであれば仕方がないのですが、大抵の場合、そこからはもうひとつ、場合によってはふたつくらいデッキが作れるのではないでしょうか?

 リミテッド戦の大会では、最初のゲームは登録したデッキで戦わなくてはいけませんが、サイドボード後に関しては制限がありません。構築と同じように数枚を入れ替えてもかまわないですし、40枚さえ超えていれば入れ替える前後でデッキの枚数が変わっても問題ありません。40枚まるまる入れ替えることも可能です。これを利用しサイドボード後は全く違うデッキにする、いわゆる「色変え」と呼ばれるサイドボード戦略があります。

 普通はわざわざそのようなことをする必要性は薄いです。シールドで一番強いデッキをわざわざ組み替える必要はないからです。しかし、このテクニックを戦略的に使えると、シールド戦でさらに一段上手くなれます。

 例えばグランプリ・神戸2012などで話題になった、「《森での迷子》と森だけのデッキ」もサイドボード戦略といえるでしょう。

 絶対に必要なことではありませんし、なくても勝つことは十分に可能ですが、是非「こんなテクニックもある」くらいには覚えておいて下さい。

森での迷子
こんなデッキもありました

 「こんなテクニックもある」とはいえ、『ギルド門侵犯』環境のシールド戦において、このサイドボードからのデッキ変更は普段の環境より大きな意味を持ちます。

 その理由は、各ギルド間のデッキ相性差に起因します。この環境では、プロツアー「ギルド門侵犯」のビデオライブカバレージで公開されていたように、各ギルドの間には明確な相性差が存在します。環境のギルドによる制限がデッキのアーキタイプを絞り、その中で相性があり、さながら「じゃんけん」のような状態を作り出しています。

 その中で複数のデッキを使えるとはどういうことか。これはそれこそじゃんけんで言うならば、自分だけが「グー」「パー」どちらも出せる状態に他なりません。自分のカードプールにおいては「グー」が最強だったとしても、さらに「チョキ」や「パー」が作れるのならばそれに越したことはないのです。もちろん「チョキ」「パー」がメインボードの「グー」より圧倒的の弱いのならば、相性が悪くとも「グー」で戦ったほうが良いかもしれません。しかしメインボードと違うデッキをある程度のレベルの強さで用意できて、デッキの相性差を理解したうえで選択することができれば、一つのデッキしか出せないような相手に対してはかなり有利をとれることでしょう。時間を費やす価値が、この環境に関しては非常に高いのです。

 また、このサイドボード後のデッキを組む行為は、ルール上メインデッキの登録までに終える必要がありません。デッキ構築が終わった後の1回戦待ちの間などに行うことが可能です。休憩時間に充てるのも重要ではありますが、余裕があればこのようなことを検討してみても良いのではないでしょうか。

 サイドボード戦略をきっちり使いこなすのは難しいかもしれません。複数のデッキを作り、デッキ相性を理解したうえで適切に使っていく。そもそもデッキ相性を理解するというのはしっかり練習を積んで環境を理解しないといけません。かなり上級者向けの戦略です。しかも、そもそもパックの内容によるところもあるので可能かどうかもわかりません。簡単にできることではありませんが、こういったテクニックがあることは覚えておいても良いのではないでしょうか。

■終わりに

 後編、いかがだったでしょうか?

 これであなたもギルド門侵犯シールドはプロ級の腕前!……とまでは言いませんが、十分戦える知識がついたと思います。

 あとはぜひ、ご自身で遊んでみて下さい。前編でも書きましたが、結局のところ練習するのが勝利への一番の近道です。練習といっても硬くならず、とにかく遊ぶ、楽しむ。それが一番です。

 リミテッドにはここで紹介させていただいたシールド以外にも、ドラフトという遊び方もあります。自分に合った遊び方を探していきましょう。

 そして、グランプリという舞台はこの上なく楽しい舞台です。リミテッドの楽しさを知ったのなら、ぜひともグランプリ・横浜に出場してみてください。それは、最高に楽しい体験になることでしょう。

 それでは皆さん、グランプリ・横浜で!

――カバレージチーム一同

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