ストーム値:『カラデシュ』と『アモンケット』

更新日 Making Magic on 2019年 3月 25日

By Mark Rosewater

Working in R&D since '95, Mark became Magic head designer in '03. His hobbies: spending time with family, writing about Magic in all mediums, and creating short bios.

 何年も前に、私はブログ(Blogatog)で特定のメカニズムなどがスタンダードで使えるセットで再録される可能性を判断するシステムを提案した。ストームというメカニズムの再録の可能性が低いことから、それをストーム値と名付けたのだ。それ以来、ストーム値の記事を何本も公開してきた。

 今回は、『カラデシュ』と『アモンケット』両ブロックのメカニズムを調査していこう。

 ストーム値は1から10まであり、おそらく再録されるであろうメカニズム的要素が1、まず再録されないであろうメカニズム的要素が10である。値それぞれの意味は以下の通りだ。


1 次のセットででも再び使われることになるのは間違いない。

例:飛行、接死、占術


2 再び使われることになるのは間違いないが、すぐとは限らない。

例:キャントリップ、混成マナ、両面カード


3 おそらく今後何回も使われることになるだろう。

例:サイクリング、フラッシュバック、上陸


4 今後も使われることになるだろうが、確実と言えないような問題がある。

例:変異、キッカー、賛美


5 再録するのにふさわしい場所を探す必要があるが、私は可能性が高いと思っている。

例:進化、怪物化、陰鬱


6 再録するのにふさわしい場所を探す必要があるが、私は可能性が高いとはあまり思っていない。

例:貪食、忍術、生体武器


7 再録されるとは思われないが、ふさわしい環境があれば再録はあり得る。

例:氷雪マナ、回顧、刹那


8 再録されるとは思われないが、もしかしたらあり得る。

例:マッドネス、エコー、待機


9 ありえないとは言わないが、ちょっとした奇跡が必要。

例:フェイジング、スレッショルド、激突


10 ありえないとは言わないが、かなりの奇跡が必要。

例:ストーム、発掘


 次に、メカニズムのストーム値を決めるために私が使っている5つの分類について説明しよう。

人気

 プレイヤーがこのメカニズムを好きだったかどうか。プレイヤーが好きなものは、再録される可能性が高い。そうでなければ、再録される可能性は低い。これは「楽しかったか」という質問が大きな基準になる。この評価は以下の4段階になる。

  • 大好評 ― 市場調査で、史上すべてのメカニズムの中で上位25%に含まれているメカニズム。なお、これらの評価は現在のメカニズムと史上すべてのメカニズムとの比較になる(市場調査はずっと以前から始めていたのだ)。従って、上位に入るのは難しい。
  • 好評 ― 市場調査で、平均以上で上位25%には至らなかったもの
  • 普通 ― 市場調査で、平均以下で下位25%には至らなかったもの。ただし平均としてかなり好かれるようにしているものなので、平均以下といってもプレイヤーの多くが嫌っているわけではなく、それ以上に好かれているメカニズムがあるというだけである。この分類に入ったからといって再録の可能性が下がるわけではない。
  • 不評 ― 市場調査で、下位25%のメカニズム。この区分に入ったものは、再録の可能性は低くなる。

デザイン空間

 このメカニズムで作れるカードの枚数にどれぐらい余裕があるか。それ以上カードを作ることができなければ、どれだけのプレイヤーが好んでいようと、どれだけデベロップしやすかろうと関係ないので、デザイン空間は重要である。この評価は以下の3段階になる。

  • 広大 ― このメカニズムには非常に広大なデザイン空間がある。何度でも再録できて、新カードを作る上での問題はない。
  • 中等 ― このメカニズムにはいくらかのデザイン空間があり、簡単に再録はできるが何度でもというわけにはいかない。
  • 狭小 ― このメカニズムはこのセット内でデザイン空間の限界に来ている。再録したときに充分なカードをつくるのは難しい。

多用途性

 このメカニズムと他のメカニズムの相性はどうか。このメカニズムには多くの前提が必要か、それともサポートはほとんどいらないか。言い換えると、このメカニズムによってデザインは簡単になるか難しくなるか。この評価は以下の3段階になる。

  • 柔軟 ― このメカニズムは使用が簡単で、サポートはほとんど必要なく、他のメカニズムと容易に相互作用する。
  • 普通 ― このメカニズムは多少使用が難しく、いくらかのサポートが必要で、他のメカニズムと絡むのに問題がある。
  • 硬直 ― このメカニズムの使用は難しく、かなりの前提が必要となり、他のメカニズムと混ぜるのには明確な問題がある。

デベロップ

 このメカニズムのコスト付けがどの程度難しいか。バランスを取るのは難しいか。このメカニズムを仕上げるのが簡単かどうか。この評価では、メカニズムをデベロップする難易度を見ている。この評価は以下の3段階になる。

  • 問題なし ― デベロップが簡単で、プレイデザインが乗り越えるべき大きな課題はない。
  • 普通 ― プレイデザインが取り組み、テストやデベロップにおいて特別の注意が必要な問題が存在する。ほとんどのメカニズムはこの分類に当てはまる。
  • 問題あり ― このメカニズムにはプレイデザインにとっての、大きな課題が存在する。テーマに立ち返り、構築にあまり影響を与えない方向に方向転換しなければならないこともありうる。

プレイアビリティ

 このメカニズムの働きや他のメカニズムとの相互作用を、プレイヤーが理解する上で問題があったかどうか。このメカニズムを使う上で物質的な問題はなかったか。この評価はメカニズムをプレイする上での障壁があったかどうかを見るものである。評価は2段階になる。

  • 問題なし ― プレイする上で問題はなかった。
  • 問題あり ― プレイすることに影響するような問題が存在した。

 これを踏まえて、メカニズムの値付けを始めることにしよう。


有色アーティファクト(『未来予知』『シャドウムーア』『新たなるファイレクシア』『テーロス』『カラデシュ』)

人気:好評

 有色アーティファクトそのものについて市場調査では調査していないのでこれの評価付けは難しいが、それぞれのカード単位では好評なものが多い。

デザイン空間:広大

 デザインの観点からは、有色アーティファクトは基本的に無色のアーティファクトと同じぐらい広いデザイン鉱脈である。(このあとで列記するデベロップ上の問題を考えると、さらに広いとも言える。)アーティファクトをいつどこで有色にするかという質問はあるが、それはデザインの可能性というよりも実装の問題である。

多用途性: 柔軟

 セットに1つだけ有色アーティファクトを入れることもできるし、そうする場合にそれをサポートするために何かを追加する必要もない。デザインに編み込んでシナジーを加えることができるものではあるが、メカニズムがそれを必要とするわけではないのだ。

デベロップ:問題なし

 無色アーティファクトは、何らかのデッキに入れられる程度に強力であれば全てのデッキに入れることができてしまうのでバランスをとるのが難しい場合がある。そのため、プレイデザインはアーティファクトを特定の機能に寄せたものにする傾向があるのだ。アーティファクトに有色マナ・コストをもたせることは、全てのデッキに入ってしまうことなしにアーティファクトを強化できるようにする巨大な道具なのである。

プレイアビリティ: 問題なし

 プレイヤーはすぐに有色マナ・コストを持つアーティファクトがどう働くのかを理解できる。最大の問題は、戦場にある時にアーティファクトだとわかりやすくすることだが、プレイヤーがそれを理解しやすくするために特別なカード枠を使っている。

ストーム値:2

 現在直面している問題の1つが、プレイヤーはアーティファクトが大好きだが、伝統的に、濃いアーティファクト・テーマを持つセットはプレイデザイン上の大問題を起こしているということである。この問題への現在の対処法が、有色アーティファクトをもっと気前よく使うようにするというものである。たまにあるものからよくあるものへと変化させていっているので、ストーム値は落葉樹メカニズムの2となる。


エネルギー(『カラデシュ』『霊気紛争』)

人気:大好評

 エネルギーは『カラデシュ』ブロックで最も人気の高いメカニズムだった。ここで、メカニズムの人気を計るのはセットの発売から早いうちであり、後になってからのユーザーの考え方は反映していないということを書き添えておくべきだろう。エネルギーは環境を歪めて禁止することが必要になった壊れたカードを多く輩出しているので、今調べれば最初よりも人気は低いものになることだろう。

デザイン空間:広大

 エネルギーはもう1つのリソースである。マナほどの堅牢さはないが、それでもかなり堅牢なものだ。これを使ってデザインできるカードは数多くある。非常に一般的な名前をつけられたのは、これをさまざまなフレイバーで用いられるようにするためなのだ。

多用途性:硬直

 エネルギーは、それを軸にして作られた環境を必要とする。例えば、セットに1枚だけエネルギー・カードを入れることは難しい。エネルギーが、蓄積カウンターと同じように扱われる世界であれば枚数を少なくすることもできるだろうが、それはプレイデザインに多大な悪影響を及ぼすことになるだろう。

デベロップ:問題あり

 プレイデザイン・チームを率いたイアン・デューク/Ian Dukeの言葉を引用しよう。「エネルギーは孤立的で、つまりそれ自身と組み合わせなければうまく作用しません。そしてデッキに入れる枚数が多ければ多いほど強くなります。これは『ナイフエッジ』型のバランス問題を生み出します。エネルギーが目立てるだけの強さを持つか、持たないかです。もちろん、新しくて派手で弱っちいメカニズムを作りたくはないので、充分強いように位置づけようとします。エネルギーが意図したよりもわずかに強くなると、あまりにも目立ちすぎることになって、他の、エネルギー以外のカードや戦略を追い出してしまう危険につながるのです。」

プレイアビリティ: 問題あり

 エネルギーは新しいカウンターを使い、プレイヤーは自分が持っているカウンターの数を把握しなければならない。(戦略的には対戦相手のエネルギーも。)これは、使ってプレイするために必要な注目の量という観点から言えば、間違いなく平均以上なメカニズムである。

ストーム値:6

 エネルギーは非常に人気で、広大なデザイン空間を持ち、フレイバーに富んでいる。プレイデザイン上の問題がこれほど大きくなければ、ストーム値はもっとずっと小さくなっていただろう。再録の機会はあるだろうが、それには内部的に多くの制約を課す必要がある。6と7の間と言ったところだが、希望を込めて6と評価しておく。(私はこのメカニズムの大ファンなのだ。)


製造(『カラデシュ』)

人気:好評

 このメカニズムには熱烈なファンは少ないが、特に嫌っているというユーザーは非常に少ない。これはまさに開発部語で言う「馬車馬メカニズム」、つまり派手さはないが非常に有効なものである。

デザイン空間:狭小

 最初にこのメカニズムを造ったとき、我々はこれには広大なデザイン空間があると考えていたが、このメカニズムの2つの選択肢のどちらを選ぶかの決定を興味深いものにできるコスト付けは非常に難しいということがわかり、デザイン空間は狭いものだった。

多用途性:普通

 このメカニズムはそれだけでも成立するが、+1/+1カウンターやクリーチャー・トークンのシナジーを強く奨励するものである。

デベロップ:普通

 1)構築向けに製造カードを正しくコスト付けするのは難しい。2)構築環境で扱うことのできるクリーチャー・トークンの数には限界がある。という、プレイデザイン上の2つの大問題が2る。

プレイアビリティ: 問題あり

 このメカニズムは+1/+1カウンターとクリーチャー・トークンの両方を扱う必要がある。

ストーム値:6

 製造は全体として人気があり、プレイ感もいい。デザイン空間の狭さとプレイデザイン上の問題により、ストーム値はやや上昇している。


機体(『カラデシュ』『霊気紛争』『イクサラン』『ドミナリア』)

人気:好評

 機体は初登場時にとても好評で、今も多くのファンを擁している。

デザイン空間:中等

 デザイン空間上の最大の問題は、多くの機体のデザインが似通ってしまうことであり、したがってセットに入れられる機体の数が限られてくることである。幸いにも、、デッキにはそれほど大量の機体を入れないので、機体は数が少ないときにもっともうまく働くのだ。

多用途性: 柔軟

 機体に必要なのは充分な量のクリーチャーだけであり、平均的なマジックのセットでは半数以上がクリーチャーなので、問題はない。

デベロップ:問題あり

 イアン・デュークいわく、「特に無色の機体は、一般的に強ければ全てのデッキに入ることになるので、バランスをとるのが難しいんです。ですから、特定のデッキでは使えて、他のデッキでは使えないようなデザインを見つける必要があります。機体はブロックよりも攻撃が得意なものなので、雪だるま式のゲームプレイに向かう傾向があります。機体は、全体除去やソーサリー速度の除去を使うコントロール・デッキに対して最も有効なので、強力な機体がありすぎるとそれらの戦略を追い出してしまうことがありえます。」

プレイアビリティ: 問題あり

 機体は、少しばかり複雑な方で、だからこそ我々は最初アンコモン以上でしか使わなかったのだ。ただしとてもフレイバーに富んでいて、それがいくらかはどう作用するのかの本質を理解するための助けになっている。

ストーム値:2

 機体は落葉樹メカニズムなので、ストーム値は2である。有色の機体を使うことによってイアンが提起した問題のいくつかを解決できるので、諸君はいずれ我々が有色の機体という実験をするのを目撃することになるだろう。


即席(『霊気紛争』)

人気:好評

 プレイヤーは召集が好きだったので、(初期には「アーティファクトの召集」と言われていた)即席も召集ほどではないが人気があるのは驚きではない。

デザイン空間:中等

 技術的には、ほぼ全ての呪文効果には即席をつけられるが、インパクトを持たせるためには、コストを低減することに意味が出せるよう、呪文のコストはやや高いものにしたい。この制限のために、有用なデザイン空間はいくらか減っている。

多用途性:硬直

 このメカニズムが作用するには、強固なアーティファクトの基盤が必要である。アーティファクト・テーマは、デベロップ的には危険だが、プレイヤーの間ではとても人気が高い。

デベロップ:普通

 このメカニズムはアーティファクト1個ごとに1マナしかコストを減らせないので、親和(アーティファクト)に比べて安全である。プレイデザイン上の大きな問題は、実用的にするにはこれ専用デッキが必要になるので、構築向きに推すのが難しいメカニズムだということである。

プレイアビリティ: 問題なし

 数える必要は少々あるが、プレイヤーにとってのゲームプレイ上の問題はほとんど存在しない。

ストーム値:5

 これは良いメカニズムだが、狭いメカニズムである。おそらくアーティファクト・テーマやサブテーマはいずれまた登場するだろうから、その中の1つが即席を再録する可能性はあると思われる。


紛争(『霊気紛争』)

人気:好評

 紛争は、即席よりもいくらか人気が高かった。『カラデシュ』ブロックに多くのシナジーがあり、このメカニズムを持つカードである《致命的な一押し》は複数のフォーマットで主役となった。

デザイン空間:中等

 紛争は、『イニストラード』ブロックの陰鬱とよく似ている。さまざまな使い方があることでかなりの柔軟性があるが、1つのセットにあまり大量に入れたくはない類のメカニズムである。ターン終了時に誘発する能力に共通の問題として、有用になる効果はそれほど多くはない。また、効果を強化する類なので、明白な強化が存在する効果にも限りがあるという制限がある。

多用途性:普通

 紛争は、どんなセットでも作用しうる類のメカニズムである(ほとんどのゲームでは、クリーチャーは死亡する)が、セット内の他のメカニズムとシナジーを持てばさらに優秀になる。セット内にこの有用性を高めるものがないなら、これを使うことはないだろう。

デベロップ:普通

 このメカニズムは、いろいろな意味で即席と似ている。競技プレイでうまく働くには多くのシナジーを必要とする、楽しいメカニズムである。前段と利得のうまいバランスが必要なので、最終的に非常に運任せになってしまうことが多いのだ。

プレイアビリティ: 問題あり

 自分と相手の両方のパーマネントの領域移動に非常に注意しなければならないので、このメカニズムを使うには少し集中力が必要になる。ジャッジからは、ジャッジによるサポートが平均以上に必要だという報告がある。

ストーム値:6

 紛争が再録される最高の機会は、他に注目を必要とするメカニズムが多くなくて紛争の舞台となる新しい環境が整ったときだと思われる。


余波(『アモンケット』『破滅の刻』)

人気:普通

 プレイヤーは全体として余波のゲームプレイは気に入っているが、ほとんどはこれらのカードのレイアウトを嫌っている。再録するとしたら、新しいカード枠を考えることになるだろう。

デザイン空間:狭小

 最高の余波カードは、2つの有用な効果を持っていて、それらを同じターンに唱えることができたらお互いにシナジーが発生するものだ。実際にデザインした経験から、それは諸君が想像するよりも難しいと言える。他の分割カード同様、効果をカード名と関連させたいという条件もあり((英語では)「and」でつながる過去の分割カードと違い、余波では2語が(英語では)「to」でつながるようになっている。)それがさらに難しさを増しているのだ。(訳注:日本語では2語の間にそこまで狭い関連性は作れませんでした。「何となく似ているもの」と「四字熟語の分割」が混じっています。)

多用途性: 柔軟

 余波カードは、入っているセットにそれほどの条件は存在しない。墓地テーマといくらかのシナジーはあるので、再録される可能性が最も高いのはそのときだろう。

デベロップ:問題なし

 余波カードの量が少ない限りにおいて、プレイデザインはそれを制御できる。墓地を活用するメカニズムが多すぎれば、ライブラリー破壊ゲームになってしまう可能性がある。マジックの通常の流れでは、デッキは時間をかけて削れていくものだが、環境に「タダで」価値が増え過ぎれば、物事は歪んでしまうのだ。

プレイアビリティ: 問題あり

 余波は全プレイヤーの墓地にあって使えるカードを意識しなければならず、それにはかなりの集中力を要する。

ストーム値:7

 余波のプレイ感はいいが、使うのを難しくするような多くの制約が存在する。それに加えて、かなり嫌われているカード枠があり、再録する前にいくつかの問題を解決しなければならないメカニズムなのだ。


カルトーシュと試練(『アモンケット』)

人気:普通

 カルトーシュと試練のサイクルは、構築よりもリミテッド向けにデザインされたものだが、ファンは存在する。

デザイン空間:狭小

 どちらのサイクルにもかなりの制限があり、デザイン空間は非常に狭いものになっている。

多用途性: 普通(個別)硬直(全体)

 それぞれのメカニズムそのものは、将来掘り下げることが可能である。カルトーシュは、オーラの選択肢の幅が狭いので、さらに狭くなっている。私は、戦場に出たときの効果を持つオーラには、他の興味深いことをできるだけの将来性があると考えている。試練は基本的には呪文のように機能するので、デザイン的にはもう少し自由度は高いが、再録するにはシナジー性のある要素が必要である。

デベロップ:普通

 通常、構築でオーラのバランスを取るのは難しいが、戦場に出たときの効果は価値を作り出す大きな助けになる。カルトーシュも試練も、推した場合には繰り返しの問題があるので、構築よりもリミテッド向けにデベロップされている。

プレイアビリティ: 問題あり

 カルトーシュは、試練を使う場合には、墓地を見る必要がある。

ストーム値:4(カルトーシュ)、6(試練)、8(両方)

 オーラに価値を持たせる必要性から、カルトーシュのほうが再録される可能性があると考えられる。戦場に出たときの効果を持つエンチャントはいずれ再び作るだろうが、再録される要素にはふさわしい環境が必要である。両方が同時に再録されるのはアモンケットを再訪することが条件となるだろうが、その場合にも過去を舞台とするのでなければありえないだろう。


サイクリング(『ウルザズ・サーガ』ブロック、『オンスロート』ブロック、『時のらせん』ブロック、『アラーラの断片』ブロック、『アモンケット』ブロック)

人気:大好評

 サイクリングは、常磐木でないメカニズムの中で一番多くのセットで登場している。その理由は、プレイ感が素晴らしく、プレイヤーにとても好かれているからである。

デザイン空間:広大

 サイクリングは、ほとんどどの効果にでも、どのカード・タイプにでもつけられる。サイクリングの通常の、カードを捨てて引く、という効果に加えて、さらにひねりを加えてきたが、そこに踏み込んですらいない。これまでデザインしてきた再利用可能なメカニズムの中で、サイクリングが最大のデザイン空間を持っている可能性は極めて高い。

多用途性: 柔軟

 時折「サイクリング関連」のカードを作ってきたが、一般論として、どんなデッキにもサイクリング・カードを投入できる。また、デザインの観点から言うと、サイクリングを投入したとして役に立たないようなセットはほとんど存在していない。

デベロップ:問題なし

 サイクリングには「節」(調整できる数字やコスト)が大量にあり、プレイデザインが調整するのは比較的簡単なメカニズムの1つになっている。『アモンケット』のような速い環境ではサイクリングのバランスをとるのは最も難しい。

プレイアビリティ: 問題なし

 サイクリングは非常に直接的で、使うのが簡単である。マジックのプレイヤーのほとんどにとって、初めて見てすぐに理解できるメカニズムだということがわかっている。

ストーム値:3

 サイクリングは、落葉樹メカニズムではないけれども再録できるメカニズム、の代表格である。今後のマジックにおいても、サイクリングは何度も使われることだろう。


不朽(『アモンケット』)

人気:大好評

 プレイヤーは2回使える呪文が好きだとわかっているので、クリーチャーを2回使えるメカニズムも人気があるのは驚きではない。加えて、これは非常にフレイバーに富んでいた。

デザイン空間:中等

 このメカニズムはほとんどのバニラ(ルール文を持たない)やフレンチバニラ(クリーチャーのキーワード能力を持つだけ)のクリーチャーでも働くが、最も有効なのは(戦場に出たときの誘発型能力などの)戦場に出ることによる有利を2倍にできるようなクリーチャーに持たせたときである。各クリーチャーそれぞれに、専用のアートを持つクリーチャー・トークンが必要なので、セットに入れられる枚数には限りがある。

多用途性: 柔軟

 不朽とうまく働くシナジーは存在するが、間違いなく、どんなデッキにもタッチで入れることができる類のメカニズムである。『アモンケット』ではこのメカニズムは白と青に集中していたが、他の色でも使うことができる。不朽クリーチャーは白のゾンビになるということがこのメカニズムとアモンケット次元をつないでいるが、それだけでなくフレイバーも繋がっていると言えるだろう。

デベロップ:普通

 プレイデザイン・チームは不朽にそれほどの問題を感じていないが、構築環境で扱うことができる、墓地から戻るクリーチャーの数には上限がある。

プレイアビリティ: 問題あり

 各不朽クリーチャーにはそれぞれ専用のクリーチャー・トークンがあった。また、墓地のどのクリーチャーが不朽を持つのかを把握するには、プレイヤーがある程度の注意を払わなければならない。

ストーム値:5(アモンケットで)、8(他の次元で)

 多くのメカニズムは、ほとんどのセットで作用できるように一般的なものになっている。しかし、不朽は、そのエジプト風の雰囲気と白のゾンビという両方の点で、アモンケット特有のものである。再録の可能性が最も高いのは、アモンケットを再訪するときだろう。このメカニズムが他の次元で見かけられることはあまり考えられない。


督励(『アモンケット』『破滅の刻』)

人気:普通

 このメカニズムは経験豊富なプレイヤーに好かれる傾向にあるが、全体としては少しばかり低い評価であった。突き詰めると、これはこのメカニズムが少しばかりスパイク向けで、いつプレイすべきかを把握しなければならないことからだと考えられる。

デザイン空間:中等

 『アモンケット』ではこれを攻撃誘発として使っており、『破滅の刻』ではこれを起動コストとして使うということを試していた。どちらもクリーチャーだけに持たせており、独自の制限を帯びていた。それらの制限を踏まえても、比較的広大なデザイン空間があるのだ。

多用途性: 柔軟

 『アモンケット』には督励とのシナジーが存在したが、このメカニズムは攻撃したいようなクリーチャーがあればどのセットでも(つまりどのセットでも)成立する。

デベロップ:普通

 攻撃誘発版の督励は環境を加速させる傾向にあるので、プレイデザインはそこに注意する必要がある。構築で、1ターンで作用しないクリーチャーのメカニズムを成立させるのも難しい。そのため、競技マジックで最も強い督励持ちクリーチャーは、速攻持ちであることが多かった。起動型能力版はより柔軟性があるが、バランスをとるのが難しく、明らかな構築向けのデザイン空間も狭かった。

プレイアビリティ: 問題あり

 その能力を使ったことを忘れないようにするために補助具を作る必要があるということは、そこに記憶の問題があるということである。

ストーム値:4

 督励が再び登場することについて、私は楽天的である。大人気というわけではないが、ゲームプレイが良く、デザイン空間は多くの世界に採用できるだけの広さを持っているようである。おそらくは、やがて新セットの問題を解決する方法として必要になった時に督励が再録されることになるだろう。督励は多くの問題への解決策になるので、割合早くそれが起こるのではなかろうか。


切り抜きカウンター(督励、不朽、-1/-1)(『アモンケット』『破滅の刻』)

http://media.wizards.com/2017/dw466ytu5_akh/BsVeTQyePY.png

人気:好評

 これについてプレイヤーに特に質問してはいないものなので、評価は推測による部分がある。ソーシャルメディアで得た反応に基づくと、意見は全体的に好意的なものだったように思われる。

デザイン空間:広大

 これはメカニズムというよりも道具なので、これを他のメカニズムと比べるのは不公平というものだろう。つまり、サイクリングでさえも惨敗だ。この道具のデザイン的潜在能力はすさまじいものだ。

多用途性: 柔軟かつ硬直

 この道具の使用には、これが参照する要素を必要とするので、これもまた奇妙な分類になる。使うことでセットに利点がなければ、切り抜き部品を使うことはないだろう。別の味方をすれば、全てのセットがこの技術を使うようになれば、使う方法を探すことになるだろうから、ここで切り抜き技術を評価するのは難しいのだ。

デベロップ:問題なし

 切り抜き部品は記憶や記録の問題があるメカニズムの助けになることが多い。一般に、それがユーザーがプレイする助けになるので、プレイデザインの手助けにもなるのだ。

プレイアビリティ: 問題あり

 追加の部品を必要とする、というのが切り抜き技術そのものなので、カード以外の物品を必要とするのは明らかである。

ストーム値:3

 私は、切り抜き技術について非常に楽観的である。デザイン空間の未来の可能性を計画する責任者として、私はこれがマジックの可能性を動かす能力を持っているものだと思っている。いつか、このストーム値が2に下がり、マジックのデザインにおける落葉樹部分を担うことになる可能性はある。


加虐(『破滅の刻』)

人気:普通

 このメカニズムは、プレイヤーから「ふーん」というような反応を受けた。嫌いはしなかったが、好きでもなかったのだ。

デザイン空間:狭小

 最初に作ったときには広大なデザイン空間があると思ったが、実際にカードを作ってみると、最初に考えたよりもずっと多くの制約があるということに気がついた。

多用途性:普通

 加虐は、クリーチャーが攻撃することが多いアグロ寄りのセットに入れるのが望ましい。

デベロップ:普通

 少量であれば、プレイデザインには何も問題はないが、セット1つにこのメカニズムを入れられる量には限りがある。また、これを使うことによって、火力呪文その他の直接火力を引き下ろすことになる。

プレイアビリティ: 問題なし

 加虐は直接的であり、記憶やプレイ補助具は必要としない。

ストーム値:7

 加虐をデザインしたとき、『灯争大戦』の前振りとなるメカニズムを作ることを意図していたが、実際に使ってみると(そして『灯争大戦』のデザインの方向性から)うまく噛み合わなかったので、再録の明らかな機会にはならなかった。そのため、これの将来は宙に浮いた形だ。充分単純なメカニズムだが、かなりの問題点もあるので、将来のデザイン上の問題への最適な解決策にならない限りは再録する機会はないだろう。督励と違い、私はそれがそうそうあるとは思っていない。


永遠(『破滅の刻』)

人気:不評

 永遠は、ボーラスの永遠衆を表すための不朽の変種としてデザインされたものであり、不朽と永遠の間にこれだけの差があることは興味深い。プレイヤーが永遠を嫌っているのは、それ単体で見てなのか、それとも不朽と比べてなのかは明らかではない。

デザイン空間:狭小

 永遠クリーチャーは、不朽処理をしたクリーチャーが4/4で戻ってくる、というものだ。これはパワー関連のデザインと組み合わせる傾向になる。

多用途性:硬直

 永遠は『破滅の刻』に合うように特別に作られた。さまざまな理由から、どのセットにでも入れられるようなものではない。

デベロップ:普通

 プレイデザインは、永遠を成立させるために多くの問題を解決しなければならなかった。可能ではあったが、それは永遠クリーチャーの数が少なかったことであり、またほぼ高レアリティに限られていたからである。

プレイアビリティ: 問題あり

 不朽同様、トークンがなければ永遠クリーチャーもわからなくなってしまうことがありえる。間違いなく、永遠にはトークンが必要なのだ。

ストーム値:8

 永遠は、物語上の要求から、非常に狭い回答としてデザインされたものである。人気もなくデザイン空間も狭く、他にも問題があるので、再録について私は懐疑的である。

ストーム値の後の静けさ

 本日はここまで。ストーム値の再来を楽しんでもらえたなら幸いである。いつもの通り、この記事やこれらの値についての感想を、メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、『灯争大戦』のプレビューが始まる日にお会いしよう。

 その日まで、『カラデシュ』『アモンケット』両ブロックであなたのお気に入りの部分がいつの日か再録されますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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