『灯争大戦』の遂行 その1

更新日 Making Magic on 2019年 4月 1日

By Mark Rosewater

Working in R&D since '95, Mark became Magic head designer in '03. His hobbies: spending time with family, writing about Magic in all mediums, and creating short bios.

 諸君、『灯争大戦』のプレビュー第1週にようこそ! このセットのデザインの話はどうしても伝えたい話だったので、ついに伝えられる日が来たことを嬉しく思っている。このセットについての最初の話として、このセットがプレインズウォーカー・カードに焦点を当てたものになるということについて、どのようにそうなったか、そしてそうするために何が必要だったかについて語ろう。そして、終わる前に、1枚ではなく2枚のプレインズウォーカー・プレビュー・カードをお見せしよう。この話題に興味がないならそれまでだ。

大戦の宣言

 この話が始まったのは何年も前、ダグ・ベイヤー/Doug Beyerがニコル・ボーラスの長編(コードネームは、悪役にお約束のカイゼルひげと、操り人形を操る棒の両方の意味を込めてHandlebar(自転車のハンドル)だった)――3年に渡る、マジック最古の悪役の1人であるニコル・ボーラスの陰謀を中心とした物語を提案したところから始まった。この物語は、ラヴニカ次元でのプレインズウォーカーの大戦で完結した。この当時は、各年に大型セットと小型セットからなるブロックが2つ存在していたことに注意してもらいたい。ラヴニカへの訪問は1年続く予定だったのだ。最初のブロックは大型セット2つを使ったギルド・ブロックであり、『ラヴニカへの回帰』や『ギルド門侵犯』と同じように、それぞれ5ギルドずつ入る予定だった。プレインズウォーカーの戦争は、大型セット1つと小型セット1つからなるそれだけで独立したブロックとなり(コードネームは『Milk』と『Cookies』)、その戦争の出来事に焦点を置くことになる。このブロックの焦点は舞台となる場所ではなく起こった出来事になるので、このブロックについて語るときには、今まで一度もやったことがない「イベント・ブロック」として呼ばれることになった。

 執筆者として、そして長年のマジック・ファンとして、プレインズウォーカーの大多数が巨大な出来事に集う戦争という発想は素晴らしいものに思えたのだ。しかし、デザインを具体化することになる首席デザイナーとしては、少しばかり憂慮することがあった。ブロックに存在するプレインズウォーカーが5人しかいないのに、どうやってプレインズウォーカーの大戦を売り込めば良いのだろうか。数パックだけで、神話レアにしか存在しないものの存在を主張するようにするには一体どうすればいいだろうか。しかし物語はクールで、プレイヤーが大好きになるだろうものを実現する邪魔をしたくはなかったので、私はこの懸念を表明し、デザインに到った時にその問題を解決するための方法を見つけ出そうと言ったのだ。

 しかし、この最初の会議から『灯争大戦』のデザインが始まるまでの間には、さまざまなことが変化していった。マジックではブロック構造を使わなくなり、この戦争が大型セットと小型セットで描写されるのではなく、大型セット1つだけになった。こうなると、さらにプレインズウォーカーの数は絞られることになる。一体どうやってこれを成功に導くことができるのだろうか。

大戦の行為

 『灯争大戦』の展望デザインが始まった時に最初にやったことは、セットに入れられるプレインズウォーカーの数についてプレイデザインと相談することだった。スタンダードでは伝統的に最大20体のプレインズウォーカーがいるので、年に10体ほど入れられることになる。中にもっと焦点の狭い(うまく作用するが、非常に限られたデッキにしか入らない)ものがあれば、もう少し多く入れることができるかもしれない。その前後のセットから少しずつ削って1体ずつ減らすようにすれば、『灯争大戦』ではさらに数体増やす余地が得られるかもしれない。そうすることで『灯争大戦』では、通常3体のところを、7〜8体のプレインズウォーカーを入れることができるだろう。よし、これでボーラスとゲートウォッチを入れることができる枠ができた。私はこれが最善の方法だと考えたのだ。

 その後、私はチームの中心議題を、戦争をどう実装するかを探すことに切り替えた。『灯争大戦』はイベントのセットになるので、メカニズム的に戦争をセットに不可欠な要素にする方法を見つけたかったのだ。ただのプレインズウォーカーの戦争ではなく、プレインズウォーカーの大戦なのだ! こうして生まれたのが、ゲームを戦争の進行だと感じさせることに特化した、非常に風変わりなメカニズムである衝突のメカニズムだった。(この最終的にセットには入らなかったメカニズムについて、詳しくはその3で語ることにしよう。)衝突メカニズムを成立させるため、そして進行中の戦争らしさを感じさせるようにするために何か月かかけたが、どこかピンと来ないままだった。そこで、私は自分で道に迷っていると感じた時によくやる課題、「エレベーター提案」をしてみることにした。

 ハリウッドでは、物語の発想を他の人に買ってもらうようにすることは執筆者の仕事の1つである。そのためには、発想を他の人に売り込む(心躍らせるような物語を短くまとめて伝える)必要がある。通常、提案を準備するとき、私はその提案を3種類にまとめている。1つ目は、長いもの。3〜5分程度の長さでその物語を少し詳しく書いたものだ。これはたいてい、会話の抜粋を含んでおり、全体の雰囲気がつかめるようになっている。2つ目が、短いもの。これはたいてい1分ほどの長さだ。詳細は省いているが、それでも短い提案時間で全体の本質はつかめるようにしている。そして3つ目がエレベーター提案だ。これは1文だけにまとめた、10語以下のもので、その物語がなぜすごいのかの核心部分を伝えるものだ。エレベーターのドアが閉まる前にプロデューサーに叫んで伝えることができるようにしてあるのだ。聞いたプロデューサーにドアの「開」ボタンを押させ、「もう少し聞かせてくれ」と言わせるためのものなのである。

 時を経て、私は、エレベーター提案が、物語の確信であるクールなものが何なのかを見つけ出すための非常に有用な道具であるということに気がついたのだった。これを心躍る発想にしている、中核部分は何だったのか。物語を1文に圧縮するためには、本当に重要なものが何なのかを見極めなければならない。そこで、私はセットに行き詰まったとき、しばしばそのセットのエレベーター提案を作るのだ。マジックのプレイヤーにドアの「開」ボタンを押させ、「もう少し聞かせてくれ」と言わせるために私は何を叫べば良いのか。

 『灯争大戦』のために最終的に作ったエレベーター提案はこうだ。

知っているプレインズウォーカーが全員ラヴニカに集まるんだ、戦いだ!

 そして、私は手を止め、この文を分析した。これを成立させているのは何だろうか。最後に、「追い打ち」(勢いを追加で与える単語で文を締めている)で戦争だと言っているが、興味深いことに、すべてのプレインズウォーカーが物語にいるということに(英語で)5単語、マジック史上もっとも人気のある次元の1つを舞台としているということに(英語で)4単語を費やしていた。言い換えると、セットを心躍るものにしているのはプレインズウォーカーの戦争なのに、我々はプレインズウォーカーの戦争を作っていた。間違ったところに焦点を当てていたのだ。

総力戦

 それでは、どうすればプレインズウォーカーの戦争のセットを作れるのだろうか。そのためには、大量のプレインズウォーカー・カードが必要だ。それ以外の方法を求めてかなりの時間を費やしたが、他の解決策はすべてどこか嘘っぽく思えるものだったのだ。もし誰かにプレインズウォーカー・セットを作ったという話をしたら、最初に聞かれることは「プレインズウォーカーは何枚入ってるんですか」だろう。3枚、5枚、あるいは7枚と答えても、「それじゃプレインズウォーカー・セットじゃないですよ」と言われることだろう。違う。プレインズウォーカー・セットであるには、大量のプレインズウォーカーをセットに入れなければならないのだ。人々が何枚入っているかを聞いても最初は信じられないぐらい多くするのだ。枚数を聞いた時の最初の反応が「何!?」になるように、充分多く入れなければならないのである。

 その後、デザインの主眼は、どうすれば大量のプレインズウォーカー・カードの入ったセットを作ることができるか、になった。(チームに、30枚あると仮定するように伝えた。)それに答えるため、我々はそれによって生じるデザイン上の問題を理解しなければならなかった。

#1 ― プレインズウォーカーのデザイン・リソースの問題に対処しなければならない

 この記事でも、プレインズウォーカーは最も人気のあるカード・タイプであるにもかかわらずデザイン空間が最も狭いということについて何度も触れてきた。そのため、私は、プレインズウォーカーのデザイン上の革新を温存することにかなりの労力を費やしてきたのだ。このカード・タイプをこのセットで使い切ってしまえば、そのことによるリソースの問題に対処しなければならないだろう。

#2 ― 神話レアでないプレインズウォーカーを作らなければならない

 『灯争大戦』にある神話レアの枠は15枚分だけである。30枚のプレインズウォーカー・カードは文字通りその枠には収まらない。それ以上に、このセットでは構築だけでなくリミテッドでもプレインズウォーカーの戦いだと伝えられるようにしたいのだ。(そのため、『時のらせん』ブロック型のボーナス・シートでは駄目なのだ。)開封比をリミテッドでも成立するようにするには、アンコモンのプレインズウォーカーが必要だった。(『ドミナリア』の封入技術により、ブースターパックに必ず1枚のプレインズウォーカー・カードが入るようにしたのもこの助けになった。)普段作っているようなプレインズウォーカーをレアに入れることは可能だが、それはアンコモンには複雑すぎたのである。そのため、プレインズウォーカー・カードを作る方法について、デザイン上の革新が必要となった。

#3 ― 色の問題に対処しなければならない

 プレインズウォーカーを多様なものにするため、我々はそれを通常2色で、各色に散らすことが多い。2色のプレインズウォーカーが大量にあると、特にアンコモンでは、リミテッドのデザインに大問題が起こることになる。(それこそがセットの目標なので)プレイヤーが大量のプレインズウォーカーをデッキに入れられるようにしたいのだ。プレインズウォーカーの大半が2色になっていると、多色デッキにしなければデッキに大量に入れることは非常に困難だろう。この問題を解決しなければならない。

#4 ― プレイデザインの問題も起こるだろう

 年に10枚しかプレインズウォーカー・カードを作っていないのには理由がある。セット内の枚数を増やせば、スタンダードでのバランス調整に大混乱が起こりうる。展望デザインはバランス調整には責任はないが、プレイデザインがバランスを取るために使える道具がセット内にあるようにするのは我々の仕事である。その道具になりうるものは何だろうか。

 取り組むべき問題は山積している。それでは始めよう。


#1 ― プレインズウォーカーのデザイン・リソースの問題に対処しなければならない

 『破滅の刻』で、我々はニコル・ボーラスのプレインズウォーカー・カードをデザインする必要があった。ニコル・ボーラス・シリーズの第1章の終わりに、ニコル・ボーラスが姿を現してゲートウォッチをたやすく蹴散らすというものだった。ニコル・ボーラスの再登場であり、どれだけの大敵なのかを確立するところなのだ。そのため、クールなプレインズウォーカー・カードが必要だった。いろいろとデザインされたが、最も好評だったのは常在型能力を持っているものだった。

 いったん猫をカバンから出してしまうと、もう一度カバンに戻すのは大変なことだとわかっているので、今回プレインズウォーカーに常在型能力を持たせるのはやめよう。プレインズウォーカーの革新はゆっくりと少しずつ扱わねばならず、これは大きな革新なのだ。(確かに、過去にも常在型能力を持ったプレインズウォーカー・カードはごく少数存在したが、この文脈ではエンチャント型の常在型能力について語っている。)妥協しよう。『破滅の刻』では忠誠度能力を4つ持つボーラスを作るだけにして(まだ作られていなかった)、『灯争大戦』で次のボーラスを作る時に(結末を迎えるセットには大敵のプレインズウォーカー・カードがあるのはわかっていた)、それをプレインズウォーカーの常在型能力の端緒にすることにしたのだ。

 それがプレインズウォーカーをテーマとしたセットになるなら、より広い形で常在型能力を導入できるかもしれない。ニコル・ボーラスが常在型能力の端緒になるだけでなく、大量のプレインズウォーカーが常在型能力を持つとしたらどうだろうか。それをこのセットのメカニズム的特徴にしたらどうだろうか。それによって扱える空間が大きく広がり、ずっと豊富なプレインズウォーカーのデザインができるようになる。

 あとは、プレインズウォーカー全体のデザイン空間を食いつぶしてしまうという問題があった。こういうことをこのセットだけにしておけば、それもいくらか問題なくなる。この解決策は、次の問題に繋がっていた。このセットのプレインズウォーカーのデザインの大半を占める、アンコモンのプレインズウォーカーを普通のプレインズウォーカーと少し違うようにすれば、それによってプレインズウォーカーのデザイン空間は広がることになるだろう。

#2 ― 神話レアでないプレインズウォーカーを作らなければならない

 この問題を突き詰めると、ほぼ「アンコモンのプレインズウォーカーを作るにはどうすればいいか」ということになる。幸いにも、この問題への解決策は別の、プレインズウォーカーデッキに関するプレインズウォーカーの問題を解決しようとしていた時にすでに浮上していた。我々はそれまでのエントリーセットを改定し、プレインズウォーカーを投入したいと考えたのだ。各デッキにプレインズウォーカーを1人登場させることで、マジックに初めて触れるときにその中核的なクリエイティブ的新奇性を知ることができるのだ。つまり、各デッキにプレインズウォーカー・カードを入れる必要があった。デザイナーが疑問に思ったのは、そのデッキだけのためのプレインズウォーカーをデザインするとして、どのようなものにすべきなのかである。

 さまざまな方向性があったが、私は必要最低限の手法を選んだ。忠誠度能力を1つしか持たないようにしたらどうだろうか。あるいは、忠誠度能力を持たず、常在型能力1つだけ持つようにしたら。見た目は少し変わるが、それでも忠誠度を持ち、対戦相手は攻撃することで対処することができる。こうすることで、通常のプレインズウォーカーほど複雑にせずにプレインズウォーカーらしさを持たせることができると考えたのだ。もちろんこの提案はプレインズウォーカーデッキのプレインズウォーカーには採用されなかったが、私はそこから、忠誠度能力が少ないプレインズウォーカーという方向性に到ったのである。

 最初のアンコモンのプレインズウォーカーとして、能力を1つだけにした。プラスの能力を持つものは、その能力を使うことで倒しにくくなる。マイナスの能力を持つものは、他の助力がなければ定められた回数しかその能力を使うことができない。そして最後が、常在型能力を持つものである。これらにとっては、忠誠度は単に対戦相手から受けたダメージを記録するだけのものであった。

 プラスの能力1つというのは、まったくうまく行かなかった。忠誠度を記録する必要はあったが、意味を持たないことが多かった。対戦相手がそのプレインズウォーカーに攻撃しない限り記録しているカウンターは意味を持たず、攻撃しても無駄なぐらいにカウンターをためてしまえば、プレイヤーはカウンターを記録することすら止めてしまうのだ。

 それと対照的に、マイナスの忠誠度能力は非常に興味深いものだった。基本的には使える回数を制限するものとして働くが、対戦相手はそのプレインズウォーカーを攻撃することでそれに干渉できるのだ。(来週、プレインズウォーカーの忠誠度を増やすために加えられた大物、増殖の再録について取り上げる。)

 常在型能力のプレインズウォーカーはその中間だった。無用な記録を必要とはしなかった。対戦相手がそのプレインズウォーカーを攻撃して忠誠度が意味を持つか、攻撃しないで何も記録しないでいいかのどちらかだった。これの最大の問題は、他の2種類と比べてプレインズウォーカーらしくないことだった。忠誠度能力がないことで、動作主体らしさが感じられなくなっていたのだ。しかし、これはクリーチャーで除去できるエンチャントのようにうまく働いたのである。

 プレイテストの後、我々はプラス能力だけのプレインズウォーカーを取り除き、マイナス能力のプレインズウォーカーと常在型能力のプレインズウォーカーを扱った。レアに関しては、常在型能力1つと忠誠度能力2つ、多くはプラス1つとマイナス1つ、を持つプレインズウォーカーを試した。神話レアは常在型能力1つと忠誠度能力3つだ。我々がファイルを提出した時点での一般的な手法はこうだった。能力1つのプレインズウォーカーはプレインズウォーカーとしては失望させるものだという反応が多かったことから、セットデザインは、常在型能力1つとマイナスの忠誠度能力1つを持つように変更した。

#3 ― 色の問題に対処しなければならない

 初期のプレイテストでは、アンコモンのプレインズウォーカーはプレイヤーが使う色、つまり2色になるようにしていた。そのため、大量にプレイするのは非常に困難だった。色基盤を追加してみたが、プレイヤーは3色以上を使おうとするようになるだけだった。舞台はラヴニカでありセットには一定量の多色が必要だったが、我々は、このセットで重要なのはプレイヤーを多色に向かわせることではないと感じていた。

 次に、我々はアンコモンのプレインズウォーカーをすべて単色にしてみた。単色向けのプレインズウォーカーはうまくいったが、複数色の中間に感じられるプレインズウォーカーは違和感があった。

 最終的な解決策は、混成マナだった。混成マナで、両方の色をデッキに入れなくても多色のプレインズウォーカーを作ることができるのだ。混成プレインズウォーカーは、プレイヤーが長い間求めていたものだった。単純なアンコモンのデザインのおかげで、混成プレインズウォーカーのデザイン(過去の混成プレインズウォーカーへの最大の制限だった)を作るのは簡単になった。

#4 ― プレイデザインの問題も起こるだろう

 この問題はセットデザインやプレイデザインに委ねられる部分がほとんどだが、我々も道具を供給するためにいくつかのことをしていた。通常のプレインズウォーカーとは少し異なる振る舞いをするアンコモンのプレインズウォーカーは、他のチームが通常のプレインズウォーカーと少し違う扱いをしてバランスをとることができるようになっている。大量にあることで、すべてを構築向けにする必要はなく、一部をリミテッド向けにすることができるのだ。最後に、大量のプレインズウォーカーをデザインしてお互いにバラバラにしていることで、デザインを狭く集中的なものにすることができ、プレイデザインがバランスを取ることが簡単になっているのだ。

 解決しなければならなかったこれ以外の問題への対処の話をする前に、ここで今日の1枚目のプレビュー・カードである、アンコモンの混成プレインズウォーカーをお見せしよう。

《ビヒモスを招く者、キオーラ》をご覧あれ。

Kiora, Behemoth Beckoner

戦争へ

 次に対処しなければならなかった大問題は、開封比の問題であった。確かにプレインズウォーカー36枚は大量だが、セット全体から見れば、カードの比率としてはそれほど高くない。プレインズウォーカーの影響は、プレインズウォーカー・カード以外にも広がっていなければならないのだ。これはイベントのセットなので、物語上の瞬間を描いたイラストが大量に存在し、そのイラスト上にはプレインズウォーカーが多数描かれることになることは決まっていた。また、『ドミナリア』に倣い、そのセットのテーマのカード、この場合プレインズウォーカー・カードを各ブースターパックに1枚入れることも決まっていた。しかし、それでもまだ不充分だった。

 この問題を解決するための発想が、デザインで「名前入り呪文」と呼んでいたものである。このセットのプレインズウォーカーには、それぞれが唱える類の魔法を表す呪文があるのだ。それらの呪文の多くは、どのセットにも必要な類の基本の呪文である。名前がそのカード名に使われていて(「【プレインズウォーカー名】の【呪文名】」というように)、アートではその呪文を唱えているそのプレインズウォーカーが描かれている。そして、我々はそれらの呪文をコモンやアンコモンに寄せたのだ。これによって、プレインズウォーカーの戦争で闘っているのが誰なのかを強調することができ、テーマの開封比を上げることができ、テーマをコモンにまで広げることができた。

 こうして、最後に1つ取り組むべき問題が残された。このセットに登場するプレインズウォーカーは誰なのか。最終的にアンコモンは20枚、単色5色各2枚と混成10種各1枚になった。物語の主役と悪役を描いた神話レアが3枚で、レアは単色も多色も何枚も(最終的に13枚)ある。展望デザインでは、物語上いるプレインズウォーカーと、プレイヤーが特に出してほしがっていると思われるプレインズウォーカーを入れることという計画だった。死んでいるプレインズウォーカーや、他の場所で使っているプレインズウォーカー、それに絶対来ないであろうプレインズウォーカーを除いていった。

 そうして気がつくと、色のバランスがまったく取れていないリストが出来上がっていた。例えば、赤のプレインズウォーカーが大量にいて(特に青赤)、白や青のプレインズウォーカーはかなり少なかった。これが、新規のプレインズウォーカーが入っているのに既存のプレインズウォーカーが採用されていない理由である。誰が登場するかを最終的に決定したのは、クリエイティブ・チームと協力したセットデザインだった。

 さて、最後に、もう1枚のプレインズウォーカー・プレビュー・カードを紹介しよう。もちろん、ゲートウォッチの一員だ。

《時を解す者、テフェリー》をご覧あれ。

Teferi, Time Raveler

戦争は続く

 本日はここまで。今日の記事が、セットに大量のプレインズウォーカーを入れるために我々がしなければならなかったことについての考察の助けになっていれば幸いである。いつもの通り、今日の記事について、このセットのプレインズウォーカーで我々がしたことについて、そして『灯争大戦』全体について、諸君からの反響を楽しみにしている。メール、各ソーシャルメディア(TwitterTumblrGoogle+Instagram)で(英語で)聞かせてくれたまえ。

 それではまた次回、楽天的なメカニズムについて語る日にお会いしよう。

 その日まで、あなたがお気に入りのプレインズウォーカーと楽しく遊べますように。

(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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