部族セットのデベロップ

更新日 Card Preview on 2017年 9月 12日

By Sam Stoddard

Sam Stoddard came to Wizards of the Coast as an intern in May 2012. He is currently a game designer working on final design and development for Magic: The Gathering.

 こんにちは、そして「Latest Developments」へようこそ……ええ、いや、それはもうやってないんでした。そうではなく、今回私はデベロップについてお話しに来たのですが、それは『イクサラン』のリード・デベロッパーの立場からです。しかしまずは、そのデベロップ・チームについてお話しします。

デベロップ・チーム

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エリック・ラウアー/Erik Lauer

 エリックは他のプロジェクトに移る前『イクサラン』初期の共同リードを務めていました。エリックは開発部で最も経験豊富なデベロッパーで、9つのブースター・セットをリードしてきました。彼は私のアイデアを精査し、このセットが成功するために適正な量の進捗をするようにしてくれるのでとても貴重な人材でした。


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デイヴィッド・ハンフリー/David Humpherys

 経験豊富なデベロッパーといえば、デイブは開発部で2番目に経験豊富なデベロッパーで、7つのブースター・セットをリードしてきていて、このセットを期待通りのものになるようにする上ですごく助けてもらいました。またデイブは極めて建設的なフィードバックを与えてくれ、セットが成功するために必要な次のステップを知っている点においても素晴らしい人物です。


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イーサン・フライシャー/Ethan Fleisher

 イーサンは『イクサラン』デベロップのほとんどのデザイン・チーム代理を務め、そして彼は『Core 2019』でリード・デベロッパーを務める予定なので、デベロップの過程をもっと学ぶためにここに来ました。イーサンはそのデザイン感覚をこのセットにもたらし、我々が部族を今まで見られなかった色に設定していても、それらが部族の特徴とカラー・パイのニーズに合うようにしてくれました。


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ヨニ・スコルニク/Yoni Skolnik

 ヨニがこのリストの他の人たちほど有名かどうかは分かりませんが、彼は一人前の素晴らしいデベロッパーです。我々が『イクサラン』に取り掛かり始めたときの新しいチームのメンバーの1人で、彼は問題を解決する答えを考え出し、起こる必要のある話し合いを確実にする素晴らしい能力の持ち主でした。


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ジェイムズ・ワイアット/James Wyatt

 ジェイムズ・ワイアットはこのセットのストーリー・チームのリードで、私は以前『イニストラードを覆う影』で一緒に仕事をしたことがあります。ジェイムズは素晴らしい物語を作り、我々が持つ物語の展開や部族がどのような雰囲気にならないといけないかに関するあらゆる種類の疑問に答えることができます。


 デベロップの後半に、我々はこのセットがリミテッドでバランスを保ちながら構築フォーマットで成功できることを確実にするために、プレイ・デザインから2名をこのチームに迎えました。

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メリッサ・デトラ/Melissa DeTora

 「Play Design」の執筆者であるメリッサは、プロツアートップ8を含むこのゲームのトップレベルでのプレイを数多く経験してきました。このセットでは、彼女はリミテッドで最も頼りになり、カードの強さやどのような種類の効果がこの環境を改善するかという観点から、数多くの素晴らしいフィードバックをもたらしてくれました。


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ピート・イングラム/Pete Ingram

 このチームに加わった時点で、彼はこの会社のかなり新顔であり、現実世界のスタンダードに関する最も深い知識を持っていました。加えて、ピートは何が上手くいって何が上手く行かないのかに関して一番懐疑的な立場を取ることが多く、そのことは私がカードをスタンダード向けになるために必要なところまで推す助けになりました。


 『イクサラン』を作る過程の終わり、会議を実際にやらなくなったころに、我々はスタンダードとセットの複雑さに関する我々の理念についていくらかの変更を加えることに決めました。我々が終えた仕事がこの周りのセットの変化するニーズに十分満たしていることをただ願うだけでなく、セットのファイルを再び開いて、我々が行いつつあることが分かっていた変更の一部を組み込むことにしました。

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アダム・プロサック/Adam Prosak

 アダムは彼がウィザーズに来る前から私の良き友人でした。私がアダムに最も感謝していることの1つは、彼が取り組んでいるセットの改善点を常に探していることと、問題を切り抜けるべきときに言葉を濁してはいけない場合を知っていることです。いくつかの大きな変更を行うためにわずか数週間しかなかったことを考えると、これはとてもありがたいことでした。


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アンドリュー・ブラウン/Andrew Brown

 アンドリューがこのチームに加入したとき、彼は開発部の一番新しいメンバーでした。ゲーム・デザインと最近のプロツアートップ8の経歴を持つ人として、彼は最高にクールなカードを構築フォーマットで楽しいものにすることを助け、このセットを新しいローテーション計画に合わせるための変更を素早く行う方法に関して、多くの素晴らしい案を持っていました。

部族をやり遂げる

 『イクサラン』は私がものすごく誇りに思うセットですが、また私がウィザーズでリードしてきた中で最も難しいセットでもありました。

 部族は、その動きについて話すのは簡単ですが、少なくともそれがセットを動かすテーマになっている場合には、実行するのはとても難しいものです。『イニストラード』は墓地メカニズムの上に部族を重ねていて、部族の扱いは少し軽めでした。『イクサラン』では徹底的にやろうとしました。

 しかし我々は、正しい部族を選んでその部族のクリーチャー数を最大限にする方が、その部族ではない強力なクリーチャーを使うかどうかの興味深い決断をするよりも基本的に強くなる、『ローウィン』のようなことは望まなかったので、「徹底的にやる」ことの定義は曖昧でした。

 同時に、我々は部族はあっても、たまにドラフトでやるかもしれない、ぐらいで主要なテーマではなかった『イニストラード』以上にしたいと考えました。

 これらの間には大きな隔たりがあり、我々は正確な中間点を考え出す必要がありました。私は我々がたどり着いたところには本当に満足しています。このフォーマットの大部分のデッキには相当数の部族シナジーがありますが、完全に部族か、全く部族ではないか、にはなりません。

 それでも、部族を適正なものにするには適正な数字にするよりも多くのことが存在しました。我々はまた各部族のデッキを横に並べてロードを出すだけのものとは違った、互いに異なる雰囲気のものにする必要もありました。

吸血鬼

 我々は吸血鬼に絆魂や他のライフを得る能力を与えるだけにもでき、それでも理論的には吸血鬼を白にすることはできたでしょうが、それでは新しいことを何もしていません。黒いカードでライフを得るのはいつものことで、頻繁に絆魂を持っています。

 ライフを得たり失ったりするアーキタイプにおいて我々が頻繁に出くわす問題の1つは、初期ライフが20なので、黒に強力なライフ獲得がなくても白は必要ないということです。その要素のいくつかがこのセットに残されている限り、私は白い吸血鬼を単に色が変わったバージョンの《夜の子》にするのではなく、より白いバージョンの吸血鬼らしく感じさせる方法を推しました。

 私が提案した答えは一部の白いカードにライフの支払いを許可することでした。我々は以前に何度も白黒のライフ獲得/喪失テーマを試し、そして私の考えでは、そのテーマの中で白が黒のできないことを何もしないために大抵失敗しています。確かに、白が役割を持つことを強制するためにセット全体で黒がライフを吸収したり得たりできないようにすることは可能です――しかし最初にライフを20点持っているので、ライフを支払うカードの多くは必然的にアグレッシブな黒赤デッキや似たようなものに入ることになるでしょう。

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 この部族をリミテッドで機能させるという点から見れば、これは征服者のテーマに良く合った、伝統的な横並べ戦略に最も近いものでした。吸血鬼を広く並べることで恩恵を受けるカードがいくつかあり、それに加えて絆魂を持つトークンから余分なライフを得るためのボーナスがいくつかあります。

マーフォーク

 構築フォーマットでのマーフォークを考えるとき、あなたは大抵マーフォークのロード(かなりの数があります)を複数と、いくつかの強力なカードを入れたデッキを思い浮かべるでしょう。これは素晴らしい構築フォーマットのデッキですが、楽しいリミテッドのゲームは作り出しません。十分な数のロードをこのフォーマットに入れるということはどうしてもできないのです。

 『イクサラン』のマーフォークはエレメンタルを操り、反応される前に飛び出したり逃げ出したりする卑劣な魔法の使い手として作り出されました。このセットのデザインとデベロップの結構な期間、我々は果敢をマーフォークと結びつけた主要なメカニズムにしていましたが、最終的には+1/+1カウンターを扱う(自分自身や他のものに置く)ものに変更しました。

 これに成果を上げさせるための素晴らしい方法は、ブロックしにくいが人々にモダンやレガシーのマーフォーク・デッキを思い起こさせるような部族シナジーを持つマーフォークを作ることです。事実、マーフォーク・トークンは呪禁を持っていて、望むならばカウンターやオーラを乗せることができます。

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 《川潜み》はそれ単体では深刻なタメージ・クロックにはなりませんが、毎ターンマーフォークを唱えるか、あるいはこれの上に+1/+1カウンターを置くものを1回使うことができればダメージレースで優位に立つことになり、乗り越えがたい状況からも妨害要素を使って勝利を得ることができるでしょう。《川潜み》はブロックされないので、海賊デッキにも上手く適応することができます。

 リミテッドの観点では、マーフォーク・デッキには他のマーフォークを永続的に少しだけ強化するクリーチャーがたくさんあります。自分のマーフォークに+1/+1カウンターを置く手段はかなりの数があり、ブロックが難しかったり他の強力な効果を持ったものを強化する助けになります。そして打ち消し呪文はこれを守るために使えます。

海賊

 『イクサラン』の海賊は2色だけではなく3色に存在するので、ゲームプレイという点では吸血鬼やマーフォークよりも深い部族です。これはつまり、我々はメカニズム的にもクリエイティブ的にも海賊の各派閥をさらに推し進めないといけないということです。

 この部族についてと、部族のシナジーを機能させる方法考えた場合、各部族にその部族の他のメンバーに対する方法の独自性を与えることは重要でした。海賊は海賊と群れるのは好きですが、お互いの成功に関して他の部族のような投資をほとんどしていません。海賊は全般的に自分自身を求めているので、海賊の部族ボーナスのほとんどは他の部族にありがちな、愛を周りに振りまくものではなく、ボーナスを持ったメンバーをより強くするものです。

 基本的にたくさんの海賊を束ねるのは束ねる側にとっては素晴らしいことですが、他の海賊にとってはそうではないかもしれません。海賊の船長がただ面白半分にあなたを船の外に投げ捨てようとしているわけではありませんが、もしその船が沈み始めた場合、お宝より先に何人か下っ端の海賊が捨てられてもおかしくはありません。

 彼らはみんな悪者というわけではありません。下劣で不快な壊血病の犬である海賊の流儀を身につけるのは簡単ですが、我々はまたいくつか楽しい海賊も求めていました。そして実際に、命知らずの決断をしてやろうとあなたが思える人が一人もいないようなら、海賊セットとは何なのでしょう?

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 《蠱惑的な船員》は冒険するために仲間に加わるよう誰かを説得できる連中の一人です。彼らは生き残るかもしれませんし、生き残れないかもしれません――しかし少なくとも話題にはなるでしょう。

 リミテッドでは、青赤海賊は強襲に焦点を当てる傾向にあり、黒赤海賊はいくらかのコントロールを奪って生け贄にすることを含んだ横並べ戦略で、青黒海賊は宝物に特化しています。ある程度色のペア間に重なる部分はありますが、それらはその色が何をするかを最もうまく表現していて、海賊の比喩も上手くできているので、我々はそれらの違いを気に入っています。

恐竜

 我々が『イクサラン』で恐竜をどうやって機能させるか考えていたときにオフィスで出たジョークの1つに、他の次元から来た知識のないプレインズウォーカーにとって恐竜はただの翼のないドラゴンだ、というのがありました。デザイン上の制約からすると、我々は恐竜をドラゴンと違うものにする方法を考えなければならず、単純に重いマナ・コストと大きなパワー/タフネスを使うことはできないということでした。恐竜には独自性が求められました。

 違いを付ける1つ目の方法は全ての形と大きさに恐竜を作ることでした。確かに、ティラノサウルスとドラゴンは見た目や機能の面で共通点がたくさんありますが、ブロントサウルスのようなドラゴンや、ヴェロキラプトルのようなドラゴンや、トリケラトプスのようなドラゴンはあまり見たことがありません。

 私がこのセットに取り組むに当たって、これは恐竜を全てのサイズと全てのマナ・カーブにいるようにするということでした。恐竜は2マナから8マナの間に存在し、そしてその中の小さなものは幼体である必要はありません――ただ生まれながらに小さな恐竜なのです。

 さて、一部の恐竜に便利なおまけやさまざまなサイズがあるだけでは、我々が恐竜のおいしい設定の1つを飛ばすことにしたということにはなりません。奴らは巨大で、愚鈍な殺戮マシーンなのです。恐竜はマーフォークのような魔法の使い手ではなく、吸血鬼のような組織構造や策略を持たず、海賊のように卑劣でもありません。その代わり、これらは頻繁に太陽帝国の強力で、獰猛で、容赦なく恐ろしい重装歩兵として運用されます。

 それを受けて、私はドラフトでパックから出すことができ、大きなアタッカーの1つになる恐竜を少なくとも1体は低いレアリティに持たせたいと思いました。それを踏まえて、《突進するモンストロサウルス》をご紹介します。

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 リミテッドの面では、それぞれの色のペアは恐竜に焦点を当てていますが、高い頻度で異なるものに焦点を当てています。赤緑は激昂に焦点を当てた最も伝統的な「加速してデカいのを出す」バージョンで、赤白はボーナスを得るために小型の恐竜と人間を使うことに特化していて、緑白はライフを得て飛行か可能な限り最大のクリーチャーで勝つ遅いコントロールです。

 お話できることはまだまだあるのですが、他の人のためにとっておかないといけません。皆さんが『イクサラン』をプレイするのを楽しみにしています!

 それではまたいつかお会いしましょう。

サムより (@samstod)

(Tr. Takuya Masuyama / TSV YONEMURA "Pao" Kaoru)

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