そっちのグリーンカードじゃなくて

更新日 Feature on 2006年 1月 12日

By Mike Flores

Michael Flores is the author of Deckade and The Official Miser's Guide; the designer of numerous State, Regional, Grand Prix, National, and Pro Tour–winning decks; and the onetime editor-in-chief of The Magic Dojo. He'd claim allegiance to Dimir (if such a Guild existed)… but instead will just shrug "Simic."

Translated by Yoshiya Shindo

 まずはクイズを。今日のスタンダードで最強の緑カードは?

Sakura-Tribe Elder
 君の答えが「神河物語の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》」以外だったら、君はここ一年半ばかりの構築マジックに注意を払っていなかったってことだ。気取らない、足の生えた……違うな……の並んだ《不屈の自然/Rampant Growth》は環境を走り回り、初登場の時点から《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》の突入を受け止めるアブソーバーとなりつつ御主人様のためにマナをそろえ、フォーマットの他のカードが過去のものとなっても未だに活躍し続けている。《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》は、森が満載の《ブランチウッドの鎧/Blanchwood Armor》攻撃型のデッキを満足させながら、同時に多色コントロールを可能にさせ、さらには二つの領域――時間稼ぎとマナ調整――のエキスパートであることから、コンボデッキにすら選択肢となり、《不朽の理想/Enduring Ideal》デッキから《花の神/Hana Kami》無限回転から《春の鼓動/Heartbeat of Spring》デッキまで、様々なトーナメントで勝ちまくっている。

 君が(本当の!)スタンダード最強緑カードの正解にたどり着けなかったとしても、おそらく他の素晴らしい緑カード、あるいは少なくとも半分は緑のカードを指定したことだろう……《制圧の輝き/Glare of Subdual》とかね。私の場合、もし《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を出さないとしたら、「今日の最強緑カード」として書くのは間違いなく《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》か、あるいは《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》だろう。

 何だって?

 このカードが緑カードじゃないって言うのかい?

 現在のゲームで最も時間を食う1マナのアーティファクトとか、曇り鏡のビクトリー将軍なんかはひどいぐらいに緑だと思うけどねえ。この美しき《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》は、まあ神河ブロックでは最強のアーティファクト――いいかい、ブロックだよ。かのどこにでも顔を出す《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》のいるブロックだ――なんだろうけど、こいつは特に大量のシャッフル効果を持つ緑のデッキのほとんどに特に入れられている。この手のデッキは上から下まで《遥か見/Farseek》とか《木霊の手の内/Kodama’s Reach》とか《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》とか《森の占術/Sylvan Scrying》とか《ウッド・エルフ/Wood Elves》で埋め尽くされてるんだ。確かに《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》は緑枠でもないし右上にちっちゃな森のアイコンも無いけど、まあ私のいうことを信じて欲しい。この独楽は“名誉緑カード”のメンバー……えーと……カードをポケットに忍ばせているのさ。それじゃ、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》はどうだろうか?

 悪魔がこれまでにたびたび繰り返してきたいかさまは、自身が存在しないと世界に確信させることであり、先割れの槍を抱えた堕天使を狩る鋭い眼差しの聖騎士がいなければ、割れた蹄のトラブルメーカーは好き勝手に傀儡遊びを楽しめるわけだ。同様に、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》も仮面舞踏を気取り、青枠のそっけない見せ掛けの影に隠れ、《変異種/Morphling》クラスの5マナ飛行クリーチャーは森なんかの上で羽ばたかないんだと我々に確信させたんだ。まあ確かに、世の中には一つ二つ青ベースのデッキで、土地を一、二枚手元に戻してはイリュージョン・トークンを生み出しているデッキもあるにはあるけど、ルーエル兄のサイカトグのサイドボードなんかに比べ、世の中のどれだけの数の《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》が、そこらじゅうにいる《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》やそのお仲間の《極楽鳥/Birds of Paradise》、あるいはとんでもなくレベルの下がった《桜族の斥候/Sakura-Tribe Scout》なんかの力を借りて、1ターン早く――あるいは2ターンも早く――登場する状況にいるだろうか?

 この手の緑カードは、君が最初にページの角を折っておぼえた基本セットのルールブックに書いてあったかい? 《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》は、容赦ない《Berserk》や、ほとんどの人が攻撃的な2マナクリーチャーの中でも歴代最強と呼んでいる《野生の雑種犬/Wild Mongrel》なんかの緑色の兄弟に見えないかい? 緑使いは攻撃をブロックしてライブラリーをシャフルし、上から3枚見てはまたシャフルし、最後には土地を一枚とか二枚引っこ抜いては更なるブロッカーを並べてきたりはしないかい? 白と組み合わさったときの緑はどうだ? 《はぐれ象/Rogue Elephant》の末裔が《怨恨/Rancor》の子孫を背負っているのが、相手のクリーチャーがタップされるだけで戦場に行きつくこともできないとか? そんな臆病で根性無しの、うっとうしい儀式を戦闘前に仕掛けてくる青――憎むべき青――は、アルファ版の時代から緑の敵じゃなかったのかい?

 私個人的は、神河物語のプレリリースで初めて《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》を見たとき以来、こいつに惚れている。言ってみれば、戦術的構成における緑の中産階級化は、この色自身をここ数年最強だった青の対抗馬にまで押し上げてきた。パット・チャピン(Pat Chapin)が最近私に語った見解によると、《壌土からの生命/Life from the Loam》――これまた華やかな新型の緑カードだ――は強さレベルでは《ネクロポーテンス/Necropotence》にまで匹敵するんだそうだ!

 信じようと信じまいと、緑使いの中にはここ数年のこの色の方向性に納得いかない人々がいるらしい。彼らにとって、《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》と手に手を取って活躍する《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》が《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》への道を加速するのとか、《壌土からの生命/Life from the Loam》を《孤立した砂州/Lonely Sandbar》や《やせた原野/Barren Moor》と組み合わせてものすごい枚数のカードを引いたりするのは、色の基本的な価値に対する裏切りなんだそうだ。彼らの信じるところによれば、緑は攻撃の色だ。デカいクリーチャーを軽めのマナ・コストで出させてくれ、ってとこらしい。へばりつく帷をぶち破る武器を、空飛ぶ1/1の《天空のもや/Ethereal Haze》を吹き飛ばす力をくれ。緑の怒りを助ける仲間を教えてくれ、って話だ。

 そんなプレイヤーにとって、緑と組み合わせて適切なのは、器用な状況操作でも回避能力持ちのインテリでもなく、むしろその対極にいるものだ。グルール一族によれば、緑のプレイヤーはその手の道具を切り落として、序盤から出てくる暴力的道具を組み込むべきだそうだ。

最初にこのカードを見たとき、私は理解できていなかった。何でこんなのを使わなくちゃいけないのか? 《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》の第一印象は、《Juzam Djinn》と同じような感じだった……3マナでそこそこの3/4クリーチャーなら使わないことはないけど、どちらも能力の被害を受けるんじゃないか、ってね。在りし日に《Juzam Djinn》が命じた危険な伝説にもかかわらず、たかが両方に効く能力を弱点として持つ程度では、たとえ3マナ3/4としても、《番狼/Watchwolf》や《素拳の岩守/Iwamori of the Open Fist》が同じフォーマットにいる状況では十分じゃないように見えたんだ。

 問題は、私が緑使いとして間違った考えをしてたってことさ。

 《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》は《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》とか《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》とか、あるいは――伝統的な(“ボロス前の”)白と赤との敵対をおぼえているだろうか――《制圧の輝き/Glare of Subdual》のような“緑”カードのように、ほとんどのプレイヤーが緑的なカードとして名前を挙げるものすらを嫌悪している。《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》にとって、緑は人々をぶん殴る色なのだ。このコラムで長々と語ってきたカード――《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》自身をも含む数枚のことだが――はグルール一族が人々をぶん殴るのを防ぐほうのカードだ。《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》はブロッカーに止められることに飽き飽きしている。殴れるときにタップされることに飽き飽きしている。攻撃的コストのクリーチャーが戦場に突入できないなら存在意義は何なんだ? 臆病者はその報いを受けるときだ。もちろん、ライフでだ。

 確かに《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》は《制圧の輝き/Glare of Subdual》でタップされてしまうだろうが、その結果としてライフを奪い取ってくれる。彼が(間違った道に進んだ)《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》やイリュージョン・トークンを踏み越えていくことは無いだろうが、それでも1点ずつ、彼は自分の存在を主張し、だんだん攻撃型が生きていくことの厳しくなっているスタンダード環境で、ビートダウンに戦うチャンスを増やしてくれるんだ。ゲームをより広い視点から見れば、彼の存在は大きい。

 《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》が場にいれば、グルール系のビートダウンが《サイカトグ/Psychatog》の致命的な攻撃にさらされることはほとんどありえなくなる。ビートダウンデッキは大抵の場合《サイカトグ/Psychatog》デッキにリードを――大抵はかなり大きいリードを――もってゲームを進めていくが、そこからありがたき《嘘か真か/Fact or Fiction》からの《不可思議/Wonder》でひっくり返されてしまうのが常だ。しかし、《サイカトグ/Psychatog》が+1/+1するたび、ゲーム中最強のクリーチャーが起動を行うたび、《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》は(ただちに)それに見合ったポイントを与えるんだ……。20点食っても生きてたらお慰みだ。確実にバーンを抱えているデッキにとって、《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》と《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》を使うデッキ以上に怖くないものが何かあるだろうか?

 様々な対立、あるいはエクステンデッドにおける言うまでも無いチームメイトの《野生の雑種犬/Wild Mongrel》の存在にもかかわらず、《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》は自分の落としどころは心得ている。彼はマナ野力には悪さはしない……真のマナ能力に対しては。彼は伝統的な緑の根幹にのっとってアドバンテージを得ることを望んでいる。すなわり、1マナのマナ加速である。彼は2ターン目の登場を望んでいるし、そうなると3/4は非常に強力だ。しかし、ほとんど青い《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》が出てきたら? おそらくは、《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》はスタンダード最強の緑カードにも利くだろう……しかし、同じターンに登場するとしても、こいつは《炎樹族のシャーマン/ Burning-Tree Shaman》に対して1点ダメージ以上は何もしてこないのだ。

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