材木襲来

更新日 Latest Developments on 2005年 1月 14日

By Paul Sottosanti

Translated by Yoshiya Shindo

 皆さんは僕の手から逃れたと思ってたかもしれないですけど、そうはいかないんですね。アーロンはお休みを取っているので、コラムを書くという重責が僕のところに回ってきたんです。うまいこといっていたら、僕はお手軽デッキ のコラムで、オンスロートの《謎めいた門/Cryptic Gateway》と神河物語の5体のドラゴンを組み合わせた「竜の門」デッキを紹介してたところなんですけどね。

 しかし今回は、無駄に長い情報の日じゃなかったみたいです。

 皆さんがここにきている理由もわかってますし、ここでとっとと物を見せないと、すぐにスクロールして下に行っちゃうってのもわかってます。なので、すぐいってしまいましょう。

 いいですねえ。

 「源獣」は神河謀叛に登場する6枚のカードのサイクルで、土地の精霊が生命を得て恐ろしい怪物になったことを表しています。この精霊が1体戦いに敗れても、それは同じタイプの新たな土地へと移って生命を得るのです。カードを見てもらえばわかると思いますが、こいつは根性無しの樹の精なんかじゃありません。こいつは森全体が立ち上がって、目の前にあるものすべてをなぎ払っているのです。

源獣の歴史

 このカードは当初、マイク・エリオットによる以下のようなカードとして生を得ました。

森の精
2G
エンチャント(土地)
GG:ターン終了時まで、エンチャントされている土地はトランプルを持つ4/4のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

 その二ヵ月後、チームのもうひとりのメンバーのランディ・ビューラー(彼のことは聞いたことありますよね)が、このカードを5/5のトランプルに変更しました。これ以上の変更は入らなず、このカードはそのまま調整チームに回ってきました。

 チームのメンバーはヘンリー・スターン、デヴィン・ロウ、ランディ、私で、後にランディが定例会議に参加できないとなって以降、マット・プレイスが入ってきました。そうなんです。神河謀叛は私が公式に参加した初めてのマジックのチームで、私の力を私が長いこと好きだったゲームを形作ることの機会を得たのです。

 我々はまずは伝統に従ってファイルのカードを1枚ずつやっつけていったのですが、そこで初めて源獣が出たときに、我々は全部の源獣をホワイトボードに書き、サイクル全体が見えるようにしました。以下はその一覧です。

平地の精
W
エンチャント(土地)
W:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は0/4のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

島の精
1U
エンチャント(土地)
1U:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は飛行を持つ2/2のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

沼の精
1B
エンチャント(土地)
2B:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は畏怖を持つ3/3のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

山の精
2R
エンチャント(土地)
1R:ターン終了時まで、エンチャントされている土地は4/2のスピリットとなる。エンチャントされている土地が場を離れた場合、[カード名]という名前のカードをあなたの墓地から手札に戻す。

 私たちがすぐに気がついたのは、例えば皆さんが森に[沼の精]をくっつけて街までお出かけすることが可能だってことが気に入らないという点でした。これはイメージ的に間違っている,気がしたしたので、我々はそれぞれを特定の土地にしかエンチャントできないことにしたのです。

 次に我々が同意したのは、マナ・コストは白のやつがいいってことでした。マナが1個だけなら源獣は簡単に打ち消し呪文をかいくぐることができますし、起動にマナがかかることで、初期のコストが軽くても強力な数値を与えることができるようになるんです(白のやつの数値は強いとはまったく言えないですが、それについてはまた後ほど)。さらに我々は、特定の土地にしかエンチャントできない事実がすでに色制限となっていることから、起動コストを無色マナ2個に統一することにしました。

 その後、我々は個別のカードをまとめ、理路整然とした数値と能力の組み合わせにすることでサイクルを興味深いものにし、それぞれの土地が持つイメージをそのまま持つようにしたのです。《香杉の源獣/Genju of the Cedars》に関して言えばトランプルは適切に思えましたが、最終的に緑のものには能力がいらないということに決めたのです。その“能力”は特段に巨大であることであり、我々はトランプルを除いてクリーチャーの数値を5/5にしたのです。

 それ以外の変更として、私たちは誘発条件を土地が墓地に行ったときに変えました。こうすることでテンプレートはより明確になり、プレイヤーは手札戻しなどでこれに対抗する新たな手段を得るのです。ということで、以下のようなカードが出来上がりました。

森の精
G
エンチャント(森)
{o2}:ターン終了時まで、エンチャントされている森は緑の5/5のスピリット・クリーチャーになる。それは土地でもある。エンチャントされている森が墓地に置かれたとき、[カード名]をあなたの墓地からあなたの手札に戻す。

 まあ、見たとおり、これは当初のものにかなり近いですね。最後の変更は、以下のマルチバースのコメントを見ていただきましょう

 (注:私がここで働く前までは、私がここのコラムで好きだったのはマルチバースからの引用でした。まあそんな人は私だけだったのでしょう。でも、みんなが私みたいだったら、できるだけこの新たな優位を悪用していくでしょうね。)

AF 3/12: こいつは4/4が正しいと思うな。5/5だとしょっちゅう「ゲーム終了」って気分になるよ。
ps 3/12: 確かにこのカードはばかげている。4/4がいい線だという点は同意。
HS 3/15: 4/4に下げた。

 このカードは攻撃型の緑デッキにおいて強すぎることがわかりました。マナ加速が無い状態でも、これにより速攻の5/5クリーチャーを4ターン目に出すことができますし、そういったデッキが源獣を出し続けることはそんなに難しいことではありません。なんとかして相打ちに持ち込んでも次のターンには出てきてしまいますし、すぐに捨てブロックも尽きて死に向かっていくことになるでしょう。私たちは数値を4/4に下げることにしました。それでもこのカードは非常に強かったですが、まだ何とかなりそうな気がしたのです。

 そんなわけで、《香杉の源獣》が誕生することとなりました。

 さて、白の話もする約束でしたよね。

HS 2/9: すべてのスピリットに関してコストと能力を修整。統一と調整を行おう。
MP 2/24: ほぉ!
BD 2/26: もう、そう? どうしよう?

 へへっ。ご覧の通り、私たちは時々馬鹿っぽいことをしますけど、マット・プレイスが最初にこのカードを見たときのコメント(彼はこれまでチームに入っていませんでした)の台詞は、まあ感想の率直なところでしょう。このカードはその後の調整の間も代わりませんでした。なので、皆さんのお手元に届くのは、0/4よりはもうちょっといいカードだと思いますよ!

セットの調整

 私が仕事をしていく中で一番びっくりしたのは、様々な変更のすべてに関して行われる考察の量や、ここのチームが考慮する要素の種類のものすごさです。これは信じて欲しいのですが、あなたがどんなカテゴリーのプレイヤーであろうと、どんな些細な点を重視するプレイヤーであろうと、チーム内の誰かが何らかの視点であなたのために戦っているはずです。セットをまとめるのは誰でもできると思っている人もいるかもしれませんが、実際ここにいる人はそのための経験をものすごい積んでいます。彼らが仕事をするのを見ればわかるでしょう。私は彼らの言うことすべてに同意するわけではない(事実、開発部における議論はもう伝説となっています)ですが、私はそれに敬意を表していますし、その進行の中から多くを学んでいます。

 また、神河謀叛の中には私のカードも若干入っています。それがどんなものかは(まだ)言えないですけど、神河物語に入った私の2枚のカードが、最近になってドラフトで 20 点のダメージを与える方法以外で勝利することで注目を浴びていることに、感動を隠し切れませんね。私がウィザーズ社で仕事を始めてまだ間もないころ、連繋呪文のデザインの支持が出て、私も何枚かのカードをデザインしました。そのうち2枚、《思考の鈍化/Dampen Thought》と《蝋燭の輝き/Candles' Glow》が生き残ったのです(もっとも、後者は[ダメージ吸収]と言うカードで、当初はダメージを2点軽減するだけだったのですが、ありがたいことに調整リーダーのブライアン・シュナイダーの目に留まり、もっと強くなったんです)。とにかく、私のカードが世界中で勝利に貢献していることはうれしい限りです。

おまけのマルチバース

 さて、今回のコラムは私が担当なんですから、あとでアーロンの得意技を拝借して、ファイルを眺めている中から見つけた色々をお分けしましょう

 (まあ、私はそれが面白いと思いましたし、みんなも私と同意見でしょう。ですよね? なら、そいつを悪用させてもらいましょう)。

AF 4/27: リミテッドじゃ、こいつは「X, T:対象の対戦相手にX点のダメージ。」みたいなプレイのされ方をされちゃうよ。
ps 4/28: 元々そういう意図が無いカードだとしたらそうかもね。
WW 4/30: ポールの意見はまったくもって正しいね。

Del 5/7: 《哀れみの壁/Wall of Tears》が強すぎるって意見があったのは面白いね。そもそもテンペストブロックに強すぎないものなんか無かっただろう? (・∀・)
bs 5/11: 《森の賢人/Wood Sage》はまあまあだと思うんだけどね。
PB 5/24: いやあ、あれもぶっ壊れてたよ。

WW 4/6: 無用の逸話的データ:こいつは俺がここしばらく見てきたどのカードよりも多く相手を投了に追い込んだぞ。

 そして、イラストの質に関する某氏のコメント。

4/30: すんごい。ジョン・エイヴォンに土地を描かせたら右に出るものいないね。

 そうですね。確かにいないね。

もうひとつおまけ

 以下は神河謀叛に関して、あったかもしれないしなかったかもしれないことです。

  1.  [第二案] というニックネームで調整に回ってきた4マナのカードは、途中で6マナになり、7マナになり、8マナになり、さらにやる気のあったテストプレイヤー数名のおかげで10マナになってしまいました。
  2. ある時期、攻撃クリーチャーを手札に戻す代わりに生け贄に捧げなければいけないゴブリンの忍者がいましたが、忍者が赤から外されたことで却下になってしまいました。
  3. ヘンリー・スターンは会議で、後にマルチバースのコメントで予言をしました:ある種のコモンの、で1/1でどう見ても並みの能力のカードはブロック構築に入りえるんだそうです。
  4. 一時期、忍術のコストはかなり過激で、そのため「忍和」と呼ばれるデッキがフューチャー・フューチャー・リーグにおいてトップクラスでした。これは《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》ベースの親和デッキに軽い忍者を何枚か仕込んだものです。
  5. 青にマナ加速を与えるクリーチャーが調整を抜ける寸前まできましたが、最後の最後で脱落しました。
  6. 調整チームは白ウィニーを強くする方向に向かわせようと、白のレアに《ハルマゲドン/Armageddon》を追加しましたが、10日ほどでテストプレイヤーから反対意見が上がってきたことで、セットから排除になりました。
  7. このセットの中には、現在のスタンダードにおいて1ターンキルの可能性が否定できないために途中で何回も落ちそうになりながらしぶとく生き残り、そのまま今でも残っているカードがあります。

 今回はこれで終わりです。それではまた来週(か来月か来年にでも)。

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