《梅澤俊郎》

更新日 Feature on 2005年 1月 12日

By Adrian Sullivan

Translated by Yoshiya Shindo

 今回のプレビューカードはものすごく面白い。その名は《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》と言い、信じがたい力を持つ伝説の悪者だ。今週のレイ・ナカザワの特集記事を読んでるんなら、この人物がどうして特別なのかはわかってもらえるだろう。実際にそのカードがどんなものなのかを見れば、この人物がどれだけ尊敬に値するかをより理解してもらえるだろう。

 今まで magicthegathering.com のコラムニストが受け取ってきた様々なプレビューカードの中でも、こいつは最高にぶっ飛んでいる。どうしてこのプレビューカードの担当が私になったのかはよくわからないが、そんな予感はしていた。スコット・ジョンズは私のことをよくわかっているし、彼は私がこれまでに、《梅澤俊郎》によく似たとあるカードでいくつものデッキを作ってきたことを知っているのだ。

Yawgmoth's Will

 《梅澤俊郎》はおそらく歴代の《ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will》を復活させようとしたカードの中でも一番近いもので、私は彼の名前が「Yawgmoth's Will」のアナグラムじゃない点に驚きを隠せない。《梅澤俊郎》には多くの力が隠されているが、このカードが実際に動くようにするためには、いくつかのものが必要になってくるだろう。墓地にはインスタントを置かなければいけないし、相手のクリーチャーも殺さなくちゃいけない。今回はこの二つの問題に取り掛かることにする。まずは後入れ先出しの原則にしたがって。

英雄と野獣

 《梅澤俊郎》は血に飢えた侍の一人だ——彼は何かが死んだときでなければ、君に力を分け与えてはくれない。相手に殺すべきクリーチャーがいるならこいつは素晴らしい。即座にそいつらを殺しにかかればいいんだから。しかし、簡単に死にそうにないクリーチャーを相手が出したいと思った場合はどうしたらいいだろうか? さらに、もっと恐ろしい考えだが、相手のデッキにまったくクリーチャーがいないとしたら? ありがたいことに、世の中にはその辺を回避してくれるカードがある。

 最もわかりやすいカードは、おそらく最近のタイプ1でよく見る例のカードだろう。《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》だ。《禁忌の果樹園》は、この目的のためには様々な理由で素晴らしいカードだ。土地であるがゆえに、その能力はめったに打ち消されない。さらに、このカードはクリーチャーをタダで、実質いつでも生むことができる。そして、《禁忌の果樹園》のどの色のマナでも出すことのできる能力は、簡単にデッキを3色以上に広げられる点において素晴らしく使いでのあるカードとなるだろう。

Varchild's War-Riders
 これよりもうちょっと劣る(が十分に強い)カードが《Varchild’s War-Riders》だ。《Varchild’s War-Riders》が使われているのを初めて見たのは、もう何年も前の、1996 年 11 月のスタンダードのトーナメントだった。賞金は $1,000で、人々はあらゆる場所からこの活気のあるトーナメントに参加していた。そのトップ8に入ったゲイリー・ノーロッキは、山ほどの焼き呪文と恐るべき《Varchild’s War-Riders》の入ったデッキを使っていた。デッキ自体はかなり地雷っぽかったが、見た目信じられないほど強く、友人のブライアン・コワルと私は、エリック・“恐竜”・テイラーに我々がこのカードにほれ込んでいることを信じさせるために、色々と面白いことになってしまっていた。正直な話、私はゲイリーのデッキにおける《Varchild’s War-Riders》はいいカードだと思うが、今日においてすら我々が《Varchild’s War-Riders》の話を持ち出すのは、ネタにしようとするときだけだ。戦場の乗り手だぜ! うぉーらいだーだぞ!ベロベロバーってなもんだ。《Varchild’s War-Riders》に関して言えば、こいつはかの“ランページ”能力を持っている(いわゆる“真剣にひどい武士道”ってやつだ)。累加アップキープで相手に1/1を与えることになるが、相手にクリーチャーが出ることは何の問題にもならないだろう。

 これらの他にも選択肢はあるが、そのほとんどは単純に言ってこの2枚に届いていない。《潜伏工作員/Sleeper Agent》が引き起こす面倒は価値が無いだろう。《冥府からの誕生/Infernal Genesis》はとんでもなく重いが、まあありえない話ではない。残念なことに、君は相手のところに出るクリーチャーの数について計画的にいけないし、その結果状況がまずくなる可能性もある。《Phelddagrif》やその兄弟の《探索するフェルダグリフ/Questing Phelddagrif》もいい仕事をしてくれるが、一方で死ぬほどの異なるマナ色の心配をしなくちゃいけなくなる。《禁忌の果樹園》を1、2枚入れるのが確実だろう。

大虐殺

 さて、クリーチャーは出た。となれば殺さなくちゃいけない。しかしこの命題の面白いところは、ほとんどのデッキはそもそもクリーチャーでっきとあたるに違いないと決め込んで、すでにデッキにクリーチャー除去を仕込んである点にある。それ以外のデッキの多くは、さまざまな戦略を用いてこの問題を回避する方法をとっている。しかし、《梅澤俊郎》の場合は何かが殺されないと満足できないので、血を流す方向で行かなくちゃならない。となると、かなりの枚数のインスタントのクリーチャー除去を入れるか、何か場に出っぱなしになっていてクリーチャーを殺してくれるものが必要になる。

Culling Scales
 クリーチャーを殺し続けていくものとなると、選択肢は山ほどある 《Drop of Honey》や《選別の秤/Culling Scales》はクリーチャーをゆっくりと、一定のペースで殺し続けていってくれる。特に《選別の秤》は、《梅澤俊郎》がなくてもそこそこの働きをする使い勝手のいいカードだ(あまりにも使い勝手がいいものだから、コラムCulling Scalesを一本書いてしまっている)。他にも《拷問室/Torture Chamber》や《花崗岩の破片/Granite Shard》や《呪われた巻物/Cursed Scroll》なども悪くないが、これらで何かを殺すにはマナが必要だ。何かを殺すときにコストがかかるとなると、能力により使えるインスタントが制限されてしまう分、問題となりかねない。

 クリーチャーをどうにかする分には、効果的なカードはごまんとある。《火花鍛冶/Sparksmith》や《投火師/Fireslinger》などは非常に軽いが、ライフが減ってくるとその分対処しなければいけない数が増えてしまい、問題となってくる。しかし、一方でありがたいのは、これらは非常に軽く、すぐに場に出てくることだ。ダメージ発射と言う点においては《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》が抜きん出ている。こいつは場に出た瞬間から撃ち落としモードに入るのだ。私のお気に入りカードの一枚である《熟達の戦士ジェスカ/Jeska, Warrior Adept》もいい選択肢である(おまけにこいつは伝説のクリーチャーだから、《梅澤俊郎》と《緊急時/Time of Need》の組み合わせと相性がいい)一方で、《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》はよろしくない。こいつは起動が重いだけじゃなく、殺したクリーチャーをあの世ではなくゲーム外へ送ってしまうのだ。そして、最高の選択肢はおそらく速攻のやつじゃなく、非常に強力な《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》だろう。ひとたび起動されれば、こいつはデッキ内のありとあらゆるものを倒してしまう。すでに相手にクリーチャーを渡す方の計画はできていて、それも《ゴブリンの名手》にとってはメリットだ。驚くなかれ、2体の《ゴブリンの名手》と《Varchild’s War-Riders》のコンボがあれば、ほとんどあらゆるものを「火の玉」式になぎ倒すことができるのだ。

 一つずつ撃ち落としていく他にも、一掃系のものもある。《針蟻/Fire Ants》はいつでもタップすることで自分以外のあらゆるものに1点のダメージを与えることができる。相手のクリーチャーを一度に大量に倒せば、《梅澤俊郎》もたくさん誘発し、大量のインスタントを一度に使う機会を得ることになる。もう少しマナがあれば、同様のテクニックが使える、3/3ともう少し大きい《地の底の精霊/Subterranean Spirit》でもいいだろうし、こいつならプロテクション(赤)は折込み済みだ。呪文に話を移すと、《星の嵐/Starstorm》や《Holy Light》などはウィニーのクリーチャーを大量に殺しつつ、《梅澤俊郎》の能力を後に使う際の対象も与えてくれる。

 これらのインスタントを別としても、何かを殺すカードならうまくいくだろうし、それがインスタントならなお良い。こいつがうまいこと相手のクリーチャーを除去したら、《梅澤俊郎》が誘発する。《ショック/Shock》、《悪魔の布告/Diabolic Edict》、《破壊の標/Beacon of Destruction》、《稲妻/Lightning Bolt》といったカードは物事を回すための燃料であり、焼き尽くすための火力でもある。いくつかのインスタントがすでに使用済みなら、何か除去をプレイすることでイカレた《Chain Lightning》あたりを使いまわし、さらに墓地から再利用可能なカードを引っ張り出すといいだろう。

 一方で、クリーチャーは通常の使い減り(戦闘とか)でも死んでいくので、こいつも手段としては悪くない。同時に、相手はクリーチャーを先頭に送り込みづらい状況に押しやられ、欲求不満がたまっていくことだろう。何かが死んだときの墓地がこれほど恐ろしいとは!

正しいタイミング

 世の中にはものすごい枚数のインスタントがある。事実、これまでに897種類ものインスタントが作られている。ありがたいことに、どのインスタントが使うに値するかを調べるためには、全部のインスタントを見るには及ばない。見つけるための簡単なコツがいくつかある。

 軽いもの――クリーチャーはありえないタイミングで死ぬこともある。こいつは人生における真実であり、頭にくることでもあるが、その瞬間のために準備をしておかなくちゃいけない。君がの手元に軽いインスタントたくさんあるなら、準備ができているということだ。一つ把握していなくてはいけないのが、相手のクリーチャーが死んだときに、《梅澤俊郎》の能力の適切な対象となるインスタントはすでに墓地になければいけないということだ。対象の選択は、誘発した能力がスタックに置かれるときにしなくてはいけない。

 殺しまくれ——すでに触れてきているが、インスタントの除去は優秀だ。《梅澤俊郎》の能力は血を見ることで動き出すので、殺しのためのカードは、能力を誘発する元として、また彼の能力の対象として、優秀なカードとなる。

 より深く——ライブリーを掘り進めるカードは、それがカードを探すものであろうと引くものであろうと、この場合は通常より優秀である。基本的に、この手のカードは共にデッキのキーとなるものを見つけるためのものであり、その中にはさらに掘り進むためのインスタントなどが含まれる。さて、ここまで来ると、君たちの中にもかつての“殺人的”アイデアに思い至った人がいるんじゃないだろうか。

墓穴深く

シュトゥーラ・ビンゲン、GPコペンハーゲン(2000) インスタントを墓地に送り込む方法は、三つのカテゴリーに分かれる。自然型、加速型、積極型だ。

 自然型のいい例は、マイク・フローレスの「きしむ車輪」デッキで(Dojo 時代の文章を見たければここへ)、ノルウェーの我らが友、シュトゥーラ・ビンゲンのプレイングで好成績を収めた。基本的に「きしむ車輪」は赤黒の《ヨーグモスの意志》デッキで、カードを引きながら墓地を埋めてそれをプレイするものだ。若干のサイクリングを除いては、積極的にカードを墓地に置くことはしない。そこには自然に積みあがっていくのだ。

 で、この車輪を加速させていくと、加速型のデッキになる。この例となる私のお気に入りのデッキは、当時マイク・ドネとシェイヴ・ネヴィルによってデザインされた「はぐれ陰謀団」デッキだ。ブライアン・コワルはそのデッキを磨き上げ、後にウルザのエクステンデッドの初期の段階でこれを使い、デッキも実にすばらしい動きをした(ただし、ウルザズ・レガシーの発売までの話)。参照のために、リストを掲載しよう。

「間に合わせ」(このデッキは真剣に何もする気が無いのでこう呼ばれた)
4 《ウルザのガラクタ》
1 《ファイレクシアの炉》
3 《強迫》
3 《Hymn to Tourach》
3 《葬送の魔除け》
3 《稲妻》
2 《秘宝の防御ルーン》
2 《剣を鍬に》
3 《衝動》
3 《呪われた巻物》
3 《鋼のゴーレム》
4 《ヨーグモスの意志》
3 《モックス・ダイアモンド》
3 《暗黒の儀式》
4 《Badland》
4 《Scrubland》
4 《地底の大河》
2 《湿原の大河》
2 《宝石鉱山》
4 《ミシュラの工廠》

SIDE:
2 《解呪》
4 《紅蓮破》
2 《ファイレクシアの炉》
2 《マンガラの祝福》
2 《水流破》
1 《剣を鍬に》
1 《強迫》
1 《Hymn to Tourach》

 このデッキは《ウルザのガラクタ/Urza's Bauble》と《衝動/Impulse》でより深く掘り進み、それによって《ヨーグモスの意志》のためのカードを見つけつつ、さらに深く掘り進んでいく。この目的で使えるその他のカードは、《渦巻く知識/Brainstorm》、《嘘か真か/Fact or Fiction》、《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》などだ。

 最後に、積極型だ。やりたければ《トレイリアの大海蛇/Tolarian Serpent》や《心の傷跡/Traumatize》でドカドカいってもいいんだが、よりまともな方法は、《留意/Mental Note》、《直観/Intuition》、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》などだ。こうすれば、自分の墓地に特定のカードを埋めつつ、カードを手にすることができる。さらに、他の方法とは異なり、これら自身も再利用可能なインスタントなのだ。

まとめ

 このカードを使うやり方は数多くあるが、今回は“間に合わせ”をそこはかとなくベースにして進めていこうと思う。願わくば、若干のカナダ人以外にも、このリストが面白いものであることを。これは新しいレガシーのフォーマットのものだ。お試しを。

間に合わせの遺産
4 《梅澤俊郎》
4 《汚れた契約》
4 《稲妻》
4 《葬送の魔除け》
1 《熟達の戦士ジェスカ》
3 《ゴブリンの名手》
4 《暗黒の儀式》
4 《税収》
4 《マグマの噴流》
3 《呪われた巻物》
2 《剣を鍬に》
3 《モックス・ダイアモンド》
3 《禁忌の果樹園》
1 《反射池》
4 《Plateau》
4 《Scrubland》
4 《Badland》
4 《血染めのぬかるみ》

 基本的には、このデッキは若干加速型に属し、《税収/Tithe》、《マグマの噴流/Magma Jet》、《汚れた契約/Tainted Pact》などでデッキを掘り進む。ありがたいことに《暗黒の儀式/Dark Ritual》が有効なので、君は《梅澤俊郎》を非常に素早く悪用できるようになるだろう。度胸があるなら、《梅澤俊郎》を1枚と若干のカードを抜いて、《Varchild’s War Riders》1枚と若干の《吸血の教示者/Vampiric Tutor》を入れることもできる。《稲妻》、《マグマの噴流》、《葬送の魔除け》はピンポイント型の除去であり、また《葬送の魔除け》は手札捨ても若干になってくれる。《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が入っているのは、時として真剣に何かを排除したいことがあるだろうからだ。たとえこいつでは墓地に行かないとしてもだ……。

 さて、ここで質問。

2週間後に、デッキチャレンジのテーマとして《梅澤俊郎》を使うべきか?はい いいえ

 集計は来週だ! それではまた!

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