謀叛の傷跡

更新日 Feature on 2005年 1月 10日

By Rei Nakazawa

Translated by Yoshiya Shindo


Art by Wayne Reynolds

 物事がこれ以上悪くならないなら、現状も悪くなんかないのでしょう。この事実は、 神河 の人々の方がよく分かっていることです。彼らは神の怒りと戦わなくてはいけない事態になっていますが、新たな軍勢がそこに加わってきたとき、世界は本当に大変な事態へと落ち込んでしまうのです。しかし、だからといってその争いの中から生まれてくる素晴らしいカードを楽しんじゃいけないという道理は無いですよね。 神河謀叛プレビューページでは、神河物語プレビューページに掲載された短編ストーリーと小説の「無頼の徒」から続く短編ストーリーが紹介されています。前回も素晴らしいストーリーが掲載され、反響もなかなかのものでした。今回も要注目ですよ! でもまずは、これらの物語の背景を知っていかなくちゃいけないでしょう。というのも、事態は深刻な変化を示してきているからです。

 神河謀叛では神の乱の物語の続きが語られていきます。主人公たるアンチヒーロー、梅澤俊郎 はプレイヤーの注目を浴びることになった。なんと言っても、マジック界において、ここまで自分勝手でずるがしこく、それでいて魅力的な主人公はなかなかいなかったですからね。今田魅知子 だけではなく皆が魅了されるのはおかしくないはず。彼がマジックの物語の「英雄」として初の黒いカードになるというのも、驚きには値しないでしょう。しかしまあ、カードはもう少し後の話になります。

 我々が前回神河を訪れたとき、すでに戦いは数年間に渡って続いていました。しかし、そのバランスが決定的に代わろうとしているのです。俊郎と魅知子による神の乱の大元を探す旅は続いていますが、それぞれの理由はちょっと違っています。彼らは、いまだに永岩城 の奥深くに潜んでいる大名今田 と彼が必死で守っている秘密が、この混乱に何らかの深い影響を与えていると信じています。日和見主義の空民 は次の一手をあれこれと練っていますが、それは争い全体に重大な事態をもたらすでしょう。

 神の乱には大きな変化がありますが、その理由は我らが友の俊郎本人が手を出したせいでもあるのです。争いは長きにわたって続いていますが、事態が加速する兆しもはっきり見えています。例えば、碑出告 をはじめとする鬼の崇拝者たちは、その影響力を真火砦竹沼 を超えて広げ始めています。大峨 はそもそも巨大で卑劣ですが、暗黒の神の力を得て、彼らは全く無視できない軍勢となっていきます。望むなら彼らは神河全土を押しつぶすこともできるでしょうが、そもそも碑出告はこの戦の波をどう変えていこうとしているのでしょうか?


Art by Carl Critchlow (left) and Kev Walker (right)

 もちろん、今後も殺戮や悲劇などがマジックの物語を飾っていくのでしょう。疑問は解かれることになるのでしょうが、より重要な問題はしばらくの間は謎のままです。答えを得るのはどちらなのでしょうか? 広がった戦乱をどうにかするために、俊郎と魅知子は何ができるのでしょうか? そして、あらゆる物事の背景にいると思われている人物は、本当にすべての原因なのでしょうか? それを示すのは、時と、小説だけです。しかし、俊郎(とあなた)は世界の背景で何が起こっているかを知ってしまうと、神の怒りの原因も当初よりもっと複雑な事態であることに気がつくことでしょう。

 今回、神河謀叛で注目すべきは忍者です。この傭兵たちは忍び込みと妨害工作の達人であり、他と同様に、神の乱の中での役割を見つけています。彼らは確かに暗殺や盗みなどを行っています。しかし、他の生ある者たちと同様に、彼らは自分たちの技量を、自身が生き延びるために使っていきます。彼らも他の人間たちと同様に、神の乱の一端を担っています——自分自身の特殊な力が、実際のカードによる戦いと同様に、神との戦いで優位に立つために使われることを願っているでしょう。


Art by Kev Walker

 しかし、世の中には皆さんが考えもしなかったであろう、移ろいやすいものがあるのです——それは生ある者たちです。そもそも、マジックでは人々は死んでしまうと、一般的には になるということになっています。しかし、神河の世界では、霊はすなわち神なのです。それじゃ、戦における数千もの犠牲者の霊はどうなるのでしょう? 彼らは神になるのでしょうか? そうだとしたら、彼らは誰に仕えるのでしょう? 新たな仲間なのでしょうか、それとも生前愛していた者なのでしょうか? これらの新しい神は、最強の神である大口縄 とはそれほど強く結び付けられておらず、違う方向に進んでくれる望みも十分あるでしょう。

 さて、大口縄の話をすると、彼は神河の現実世界に姿を現そうとしています。そしてもちろん、言うまでも無いことですが、彼は喜んでいるわけではありません。彼は実際のカードにはなりません(プレーンズウォーカーたちと同様に、彼はマジックのカードにするには強大すぎるのです)が、彼の怒りが世界に与える影響は計り知れません。この神の存在と、他のすべての神を倒すこととの間には様々な説が飛び交っていますが、その答えはいずれ示されるでしょう。

 一方でこのセットには、物事が神の望む方向に進むような、実に手に負えない事態も多数発生しています。様々な種族の魂の奥深く存在する神が姿を現し始めたのです。他の神と同様に、彼らはかつての崇拝者に襲い掛かることを躊躇したりしません。さらに悪いことに、土地そのものに存在する神までもが集まり立ち上がり、自分たちの上を歩き泳ぐ者たちを襲い始めます。安全な場所などどこにも無いようです。


Art by Adam Rex

 おそらく神河謀叛で、あなたにとって最も物語と密接に繋がっている点は、大口縄や他の神がなぜここまで怒り狂っているかの理由が判明することでしょう。事実、その原因自身が、派手で格好いいカードになってるんですからね! そしてそれ自身が、大名今田や永岩城にまつわる謎を解き明かしてくれるのです。しかし、非常に重要な疑問についてはいまだに謎のままで、その答えは空民にすら分からないのです。

 さて、そろそろプレビューカードの時間ですね……まあ、いつもなら、ですが。しかし、magicthegathering.com の意地悪い面々は、ちょっと違う方針で今回行くようです。物語に関わるセットの看板カードを、毎週水曜の「カード戦略」の筆者のエイドリアン・サリヴァンに渡すことにしたのです! まあ、そんなわけで彼がどんなことをしてくれるのかは、もう少し待ってもらうことになります。しかし、彼は《梅澤俊郎/Toshiro Umezawa》の能力の可能性について、私よりも深く掘り下げてくれるでしょう。

 ここで私が教えてあげられるのは、神河物語の小説「無頼の徒」で彼が見せた「漢字の術」が、そのままカードの能力となっているということです。彼は戦闘でもなかなかのものですし、うまくやれば彼の漢字の術が作動します。その能力ですが、実は昔のエキスパンションに登場した、プレイヤーの間で好評だったある能力に似ています。それは……おっと、この先はエイドリアンにまかせましょう。そして、前述の通り、彼はマジックにおいて初の黒単色のカードとなった主人公です。待ちきれない方のために、彼のイラストだけお見せしておきましょう。

 長年の諍いの後、神の乱は激しさを増していきます。やがてそれも終わりを迎えるでしょう。しかし、神ですらどちらが勝者となるかは知りませんし、そもそも最終的に神河が存在しているのかも定かではありません。しかし、これだけは言えます。生き延びる術があるなら、あるいは事態が好転するとしたら、それを見つけるのは梅澤俊郎その人です。唯一残った問題は、彼がそれを成し遂げたとき、生き残っているのが誰かということだけでしょう……。

最新Feature記事

FEATURE

2021年 11月 10日

『イニストラード:真紅の契り』プレリリース入門 by, Gavin Verhey

結婚式に……君は招待された! 伝説の吸血鬼オリヴィア・ヴォルダーレンが、エドガー・マルコフと結婚するのだ。誰もが死ぬほど参列したい一大イベント――きっと君も見逃せないはずだ。 となれば……やっぱりプレリリースは行きたいよね。 さて「プレリリース」とは何だろう?そこでは何が行われ、シールドのデッキはどうやって作ればいいんだろう? 知っておくべきことを動画で観たい方は...

記事を読む

FEATURE

2021年 10月 28日

『イニストラード:真紅の契り』のメカニズム by, Matt Tabak

『イニストラード:真紅の契り』のメカニズムは、話題となっている吸血鬼の結婚式を連想させるものです。新しいもの、古いもの、借りたもの、血まみれのもの。愛は素晴らしいと思いませんか?これからバージンロードを通ってゲーム店に入って来るものを見ていきましょう。 訓練 この恐ろしい世界で生き残るのは、人間にとって簡単なことではありません。常に気を抜けないのです。新規メカニズ...

記事を読む

記事

記事

Feature Archive

過去の記事をお探しの場合 アーカイブのページをご覧ください。人気の著者による、数千にわたるマジックの記事が残されています。

一覧を見る